頭木弘樹のレビュー一覧

  • 痛いところから見えるもの

    Posted by ブクログ

    間違いなく、今年のベスト本に入る一冊。
    あなたも私も経験したことのある痛みから、経験したことない痛みまで。あらゆる角度から、痛みに思いを巡らせる。
    “文学的に”と著者が言うように、客観的な痛みの評価や羅列ではなく、あくまで当事者(とその周囲)がどう感じ、どう世界を見ているかということが語られる。共感もあれば、未知の経験に慄くことも。それらは全て身近な、私や隣人の話だと感じる。
    “痛み”を私にとってより身近な心身の不調に置き換えられる事柄もあり、共感してもらえたような気になることも。

    0
    2025年12月12日
  • 痛いところから見えるもの

    Posted by ブクログ

    ありそうでなかった「痛い人と痛くない人の間にある本」。

    どんなに好きあっていても、親しい間柄でも、痛みは移植できない。

    今痛みを感じていて、それを軽んじられて悲しい人。

    痛みをかんじているひとのそばにいる人。

    そして、わたしのように、すぐに他者の痛みを、わかった気分になってしまいがちな人におすすめ。

    反省しました。

    他者の痛みは直に感じられることはなく、自分の過去の痛みから類推しているだけだ、というような、ヴァージニア・ウルフの言葉にはハッとした。

    文学紹介者の頭木弘樹さんらしく、たくさんの「痛み」の本も紹介されている。

    自分の身体の痛みも、他者の体の痛みも、軽視しないようにし

    0
    2025年11月28日
  • 絶望名人カフカの人生論

    Posted by ブクログ

    超訳系はあんまり好きじゃないけれど。
    カフカの名言集。この手の本は正直好きじゃないのだが、意外にもおもしろかった。カフカの小説以外の手紙などは初めて読んだが、良い文だなと思った。
    名言に解説みたいなことを書いてくれているが、読みやすいように茶化すような書き方で、どうかなという気もしたけれど、それでも、根っこにはカフカへの敬愛が感じられて良かった。

    0
    2025年11月02日
  • 痛いところから見えるもの

    Posted by ブクログ

    「廃品になってはじめて本当の空を映せるのだね、テレビは」この短歌は、私も衝撃を受けた。作者はこの歌から「壊れたからこそ見えるものもあるなあと思った」という。
    短歌はもちろん、作者のその感性も素晴らしいと思った。
    痛みと同じく、悲しみもまた自分でコントロールできないという部分は同じで、経験によって本来握りしめていた自己を抜け出し、新しい視点を得ることができる機会になると思う。

    0
    2025年10月24日
  • 絶望名言 文庫版

    Posted by ブクログ

    明けない夜はない、明日はきっといい日になる、みたいな前向きな言葉が辛い時もある。善意でかけられる励ましの言葉が余計に心をえぐる時もある。自分を想ってかけてくれる、そんな言葉に傷つくあなたが弱くて悲観的で駄目なのではないのです。人にはそれぞれの事情があるのだから。
    誰にも相談できない、他人には理解してもらえないだろう、そんな時だからこそ支えてくれる過去の賢人たちの名言の数々。
    あなたは決して一人ではないのです。辛い時でもベートーベンや芥川がきっと側にいてくれる。

    0
    2025年10月20日
  • 痛いところから見えるもの

    Posted by ブクログ

    痛みについて、総合的に書かれた本。
    体の痛みのある世界の人が何を感じているか。痛みのない人との間にどんな溝があるか。

    ネガティブなものを、全てポジティブ転換できるものばかりではない、ということを学ぶ。ポジティブ変換すべき、という価値観の中に生きていたことを思い知る。

    痛い人とそうでない人の間には大きな断絶。痛い人に対して、わからないことを前提に関心を持つこと。自分の痛みは、同じ痛みを持つ人と分かち合うこと。

    —-
    ●痛みと孤独
    ・痛みには孤独がもれなくついてくる
    ・心の痛みを(人には聞いてもらえないので)馬に聞いてもらう
    ・自分だけがガタガタと震えているのに、周りはみんな平気。痛い人はそ

    0
    2025年10月19日
  • シリーズ「あいだで考える」 自分疲れ ココロとカラダのあいだ

    Posted by ブクログ

    激しく同意しました。

    カフカの人生論の著者。他の作品もと手にした本書。

    心と体の話し。
    20歳の時に難病にかかり13年間にわたる闘病生活を送った経験を持つ著者。なかなかヘビーな経験です。
     その間に読み、体感して感じた個人的経験を文学、哲学、生物学等のフィルターを通して、見事なまでにアイデア提起をしてくれた。(特に文学)
    論理的でもあり、感覚的でもあり。
    生きるための柔軟性を得ることができる名著でした。

    はじめに から引用(こんな人にオススメ)

    自分でいることに、疲れを感じたことはないだろうか?
    たとえば、自分の性格が好きではないとか。
    自分の体に不満があるとか。
    「どうして自分はこう

    0
    2025年10月13日
  • 絶望名言 文庫版

    Posted by ブクログ

    絶望的な状況においてはネガティブな言葉の方が救いになることもあるし、寄り添ってくれる。確かにそうだと思う。前向きな言葉はむしろ負担になる。
    二人の対談の中で、それぞれの病気の体験にも触れつつ、いろいろな立場の人に平等な目線を送っているのが分かって、とても優しさを感じた。

    これ一冊読むだけで、次に読みたい本が何十冊と増えてしまったのが困りもの。

    0
    2025年10月11日
  • 絶望名人カフカの人生論

    Posted by ブクログ

    カフカ…
    超人的な絶望家。
    超絶ネガティヴ。

    あまりのネガティヴ過ぎにかえって笑えてくる。
    著者の言う通りだ。
    読むと不思議と元気にさせられる。
    これは、なかなかの名著だぞ。
    超訳「ニーチェの言葉」のカフカ版と言ったところか。
    カフカの言葉と解説がワンセットになった86作品。

    目次を記す
    1.将来に、絶望した!
    2.世の中に、絶望した!
    3.自分の身体に、絶望した!
    4.自分の心の弱さに、絶望した!
    5.親に、絶望した!
    6.学校に、絶望した!
    7.仕事に、絶望した!
    8.夢に、絶望した!
    9.結婚に、絶望した絶望した!
    10.子供を作ることに、絶望した!
    11.人づきあいに、絶望した!

    0
    2025年10月05日
  • 痛いところから見えるもの

    Posted by ブクログ

    頭木さんのこのタイトルの本が出ると知って発売と同時に購入した。タイトルどおり「痛み(痒みについても少し)」について余すところなく語られていた。過去に筆舌に尽くしがたい原因不明の痛みを24時間×一週間経験したことがある。その後も色々な痛みに見舞われているがいつもあの時よりましと自分を慰めることができるほどだった。もちろん体の記憶は失われているが今でも時々思い返してみることがある。(不幸なことに猛烈な痒みの経験もある。)果てしなく続く痛みに耐えながらこれをどう表現したらわかってもらえるかと考えたことも思い出した。痛い人の孤独を理解し寄り添ってくれるこの本があれば多少なりとも救われる人がいると思った

    0
    2025年09月26日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    絶望を表現するにしては淡々とした文体。でも読みやすくて良い。最初の3篇連続で末尾が「いや、〜〜さえ〜ない」で笑った。あまりに無力。

    好きなのは〔道に迷う〕、〔夏だった〕。私は常に「ずっと倒れたままでいたい……」「このまま寝かせておいてほしい。ずっとこのまま……」と思っているので……

    〔道に迷う〕は「うっそうとした暗い森だが、道の上にはわずかな空も見える。それでもわたしは、果てしなく、絶望的に、道に迷う」という言葉も突き刺さった。仕事に迷走し転職を繰り返していた時、どの職場でも全部自分のせいにしてなんとかしようとして空回って更に自己嫌悪して。その時は自覚もなかったけど今思うと〔なにが?〕のよ

    0
    2025年08月31日
  • 絶望名言 文庫版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    名言集を読むよりも先に普通に作品を読むべきか、とも思いつつ読み始めたが、第1回のカフカの回で早速引き込まれてしまった。辛かった時の感情を思い出してあの時にこの本またはカフカに出会いたかったなと思ったり、今の気持ちを表現してくれる名言に出会えて救われた気持ちになったり、もっと作品に触れてみたい作家・作曲家と出会えたり、読んでよかった。

    辛い時にはポジティブな言葉よりも絶望名言の方が沁みたり救いになることがある。若い時に13年間の闘病生活をしていた頭木さんが共感したり救われた名言とその背景、人物の紹介をしていくラジオを書籍化したもの。

    カフカ、ドストエフスキー、ゲーテ、太宰治、芥川龍之介、シェ

    0
    2025年08月19日
  • 希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話

    Posted by ブクログ

    カフカに興味があり読んでみたらとても面白かったので本棚登録。
    ゲーテとカフカの言葉を比較する内容ですが、二人が対極にあるかといえばそうではなく、むしろ二人の共通する部分がよく分かる内容です。
    この本の中でカフカがゲーテを尊敬していたことを知って、今度はゲーテにも興味か出てきました。
    ずいぶん前に若きウェルテルの悩みを読んだことがあって、ウェルテル悩みすぎやでと思った記憶しかないので、今一度読み返してみたいと思いました。

    0
    2025年07月21日
  • 絶望名言 文庫版

    Posted by ブクログ

    NHKラジオ番組『絶望名言』で放送されていた番組の内容を一冊の本に纏めた本。
    息が詰まったり、イライラしたり、ストレスフルな毎日を過ごす内に気持ちもネガティブに...。そんな中にしっとりと寄り添う、“絶望名言”。カフカ、芥川龍之介、ゴッホ、ゲーテ、ベートーヴェンなどなど各分野の偉人達の書籍や脚本内の台詞などを紹介しながら、出演者のお二人が自分の病気の経験を踏まえながら進めていく斬新なスタイルに興味が引かれました。
    気持ちが沈んでいるときにはポジティブな名言よりネガティブな名言の方が心に残り
    人に寄り添うことが出来ると思う。前向きな言葉ばかりでは正直、味気ないとすら思える。だからこそ、絶望名言は

    0
    2025年07月06日
  • 落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ずっと気になっていたがようやく読んだ。落語畑でない人だからこそ俯瞰で観られることもあり、著者が病床で落語を聴いてしっくりきた過去は運命的でもある。
    落語が語り、口承であること、そして落語は世界と繋がっているという衝撃。地球のどこかで誰かに語られた噺は、時空を超えて、私たちの前に蘇る。イタコの口下ろしよろしく、話芸は言霊でもある。何千年何万年脈々と受け継がれてきた口伝えの世界の扉を開く一冊。そして落語を広く俯瞰でみたブックガイドでもある。

    0
    2025年06月06日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    仕事で帰宅が遅くなり、疲れて何もできないような日に少しずつ読んでいた。
    文章のローテンションさと疲労感、徒労、無力感を描いた内容が自分の疲労感に合っていた。
    癒やしというのか共感というのか、よくわからない質の安らぎを得られて睡眠へと軟着陸できる。
    短いので読書のやめどころが多いのも良い。

    0
    2025年06月03日
  • カフカ俳句

    Posted by ブクログ

     この本は、見開きの右側にカフカの俳句、左側にその俳句についての解説が書かれているといった構成になっていますが、とにかくその解説がとても分かりやすく、俳句をさらに深く掘り下げして読者が考えるポイントを作ってくれています。
     たった1句十数文字であるにも関わらず、様々な考えを巡らせられ、人を引き込むことができるのはカフカの魅力だと感じました。
     俳句は暗いイメージを与えるものが多いにも関わらず、そこに美しさを感じてしまうところに、カフカが感性豊かで、語彙に富んだ人物であったことが伺えられます。

    0
    2025年03月13日
  • カフカ俳句

    Posted by ブクログ

    カフカに初めて触れた。「変身」が代表作とか。
    没後100年を記念して?出された本。
    カフカが俳句を書いたわけではない。
    彼が残したことばを、そのまま載せたり作品から切り取ったり、
    五七五に収めるわけでなく、自由律のように80句に見立て、
    編訳者が解説を加えている。

    カフカが初めての私は、彼の解説でカフカを知る。

    「鳥籠が鳥を探しにいった」
    「ときおり体が八つ裂きになりそうな不幸を感じる」
    「家族のなかで、他人よりももっと他人のように暮らしている」
    「夕方、森へ。月が満ちている」

    なんとも悲観的な、、、
    どうもカフカは世の中になじまなかったらしい。
    今でいえば発達障害だったのかも。
    作品も

    0
    2025年02月27日
  • NHKラジオ深夜便 絶望名言

    Posted by ブクログ

    今オイラはどん底にメンタルを病んでいる。
    天文台に通えず、今年度の星空案内人養成講座を辞退するほどに。

    その時出会ったのがこの本。
    絶望しながら、気分が楽になり、最後には笑える本。
    だとオイラは感じた。

    一読をお勧めします。

    0
    2025年02月26日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

    Posted by ブクログ

    山田太一脚本のドラマはずっと好きだったこともあり、確か死去のニュースの後にこの本を買ってようやく読んでみたが、こんなに面白いとは思わなかった。もう無理だけど、ふぞろいも男たちの旅路も映像でも見たかった。

    0
    2025年02月24日