ポジティブ思考が跳梁跋扈する今の社会において、本書はその潮流に逆らって、クソみたいな「キャッキャ、うふふ」風土に風穴を開けてくれるだろう。
落ち込む時は徹底的に落ち込む─
人生、万事上手くいくわけではない。そんなことありえない。人生には必ず「良いこと」と「悪いこと」の二つ糸が織り交ぜられ、赤黒
...続きを読むい糸を紡いでいる。人生という無色の糸の中に幸不幸という名の赤黒い糸が混じっているのだ。その糸を解きほぐして分解し、端から端まで一インチきざみに明るみへさらけだして見せるのが、「絶望名言」の任務なのである。
失恋したときは失恋ソングを聴いて徹底して落ち込む。失恋している自分に酔いしれるくらい落ち込めることができれば及第点だ。
失恋に限らない。試験に落ちたとき、仕事で失敗したとき、何かアンコントローラブルな事象が起きたときには徹底して落ち込むのが良い。無理に自分を奮起させる必要はない。しなやかさのない草木が無理に強風に立ち向かえばたちまち折れてしまう。受け止めるな、受け流せ。
徹底して落ち込みこれ以上ないくらいに落ち込んだら、あとはゆっくり浮上するだけだ。大丈夫。そのときにはこれまでは見えなかった微かな灯火が、それこそ本当に消え入ってしまうような光が、見えているはずだ。その光を目指してゆっくり、ゆっくり浮き上がって行けばいい。
盲目たる楽観主義者よ。本書を読み絶望に戦慄くが良い。それはきっと諸君らの良薬となるだろう。毒を制すには毒しかないのだ。