頭木弘樹のレビュー一覧
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なんの共通点もない人たちと、いきなり共同生活が始まる、それが「入院」
病院でのちょっとしたエピソードを小耳にはさむことはあるが、この本はその「集大成」レベルである。
若い時に発病し、さまざまな「人」、患者、その家族、医師、看護師、見舞客などを見てきて、考えさせられた著者は、さながら「病院哲学」を極めた人のように思える。
その中でたどり着いた答えは、「人はもともと不平等なのが当たり前なのだ」ということ。
自分の人生や境遇を人のそれと比べないこと。
何かを話すときに「〜と比べて」という余計な一言を付け加えないこと。
と言っても難しい本ではなく、入った人でなければ分からない長期入院の実情がとても興 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「食べることと出すこと」と同様たくさんの本の引用を使いながら痛いということ、痛みというものについて書いた本。
本当に面白かった。心に沁みた。頭木さん自身の体験談もさることながら、経験したことがない痛みがあるということを理解しながら相手の痛みを理解しようすること、痛みをどのように伝えるか、いろんな人の痛みとの付き合い方など、とにかく健康健常じゃない人、ことへの優しさと想像力が詰まったいい本だった。
頭木さんの提案する、痛みがこうならいいのにというのは本当にその通りだと思う。本当に悪いところだけが痛み、それは限界を超えるような痛みではなく、痛みの強さで悪さの深刻度がわかる、みたいになればいいのに -
Posted by ブクログ
かなり面白かった。
身体は元気だが頭が特性あり(ADHD)と、頭は元気だが身体は大変(難病)の筆者2人による人間のここがおかしい!みたいなテーマでの対談形式で話が進む物語。
1番面白いと思ったのは、産まれてから老いて死んでいくまでの流れが反対のほうがよいのでは?という話。人間誰しも、小さくて無条件に可愛がられることや若く健康な時期の有難みに老いてはじめて気づくものである。だからこそ、人生のスタートこそヨボヨボのシニアがよくて、次第に健康に、若くなり、最期は赤ちゃんとして可愛がられながら旅立つ。こっちのほうがいいだろ!っていうテーマが面白かった。 -
Posted by ブクログ
はじめ、一人称的な視点多めで書かれた文章が、ちょっとパーソナルすぎて入っていきにくいかなと思ったけれど、4人4様の書きぶりであることがわかって、そのバラバラさがかえっていいのだろうということも伝わってきた。
これまでもオープンダイアローグの本は何冊か読んだのだけど、一対一でないよさ(圧がかからない)とか、リフレクティングの効用(直接話しかけられるわけではないから、「そうですね」といいながら聞かなくてすむ、取捨選択してよさそうなものだけ採用すればいい)、時間できっぱり終わり結論を出そうとしないことのよさ、そしてダイアローグとダイアローグのあいだにそれぞれの心のなかで起こることなどがとても具体的に -
Posted by ブクログ
決定版カフカ短編集を読み終えましたが
理解できた作品とあまりできなかった作品があったのでもう一度はじめから読み始めました。
「判決」を読んで。
一度目は正直よくわからなかったので
二度目読んだ後の感想を。
私の考えすぎなのかもしれませんが、主人公ゲオルクの父親は息子を愛していたのかもしれないけれどその愛し方は息子を精神的に支配する愛し方だったのではないかと。
そういう愛し方を受けた子供が大人になり、親よりも力も強くなっても傍から見れば「なぜ言われたままなんだろう。自分の思うようにすればいいのに」と思うかも知れない。
でも支配し続けられた子供は成長して体は大人になっても自分ではどうすることもでき -
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自分は痛くなくても、痛い人は必ず身近にもいる。
だから、「痛くない人」は、「痛い人のそばにいる人」でもある。
そばにいる人が、痛い人のことをわかってあげられたら……。
痛みというのは曖昧で、痛いといくら訴えても、同じ痛みを経験しない人には伝わらず、それどころか離れていってしまう。
痛みがあることで孤独になってしまうこと、痛みの伝わらなさ共感のできなさ、痛みを言葉で表すことの難しさ、どうやったら言葉で的確に痛みの感覚を表現できるのか、痛みを分類できないか、痛みについてのエトセトラエトセトラ…
本書を読みながら、痛み自分史を脳内で振り返って、うんうんと頷き共感する。
相変わらず著者の文学の紹介の -
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Posted by ブクログ
痛いことは、人に本当には理解してもらえない。自分の1番つらいことが、誰にもわかってもらえないなんて、本当に孤独だ。わからなくとも、せめて傷に塩を塗るような言葉をかけないために、この本を読む価値がある。
p91
相手がありきたりな型にはめようとしてくること以上にこわいのが、自分からありきたりな型にはまっていこうとしてしまうことだ。
たとえば、私のような難病患者は、「難病になって、さんざんつらい思いをしたけれども、そのおかげでいろいろな人とも出会い、精神的にも成長し、結果的にはよかったです。今の自分があるのは病気のおかげだと前向きにとらえています」というような、不幸克服物語、おわりよければすべて -
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Posted by ブクログ
作者は、潰瘍性大腸炎という難病の闘病生活を13年経験した方。
痛い人と痛くない人(痛い人のそばにいて、その痛みをわかってあげたいと思っている人)のあいだで役立つ本を目指しているそうです。
「痛い痛い」とずっと言っていると、人が離れていきがちだ。難病になって性格が変わった、変わらないほうがおかしい、という話など。
決して無理にポジティブにせず、心のままに伝えてくれているのにどこか明るくて、くすっと笑えたりして、癒やされます。
無理に立ち直らなくていいんだなあ。変わって当たり前で、変わったところから見えることもあるなあ、と。
最後までほとんど一気に読みました。読んで良かった!! -
Posted by ブクログ
少しわかる。残りはわからない。
そういう感覚が連続する、ごく短い文章を詰め込んだ巾着袋のような一冊。
わからない、ということについて、編訳者解説のなかで全面的に肯定されます。そして、作者も友人に出した手紙の中で以下のように残しているそうです。
“自分の城の中にある、自分でもまだ知らない広間。それを開く鍵のような働きが、多くの本にはある。”
“ぼくらはそもそも、自分を咬んだり刺したりする本だけを読むべきではないだろうか。
ぼくらが読んでいる本が、頭をガツンと一撃して、ぼくらを目覚めさせてくれないなら、いったい何のために、ぼくらは本を読むのか?
本とは、ぼくらの内の氷結した海を砕く斧でなけれ