頭木弘樹のレビュー一覧

  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    仕事で帰宅が遅くなり、疲れて何もできないような日に少しずつ読んでいた。
    文章のローテンションさと疲労感、徒労、無力感を描いた内容が自分の疲労感に合っていた。
    癒やしというのか共感というのか、よくわからない質の安らぎを得られて睡眠へと軟着陸できる。
    短いので読書のやめどころが多いのも良い。

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    2025年06月03日
  • カフカ俳句

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     この本は、見開きの右側にカフカの俳句、左側にその俳句についての解説が書かれているといった構成になっていますが、とにかくその解説がとても分かりやすく、俳句をさらに深く掘り下げして読者が考えるポイントを作ってくれています。
     たった1句十数文字であるにも関わらず、様々な考えを巡らせられ、人を引き込むことができるのはカフカの魅力だと感じました。
     俳句は暗いイメージを与えるものが多いにも関わらず、そこに美しさを感じてしまうところに、カフカが感性豊かで、語彙に富んだ人物であったことが伺えられます。

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    2025年03月13日
  • カフカ俳句

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    カフカに初めて触れた。「変身」が代表作とか。
    没後100年を記念して?出された本。
    カフカが俳句を書いたわけではない。
    彼が残したことばを、そのまま載せたり作品から切り取ったり、
    五七五に収めるわけでなく、自由律のように80句に見立て、
    編訳者が解説を加えている。

    カフカが初めての私は、彼の解説でカフカを知る。

    「鳥籠が鳥を探しにいった」
    「ときおり体が八つ裂きになりそうな不幸を感じる」
    「家族のなかで、他人よりももっと他人のように暮らしている」
    「夕方、森へ。月が満ちている」

    なんとも悲観的な、、、
    どうもカフカは世の中になじまなかったらしい。
    今でいえば発達障害だったのかも。
    作品も

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    2025年02月27日
  • NHKラジオ深夜便 絶望名言

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    今オイラはどん底にメンタルを病んでいる。
    天文台に通えず、今年度の星空案内人養成講座を辞退するほどに。

    その時出会ったのがこの本。
    絶望しながら、気分が楽になり、最後には笑える本。
    だとオイラは感じた。

    一読をお勧めします。

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    2025年02月26日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

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    山田太一脚本のドラマはずっと好きだったこともあり、確か死去のニュースの後にこの本を買ってようやく読んでみたが、こんなに面白いとは思わなかった。もう無理だけど、ふぞろいも男たちの旅路も映像でも見たかった。

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    2025年02月24日
  • ひきこもり図書館

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    自分の引きこもり時代を、生々しく想起させるものだった。
    かなり前のことで今は働きながら生活しているためすっかり忘れていたが、
    そうだった。
    引きこもりって、安寧の世界なのよ。
    外は自分にとって不都合な現実がたくさんあって、
    引きこもっているうちは見ないでいられる。
    ネットとかもあるからそんなに孤独ではないし、
    何より都合のいいことだけ考えていられる。

    今では成り立ってないし、おかしな状態だったなーと思うけど、この本ん読んでその感じ本当に思い出した。

    ハンガンの作品が気になって何となく手に取った作品だったが、
    私にとっては思いがけず人生の忘れものに出会った感覚で、今に感謝することができるギフ

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    2025年02月11日
  • NHKラジオ深夜便 絶望名言

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    ネタバレ

    大好きな本でもう何度読んだかわからない。
    各作家の絶望名言と、その名言を掘り下げるために作家の生涯についての説明と、頭木さんと、川野さん、根田さんの人生経験や考察などどのパートも満足感が高い。
    印象的だったのが、人生をあらすじで捉えるという言葉。
    人生をあらすじで取りえてると、幸せそうに見えたり、不幸そうに見えるが、日々のあらすじに残らないような中にも幸せと絶望がある。
    自分の人生に置き換えても納得感が高く印象的だった。

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    2025年01月24日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『変身』を読んだときに感じた、カフカ作品独特の読み心地をたっぷり堪能できる本だった。

    どうしようもない不安、自己肯定感の欠如、悪夢のような断片。
    そういうものがカフカの文章には漂っている。
    あまりにも自分を卑下しすぎていて、「そんなに言わなくても……!」と逆におかしさを感じてしまうことすらあった。
    しかし、起きている出来事も人物も自分とは違うのに、「これは私のことだ」と思ってしまうことも多かった。
    カフカのこういう部分に惹かれるのだと思う。

    編訳者解説で、カフカの作品は大半が未完だということを知って驚いた。
    しかしその未完の状態こそが、カフカ作品の特徴で魅力だという。
    この断片集を読んで、

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    2025年01月13日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    翻訳者解説がとても良かったです。
    カフカの世界への間口を広げてくれているよう。

    『わからなくても気にする必要はない』

    実際、分かったような分からないようなが、グラグラと何度も繰り返すのが、カフカ作品です。

    失敗することさえできない、隣人までの距離、法の前に、平穏を嘆く、虚栄心、使者、下へ、せめて、すべて無駄だった、心を剣で突き刺されたとき、志願囚人、海辺の貝殻のように
    などが好きです。

    しかし、読み返すたび変わるような気もするし、他の人は全く違ったりするでしょう。
    誰かに刺さらなくても、また他の誰かにはきっと刺さる文節があるはず。

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    2024年11月24日
  • シリーズ「あいだで考える」 自分疲れ ココロとカラダのあいだ

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    自分疲れというメインタイトルより、ココロとカラダの間というサブタイトルの方が実態に近い気がする。全てはグラデーションではという問いかけ、古典から現代までの数々の例示が面白い。語り口調の文章が読みやすく、一気読みしてしまった。

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    2024年11月12日
  • シリーズ「あいだで考える」 自分疲れ ココロとカラダのあいだ

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    どこまでが心でどこまでが体か、自分とはどういう人間なのか。
    分からないし、分けられない、ということがさくさく書いてある。
    引用してあるたくさんの本も、ぜんぶ面白そう。

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    2024年10月20日
  • ケアする対話 この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ

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    「ケアの倫理」「オープンダイアローグ」「当事者研究」
    最近のわたしのキーワードが満載された本ですごく面白かったけれども、自分のなかではまだ体系化できてないなと思ったら「体系を構築すると権力志向が生まれてくる」という中井久夫の思想が紹介されていて(p.125)、じゃあもうしばらくこのままあれこれ読んでいくか……となった。

    興味を広げてくれるハブのような本で、これのおかげで2年前に録画したままになっていた「100分de名著」の中井久夫特集を一気見したし(「S親和者」がわからなかったので見たけど、中井自身のものと思われるエピソードがめちゃくちゃおもしろかった。本の背表紙を見ていると読んだ内容がすべ

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    2024年09月28日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

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    パート1は確か中学1年生だったかと

    マセた中坊だったのか、毎回楽しみに観ていて、ちょうどその時通っていた英会話教室の先生とこのドラマの話になり、「東京の大学生は楽しそうでいいな〜って思っちゃうよね」と寂しそうに話していたのを思い出した

    山田太一が亡くなったと知り、思い出したように買ったけど、なかなか読む時間がなくて眠ってた一冊

    幻となったパート5は回想シーンあふれる見事なシリーズ完結編

    役の俳優が分かるだけに、読みながらシーンがイメージ出来ちゃうのがホント楽しくて、最後はドラマを観終わったのと同じ感動を味わえました

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    2024年07月08日
  • シリーズ「あいだで考える」 自分疲れ ココロとカラダのあいだ

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    ネタバレ

    最終章から

    「私たちは、じつはかなり決まりきった範囲でしか、心と体を動かしていない」「まだまだ未知の領域がある」

    という視点にハッとした。
    これまで生きてきた中で固まっているものがあるかもしれないとまず自覚することが、柔軟さや生きやすさに繋がるかもしれないと感じたことを覚えておきたいと思った。

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    2024年06月26日
  • NHKラジオ深夜便 絶望名言

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    とてもいい本。
    NHKだから大真面目に古典文学についてラジオで語っているのかと思いきや、
    あまりに絶望すぎて笑っちゃってる部分もあり。
    最初は特番だったが自然に人気が出てレギュラー化したというのもいい。

    ラジオなので「絶望音楽」が入るのもいい。
    レコード会社の宣伝の為の曲でなく、パーソナリティが選曲してその歌詞がいかに絶望的かを解説している。

    著者がちゃんとした文学者ゆえに各作家の生き様やその言葉の背景なんかの説明を丁寧にしてくれて染みる。

    「無能、あらゆる点で、しかも完璧に。」

    とかそんな言葉の後に、「カフカは平穏な人生を送っていて、サラリーマンとして順調に出世もしていますし、恋人も

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    2024年05月24日
  • イライラ文学館

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    頭痛、寝不足、虫歯、かゆみ、持病…私たちは様々な身体の不調と向き合わなければならない。だがその時どうしようもなくイライラし、自我を失ってしまう。このアンソロジーでは身体の不調から来る様々なイライラに対峙する人々の物語が収録されている。一種のホラーともとれる。

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    2024年05月16日
  • 当事者対決! 心と体でケンカする

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    頭木さんの文章は好きだし、横道さんも注目の書き手なので読んでみた。
    大変よかった。
    確かにインタビュアーとインタビュイーが固定だと、インタビュアーは(自分は安全地帯にいるのに相手のことに突っ込むのはどうかと思い)遠慮したり忖度したりしてしまう可能性がある。交代で役割を変えることによって、自分も突っ込まれる覚悟を持ってさえいれば、相手にも突っ込めるというわけ。

    特によかったのは、発達「障害」なのか?という日頃から抱いていた疑問に答えが出たこと。「発達障害」は行政用語で、障害ではなく「ニューロダイバーシティ」、つまり脳の多様性だという考えが90年代から出てきているらしい。かつては同性愛やトランス

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    2024年04月22日
  • 当事者対決! 心と体でケンカする

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    まず、タイトルと表紙の虎がすごくいい!
    おふたりはそれぞれ自分の心や体に困ってる“当事者”だけれど、困りごとの種類や状態、対処法も全然違う。そんな真逆のふたりがお互いにインタビューし合うことで理解を深めながら見えて来た世界とは?横道さんの発達障害の説明はわかりやすく(時には過剰なほど詳細だけど)編集者が大胆に再構成し大幅に短縮した、とのことで一冊丸ごと読み易いのに読み応えあり。

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    2024年03月21日
  • NHKラジオ深夜便 絶望名言

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    なぜ私がこの本にたどり着いたかというと、絶望していたからである。
    絶望している人にとってポジティブ系の名言は、正直しんどい、聞いててキツい、暑苦しい、もうやめてくれ、ほっといてくれ、という具合に状況を悪化させかねない。
    そこでこの「絶望名言」の出番である。
    若くして長い闘病生活を送った著者の救いとなった、文豪たちの「絶望名言」が収められている。
    文豪たちの絶望が深すぎて逆に笑えてくるという、今までにないヒーリング体験が味わえる。

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    2024年03月20日
  • ケアする対話 この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ

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    横道氏の書をはさみ、斎藤環氏とケア倫理を絡めた小川公代氏の対談を中心に当事者研究とオープンダイアログ、そしてケア倫理の関係を対談なので、わかりやすく、縦横無尽に語り尽くす。最後に頭木弘樹氏、村上靖彦氏の対談でしめるなんとも贅沢な対話集であった。印象に残った言葉を二、三。倫理的であることが治療的である。人間の尊厳、自由や権利を尊重していくことで結果的に回復が起こる。知は権力で、権力が生まれると上下関係が生まれる。ケアラーが弱さを共有していないとケアはせいりあしない。中井久夫氏とケアの倫理の親和性についての論考も面白かった。

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    2024年03月17日