痛いところから見えるもの

痛いところから見えるもの

ビジネス・実用
1,800円 (税込)

9pt

痛いのは疲れる、そして孤独だ――

痛みは人を孤絶させる壁。が、そこに岩清水のように滴る言葉があった。
――鷲田清一(哲学者)

ユーモラスで、しみじみせつない、はじめてみる光。
――伊藤亜紗(美学者)

潰瘍性大腸炎から腸閉塞まで――壊れたからこそ見えるものがある。
絶望的な痛みと共に生きてきた著者がゆく“文学の言葉”という地平

・水を飲んでも詰まる“出せない”腸閉塞のつらさ
・痛みでお粥さえ口に“入れられない”せつなさ
・オノマトペ、比喩……痛みを「身体で語る」すすめ
・女性の痛みが社会的に「軽視」されてきた理由
・カントの勘違い、ニーチェの“苦痛の効用”…etc.

なぜ痛みは人に伝わりづらいのだろう?
「痛い人」と「痛い人のそばにいる人」をつなぐ、かつてなかった本

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痛いところから見えるもの のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    表現にまごつく、痛みというもの。

    著者の難病の体験、そこから学んだものが真摯に謙虚に語られている痛みについての本。

    痛みという個人的な体験、けれども大なり小なり皆が共通する経験の孤独さと厳しさを、世界に向けてわかりやすく読みやすく、人間の分かち難くもそれでも分かち合いたいものとして、果敢に広く届けようとする良書であり、味わい深い人間性の文章だと思った。

    身体的な痛みだけではなく、精神的な傷跡についてもこの本は参考になる。
    身体の痛みも精神的な痛みも、生きていれば人は皆、経験する。
    その痛みには固有性と共通性が縦軸と横軸のように複雑にまごついて絡み合い、わかってほしいのにわからないという感覚を痛む者もそれを見つめる者も、それぞれに孤独にギリギリと締めつけられることが現状で多々あることかと思う。
    著者はその複雑さに自身の体験と文学で分け入る。

    痛みとは痛む者にとっては明瞭に言い表せず、見つめる者にとっては簡単にあるがままの痛みとして聞き取ることができない性質があることは本書を読めばすっと胸に入ってくるだろうと思われる。
    著者もおっしゃっているが、この本は痛い人(痛むご本人)と痛い人のそばにいる人を繋ぐ本だ。
    痛みとは、改めてわたしたち人にとって、なんなんだろうってヒントになる本でもある。

    わたしはこの本を読み終わった後、痛い人と痛い人のそばにいる人は、現実的には実は重なるのではないか、そして皆それぞれ(身体的にも精神的にもトラウマ的にも将来的な不安という意味合いでも)痛みに怯えているのが人間なのではないかと、思った。
    痛みを真正面から、患者の立場、一般市民の立場から等身大としてスタートし考察した本書はめずらしくも多くの共感を呼ぶと個人的に感じる。

    医療従事者や介護職についている人にも特におすすめだけれど、著者の願い通りに、全て痛い人、痛い人のそばにいる人におすすめ。
    ご一読ください。




    0
    2026年09月24日

    Posted by ブクログ

    自分は痛くなくても、痛い人は必ず身近にもいる。
    だから、「痛くない人」は、「痛い人のそばにいる人」でもある。
    そばにいる人が、痛い人のことをわかってあげられたら……。

    痛みというのは曖昧で、痛いといくら訴えても、同じ痛みを経験しない人には伝わらず、それどころか離れていってしまう。
    痛みがあることで孤独になってしまうこと、痛みの伝わらなさ共感のできなさ、痛みを言葉で表すことの難しさ、どうやったら言葉で的確に痛みの感覚を表現できるのか、痛みを分類できないか、痛みについてのエトセトラエトセトラ…
    本書を読みながら、痛み自分史を脳内で振り返って、うんうんと頷き共感する。
    相変わらず著者の文学の紹介の仕方は自然で柔らかくていいなと思いつつ。気になる本が増えてしまった。
    それにしても痛みに関わらず、他人や自分の経験を過小過大評価してはならないなと思った。
    人には人の地獄、人には人の痛み、人には人の乳酸菌。
    本当に多方面から痛みについて語ってくれている。まさに痛いところから見える景色だ。
    定期的に読み返したいし、読んだうえで語りたいことがたくさんある。様々な痛みを抱えるすべての人に、痛みを知らない人にも、寄り添ってくれる良書だ。

    0
    2026年06月29日

    Posted by ブクログ

    痛いのは、誰でも苦手で避けたいと思っていると思うのだが、しんどい状態の割にぞんざいに扱われているようだ。長く痛みにとらわれ、絶望した著者ならではの、多面的なアプローチが興味深い…

    0
    2026年05月11日

    Posted by ブクログ

    病める者も、健やかな者も、患者も、看護師も、医者も、被害者も、加害者も、傍観者も、人類皆が読めばいいと思う良い本。

    0
    2026年04月11日

    Posted by ブクログ

    痛いことは、人に本当には理解してもらえない。自分の1番つらいことが、誰にもわかってもらえないなんて、本当に孤独だ。わからなくとも、せめて傷に塩を塗るような言葉をかけないために、この本を読む価値がある。

    p91
    相手がありきたりな型にはめようとしてくること以上にこわいのが、自分からありきたりな型にはまっていこうとしてしまうことだ。
    たとえば、私のような難病患者は、「難病になって、さんざんつらい思いをしたけれども、そのおかげでいろいろな人とも出会い、精神的にも成長し、結果的にはよかったです。今の自分があるのは病気のおかげだと前向きにとらえています」というような、不幸克服物語、おわりよければすべてよし物語を、周囲から求められる。しかし実際にはそんなことはほとんどない。一しかし、そういう物語に自分をあてはめて難病体験を語る患者はとても多い。一なぜそんなことをしてしまうのか?それは孤独だからだ。話を聞いてほしいからだ。そして、こういう物語にはまっていれば、人から好かれる。「良き難病患者」と見なしてもらえる、名誉白人ならぬ「名誉健常者」としてあつかってもらえる。そのために「代償を払う」のだ。

    p169
    苦痛に苦しむ人間を、周囲がいやがるのは、やはりおそろしいからだ。ー「明日は我が身かもしれない」と、心のどこかに不安を潜ませているからこそ、嫌悪するのだ、差別するのだ。自分はそっち側でないんだと、自分自身にも言い聞かせるために。本当に幸福で満たされていて、将来にも何の不安もない人なら、差別も排除もしないだろう。
    痛がる人間がいやなのは、自分もいつかそんな痛みに襲われる可能性があるからだ。泣き叫ばれたりしたら、こっちまで不安になってしまう。そんなとき、痛くても笑顔でいる人がいたらどうだろう。不安を減らしてくれる、そういう人をほめそやしたくなるだろう。

    0
    2026年03月27日

    Posted by ブクログ

    作者は、潰瘍性大腸炎という難病の闘病生活を13年経験した方。
    痛い人と痛くない人(痛い人のそばにいて、その痛みをわかってあげたいと思っている人)のあいだで役立つ本を目指しているそうです。

    「痛い痛い」とずっと言っていると、人が離れていきがちだ。難病になって性格が変わった、変わらないほうがおかしい、という話など。
    決して無理にポジティブにせず、心のままに伝えてくれているのにどこか明るくて、くすっと笑えたりして、癒やされます。
    無理に立ち直らなくていいんだなあ。変わって当たり前で、変わったところから見えることもあるなあ、と。
    最後までほとんど一気に読みました。読んで良かった!!

    0
    2026年03月04日

    Posted by ブクログ

    間違いなく、今年のベスト本に入る一冊。
    あなたも私も経験したことのある痛みから、経験したことない痛みまで。あらゆる角度から、痛みに思いを巡らせる。
    “文学的に”と著者が言うように、客観的な痛みの評価や羅列ではなく、あくまで当事者(とその周囲)がどう感じ、どう世界を見ているかということが語られる。共感もあれば、未知の経験に慄くことも。それらは全て身近な、私や隣人の話だと感じる。
    “痛み”を私にとってより身近な心身の不調に置き換えられる事柄もあり、共感してもらえたような気になることも。

    0
    2025年12月12日

    Posted by ブクログ

    ありそうでなかった「痛い人と痛くない人の間にある本」。

    どんなに好きあっていても、親しい間柄でも、痛みは移植できない。

    今痛みを感じていて、それを軽んじられて悲しい人。

    痛みをかんじているひとのそばにいる人。

    そして、わたしのように、すぐに他者の痛みを、わかった気分になってしまいがちな人におすすめ。

    反省しました。

    他者の痛みは直に感じられることはなく、自分の過去の痛みから類推しているだけだ、というような、ヴァージニア・ウルフの言葉にはハッとした。

    文学紹介者の頭木弘樹さんらしく、たくさんの「痛み」の本も紹介されている。

    自分の身体の痛みも、他者の体の痛みも、軽視しないようにしたい。

    そしてそんな社会になればいい、いや、していきたい。

    せめて自分の周りだけでも。

    0
    2025年11月28日

    Posted by ブクログ

    「廃品になってはじめて本当の空を映せるのだね、テレビは」この短歌は、私も衝撃を受けた。作者はこの歌から「壊れたからこそ見えるものもあるなあと思った」という。
    短歌はもちろん、作者のその感性も素晴らしいと思った。
    痛みと同じく、悲しみもまた自分でコントロールできないという部分は同じで、経験によって本来握りしめていた自己を抜け出し、新しい視点を得ることができる機会になると思う。

    0
    2025年10月24日

    Posted by ブクログ

    痛みについて、総合的に書かれた本。
    体の痛みのある世界の人が何を感じているか。痛みのない人との間にどんな溝があるか。

    ネガティブなものを、全てポジティブ転換できるものばかりではない、ということを学ぶ。ポジティブ変換すべき、という価値観の中に生きていたことを思い知る。

    痛い人とそうでない人の間には大きな断絶。痛い人に対して、わからないことを前提に関心を持つこと。自分の痛みは、同じ痛みを持つ人と分かち合うこと。

    —-
    ●痛みと孤独
    ・痛みには孤独がもれなくついてくる
    ・心の痛みを(人には聞いてもらえないので)馬に聞いてもらう
    ・自分だけがガタガタと震えているのに、周りはみんな平気。痛い人はそんな立場にいつもいる。

    ●痛みによって結びつく
    ・「この人は本当にあの痛みをわかっている」
    ・2人で、おいおいと泣いた
    ・私の気持ちは、ずいぶん晴れた
    ・村上春樹:人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、もさもさによって繋がっているのだ
    ・世界母親大会(出産の痛みによって結びつく)

    ●お前なんかにはわからないと言わない、言われないために
    ・経験していない痛みはわからない。
    ・ありきたりな型にはめられる
    ・山田太一:災害にしろ、病気にしろ、経験した人としない人とではものすごい差がある。一生懸命想像はするけれど、届かないものがあると言うことを忘れてはいけないと思う。
    ・痛みの言語化は不可能。それでも、痛みがある人は、精神状態(つらい、悲しい)で語るのではなく、身体五感と言う次元で表現する方が相手に理解される

    ●痛みとマッチョイズム
    ・我慢が求められる。暗に明に。
    ・人は痛みを嫌悪し差別する。周囲が苦痛に苦しむ人間を嫌がるのは、やはり恐ろしいからだ
    ・我慢はあまり続けていると、もう無理と言う限界に達してしまう
    ・コントロール感を持てれば少し楽になる。

    ●痛くない人が言うべきこと
    ・どこが痛いですか?
    ・どんなふうに言いたいですか?
    ・どんなことを感じていますか?
    ・どんなことを考えていますか?

    ●痛みのある世界から見えるもの
    ・療養短歌と療養俳句:廃品になって、初めて本当の空を映せるのだね、テレビは。

    0
    2025年10月19日

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