斉藤洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ドイツ文学者である斉藤洋のど真ん中という作品。
イェーデシュタット三部作の第二だが、単独でも十分読める。
第1作の人形劇もよかったけれど、今回の作品はさらに自分の好みに合っていた。
児童書ではあるが、大人読者にはよりグッとくると思う。
淡々とサラサラ流れる文体に、時間と街と邂逅を見事に散りばめて琥珀のように美しい小品の中に留めている。
作者の手腕がここに凝縮されている。
たまたま小学生の息子と同じ作者の『風力鉄道に乗って』を再読している最中にこの本を読んだが、あの斉藤洋が、風力鉄道をはじめとする大半の作品にはある、シュールなユーモアをいっさい排除してこの本を書いているんだよなあと、改めて驚かされた。
三部作は同じ街を舞台にしており、登場人物も一部は共通らしい。
本書の最初に一部作目の主人公が出てきたので、本書の最後に出てきた女性が三部作目に登場するということかな。
作者はホフマンの研究をしているときいたが、ホフマン未読の私には、同じ独文でシュトルムの小説を思い出した。
独文の良いところを日本語で表すとこうなるのかな。
この懐かしさ、優しさ、シンプルな言葉と、素朴な日常で織られた作品を母国語で味わえる幸せを思う。
アルフレートは頭がいいけど、独善的で子供っぽいところもある。
萩尾望都タッチで顔がイメージされてしまう。
ちらっと出てきた現代の小児科の患者の男の子は伏線だったのかな。
再読したらさらにいろんな仕掛けがありそうな一冊で、これ自体もカラクリ時計のようだ。