早坂吝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
叙述トリックのような視点の転換が起きる、普段ミステリーを読んでいると、基本は殺人が起き、登場人物達の気が動転、いがみ合い、そして第二の事件が、、みたいなストーリーに収斂するが、最初の読者への挑戦からしてどうも毛色が違う。
あとがきに世の中を舐めきった作品とあるが、なるほど、腑に落ちた。本格ミステリーの皮を被った(二重の意味で)、エンタメなのだろう。メタ発言により、読者とのドッチボールのような、そんな感覚に陥る。
探偵役が探偵とならず、あるべきラストでもない。
しかしながら、エンタメ小説と見るなら、全てに調和がなされ、ラストを迎える。ことわざ当ても、実は最後まで当てることができなかったが、いや -
Posted by ブクログ
ネタバレここまでの2作の傾向からすると「下ネタに絡めたメイントリック」が特色のように思えるけれど、今作は「性行為の最中に相手にバレないように絞殺していた」という比較的平易なものになっている。むしろ本作の特色は、多重に仕掛けられている叙述トリック、というところにあるのだろう。
幾つかの叙述トリックの中でも、メインとなる東京か埼玉かの問題はあからさまで執拗で(鬱陶しいくらい)気づかない人はいないだろうし、それに連動して禿げかつらのトリックにも気づくのは容易だろう。名前のトリックもかなり露骨なのでなにかあるなとは思える。一方で春日部とらいちがそっくりだったところ(普段を髪型が違って色仕掛けが通用しなかった) -
Posted by ブクログ
ネタバレ叙述トリック部分がわざわざご丁寧に太字で書かれているので「実は高齢者?」「実は男?」「実は人間じゃない?」とか想像しながらも「でもそれってありふれてるし、しかもそれを太字にしちゃったらバレバレじゃない?」と違和感がありつつ読み進めていくとラストの考察パートが面白い。
それでいて一つ一つの作品も、なんだか驚いたような驚いてないような、感心するようなしないような絶妙なトリックで終始力が抜ける仕上がりになっている。
採用する記述組み合わせを変えることで多様な真相が生まれる、というのは、後期クイーン問題に対する解答の変奏と言えるし、その結果意味不明な世界観の解答がたくさん生み出されるので変な解答編好き