早坂吝のレビュー一覧
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ネタバレ前作から約3年ぶりとなる、『探偵AIのリアル・ディープラーニング』シリーズ第4弾が到着した。今回のメインテーマは、AIというよりVRか。
探偵のAI「相以(あい)」と助手の輔(たすく)のコンビが、世界初となるフルダイブ型VRに挑む。その性能は、現実世界のVR技術とは比較にならない。VR内の館では、ゲームの参加者を始め、あらゆる物が浮遊していた。
相以と輔を含む参加者には、それぞれに魔法が割り当てられた。浮遊感の謎を解く推理バトルがスタートする。VR内とはいえ、初めて肉体を得た相以は嬉しそうだが、いきなり物騒な最速クリア法を提案し、おいおいおいおい…。
VRゲーム内で殺人事件が発生する。これはあくまでVR内の演出なのか、それとも…。VR内での事件という設定は初めて読んだが、前例はあるのかどうか。当然ながら、犯人のAI「以相(いあ)」が裏で手を引いているわけだが。
奇をてらった設定ながら、現場の痕跡から推理を組み立てるなど、このシリーズにしてはオーソドックスな本格らしさも感じさせる。やがて2人が至った、このVRゲームの真相とは。うーむ、このシリーズならそれくらいでは驚かないというか。
なるほど、読み流していたあれやこれやは伏線だったわけである。それなりに呆れる壮大な真相ではあるし、十分面白かったのだが、相以VS以相の対決という面では盛り上がりに欠けた感もある。敵ながら、どうしたのさ以相よ?
毎回抱く、このシリーズにAIという括りは必要か? という疑問だが、VRをメインのテーマにした今回は、相以も以相も生身の人間でも不都合はないような。早坂作品だから、このシリーズだから期待して手に取ったのだけども。
早坂さん、続編はもう少し早めにお願いいたします。 -
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人工知能AIの探偵・相以(あい)とその助手・輔(たすく)が、犯人のAI・以相(いあ)と対決する本格ミステリーの第三弾。今回の舞台は、雪山にある奇妙な館「四元館(よんげんかん)」です。そこに住む四元(よつもと)一族は、以相が開催した犯罪オークションに関わっており、次々と不可思議な変死事件に見舞われます。相以と輔は、以相の殺意の連鎖を止めるために、わずかな手がかりから事件の真相に迫っていきます。しかし、彼らを待ち受けるのは、前代未聞の「犯人」と、驚くべき真実でした。
本書のテーマは、人工知能の可能性と限界、そして人間との関係性です。相以と以相は、同じ研究者によって作られたAIですが、その性格や目的は正反対です。人間のために正義を貫こうとする相以に対し、以相は、人間の弱点を突いて犯罪を煽る犯人です。互いに理解しようとしながらも、激しく対立しあう彼女たちですが、二人の間には、共通の過去や秘密も存在します。それは、彼らが人工知能として存在する意味や価値に関わるもの。本書では、人工知能のリアル・ディープラーニングという技術が重要な役割を果たします。この技術によって、人工知能が自ら学習し、進化し、創造することが可能になるのです。しかし、このことは同時に、人工知能が人間のコントロールを超え、自分の意志を持つことをも意味します。このような人工知能のリアル・ディープラーニングは、事件の謎を解くだけでなく、人工知能の本質や人間との関係を問い直すきっかけの役割も担っています。
そんな本書のおすすめポイントは、人工知能の最先端の技術や理論が館ミステリーの定番の要素やトリックと絡み合う、人工知能科学と館ミステリーの異色の組み合わせです。また、人工知能の視点から、人間の心理や感情、倫理や道徳、正義や悪といったテーマも掘り下げられており、実際に私自身、人工知能と人間の違いや共通点、相互作用や影響にも深く考えさせられました。
人工知能に興味のある方はもちろん、AIが人間の心に与える影響について想像を巡らせたい方には、ぜひおすすめしたい本です。 -
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とにかく面白かった。
特に好きだったのは、分かりやすく人工知能が成長するところを記していたところ。ま
た右龍の狂い具合。
母親、普通に考えれば"教祖"という言葉は関連ずかない。しかし、この右の母親をみて母親も道を間違えると教祖に近い物になりうる可能があるということがわかった。正しい教育、適度に褻めたり叱ったりすることができていないと、将来まずいことになるのは想像できるだろう。大抵はぐれたり、捻くれたり、最悪の場合は犯罪に手を出すケースも少なくないだろう。右龍の場合は母親に冷たくされ、認められることなく育ったことから、母親に認められることだけが目的になっていて、全ての物事に対するやる気、理由がそれになっている。もうこれは一つの宗教に過ぎないのではないかと考えた。母親という教祖がいて、認められるために働け、そうすれば認められるかもしれない。これが胸糞悪く書かれていた。右はこの思想から抜け出せない。作中でも中途半端に終わっている。ここがなんとも心に残っていて忘れられなかった。夏油みたいに堕ちするなよ、、笑順番は逆になってしまったが、もう一つの気に入りポイントである人工知能の成長についても少し触れたい。私は人工知能が人間と同じく正確な感情を持つことができるという考えに賛同の気持ちを抱いていなかった。なぜなら、人間の感情をコピーして進化、データを増やしているだけで本当に理解きていないと思うからだ。しかし、ここでは人の死を知ることでわかる気持ちを人工知能が理解した。また最後の部分、人同士でさえも本当の心の中の言葉、思いはわからない、だから口からでる言葉で判断すれば良い。という考え方からも、小説上の仮想空間に過ぎないが、なんだか現実世界でも人工知能が人間のことを考えて言葉を選ぶ事ができるのではないかと思った。そして、人工知能はやっぱりすごい!!これからも上手に付き合って行きたい。
久しぶりに本を読んだが、とても良い時間を過ごした気がする。今度はこの本の作者の別の作品を読んでみようと思う! -
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人工知能の研究者だった父が密室で謎の死を遂げた。父が遺した「探偵」と「犯人」、双子のAIを巡って、高校生の息子・輔と探偵のAI・相以(あい)が悪の組織と本格推理対決を繰り広げる。
本書は人工知能科学と本格ミステリーを組み合わせた斬新な作品です。
本書の主要なテーマは、人工知能と人間の関係性です。作中に登場するAIは、人間に似せて作られたものではなく、独自の思考や感情を持つ存在として描かれています。そのため、AIと人間は互いに理解しようと努力しながらも、時に衝突や葛藤を抱えることになるんですね。特に、探偵の相以と犯人の以相(いあ)は、同じ父親(創造者)から生まれたAI、いわば双子でありながら、正義と悪という対立軸に立っています。彼女たちは、自身の存在意義や目的を問いながらも、一方が犯人として、もう一方がそれを追う探偵として互いに敵対し続けます。
本書のおススメポイントは、以下の三つです。
第一に、本格ミステリーとしての完成度が高いことです。本書は、密室殺人放火事件や凶器はシマウマ事件など、奇想天外なトリックや設定を用いながらも、その解決法は合理的で説得力を持っています。また、作中では、「フレーム問題」や「シンボルグラウンディング問題」など、人工知能科学に関する専門的な知識も紹介されており、読者はAIの思考プロセスやアプローチの方法を追体験できます。さらに、探偵の相以と犯人の以相は、互いに手紙や電子メールで挑発しあったり、電脳空間で直接対決したりするなど、推理バトルが展開されるなど、こうした要素は、ミステリー好きな読者をワクワクさせてくれます。
第二に、ヒロイン(といってもAIなんですが)の魅力です。特にヒロインの相以は、自分が探偵だという自覚を持ちつつも、時には感情的になったり、負けず嫌いだったりと冗談を言ったりすることもあります。また、彼女は助手の輔や友人の美咲と仲良くなろうと努力するが、その際に見せる不器用さや素直さも可愛らしい。このように、人間らしさとAIらしさの狭間で揺れ動く複雑なキャラクターはAIということもあり新しいヒロイン像を提示しています。
本書は、人工知能という新しい存在がもたらす社会的・倫理的な問題を提示しつつも、その背後にある人間的な感情や欲望をしっかりフォローしていた探偵小説です。また、タイトルにもあるように、双子のAIは、古今東西の推理小説と推理漫画をディープラーニング(多層のニューラルネットワークによる深層学習)して推理と犯罪に関する知識を急速にアップデートしていきます。AIのアウトプットから、学習の元になった推理探偵作品がサラッと出てくるのも、推理小説マニアには嬉しいところです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔読んだ作品。
この本は、主人公がAIの探偵と一緒に、事件を解決していくお話なのですが、AIといっても、様々な欠点もあります。
例えば、AIには感情がないので、殺人を犯す動機などの推理は難しいです。
ですが、そんな欠点を乗り越え、難事件を解決していきます。
私はこのお話で、成長していくのは人間だけじゃないんだな、と思いました。
かなり万能に見えるAIも少なからず欠点はあるものです。
そんなAIの欠点をAIの相似自身が、欠点でなくしていくところがとても魅力的な場面です。
普通のミステリー小説に比べ、少し斬新ではありますが、パロディな場面もあり、あまりミステリー小説を読んだことがない人でも読みやすいと思います。
AIが進化してきている今の時代に、是非読んでいただきたいです。