頭木弘樹のレビュー一覧

  • 絶望名言 文庫版

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    ネタバレ

    ひとつのことで深く悩めないタイプだ。悩まないのではなく、悩めない。少女マンガの傑作(傑作です。異論は認めない)「天使なんかじゃない(矢沢あい)」のなかで、まみりんが翠に「あなた悩んで夜寝れなかったことなんてないでしょう?」と聞くシーンがあって、翠の「昨日の夜は寝れなかった」というモノローグに続くんだけど、あの明るくて、前向きに進んでいく翠ですら、寝れないことがあるのか!と当時高校生だった私には、結構な衝撃だった(詳しい話は、マンガ読んでください。傑作なので)。
    そこまで深い悩みがなかった、ある意味幸せじゃないか、とも思うのだけれど、その後の人生でも結局「寝れないほど悩む」ことがないまま、今に至る。

    寝たら頭がすっきりして、ちょっと解決に進むよね、あとは行動しよう!という、ポジティブタイプ、とも言えるし、なんかこう、思考・思慮が浅いのでは、とちょっと後ろめたい気持ちにもなる、そんな人生。

    なので、と続けてよいのか分からないけれども、人生のどん底、絶望の淵で、グルグルしているようなタイプの小説は苦手で、避けてきたところがある。

    この本は、もっとクスっと笑えるタイプの本かと思って手に取って、確かにユーモアにあふれたものではあるのだけれど、作家それぞれの絶望を紐解き、なぜその言葉が、こちらに響いてくるのかを丁寧に解説したものだった。
    そのベースにあるのは、話しているお二人の経験で、それぞれ病気で苦しんだからこその想いや実感が乗っているからこそ伝わるものがあるんだろうとは思う。

    でもそれは、「病気の経験があってよかった」わけでは決してないし、その経験がなくても、なるほど確かにそういう風に響くのは分かるなと、これまでの読書で抱いていた苦手意識をふわっと軽くしてくれたように感じる。

    私は、小説を読むということをもっと感覚的にやってきたところがあり、それをきちんと解説することに違和感を持ってきたのだけれど、あぁ、文学を学ぶってきっとこういうことなんだなと初めて思えた経験でもあった。

    もとはラジオなので、それも聞きたいなと思ったのだけれど、なにせ耳から入った情報を処理するのが苦手なので、きっと文字で読んだ方がしっくりくるんだろう。
    得るものの多い読書でした。

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    2025年03月28日
  • 絶望名人カフカの人生論

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    カフカのユニークさは、圧倒的なネガティブに依拠するのかと改めて思い知らされる。

    ここまで極端でなくても、両親や人付き合い、仕事や恋愛に対して同様の思いを抱いたことはあるのではないか。個人的には特に、シャイなのに社交的(でありたい)という葛藤に人混みで苛まれるあのいたたまれない場面、親の呪詛は共感度高め。

    必要な本のカフカにおける定義も素敵。 
    目を覆いたくなるような残酷な真実に向き合いせざるを得なくさせる魅力が、本を読むことの意義なのだろう。
    久々にカフカ作品読んでみたくなったな。

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    2025年03月24日
  • カフカ俳句

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    カフカって、すごく親しみ深い人物って私は思っていて、
    わかるわかるわかる!って共感しまくることがよくある。
    ひたすらネガティブなのが人間らしくていいのよね(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)

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    2025年03月15日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    小説だとどうしても必要な状況説明や起承転結なんかが断片にはないため、作者の文章のサビだけを味わえる。贅沢。
    暗いんだけどどこか突き放すようなクールさもあって、よかった。

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    2025年02月19日
  • カフカ俳句

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    カフカを読んだことはないけれど、タイトルに惹かれ読んで見ました。こんなにカフカが暗かったとは。筋金入りの暗さとでも言うのでしょうか。それでも、そんな言葉に教えられ、響いてくるものがある。読んでみてはいかがでしょうか。

    一つだけ引用します。
    「すべてがつらく、不当だが、これでいい」
    10月から放映されていたドラマ「海に眠るダイヤモンド」の最終回を観た後に、この言葉を読んだ時に、この言葉はまさしくこのドラマの主人公哲平の思いに通じるものがあると思った。時折、この言葉を思い出す。

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    2024年12月31日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    「変身」以来。「審判」は積読中。
    『法の前に』は、カフカが感じた実際の法への失望なのかな?
    絶望、混乱、孤独、喪失、迷い、息苦しさ、生き苦しさの中、訳者がつけてくれたタイトルのおかげでちょっとファニーな雰囲気もある。おかしな本でした。

    〔失敗することさえできない〕 〔井戸〕
    〔隣人までの距離〕 〔道に迷う〕
    〔助けて!〕 〔何もわたしをとどめない〕
    〔灌木かんぼく〕 〔問いかけ〕
    〔道は無限〕 〔あいだの魚〕
    『コメント』 〔すべて無駄だった〕
    〔志願囚人〕 〔自分が生きていること〕
    〔自由とは〕 「プロメテウス」 〔沈黙〕
    ユーモア大賞は〔自分を建て直す〕かな。コサックダンスを踊るカフカを想像したらクスリとした。本人にとっては笑い事では無いだろうけど。

    訳者によるフランツ・カフカ紹介を先に読むことによって、カフカの背景を前提に断片を読み進めることで、断片=カフカの当時の心情と考えながら読むことができる。
    一方、カフカの背景を知らずに読むことで、断片と自分の内面が向き合って、断片が読者の心のひび割れに少し水を差してくれるような、そんな気分にもなる。
    私は背景を知らずに読みました。
    これから読む人は、どんな読み方が自分に合うか、楽しみながら読めるといいなと思います。

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    2024年12月15日
  • 決定版カフカ短編集(新潮文庫)

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     カフカが遺した短編集のなかで、カフカ自身が薦めた作品と、長年読者から評価された作品を収録したのが本書である。

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    2024年12月01日
  • NHKラジオ深夜便 絶望名言2

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    勇気づけられるというより、「普通」でいられることが確認できて、少しホッとしました。

    頭木さんの解釈がほんとうに優しい。優しすぎる。ラジオでは聴いたことがありません。今も続いているみたいなので今度聴いてみたいと思っています。

     ふさわしい人生を生きるということ自体が、なかなか難しいですよね。人はどこかで、ふさわしくない人生を生きているんだと思います。

    根田さんのあとがきも良かったな。
     私には小さな子どもがおり、日々、保育園や学童保育への送り迎えをしていますが、保育士さんやお母さん方、お父さん方と交わす会釈にずいぶん救われています。そして、「おはようございます」、「きょうは暑いですね」、「おかえりなさい」など何ということもない一言。保育園にたどり着くまでの舞台裏にあえて触れない、でもその奥にあるものがわかっているから、それで十分なのです。それもまた大切にしていきたいと思っています。

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    2024年09月26日
  • 決定版カフカ短編集(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ■評価
    ★★★☆☆

    ■感想
    ◯短編集は物語にのめり込むあたりで終わってしまうので、個人的には難しいと感じた。
    ◯「流刑地にて」と、「断食芸人」の雰囲気は好きな感じだった。

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    2024年09月18日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    うっかり思わせぶりなことを書いてしまったら、僕のような者は、底が知れてしまうどころか、すっかり底が割れてしまうことにもなりかねない。
    なりかねない、どころか既にやらかしてしまっている?
    ああ恥ずかしい。

    たとえばカフカ、生前から多大な評価を受け、百歳まで書き続けていたとしたら、その“断片”いかなるものを残しただろうか。
     
    一片一片がゲームみたいで、たのしかった。

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    2024年08月14日
  • 決定版カフカ短編集(新潮文庫)

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    疑問や不可解なものを、何も見解を加えず、教訓めいた一言もなく、そのまま提示する。
    評価も求めない。

    読む側の年齢や精神状態により、感じることが変化すると思う。

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    2024年07月29日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    詩が苦手なのもあって「??」と思うことばかりだったけど、後書きの「ピンボケの写真が鮮明な写真になると味がなくなる」にはなるほどなぁと。

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    2024年07月20日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    短編ではなく断片。
    数行のものから数ページのものまである。
    だいたい不条理でシニカルだ。
    そして、断片なので、そこから物語が展開していく訳でもオチがある訳でもない。
    しかし、未完成の作品が多いカフカの作品としては、これが正しいカフカなのかもしれない。
    断片がもやっと心に突き刺さるのだ。

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    2024年07月17日
  • 当事者対決! 心と体でケンカする

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    なかなか心と体はやはり切っても切れないものだし、それぞれの経験は深いから一冊にまとめるのは難しい気がした。
    横道さんの生い立ちも凄まじく、宗教二世の話もあり、心云々の前にそれに驚いてしまったし、性についての話は少し読んでて疲れた。

    頭木弘樹さんの本としては「食べることと出すこと」の方がおすすめ。

    横道さんの
    「大衆文学は難しい
    大衆文学は、定型発達者同士の情緒的な交流
    大衆文学は共感を求めてくるから非常に読みにくい
    純文学のほうがむしろ読みやすい
    純文学は一種の抽象性
    現代アート的、単純化
    それがある意味わかりやすい」

    という内容は、そういう見方もあるんだなと、印象に残った。

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    2024年07月03日
  • NHKラジオ深夜便 絶望名言2

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    目には目を、歯には歯を、絶望には絶望を、ということなのですね。
    落ち込んでいるときに嫌な話を読むとさらに落ち込んだりすることもあるし、「自分はコイツよりマシだ」と思うための材料を探しているみたいで嫌だったのですが、そんなことはないようです。
    片思いしてるときには片思いの歌が、一人暮らしを始めたらそういう歌が、異様にこころに染みるのと同じことなんだ。
    いまは落ち着いてるときに読みましたが、手元に置いておいてめっちゃ落ち込んだときに手に取ってみたいと思いました。

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    2024年07月02日
  • ケアする対話 この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ

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    最近知った、当事者研究やオープンダイアローグ等に取り組んでいる方々の話を聞けました。

    イメージができなくて理解が難しくても、声を傾けることは大事だと思いました。

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    2024年06月26日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    初めてカフカの文章に触れた。
    どこまでも後ろ向きで、絶望や停滞、諦め、挫折などが散りばめられていた。
    だからこそ、救いがあるのかも。

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    2024年06月24日
  • 絶望名人カフカの人生論

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    カフカのネガティブな考え方が、今辛く苦しんでいる人に優しく寄り添う
    悲しい時はまず悲しいことにひたり(同質の原理)
    その後で楽しいことをする事(異質への転導)の方がよい

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    2024年06月10日
  • NHKラジオ深夜便 絶望名言

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    NHKラジオ「ラジオ深夜便」の1コーナーを書籍化したものです。タイトルに惹かれました。

    番組ディレクター根田さん曰く
    「死が救いに思われるほどの絶望をすくいとって言葉にしていく」
    傷口に塩を塗る名言ばかりですが、なぜか笑ってしまいます。あれ、まだ絶望までいってないのかな、って。

    象徴的なカフカの名言を。
    「将来にむかって歩くことは、僕にはできません。
    将来にむかってつまずくこと、これはできます。
    いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」

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    2024年05月26日
  • イライラ文学館

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    普段読むことのない作家さんの話に触れることができました。たしかに文学を通して、いらいらや不安を消化する方法もありだなと思いました。

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    2024年05月21日