『今日子さんのおごり?
守銭奴今日子が、誰かに何かをおごったりすることがあるのか?
高い能力におごらず、安い食事もおごらないというのが今日子さんのキャッチフレーズだったのでは?』
『私、隠舘厄介は、フランス共和国滞在中、貴方、掟上今日子の助手を、あらゆる労役を拒むことなく、勤務時間の定めなく、無制限の努力をもって、粉骨砕身の心持ちで、命をかけて務めることを固く誓います。』
「かつてエッフェル塔はパリの景観を風景を台無しにすると建設に反対していたある文豪が、まさしくその言に反して、完成後はかなり頻繁にそのエッフェル塔を訪れていたそうだ ー 理由を訊かれて答えて曰く、『私の愛するパリの中で、エッフェル塔が見えないのは、この場所しかない』。」
「人間を喋れなくするのではなく、むしろ言語を増やすという辺り、神様の遊び心を感じますね。こうして世界はとても複雑になりました」
「ならば『バラバラ殺人大作戦』と名付けるのではなく、より正確には『プロメテウスの船大作戦』と名付けるべきではなかろうか。
長年、修繕を繰り返して乗り続けた船には、もう最初の頃と同じ部品はどこにも使われておらず、すべてのパーツがリニューアルされていて、それでもなお、同じ船と言えるかどうか ー みたいなたとえ話。」
「そう…、私はもっとこう、お金にしか興味がない人間だったような…、座右の書は貯金通帳だったような…エッフェル塔を盗んだら、その全長よりも高く売ることしか考えないような人間だったような…」
「何を愚かしいことを仰っているんです。掟上今日子は義賊ですよ」
「義賊ですか」
「そう。『金なんか、ある額を超えたらただの数字だ』が口癖でした」
「格好いい…」
『「もっとも、私は紙幣を握らせるようなことはせず、誠意をもってお願いしただけですが。私は雇った人にお金を払うような、無粋な真似はいたしません」
と答えた。
いや、雇った人にお金を払うのは、無粋な真似じゃなくて、当たり前のことなのだけれど ー』