「人を動かす」の姉妹書。前書は「人間関係」の機微について述べたものでしたが、本書はあらゆる人間に共通する「悩み」の実態とそれの克服法を述べたものです。1944年の初版から何度か開廷を重ね、本書は1978年に翻訳されたものです。
【悩みを分析する基礎技術を身につける】
①過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。今日一日の区切りで生きよう。
②「起こりうる最悪の事態とは何か」を自問し、やむを得ない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をする。それから落ち着いて最悪状態を好転させるよう努力する。
③悩みに対する戦略を知らないものは若死にする。
④自分が何を悩んでいるかを明確にし、それに対してできることを探し、どういうことをいつから実行しようとしているかを考える。
⑤問題点、原因、解決策を考える。
【悩みの習慣を早期に断つ】
①忙しい状態でいること。悩みをかかえた人間は、絶望感に打ち負けないために、身を粉にして活動しなければならない。
②気にする必要もなく、忘れてもよい小事で心を乱してはならない。小事にこだわるには人生はあまりにも短い。
③記録を調べ、平均値の法則によると不安の種になっていることがらが実際に起こる確率はどのくらいかを考える。
④避けられない運命には調子を合わせよう。
⑤時分が悩んでいることの実際的な重要性を知ろう。
⑥過去の失敗を冷静に分析して何かの足しにする。あとは忘れ去ろう。時間が多くのことを解決してくれる。
【平和と幸福をもたらす精神状態を養う】
①快活に考え行動すれば自然に愉快になる。
②仕返しをしてはならない。敵を傷つけるよりも自分を傷つける結果となるから。嫌いな人について考えたりして、1分間たりとも時間を無駄にしないこと。
③幸福を見つける唯一の方法は、感謝を期待することではなく、与える喜びのために与えることである。
④やっかいごとを数え上げるな、恵まれているものを数えてみよう。
⑤他人の真似をするな。自己を発見し、自己に徹しよう。
⑥運命かレモンをくれたら、それでレモネードをつくる努力をしよう。
⑦他人に興味を持つことによって自分自身を忘れよう。毎日、だれかの顔に喜びの微笑が浮かぶような善行を心がけよう。
【批判を気にしない】
①不当な非難は、しばしば擬装された賛辞である。
②最善を尽くそう。あとは古傘をかざして、非難の雨が首筋から背中へ流れ落ちるのを防げばよい。
③自分の犯した愚行を記録しておいて自分自身を批判しよう。偏見がなく、有益で、建設的な批判を進んで求めよう。
【疲労と悩みを予防し心身を充実させる】
①たびたび休養する。疲れる前に休息せよ。
②疲労の大部分は精神的原因からきている。純粋に肉体的原因で消耗する例は実にまれである。『力の心理学』精神分析医J.A.ハドフィールド
③信頼できる人に悩みを打ち明ける。
④机上を問題に関係のある書類だけにし、重要性に応じて物事を処理する。即刻その場で解決する。組織化、代理化、管理化する。
⑤毎朝自分自身に励ましの言葉をかける。
⑥不眠について悩まない運動し体の力を抜き安心感を持つ。
本書が出版されてから80年近くも経つのに、まだまだ人間の悩みは尽きません。冒頭に「本書から最大の成果を得るための9ヶ条」というのがあり、その中で、毎日本書を精読すべきと書かれています。私は5年前と4年前に読んで、今回が3度目です。たくさんの実例が紹介されており時代も感じますが、どの時代でも大切なことの本質は変わらないのだなと思います。これらの教訓を胸に、穏やかに丁寧に生きていきたいです。