服部京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
事実を積み上げ、インタビューで目撃情報を検証し、捜査を進める高校生が主人公です。前作の直後の出来事から始まるので、前作品が上巻、今作品が下巻としても良いかもしれません。535ページある厚い文庫本ですが、あっという間に読んでしまいました。ミステリーという側面と、正義とは何かとか、社会での自分の立ち位置をどうとらえ、どんな行動をするべきなのか?という若者の視点から悩み、内面も丁寧に描かれております。高校生でこんな経験をすることになる主人公の不遇は、日本では経験し得ないであろう出来事です。銃が日常にある社会で生活することの感覚をとてもリアルに垣間見ることができる小説でもありました。さらに続編もあるので、主人公と共に、社会の不条理と向き合っていこうと思っています。
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Posted by ブクログ
1944年、第二次世界大戦時のロンドンはナチス・ドイツの空襲が続いていた。13歳のバーティは空襲警報を受け、民間防衛隊の伝令係として、自転車のカゴに愛犬で救助犬のリトル・ルーを乗せて出発した。その道中、アメリカ人の少女エレノアとぶつかってしまう。彼女が立ち去った後にはある一冊のノートが残されていた。そのノートには秘密諜報員の訓練と謎の暗号が書かれていたー。
数年前話題になった『自由研究には向かない殺人』を訳した服部京子さんが訳してるから絶対面白いだろなー、子どもってスパイものに弱いよなーと思い手に取った。
シャーロック・ホームズに憧れながらも、ちょっと頼りなく心に深い傷のあるバーティとしっかり者のエレノア、そして、ドイツに両親がいて養父母に育てられているユダヤ人のデイヴィッドのトリオが大人顔負けの暗号解読をしていく様が頼もしい。
時折ある暗号を解読しようかと思ったけど、なんだか大変そうで飛ばして、最後のページにある暗号解答を見ちゃったけど、こういうのが好きな人なら楽しく解読できそう。
最近、日本側の第二世界大戦の話を読んでいるけど、その時のイギリス、フランス、そしてドイツのことが理解できた。
YA向けの本だけど、本当のスパイは誰かを考えながら読んでいくと大人も楽しめる。
バーティたちの活躍も素晴らしいけど、1番のスターはリトル・ルーかな。 -
Posted by ブクログ
めっっちゃくちゃ良かった。
『自由研究には向かない殺人』とかの雰囲気が好きな方には超おすすめ。訳も同じ服部京子さんだし。
居残り教室に集められた5人のうち、1人が死ぬ。
死んだ1人は高校内のゴシップを集めたアプリを運営しており、4人は秘密を握られていた。
果たして「誰が」嘘をついているのか???
というあらすじで、残された4人が一人ずつ視点人物となる章を交互に織り交ぜ、物語が進む。
群像劇!高校生!アメリカ!そしてミステリ!!
という、要素だけ見てもわたしが好きな物てんこ盛りだったのだが、予想以上に面白かったし、やっぱりミステリでもそうじゃなくてもYAは独特の楽しさがあるなとあらためて思った。自分がティーンだったころは『トラベリング・パンツ』とか、翻訳されたYAは結構手を伸ばしていたけど、好みは大人になっても変わらないんですね。
やっぱりブロンウィンとアディ、二人の女の子に肩入れというか、共感や応援を贈っていた。ミステリとしても、読後感もとても良いです。 -
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ボブ、愛おしすぎる。
猫好きなら絶対に読んでほしい。
私はたまたま映画を観て、エンドロールで実話と知って急いで原作本を購入。一気読みした(映画とほとんど変わらない内容で安心した)。
作者のジェームズ・ボーエンさんは、音楽で生きていく夢が途絶え、路上生活者となり薬物中毒者に。
そんなどん底と思える暮らしの中、茶トラの野良猫に出会う。どこにでもありそうな人と猫との出会い。
でも、この二人(正確には一人と一匹)の出会いは運命だったのでは?と思えるほどの深い絆が次第に生まれてゆく。
二人に起こるエピソードは、いいことばかりではない。社会的弱者に対する世の中の風当たりが強さ、簡単には抜け出せない薬物依存、金銭面の問題や理不尽な言いがかりなど、乗り越えなければならない問題が次々と出てくる。
いつになったら平穏な日々を過ごせるのだろうかと彼らのことを間近で見ているような感覚になって、いつのまにか二人を応援している自分がいた。
二人の前に立ちはだかる壁は、とても高く、とても厚い。それを乗り越えられたのは、互いをよく理解し合う二人だからこそ。
人と猫はここまで通じ合えるものなのか…その深い深い絆とパワーに心を打たれた。それにつれて我が家の猫たちへの愛情が深まった。
ボブの描写が可愛くて可愛くて、そのたびに口元が緩んでしまう本。
続編を読むのが今から楽しみ。 -
Posted by ブクログ
友人とたまたま訪れた銀行で強盗から人質にされてしまった少女が、ロマンス詐欺師の母から教わった技術・技能を駆使して窮地から脱するべく奮闘する、というヤングアダルト・スパイアクション小説。
謎解きがあるミステリ小説ではない。
主人公が母親から詐欺師として育てられたという生い立ちから「特殊な技能を身に付けた主人公が無双する!」というストーリーなのかと思っていたが、そんな育児は児童虐待であるという観点からのストーリー展開で、母の結婚詐欺に加担するため名前や性格を案件ごとに変えさせられてアイデンティティの確立に主人公が悩む。
非常に面白く読めた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『朽ちるマンション 老いる住民』(朝日新聞取材班)、『車いすにのったらどうなるの?』(ハリエット・ブランドル)を読んでいて、【車椅子の人の生活はどんなものなのか?】と気になった時に見つけた『車椅子探偵の幸運な日々』(ウィル・リーチ)。
学生の時に車椅子の体験(乗る側・押す側両方)をした事はあるけれど、そこから見えるものはまだまだ少ない。
それに乗る人を外で見る事が何回かあるものの、それもまたワンシーンを切り取ったものに過ぎない。
小説という物語形式なら、その描写が多少描かれているのではないか?と思って手に取ったのですが、
もうちょっとどころじゃなくてすごかった。
私が今までに読んできたお話の中で体が不自由なキャラクターって、その設定だけで止まっちゃってる事が多かったのですが、
本書は車椅子生活を送る人の細かい描写がストレートに書かれていて興味深かったし、そして現実世界としてのお話でこんなスリリングな車椅子の話、読んだ事がない。
そして同時にSMA(脊髄性筋萎縮症)と身近に存在する【死】を知れた事は大きかったです。
死が付きまとう進行性の病気を患いながらも家族のもとを離れて懸命に生きていこうとする主人公の様子に元気もらえたし、
日々のちょっとした事ですぐにイラっときて落ち込む事がバカらしくなった………。
「海外の人が書いた小説って、一つの事を説明するのに長い言い回しや例え話を持ってきがちで苦手」と思って避けてきたけれど、
今回みたいな大当たりは正直予想してなかったので、嬉しかったです。
食わず嫌いはあきまへんな。
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匿名
謝辞まで読んで
3「卒業生」は、1「自由研究」2「優等生」に続く3部作のため、
興味を持った方は必ず、必ずですよ、
1作目の自由研究から順に読み始めることをオススメします。
1作目の時点では物語として成立していたのに、見事に続編へと、
切っても切り離せないほど強く結びついた物語を書けたものだなあと感心しきりです。
1作目は割と普通の青春ミステリ。
2作目もその域を出なかったけれど、
3作目は衝撃。
予想出来ない展開、手に汗握る心理戦、もし失敗したら…
とんでもない緊迫感でした。
ピップがここまでする動機が1巻2巻、3巻まで及んで丁寧に描かれているため、
どっぷりハマり込みました。
賛“否“両論あった???
これはフィクションであり、主人公だろうが、己の正義と責任の元、
思うようにやればいいじゃないか!!!
主人公だからって品行方正の優等生でモラルがしっかりしていなければならないという理由はない。
思いっきり堕ちて、苦しみ考え抜いて、
自分なりの答えを見出すピップを応援するつもりで読んでいました。
良くやった、ピップ!!!
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったー!
読むにしてもジュヴナイルはもう感情移入できないやちょっとねゴメンナサイネというお年頃。面白いという話は聞いていたが高校生か、と、遠い目でやり過ごしておりました。うーん、そのあたしを殴りたい!
なんとなく覚えていてまとめ買いの1冊としてカートに追加。寝る前に読むか…で、まさにノンストップで読み切りました。次の日にたまたま有給だった自分、グッジョブ。
面白かった!
事件としては全員が仲良しグループというわけでもない集められた居残り高校生のうち一名がアナフィラキシーショックで死亡。犯人は誰?という作りで、シチュエーション的には嘘つきの大学生とかと近いのかなと思ってたけど、1人ずつが一人称でしっかり語るので、本当に読み飽きない。
誰かが完全に無実の探偵役というのでもなく、ちょこちょことそれぞれに秘密があり、サイモンを殺す理由もあったのでは?みたいな匂わせでぐいぐい引き込まれる。
それぞれの書き分けも見事。
アル中の父親の元でクスリを売ることで生計を立てていたり、束縛系彼氏に依存して抜けられなかったり、親の期待に応えなければと必死だったり、敷かれたレールのためには自分がゲイであると隠さなければと考えていたり。
この主人公たちをとりまく人々も見事。がんのためにクラスを離れたハッカーの妹の存在が素敵。がんを馬鹿にされて怒る姉妹愛もミエミエ過ぎずに上手く効いてる。束縛彼氏から突き放されたお姉さんもなんだかんだで根性あって面白いし。
物語は終わってみると「こんなイけてない警察ある?」という感じもあるし、割と一本道で進むシンプルなものでもあるんだけど、それを補ってあまりある読後感。いやー、あったかい。
ザ・ジュヴナイルの新鮮さと謎解き、群像劇の魅力がうまーくバランスよく配合された素敵な作品だと思う。
これはもう、たっぷり時間のあるときに一気読みを推奨します! -
Posted by ブクログ
★5 難病を抱えた青年が、死と直面しながらも行方不明の女性を探す探偵小説 #車椅子探偵の幸運な日々
■あらすじ
主人公ダニエルは脊髄性筋萎縮症(SMA)を患っている青年。彼は電動車椅子で生活しており、常に呼吸停止状態になってしまう危険性があった。ある朝、彼が外を眺めていると、若い女性が車に乗り込む様子を目撃する。その後、その女性は行方不明になってしまったことが判明し、彼はSNSを使って独自の調査を開始するのだった…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 いい作品を翻訳してくれました。難病に苦しむ青年の切なさを、コミカルかつ生き生きと描いた素晴らしい作品です。
脊髄性筋萎縮症(SMA)という難病、聞いたことはあっても彼らの現実を私は知らない。既に彼は身体の一部しか動かせず、話すこともできない。そして咳ができないというだけで、すぐ死に直結してしまうという… そこまでは想像がついていませんでした。もし自分なら悲壮感漂った生活しか送れないと思うのですが、主人公ダニエルは違うんです。事実をしっかり受け止めながらも、日々前向きに明るく暮らしている。
つい健常者としては、なんて可哀想なんだ…と思ってしまいがち。ただそんな同情は彼らにとって何の利益にもならないし、苦しみや不自由な気持ちをわかってあげることも、同じ立場にならないと理解できることはないんです。ダニエルの茶目っ気たっぷりの日常を見てると、いかに自分の親切心がペラペラであったか思い知らされることになる。
本作のストーリーは、難病を患っているダニエルが行方不明の女性を助け出すこと。そんなの無理だろ、常識的に考えて… などと思いながら読み進めるんですが、SNSやメールなどを活用しながら彼は解決の糸口を見つけ出してゆく。そして強い意志をもって、我々健常者でもできないようなことに挑んでいくんです。死の現実を噛み締めながらも人のために尽くそうとする姿をみていると、何もしていない自分が恥ずかしくなっちゃう。
そして彼に関わる登場人物たちが真摯に向き合っていて、ホント涙がでてくるんですよ。友人のトラヴィスは一見悪友のようにも見えるのですが、間違いなく一番の理解者。まるで飲み屋で交わされるような低俗な会話が、彼との関係性が深さを教えてくれる。介護士のマージャニも仕事の関係性とは思えないほど献身的でひた向き。きっと彼の人間性がすばらしさが、素敵な人たちを呼び寄せるんですね。
本作は人間の心の底に眠っている、孤独、挫折、死の恐怖といった、あまり直視したくない現実を描いています。しかし一番に伝わってくるのは、人との絆、優しさ、幸運といった正の感情なんですよね。
ぜひ映像でも見てみたくなるハートフルな作品でした、映画館でも泣いちゃうだろうなぁ。
■ぜっさん推しポイント
私がかつて結婚したときのこと、たくさんの友人たちが結婚式や二次会開催に協力してくれました。何度も打合せしたり、会場の準備をしたり、必要十分な手間と時間とお金をかけてくれたのです。
あまりの協力ぶりに恐縮してたのですが、友人たちは「君たちの結婚だから協力したいんだ」と言ってくれたのです。私はこの言葉を一生忘れることはありません。
もしあなたが不幸のどん底だと嘆いているのであれば、是非この本を手に取って欲しい。間違いなく明るい未来が開けてくると思いますよ。 -
購入済み
自由研究には向かない殺人シリーズの三作目で完結編です。今までの作品よりも不安に満ちていてダークな作品でした。
ピップ視点で臨場感を持って語られ、彼女の焦燥感や苦しみに共感させられるため、途中読むのが辛くなりしばらく寝かせてから読了しました。
一作品目から突出していた彼女の正義感が強くなりすぎた結果がこの結末を導きました。最後に読後爽やかな気持ちになれる要素が描かれましたが、行き過ぎた正義感は彼女自身や周囲の人を強く苦しめたことを思うと、決してハッピーエンドではありませんでした。
ティーン向けのミステリから社会問題を提起する作者の意図を感じ素晴らしい作品でした。