麻生幾のレビュー一覧
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敦賀半島に潜んだ11名の北朝鮮の精鋭兵士を駆り出すため6千の自衛隊が投入された。本書が他の軍事スリラーと一線を画すのは、投入された自衛隊員が銃を構える敵性兵士に何ができるかについて、現実的に掘り下げたところにある。とどのつまり現行法の元では、撃たれて終わり。本作のストーリーでも死屍累々の結果、ヤケクソになってグレーゾーンの極大解釈の結果、初めて武装テロリストに対峙できるというプロットとなっている。そのテーマを際立たせる為に描写についても工夫がある。例えば通常、このジャンルの作品は、対峙する両者を対比して描くことで物語を構成させて書かれることが多いが、本作はほとんど日本側しか描写しない。そのことにより、日本のシビリアンコントロールが現実の有事に対して無力あることを効果的に描写している。そんなことから、本書は実は警告もしくは啓発の意図があったのかしらんと思ってしまう。ローマの時代より大凡国家と言われる全ての国体に議会はなくても軍隊は存在する。軍備を持つことは国家生存と同義であり、その最大の効用は抑止にある。その点では、自衛隊は立派に軍隊の機能を果たしおり、軍ではありませんなどという詭弁を弄すること自体がナンセンスなのである。戦後70年が経過し、東アジア一つとっても中国の軍事的台頭、遂に水爆の実験まで敢行した北朝鮮の突出、不安定な日韓、米韓関係と枚挙に暇がない。このような背景の中、本書のような軍事オプションが成立しないとも限らない。安倍内閣は任期中の現行憲法改正に意欲を示しているが、事が起こらないうちにしっかりと議論を行い対処すべき案件に丸腰で立ち向かうことのないように望みたい。
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Posted by ブクログ
国際テロリストと闘うべく組織された「外事警察」
一般のと乖離した倫理で成り立つこの組織は全てが秘匿され、目立たず影のように存在し活動する。家族ですらその仕事内容を知らない。
テロリストの一派が日本国内に潜入したという情報を得た外事3課住本は自らのチームを率い捜査を開始する。
住本は自らの協力者からの情報を駆使し、陰謀の芽を摘むべく暗闘を繰り広げるが、いつしか完全な秘匿を貫いている彼らの私生活や、家族迄もが露見し危険にさらされていく。
味方で有るはずの政府すら権力闘争の為の手段としてしてしか見ていなかったのだった。
TVに非常に疎いのでドラマをやっていた事すら全然知らなかったのですが、これドラマ化前提で書いた本なんですね。
相当な意気込みで書かれた事がムンムン感じられるのですが、登場人物が多過ぎるのと、出来事も多過ぎるので果たしてどれが重要な事だったのやら読み切った時に頭に残っていませんでした。
登場人物で象徴的なものがある人物があまりいないので、誰が誰なんだかさっぱりで誰が死んだのだか分からずに往生しました。
まあこれは僕の脳の限界なだけだと思うので、評価が下がる要因ではないのかもしれません。 -
Posted by ブクログ
福島第一原発に関する本かなと思って購入したけど、1996年単行本化、文庫本は2001年発行だった。
1994年から2001年に起きた”大事件”に際して、政府官邸への情報の齟齬、未達、遅れを取り上げて、危機管理体制さらに”被害管理体制”への”提言”へと話を広げた本。
2011年3月の東北での地震でも官邸のテイタラクは取りざたされたが、一方で行政機関の問題点は話題に上らない。
本書では、書名から官邸の問題かと思ってしまうが、実際の情報を握る「お役所」の問題を取り上げていて、言い古された縦割り行政や縄張り意識が、いかに緊急事態に対応出来なかったかを書き連ねる。
出版後10年経っての大災害において、どのように官邸や行政機関の危機管理体制が”進歩”したかを振り返ってみるのに最適な本と言えるかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ国際テロ捜査を専門とし、一般的な捜査では取れない捜査方法でテロリストと戦う警視庁公安部外事第3課の物語。
この人の作品は「宣戦布告」以来で、同様にプロットは緻密でリアリティがあり、テーマ・題材はさすが。
ただ全く違うのは、全体の締まりが悪い。
登場人物の多さや急な場面転換も、途中までは伏線じゃないかと考えながら読んで行けるが、諸々の謎を解決することなく同じペースでそのまま最後まで行ってしまうので、そこがちょっと。
他の方も言ってるが、TV・映画ありきなのだろう(まだ観ていない)。
それでも、国際テログループを担当する実在の組織である外事第3課を題材にするのは非常に興味深く、流石だと思わされるし、また違った雰囲気の同テーマの作品を読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ東日本大震災の発生後、福島第一原発の冷却に挑んだ自衛隊と消防、情報が錯綜する中で災害救援のための陸路を切り開いた国土交通省と地元民間の建設業者、被爆のリスクを覚悟しながら避難区域内の住民の避難誘導に携わった警察、救命医療に携わった医療関係者たち。これら様々な立場の方がいかに自らの職務に毅然と立ち向かったのかを伝えるノンフィクション。内部被爆を避けるためにヨウ素対応マスクとゴーグルを着用して原発の冷却に挑むも、より的確な放水のために放射性物質が浮遊している中でマスクとゴーグルを外して作業にあたった消防隊員。部下の自衛隊員の不安を払拭するために被爆のリスクを覚悟しながら最前線で指揮し続けた自衛隊の幹部。こういう人たちがいてくださったおかげで、破滅的な状況を避けることができたのだと改めて実感。”危機管理において、最大のリソースは、やはり「人」であると改めて確信した。「貯金より貯人せよ」”という本書に登場する医療関係者の方の言葉がずっしりと響きます。