本川達雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者のウィキぺディアを見ると
「日本の生物学者、シンガーソングライター。」
この本でも、ナマコ天国やおまけの人生音頭という歌の楽譜が載ってたり。面白い人。(YouTubeに歌もあがってた)
ナマコは不思議な生き物。
筋肉も脳も心臓も眼も耳もない。とても省エネ。
皮ばかりで栄養もなく、美味しくもないことで敵に襲われないようにしている。
あまり動かない「動物」
そんなナマコを研究していると、とにかく「暇」らしい。なので、生物にとっての時間とは?とか多様性とは?とか色々なことを考える、そんな本。
人間の生物としての時間の速さと、今の社会の速さがあっていない、って書かれていたけど、そんな気もする。
だから、たまにぼーっと流れる雲を眺めてしまうのかもしれない。
以下メモ
・ナマコの死に方
ナマコは皮の硬さが変えられる(キャッチ結合組織)が、死ぬ間際になると硬さを支配している神経がおかしくなって、身体が極端に柔らかくなりどろどろに溶けてしまう。
・好き好き至上主義(選考充足功利主義)
好きなことを追求することに至高の価値を置いている。
全ての物を好悪という物差しに還元して価値判断する。
「続く」という生物の目的を無視している。
・自分に都合の良いものだけを身のまわりに集め、相手の都合の良い面だけを見て世界を構築すると、そんな世界は薄っぺらで平面的な世界となり、そんな世界の取り囲まれた自分自身も薄っぺらで空虚なものになる。
・多様性
「私」というものは、ふつうに私だとみなしているようなものを核として、そのまわりにじわーっと時空を通して広がって周りと関係を結んでいるものであり、関係を結んでいる相手も私の一部を構成しているのだから、相手を尊重することが自分を尊重することにもなる。そして、関係を結ぶ相手は多様なものだから多様性が大切。
・多様なものの存在、多様なものに含まれている、付き合いたくないものの存在がこの世は天国ではないことを絶えず私たちに思い起こさせてくれる貴重なもの。
・動物の共通点
心臓が4回打つ間に息を1回吸って吐く
心臓が80回打つ間に、血液が体中を1巡りする
心臓が15億回打つと、死を迎える
・時間を直線的にとらえる民族(キリスト教圏)時間を回ると捉える民族(アジア圏)
日本人の時間も回っていた。
数え年:お正月に1つ歳をとる
お正月は新しい魂をいただいて、新しい1年の回転を始める儀式。1年ごとに命をいただいて命を回転させる。何回、回転したのかを数えるのが数え年。
・生物の時間は、エネルギーを使うほど早く進む。人間は社会にエネルギーを大量投下し、時間を早く進めている。
・生物の時間
ネズミ:エネルギーをたくさん使って、時間が早く進む(13時間ほど寝る)
象:エネルギーをあまり使わず時間はゆっくり(3時間ほどしか寝ない)
・子どもは良く寝るし、歳をとるとあまり寝ない。
歳をとれば時間が遅くなる。
(※でも、時間が早く過ぎるように感じる。それは、エネルギー消費量が下がり、同じ時間にこなせる仕事量が減る。あまり仕事をしていないのに、時間が経っているので、時間が早く過ぎたと感じる) -
Posted by ブクログ
めーーーーっっちゃ面白かった!!
生物の雑学ネタとかざんねんな生き物系が好きなので、Twitterでオススメとみて読んでみたんですが
ゾウの時間ネズミの時間の著者の人だった!!
私!!これ!!教科書で読んで好きだった!!
体の大きさと心拍数で生きている時間が違うと言う話や、
この先生が専攻しているヒトデやナマコの話、生物進化によりエネルギーを使うようになった話。
ラジオで語られていた短いお話のまとめなので1話1話短くて読みやすく、私のような生物学素人でもわかりやすく興味深く語ってくれる。
是非この先生の講義とか講演聞いてみたいなぁ面白そう〜!
かなり昔に読んだ教科書の話をすごく覚えていたから偶然巡り会えて感動したな〜
教科書って面白くて読みやすい良い文章の宝庫だったな今思えば…当時は理解してなかったけどわかりやすいのに内容が面白いってすごい事だよ… -
Posted by ブクログ
動物のエネルギー消費量や行動範囲などのさまざまなデータと体重を両対数グラフで比較するとほぼ例外なく綺麗な関係性が導かれるという面白い原理を紹介してくれる本。
大きい哺乳類と小さい哺乳類の利点と欠点、進化の先にいる動物と手前にいる動物の利点と欠点、それぞれの特徴が強みと弱みの両面を持っているからこそ、今の地球上でどちらも淘汰されずに生物の多様性が保たれている。
動物学の師匠の本のユーモアにリスペクトを捧げ、その師匠に実際に会って「サイズの研究をする人間は背丈もサイズがでかいと思った」と書くように、この本にもその師匠のユーモアが継承されている。「島に隔離されるとサイズの大きい動物は小さくなりサイズの小さい動物は大きくなるという島の規則が人間にも当てまりそう」など、事実以外の感想の部分も面白い。
体重との比較の話題の次は、微生物の体の機能とサイズの関係。微生物のサイズによって消化器、呼吸器といった機能が複雑化していく理由が、物理化学的な境界によって分かれているというはなし。
その次は植物についての論。全く違うように思える植物と動物の細胞の違いと構造の違いを、木造の建物とレンガ積みの建物で同じ土俵の上で比較できるというのは納得だった。
最後は昆虫とサンゴやウニのような動物の特殊な体の構造について。どの動物も「外敵や外乱から身を守るために、何かを犠牲にしつつ武器を苦心して獲得している優秀な設計者である」というような見方に変わった。
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Posted by ブクログ
生物学、生態学など全くの素人の立場で書評を書きますが、初学者にもとてもわかりやすく面白く読みました。序盤で面白かったのは生物多様性の世界と物理学の対立についてです。前者は個別性の世界なのに対して、物理学は普遍性の世界だから相性が悪い、というのは、ちょうど最近読んだ、ウォーラーステインの『入門世界システム分析』を思い出させました。ウォーラーステインによれば、近代になって学問が科学と人文学に別れてしまったこと(彼はこれを「2つの文化」と呼んでいます)、科学が普遍性を重視するのに対して、人文学は個別性を重視することで互いが対立をし、結果として近代社会は普遍性を重んじる科学が優勢になっているというようなことが書かれていました。
本書は前半に生物多様性の実態(熱帯雨林や珊瑚礁の事例)、さらにそれが人間も含めた全生物にもたらす意味などをわかりやすく解説されていますが、後半になってくると哲学的な議論展開が進みます。私はアカデミクスの人間ではないので、単純に「面白い展開になってきたぞ」と思いむしろポジティブに楽しみましたが、著者も書かれているように、アカデミクスの人が読むと、著者のような科学者が価値観や「あるべき論」まで語るとは何事だ、と感じるのかもしれませんね。私は著者の勇気と広い見識を高く評価します。
著者は「私」の定義が現代社会では非常に狭い(小さい)ことに警鐘を鳴らしています。そしてこれは科学の粒子主義から来ていて、もっと遡ればデカルトにまで行き着くわけです。そうではなく「私」と私ではないところの境界は空間的にも時間的にも非常に曖昧で(胃の中に入ったリンゴは私の一部なのか否か、あるいは自分の子供にも「私」が遺伝しているが、私の一部なのか否か)、我々生物はそういう曖昧な環境に生きているのが真実であること、さらにこのように「私」を拡大していけば自ずと生物多様性の世界が維持されていく、と論じています。著者は利己主義の己を拡大するという言い方をされています。これは仏教で言うところの小乗から大乗へ昇華せよ、というのとニュアンス的に近い気がします。また他人や他の生き物を手段として見るのではなくそれ自体目的があるものとして見ることの重要さも指摘していますが、これはカントの定言命法を思い起こさせます。カントは「汝及び他のあらゆる人格における人間性を、単に手段としてのみ扱うことなく、常に同時に目的としても扱うように、行為せよ」と述べていますが、これを拡張してあらゆる生物についても手段だけでなく目的としても見ることの大事さ、について語られているのかと感じました。
生物多様性だけでなく価値観、人間のあり方など非常に考えさせられる本でした。オススメです。 -
Posted by ブクログ
生物多様性とは何か?何故守らなければならないのか?を、生物という定義から丁寧に説明してある。【私】という概念を用いてあり、読んでいる最中「あれ?これって生物の本?倫理や哲学、経済の本じゃなくて?」と思ってしまうような異色の書だったのだが、このことが生物多様性を守るうえで重要な考え方だった。つまり、生物多様性を守ろう!では人類は動かない。利己主義的思考が次世代につなぐ役目を邪魔している。生物多様性を守ることは、【私】がずっと続くために、当然守るべきものであり、そのために開いた【私】であり続けること。生物多様性の保全は全て【私】の継続にかかっているのである。量重視の豊かさではなく、質の異なったものがあるという豊かさを求めるように発想転換する必要がある、というところに大いに共感した。
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絵とき ゾウの時間とネズミの時間
- カート
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試し読み
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Posted by ブクログ
本川達雄先生、「ゾウの時間 ネズミの時間」は面白くて、かつとても啓蒙された本でした。「ウニはすごい バッタもすごい」(2017.2)もすごい本です。専門的でありながら、ぐいぐい引き付けられます。動物の種は約130万種、脊椎動物は6万種で、大半の動物は無脊椎動物。動物はその体の構造(デザイン)によって34の門に分類されるそうです。この本は、その34の門のうち、刺胞動物(サンゴなど)、節足動物(昆虫、甲殻類など)、軟体動物(貝など)、棘皮動物(ヒトデ、ナマコなど)、脊索動物(ホヤなど)の5つの門について、書かれています。なお、脊索動物門の中の一群が脊椎動物だそうです。節足動物門ひとつをとってみてもすごいですね。三葉虫、エビ・カニ、昆虫、ムカデ・ヤスデ、カブトガニ・クモ・サソリなど。昆虫の体、すごいです。その骨格・関節、飛翔力と跳躍力、気管、体のサイズ、花を咲かせる植物との共生、脱皮・変態(幼虫、成虫、二つの時代の使い分け)などなど。