頭木弘樹のレビュー一覧

  • 決定版カフカ短編集(新潮文庫)

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    バベルの塔や万里の長城、なんならサグラダ・ファミリアもか、未完成の物の持つ真の意味を問う感じ。完成することが目的か、その過程が大事なのか、その事業に人々を向かわせることが目的か。

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    2026年09月23日
  • うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語

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    いい着眼点だが、なまじ広範なタイプを載せたため、人によっての当たり外れが大きい。
    教養的には大事だが、バルザックやスカトロジーの批評、パンタグリュエル物語は退屈過ぎる。編集者の話も蛇足(ただの身内ノリにすぎない)。も

    とにかく底抜けに面白い話を読みたかった自分にとって、『出口』(尾辻克彦)が最も良かった。
    純文学的な意味合いではヤン・クィジャ「半地下生活者」。肉体労働者の悲哀と脱糞の折り合いの良さよ。

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    2026年09月19日
  • 絶望名人カフカの人生論

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    著者である頭木弘樹さんの、弱い者に寄り添うような穏やかな語り口が好きで、コロナ禍ぐらいからX(旧Twitter)をフォローしている。東日本大震災の直後だった本書の刊行当時、ネガティヴな言葉は禁句とされていて、「絶望」という言葉を目にしたくない、そんな本は手に取りたくもないとまで言われたそうだが、その後ベストセラーになった。

    人間って本当に辛いときは、ポジティブな励ましの言葉より、その心情に寄り添うようなネガティブな言葉や、力強い罵倒や悪口に救われることもある。私も断然そっち派だ。

    実際、悲しみや落ち込みから回復していくプロセスでは、いきなり前向きな言葉をかけるより、まずはネガティブな感情に寄り添い、それを受け止めたうえで、少しずつポジティブな方向へ気持ちを切り替えていくほうが効果的だ、という研究もあるらしい。

    カフカは、徹頭徹尾ネガティヴで自己肯定感が低く、自分と他人を比べては絶望し、自分の運命を呪い続ける。とりわけ父親への劣等感が強いようだ。結婚や子どもを持つことへの憧れが人一倍強く、幸運にも婚約してくれる相手がいたのに、自信のなさからマリッジ・ブルーを拗らせて、自らそのチャンスを手放してしまう。しかも三度も。

    自身の体型や、健康に対するこだわりも強い。痩せていることを気にしているのに、食べることを忌避し肉は食べない。健康のために酒やタバコもやらず、新鮮な空気を吸うために冬でも暖房もつけずに窓を開け放っていたという。そんな徹底した節制(?)にもかかわらず、34歳で結核を発症してしまい、40歳でその短い生涯を閉じた。

    興味深いのは、病気になったことに対して絶望するどころか逆に生き生きとして、長年悩まされた不眠も一時的に解消していることである。心理学の言葉では「疾病利得」と呼ぶそうだが、病気になることで仕事を休めたり、周囲に心配してもらえたり、「できない自分」でいることに言い訳ができるようになる。カフカはこれを最大限に享受したようだ。

    生前はほとんど無名だったカフカだが、彼の作品を後の世に遺そうと奔走した友人のおかげもあり、今では世界的巨匠としての評価をほしいままにしている。

    そのことを、絶望してばかりだったカフカに伝えたら、どんな反応をするだろうか?

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    2026年08月27日
  • カフカ俳句

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    実はカフカの作品はほとんど読んだことがない。老人と海は確か読んだくらい。何だかよく分からん作品だなと思って特に響かなかった。今回は店頭でちらっと見て面白そうだなと手に取った。俳句に興味があったのもある。面白い解釈というか俳句としてカフカの文章を紹介する形式なのだけれど、すごいびっくりするくらい後ろ向きな人だった(笑)こんな根暗な人います??逆に突き抜けすぎて感心してしまった。ネガティブな気持ちになったときは共感できそうだが。自分は結構明るい人間なんだなと思い知った。

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    2026年08月22日
  • 六人部屋の十三年間

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    ネタバレ

    入院ってどんな体験? 紹介します。

    旅行記は確かにいくつか読んだけど、入院記は珍しいかもしれない。幸いにも入院したことはなく、今のところ健康に生まれ育っているので、入院するとこんなことが起こるのか、と興味本位で読んだ。

    病室での人間関係、記憶に残る医師や看護師、通院、検査など著者の体験談が落語や文学作品とともに語られているのがよかった。

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    2026年08月19日
  • シリーズ「あいだで考える」 自分疲れ ココロとカラダのあいだ

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    20歳で難病にかかった著者が、
    自分に疲れることありませんか?と問いかけ、
    数々の本の引用と共にその原因を探る本。

    そもそも 自分 とは、体 なのか 心 なのか
    から始まり、
    体や心がコントロールできないのはどんな時なのか、
    心と体はどうつながっているのか、など
    細かく紐解き、
    自分に疲れる原因は他者との関係も影響するという
    別視点からのアプローチから、
    最終的に分けて考えてきた 心 と 体 の
    「あいだに」あるものを大事にすることの大切さを説いている。

    5章が特に印象的で、
    共に食べることを苦にする人がいること
    漏らしてしまうことの罪悪感の話が心に残りました。
    (多数派が優先され、少数派は辛い思いをするという話)

    安部公房の本は大学生の時に買ったままになっているので、久しぶりに読んでみようかと思いました。

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    2026年07月11日
  • 絶望名言 文庫版

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    絶望している中で、この本に出会いました。
    文豪の言葉や頭木さんと川野さんのやりとりもとてもよかったです。
    文豪たちもこんなことを考えてたんだなと。
    絶望名言2も読みたいと思います。

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    2026年06月12日
  • 痛いところから見えるもの

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    自分がこれまで体験した痛みについて、病院で説明した時の医師の返答だったり周囲の対応だったりを思い出した。
    検査して異常が無かった場合のほっとする感じ、でもこの確かにある痛みは?
    更年期とか、ストレスとか言われると心にシャッターが下りてきて「もう何も説明したくない」と孤独になる。
    仕事柄、苦痛や障害のある人に関わる事が日常的にあるけれど、どの人の痛みも苦しさも「わかります」とは言えない事。痛い人の傍に居る人の痛みも、皆が口に出せずに耐えている事がどれだけあるのだろうと想像している。

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    2026年06月08日
  • 落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ

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    落語に関する蘊蓄が語られている。
    特に落語に興味はなかったけど、著者の本は何冊か読んでいるので手に取ってみたがそれなりに楽しめた。
    やはりと言うべきか、カフカや絶望に繋がっていくところがおもしろかった。

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    2026年06月08日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    未完のメモの断片集

    学生ぶりのカフカ
    あの時に感じてた、どうしても社会に馴染めない絶望を感じることを肯定してくれるような弱さと絶望感が心地よい



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    2026年05月31日
  • 痛いところから見えるもの

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    「痛い人」と「痛い人のそばにいる人」のために(人はたいていこの2種類に分けられる)、「痛い人」の立場から、文学的アプローチをもとに書かれた本。
    私は「痛い人」の方として読み進めた。そして「痛い人」になってみて初めて、「痛みというのは孤独なもので、誰にもホントの痛みはわかってもらえないのだなぁ」と思った経験がある。なので、この本に書いてあることは、非常によくわかった。痛みを言語化するのって、難しいのよね……。
    そして、「痛い人」に対して、かけてはいけない言葉。気の持ちよう的なやつ……! ホントそれ。法律で使用禁止にしてほしい。たまに医師でも使う人がいるから、油断できない。
    それはさておき、痛がる人を非難する人は、いつか自分にも振りかかるかもしれない痛みを怖がる気持ちが根底にあるのではという考察には、納得させられた。
    痛みとともに生きる人が、なんとか言語化しようと生み出した言葉から生まれる文学もある。それでもやはり痛みなんて、どんな人にもなければいいのにと思う。

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    2026年05月28日
  • うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語

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    真面目にうんこの話をしてるだけなのになんかうっすら面白い…
    人それぞれにうんことの思い出がある…
    そう、私にも…

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    2026年05月17日
  • シリーズ「あいだで考える」 自分疲れ ココロとカラダのあいだ

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    曖昧さを受け入れる。グラデーションな自分と他人を受け入れる。どちらか一方が全てではなく作用し合う。
    で、後書きにあるように要約する読み方ばかりを善としないのも大事なんだなと思った。
    巻末の参考図書から幾つか読んでみたいかも。

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    2026年04月20日
  • 決定版カフカ短編集(新潮文庫)

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    作品と解説をセットで読むのが熱い。編者の想いも熱い。カフカの人生そのものがエンタメだな~と思う。手紙や日記が面白いとされているのは、きっとそういうことだ。今のわたしには特別必要ではなかったけれど、常備薬のようにいつでも取り出せるようにしておきたい本。

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    2026年04月09日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    ノートに書き留められたようなメモのような言葉から、数ページの創作のようなものまで。完璧なものでなくても、ちょっと頭に浮かんだものの断片を残していくってとても尊い気がした。

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    2026年03月28日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    うーん。もう1冊、「絶望の名人カフカの名言集」?みたいな本を持っているが、そっちの方がしっくりきたかも。
    未完成の、それこそ断片が詰まってるけど、やっぱり私は完成の方がいいかな。。。解説に、綺麗に閉じられた本より、断片だからこそ読者に想像の余地がある、みたいな事書いてあったけど、断片すぎて…。私の思うところもあるけど、あなたはこの後どう持っていきたかったの?と思ってしまう。
    ただ、心に残る言葉はあった。いつか思い出して、もう一度読む時が来るかもな、と思う本。

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    2026年03月24日
  • ひきこもり図書館

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    萩原朔太郎がひきこもりで老子の真髄を知る。悠々自適の境に達し、安心立命して暮らせたそうな。そりゃそうだろう。妻が世話してるのだから。

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    2026年03月21日
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)

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    トーン・テヘレン著『ハリネズミの願い』を読んだ流れで再読。いや、再々再々読、くらい。暗い。

    『ハリネズミの願い』で「絶望することはけっしてない。絶望はできないんだ(p.26)」と言う陰鬱なハリネズミに、カフカか、と思ったのですが、カフカは「あらゆることに、わたしは失敗する。いや、失敗することさえできない」だった。あら思い込み。でも絶望の神といえばカフカよね。

    年に1度の100冊処分祭開催時、何度も何度も処分を検討しながら、結局手元に残る本。
    「手軽に絶望に浸りたい」という、あまりにもしあわせな願望がやって来たときにしっくり来る一冊。絶望の最中にいるときには読むべからず。

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    2026年02月11日
  • 落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ

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    まさにこのタイトル通りの経験者なので、ぜひその考えを改めてもらいたいと手に取ったもの。出来れば好きになりたいという気持ちはあるんです。どんな分野でも好き嫌いはあるし、ある程度の数を経験してみないうちに遠ざけてしまうのは、確かにもったいないかもしれないわな。さて。

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    2026年02月02日
  • 絶望名言 文庫版

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    『人間失格』を読んで大号泣してから太宰治が好きなんですが、あまり本を持たなかったのに三遊亭圓朝の全集だけは持っていたというエピソードを知ってさらに好きになりました。圓朝氏の落語『死神』を題材に卒論を書いたのは良い思い出。。

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    2026年01月08日