頭木弘樹のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
ありそうでなかった「痛い人と痛くない人の間にある本」。
どんなに好きあっていても、親しい間柄でも、痛みは移植できない。
今痛みを感じていて、それを軽んじられて悲しい人。
痛みをかんじているひとのそばにいる人。
そして、わたしのように、すぐに他者の痛みを、わかった気分になってしまいがちな人におすすめ。
反省しました。
他者の痛みは直に感じられることはなく、自分の過去の痛みから類推しているだけだ、というような、ヴァージニア・ウルフの言葉にはハッとした。
文学紹介者の頭木弘樹さんらしく、たくさんの「痛み」の本も紹介されている。
自分の身体の痛みも、他者の体の痛みも、軽視しないようにし -
-
-
Posted by ブクログ
痛みについて、総合的に書かれた本。
体の痛みのある世界の人が何を感じているか。痛みのない人との間にどんな溝があるか。
ネガティブなものを、全てポジティブ転換できるものばかりではない、ということを学ぶ。ポジティブ変換すべき、という価値観の中に生きていたことを思い知る。
痛い人とそうでない人の間には大きな断絶。痛い人に対して、わからないことを前提に関心を持つこと。自分の痛みは、同じ痛みを持つ人と分かち合うこと。
—-
●痛みと孤独
・痛みには孤独がもれなくついてくる
・心の痛みを(人には聞いてもらえないので)馬に聞いてもらう
・自分だけがガタガタと震えているのに、周りはみんな平気。痛い人はそ -
Posted by ブクログ
激しく同意しました。
カフカの人生論の著者。他の作品もと手にした本書。
心と体の話し。
20歳の時に難病にかかり13年間にわたる闘病生活を送った経験を持つ著者。なかなかヘビーな経験です。
その間に読み、体感して感じた個人的経験を文学、哲学、生物学等のフィルターを通して、見事なまでにアイデア提起をしてくれた。(特に文学)
論理的でもあり、感覚的でもあり。
生きるための柔軟性を得ることができる名著でした。
はじめに から引用(こんな人にオススメ)
自分でいることに、疲れを感じたことはないだろうか?
たとえば、自分の性格が好きではないとか。
自分の体に不満があるとか。
「どうして自分はこう -
-
Posted by ブクログ
カフカ…
超人的な絶望家。
超絶ネガティヴ。
あまりのネガティヴ過ぎにかえって笑えてくる。
著者の言う通りだ。
読むと不思議と元気にさせられる。
これは、なかなかの名著だぞ。
超訳「ニーチェの言葉」のカフカ版と言ったところか。
カフカの言葉と解説がワンセットになった86作品。
目次を記す
1.将来に、絶望した!
2.世の中に、絶望した!
3.自分の身体に、絶望した!
4.自分の心の弱さに、絶望した!
5.親に、絶望した!
6.学校に、絶望した!
7.仕事に、絶望した!
8.夢に、絶望した!
9.結婚に、絶望した絶望した!
10.子供を作ることに、絶望した!
11.人づきあいに、絶望した!
-
Posted by ブクログ
頭木さんのこのタイトルの本が出ると知って発売と同時に購入した。タイトルどおり「痛み(痒みについても少し)」について余すところなく語られていた。過去に筆舌に尽くしがたい原因不明の痛みを24時間×一週間経験したことがある。その後も色々な痛みに見舞われているがいつもあの時よりましと自分を慰めることができるほどだった。もちろん体の記憶は失われているが今でも時々思い返してみることがある。(不幸なことに猛烈な痒みの経験もある。)果てしなく続く痛みに耐えながらこれをどう表現したらわかってもらえるかと考えたことも思い出した。痛い人の孤独を理解し寄り添ってくれるこの本があれば多少なりとも救われる人がいると思った
-
Posted by ブクログ
絶望を表現するにしては淡々とした文体。でも読みやすくて良い。最初の3篇連続で末尾が「いや、〜〜さえ〜ない」で笑った。あまりに無力。
好きなのは〔道に迷う〕、〔夏だった〕。私は常に「ずっと倒れたままでいたい……」「このまま寝かせておいてほしい。ずっとこのまま……」と思っているので……
〔道に迷う〕は「うっそうとした暗い森だが、道の上にはわずかな空も見える。それでもわたしは、果てしなく、絶望的に、道に迷う」という言葉も突き刺さった。仕事に迷走し転職を繰り返していた時、どの職場でも全部自分のせいにしてなんとかしようとして空回って更に自己嫌悪して。その時は自覚もなかったけど今思うと〔なにが?〕のよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ名言集を読むよりも先に普通に作品を読むべきか、とも思いつつ読み始めたが、第1回のカフカの回で早速引き込まれてしまった。辛かった時の感情を思い出してあの時にこの本またはカフカに出会いたかったなと思ったり、今の気持ちを表現してくれる名言に出会えて救われた気持ちになったり、もっと作品に触れてみたい作家・作曲家と出会えたり、読んでよかった。
辛い時にはポジティブな言葉よりも絶望名言の方が沁みたり救いになることがある。若い時に13年間の闘病生活をしていた頭木さんが共感したり救われた名言とその背景、人物の紹介をしていくラジオを書籍化したもの。
カフカ、ドストエフスキー、ゲーテ、太宰治、芥川龍之介、シェ -
-
Posted by ブクログ
NHKラジオ番組『絶望名言』で放送されていた番組の内容を一冊の本に纏めた本。
息が詰まったり、イライラしたり、ストレスフルな毎日を過ごす内に気持ちもネガティブに...。そんな中にしっとりと寄り添う、“絶望名言”。カフカ、芥川龍之介、ゴッホ、ゲーテ、ベートーヴェンなどなど各分野の偉人達の書籍や脚本内の台詞などを紹介しながら、出演者のお二人が自分の病気の経験を踏まえながら進めていく斬新なスタイルに興味が引かれました。
気持ちが沈んでいるときにはポジティブな名言よりネガティブな名言の方が心に残り
人に寄り添うことが出来ると思う。前向きな言葉ばかりでは正直、味気ないとすら思える。だからこそ、絶望名言は -
Posted by ブクログ
カフカに初めて触れた。「変身」が代表作とか。
没後100年を記念して?出された本。
カフカが俳句を書いたわけではない。
彼が残したことばを、そのまま載せたり作品から切り取ったり、
五七五に収めるわけでなく、自由律のように80句に見立て、
編訳者が解説を加えている。
カフカが初めての私は、彼の解説でカフカを知る。
「鳥籠が鳥を探しにいった」
「ときおり体が八つ裂きになりそうな不幸を感じる」
「家族のなかで、他人よりももっと他人のように暮らしている」
「夕方、森へ。月が満ちている」
なんとも悲観的な、、、
どうもカフカは世の中になじまなかったらしい。
今でいえば発達障害だったのかも。
作品も -
-