頭木弘樹のレビュー一覧

  • 痛いところから見えるもの

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     もう十年近く前に山田太一編『生きるかなしみ』という本を読み、こんな本が存在しているというだけで、世の中まだ捨てたものじゃないかもと感じたことを思い出した。本書にも似たような思いを抱いた。山田太一の言葉も紹介されていたので、相通ずるものはあると思われる。

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    2026年07月09日
  • 絶望名言 文庫版

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    良書。これ、今の時代には必要な一冊では?ネガティブ過ぎる世の風潮からか、空っぽのポジティブが受け入れられやすいのかも知れないが、真相は絶望名言にこそあるのではないか。前向きな言葉に勇気づけられることもあるけど、人生ってそんな単純なものでもないので、ね。(^_^;)

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    2026年06月23日
  • 痛いところから見えるもの

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    たんたらたらたんたらたらと
    雨滴が
    痛むあたまにひびくかなしさ
    /石川啄木

    石川啄木がまたまた登場してくれた。

    私の推しのクズ男。
    昔の私なら、石川啄木の詩から「痛みの孤独を感じとりました」とか何とか感想を抱きそうだけれど、今は、うっかり「またまた〜、上手に盛ってますね〜」と思ってしまう。
    石川啄木の人となりを知ってしまうとね。

    大事な時に、共感を得たいなら、普段の自らの行いに気をつけないといけないな。

    身体的な痛みも、心の痛みも、共感して欲しいけれど、共感してもらうのって難しいからね。
    石川啄木くらい、心に訴えてかける詩が書ければいいのにと思う。その詩を読んだ多くの人は、「さぞかし辛いのだろう」と手を差し伸べるに違いない。

    自己表現が上手い人は、あらゆる面で生きやすいのかもしれない。

    結局、「痛み」という個人的な現象ですら、人間関係が関わるのか。

    文学の中には、自分の言葉にできない感情が表現されていることが多く、今まで、もどかしいと思っていたことを、むしろ自分でも気がついていなかった気持ちを、言語化して代弁してくれていることに感動することがよくある。

    『痛いところから見えるもの』では、痛みの辛さが見事に言語化されている。多くの人にとって、この本は救いになるのではないだろうか。

    文学は、ときに孤独を引き受けてくれる。

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    2026年06月20日
  • 六人部屋の十三年間

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    都会を歩いてると、世界から病人は隠されていると感じる

    そんな世界から隠された病人たちの、病室での人間模様
    患者同士の不幸比べ、見栄、見舞いに来る人との会話に聞き耳を立てる、見舞いに誰も来ない人…
    病気は、人から建前を剥ぎ取っていく

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    2026年06月16日
  • 決定版カフカ短編集(新潮文庫)

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    すっごい才能だよなぁ。
    カフカといえば誰もが知っている作家だと思うけど、『変身』しか読んだことなかった。15の作品が収められているけど、不条理で矛盾に満ちていて、何も解決していかない物語がほとんど。でも魅かれちゃう。すごいや。

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    2026年06月11日
  • 絶望名言 文庫版

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    今の自分はポジティブな言葉よりもこの本が合っている。頭木さんと川野さんの対話も心地良かった。絶望とまではいかなくても、弱っている時に読むとより一層こころに沁みるような気がする。

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    2026年05月28日
  • シリーズ「あいだで考える」 自分疲れ ココロとカラダのあいだ

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    創元社の「あいだで考える」シリーズが大好きで、ほぼ全巻持っています(積読もあり)。そのなかで、創刊の一冊であるこの本はなかなか手に取れていなかったのですが、読めてよかった!
    あまり自分が自分でいることに疑問を持たないタイプなので合わないかもなぁと思っていたのですが、この本が扱っているのは「こころ」と「からだ」の間。ロボット操縦を例にしたカラダがこころに与える影響の話などはハッとする視点だったし、シリーズ始めということもあるのか、「あいだ」を考えることをより実感を持たせる内容になっていました。分けない、という視点は今の世の中で結構大事な気がする。グラデーションを意識しながらいろいろなことを考えられると良いなぁと思うなど。

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    2026年04月30日
  • 痛いところから見えるもの

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    痛みをテーマにした珍しい1冊。痛いのは良くないと思いつつ、慢性的な痛みを感じている人はどんな気持ちだろうと、歳をとってところどころ体が痛む親を見て気になっていた。

    よかれと思ったことはよけいなお世話で、その立場でないとわからないことはたくさんある、そして思いもよらないことが多いと感じた。

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    2026年04月28日
  • 絶望名言 文庫版

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    読書欲が駆り立てられる本でした。素敵な紹介が多くて、積読が増えてしまいそうです。というか増えてしまいました。嬉しい。
    併読でモームの月と六ペンスを読んでいたのですが、ゴッホが出てきてより2つの読書に深みが出ました。
    読書の世界が広まっていく感覚が嬉しいです。
    いつか、ドストエフスキーもチャレンジしたいと思います。
    そして、絶望名言2も買いました!
    読むのも楽しみです(少し寝かせてから読みたいと思います)

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    2026年04月18日
  • 絶望名人カフカの人生論

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    カフカはマンボウ並みにメンタルが弱く毎日絶望してたのに、別に希死念慮はなく自殺とかはせず普通に肺炎で死んだのおもろい。逆にメンタル強いと思う。見習いたい

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    2026年04月14日
  • 絶望名人カフカの人生論

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    カフカのことをあまり知らなかったけど、こんなにもネガティブで自己肯定感の低い人間だったとは。人間失格を読んだときにも感じた、申し訳ないけど面白くなってきちゃう感じ。家族との確執は切なくなったし、苦しさに共感。
    解説は少し安易に感じるところもあったけど、わかりやすい構成。

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    2026年03月30日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    やっぱり絶望しているときはカフカだよな~~~~~
    この場合の絶望は世界とかではなく、世界にフィットできない自分に対して自分って本当にこの世において何もできないどうしようもない存在だな…みたいに自分に絶望しているときはカフカぐらいしか読めねえのよ
    自分を肯定するとかエンパワメントを受けるほどのエネルギーすらないときってあって、そういうときはカフカがじわっとしみる
    自分への絶望に浸ることを許してくれるのはカフカぐらいなんだよな
    これは断片集で本当に数行で終わってしまうのもあったけど、今度は短編を読みたい

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    2026年03月30日
  • 痛いところから見えるもの

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    病気の痛みとともに生きているので読んでいると共感したり、でも苦痛だったり。周囲の人に読んでほしい本だなと思いました。

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    2026年02月24日
  • うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語

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    うんこにまつわるアンソロジー
    前半、怒涛の面白さで驚いた。
    途中から昔の文体とか出てきて少し難しくなり。
    読みやすい文体の作品はしっかり読んだ。
    髭男爵さんのお話が好きだなぁ。

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    2026年02月01日
  • ひきこもり図書館

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    アンソロジーの魅力に取り憑かれそう。

    それぞれの物語に対するあとがきが素敵。
    あとがきも含めてお話が完成されている。

    引きこもりでない人もわたしみたいに引きこもりを経験した人も。読んでみてほしい。

    私は星新一さんのが1番好きでした。
    読んだ人はどの作品が好きか教えてほしい。

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    2026年01月29日
  • 絶望名言 文庫版

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    この本を読んでハッとすることがなければ、それは未だ絶望に直面したことがないのだろう。
    もし、そうであればこの本を読んで来る絶望に備えるべきだ。

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    2026年01月21日
  • 痛いところから見えるもの

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    今までとは少し違った角度から痛む人の状態や気持ちが垣間見れた気がした。
    もちろん、私も痛いと感じることには何度も遭遇しているけれど、追い詰められたような限界に近い痛さ・長期にわたる痛さというものは、未経験だと思う。
    そういった疲弊する状態、性格が変わったかのようになってしまう状態、考えられなくなってしまう状態というものに、少し思いをはせることができて良かった。
    しかし、痛む人を傍で見ているのも切ないものだろうな。
    何もしてあげられない。
    助けてあげられない。
    痛い人の状態を少しでも察しようと努力することが最初の一歩だとしても、そこからどう歩んでいけばいいのか。その回答を見つけることができるのか。そういった戸惑いも感じる。
    子供でも身内でも、痛がっている姿を見ると本当に戸惑う。
    今回、痛む側の辛さを読んでも、その戸惑いは解消されるとは思えない。




    【memo】
    喉や口が痛くなって水も飲めない時は、生理食塩水を飲むと痛くないらしい。

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    2026年01月15日
  • 痛いところから見えるもの

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    まず作者がどんな痛みを経験してきたのかと言う話から始まる。
    「潰瘍性大腸炎」と「腸閉塞」
    この2つの話が、まず最初に非常に強烈。
    私もあちらこちら痛いところがあってひどい片頭痛持ちだが、この人に比べれば、なんと幸せなことよと思わずにはいられない。
    痛み仲間として共感を覚える。いや、リスペクト?

    作者と一緒に、「ホントやだねえ」と呟きながら読んだ箇所たくさん。

    「いろいろ大変だったんですね」とか、「ご両親もきっとつらかったですよね」「あなたももっと肩の力を抜いてできるといいでしょうね」
    これらの言葉がトラウマの二次被害だったという「医学書院」の「精神介護」の雑誌に掲載された記事の紹介。

    「いろいろ」のたった四文字。「大変だった」という大雑把な表現。これらの発言が「あなたの物語はこの程度のものだ」という断定に感じたという。

    あーよくよくわかる!そうなのだ。その大掴みな適当な表現にガッカリするのだ。共感!


    痛みとマッチョイズム
    痛みには耐えるべきだ。耐える方が偉い。耐えられない奴は情けないと言うマッチョイズムが痛みの周辺にもあるという。
    入院していたときの6人部屋の向かいのベッドのおじさんのところに同年輩の男性がお見舞いに来たと言うエピソード。
    「どうだ。調子は」などと話しかけて、やおら自分の息子と釣りに行った話を始めた見舞客。息子の顔に自分の竿の釣り針が引っかかってしまったが、その釣り針を取る間息子が1度もいたいと言わなかったことを自慢する。
    読んでいる私も実に気分の良くない話だった。
    その場にいた6人全員の嫌な気分を共に味わった感じ。

    痛みに関してのもやもやを分節して、分析してくれる。
    この本読んでよかった。

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    2025年12月26日
  • 絶望名言 文庫版

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    ネタバレ

    絶望なんてしない人生のほうがいい。
    それはもちろんそのとおり。絶望しないに越したことはない。
    しかし、人生いろいろなことがあるものだ。
    その中でまったく絶望の経験がないまま天寿を全うするということは非常に稀有な例であるのは間違いない。

    ここで考えてみてほしい。
    絶望することそれ自体は悪いことなのだろうか?
    絶望しないで生きられるのが一番ではあるが、
    絶望を経験することで学ぶこともあるし、そこから立ち直ったなら、より強い心で人生を謳歌できるということもあるだろう。

    また、絶望している人に対して希望あふれる言葉を投げかけ、励ますこともある。別に悪いことではない。
    だけど、希望って本当に救いになるの?
    その希望にすがって生き続け、それが打ち砕かれたときにより深い絶望を抱く、ということもあり得ると思うんだ。
    希望を語ることが間違いだと言っているわけではなくて、
    希望もときには人生を蝕む毒になるかもしれない、ということを知っておいてほしいのだ。

    この本を読むとわかることだが、世界の偉人、特に作家や音楽家、画家などの芸術の歴史に名を刻んだ人たちは、
    多くの絶望的な状況の中で、それを言葉として残している。
    自分が絶望したときにその言葉を思い出してほしい。
    ときにはそんな絶望的な言葉が救いになることだってあるかもしれない。根拠はないけど……

    最後に非常にデリケートな話題だが、
    深い絶望に苛まれ、自ら死を選んでしまう、ということも残念ながら少なからずある。
    自殺は絶対にダメだ!と言うのは簡単だが、死が救いになるほどの絶望が存在するのは間違いない。
    自殺することはよくないことだとは思うのだが、絶望から自殺を選んでしまった人を否定するようなこともしたくない。

    何が正しいことで何が正しくないことなのか。
    そもそも正しさとは一体なんなのか。
    物事はなんでも白黒つけないといけないのか。
    曖昧で揺蕩うように朧気な人生を送っている私には答えを出すことはできない。
    でも、それでいいのかもしれない。
    そんなことをこの本を読みながら考えてました。
    そう考えると他人の絶望に触れることも悪くないじゃん。

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    2025年12月24日
  • 痛いところから見えるもの

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    三大激痛とされ病気「心筋梗塞」「尿路結石」「群発頭痛」
    本を読んでいるとさまざま痛みの表現がでてきます。病気や怪我の痛みから心の痛み。そんな体感でだけでなくさまざまな痛みについて描かれています。失恋に痛みがある。痛みを快感としたり、これも痛みだったのかという気づき。

    この著者の特徴としてエピグラフ(書籍や章の冒頭に置かれる、題辞や引用句)が多用されています。

    「痛みを一度も感じたことのない者に、痛みという言葉は理解できるのだろうか?」(哲学者ウィトゲンシュタイン)

    「オムレツの味をどう教えられたって食べなければ分からない」山田太一・誰かへの手紙のように

    こんな感じ。

    だからより著者だけでなく、色んな人の視点の痛みに触れらることができ、またしっくりくる引用にであったりする。
    その引用元の作品や知らない作家との出会いにもなる。
    気がついたらエピグラフだけ読んでいました。エピグラフ、文字数は少なくとも情報や共感などの濃度があるのかも。

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    2025年11月22日