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背骨と手足を得て、脊椎動物は速く長距離を移動できるようになった。走る、泳ぐ、飛ぶと方法は異なるが、動物それぞれが素早い動きを可能にする体のデザインを持っている。ヒトはコケつつ歩くが、これがめっぽう効率が良くて速い。なぜ? 鶏の胸肉はササミよりも3倍も大きい。なぜ? 渡り鳥が無着陸で何千㎞も飛べる。なぜ? 魚やイルカには顎がない。なぜ? 皆、納得のいく理由がある。動くための驚きの仕組みが満載!
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Posted by ブクログ
生物の進化の精緻さには驚かされる。歩く、走る、泳ぐ、飛ぶなどの動作のメカニズムを解析する。それらは流体力学的に実に巧妙。 難しい数式も出てはくるが直感的に理解しやすい。筆者の「ゾウの時間ネズミの時間」「ウニはすごいバッタもすごい」と並んで大変面白い。
著者本川達雄氏による別書『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』が面白かったので、本書も楽しみにしていた。歩く、泳ぐ、飛ぶとった生物の駆動と身体構造に絞った若干マニアック内容だが、期待通り。扱うテーマが幅広い本も面白いが、マニアックな本(こういう言い方は失礼かもしれないが)にはその面白さがある。...続きを読む私はどちらも好きだ。 ― 骨の強度は体重が増えても変わらず、骨の太さも体重ほどには大きくならない。そのため、大きな動物ほど相対的に骨の強度が下がり、より慎重に歩くことになる。 こういう文章に、サイズに生物学の著者らしい視点や専門性が滲み出ていて嬉しくなる。大きな動物の動きがスローになるのは、骨が体重に比例しないから。これは人間にも言える。 ― 最高速度は突進時に達成され、突進時はクレアチンリン酸や解糖(嫌気呼吸)からATPが主に供給されるが、この供給系の持続時間は限られている。このことを筋肉のレベルで述べると、突進時に働くのが解糖によりATPを調達する解糖型速筋であり、これは疲れやすく、働ける時間の長さに制限がある。体の大きなものほど大きな慣性があるから、それを動かして大きな速度までもっていくのに時間がかかる。そのため、解糖型速筋が加速の途中で疲れてしまって想定された最高速度にまで加速できず、超大形のものでは最高速度が落ちるのだというのがこの説である。 昔マリオカートというゲームをしていて、体重が小さなキャラクターは初速が速いが最高速度は遅く、大きなキャラクターほど最初の加速が遅く、最高速度は速いという傾向にあった。ゲームがこうした生物学を参考にしたかは不明だが、小さい方がチョロチョロしているイメージは経験的にもしっくりくる。 こうした日常のあれこれを科学的に裏付けされ、納得していく面白さがある。それともう一つ。 ― 陸の乗物と言えば、自動車、電車、自転車、すべてが車輪を回して進み、肢を振って進むものはない。肢は振る方向を変え続けねばならず、また重心が上下しやすいため、エネルギー的に無駄が生じる。車輪にはその無駄がないからこそ、乗物は皆、車輪を採用しているのである。同じ肢の筋肉を使っていても、自転車のペダルを漕げば地面を蹴って走るより、1/5のエネルギーで同じスピードを出せる。だったらなぜ動物も車輪にしなかったのだろうか?こんな疑問で書きはじめた拙著『ゾウの時間ネズミの時間』(中公新書)の「なぜ車輪動物がいないのか」の章は多くの方の興味を引いたようで、高校の国語の教科書の複数のものにもこの草の一部が掲載されてきた。車社会に対する1つの批判的な視点を提供したくて書いた文章なのだが、それが広く読まれるようになったのはまことに嬉しい。 生物はなぜ車輪を採用しなかったのか、という話。『ゾウの時間ネズミの時間』で読んだが、確かに頭に残る視点であった。他にも、空を飛ぶ鳥の軽量化の工夫など、生物学のおいしい所が満載である。
”走る・泳ぐ・飛ぶ” といった動物の移動の動作が、いかに効率的で、物理の原理に沿った動きであるのか、一つ一つ解き明かしていく1冊です。書名からは生物学的なイメージを受けますが、かなり物理に踏み込んだ内容です。 生物の骨格はカルシウムなどから構成されるので、強度には上限があります。筋肉の収縮の速度も上...続きを読む限があります。それらの制約の中で、”いかに速く、効率よく”走るには、”ストライドを延ばす”か”ピッチを上げる”しかないのですが、それを実現するために実に巧妙に動物は対応していることをテコの原理、モーメント、エネルギー保存などを用いて説明されています。 水中を”泳ぐ”場合、体重を支える必要がありません。一方、固体の地面に脚で作用する陸上の動物と違い、液体の水に対して推進力を得なければならず、その結果として脚ではなく、ヒレを使ったり、体をくねらせたりする方法で動くことになります。ところが水には大きな”粘性”があるため、泳ぐスピードや体のサイズによって泳法に違いが出てきます。これらの解析には粘性抵抗と慣性抵抗、レイノルズ数、運動量保存、ベルヌーイ式などが登場します。 ”飛ぶ”の解析はまさに航空機が飛行するメカニズムとほとんど同じ。鳥によっても飛び方(渡り鳥みたいに長距離を飛ぶ、スズメみたいに障害物の多い場所を飛ぶ、猛禽類みたいなハンター)が異なり、それに適した翼になっています。これは旅客機と戦闘機では求められる飛行性能が異なり、それに適した翼を設定しているのと全く同じで、これらの解析に抗力、揚力、揚抗比、翼のアスペクト比、翼面荷重などが用いられています。 生物の移動のメカニズムがいかに物理法則にかなったものであるか、非常に分かりやすく解説されていて、目から鱗が落ちるような読後感でした。一方、高校物理の基礎ぐらいの知識がないと、ちょっと解説が難しく、そういう意味で読者を選ぶ本かもしれません。でも生物と物理をつなぐ非常に野心的な内容の本だという印象を受け、私自身は著者の前著「ゾウの時間・ネズミの時間」も読んでみたくなりました。
これはオモシロい。 動物はその名の通り動く。動くメカニズムに特化して生物をみていく。 移動には歩く、走る、泳ぐ、飛ぶと種類があるけど、もっともエネルギー効率がいいのは「飛ぶ」なんだそうな。また生物は進化の末に、無駄のない動きとメカニズムを環境にあ合わせて有していることが紹介される。感心するばかりだ。...続きを読む 痛恨だったのはエネルギーの使い方や動作解説で物理の素養が求められたこと。てんでダメだね。
難しいところも少しあるが、全体としては文系読者にもわかりやすくとても面白かった。生き物の動きからその生物の形状や各器官の位置や作りにちゃんと理由があるというのは、考えてみたら当然かもしれないが、地球上の多種多様な生物がそれぞれこのように進化してきたということを思うと本当に生命の不思議を感じる。 科学...続きを読む的な話だけでなく、筆者のエピソードや所感も入っているのが読み物としてより面白かった。こんな研究もされているのか、と驚くことも多かった。
動物の移動という視点で、その動きと形態についての細やかな解説本。 本川先生の軽妙な語り口は、今回封印されているかのようになくて、ちょっとお堅い印象になっている。とはいえ豆知識的なコラムが随所に差し込まれていて楽しい。ただ動物が移動する時の身体の動きについて、とても丁寧な説明がされているため、全部を咀...続きを読む嚼するのは結構大変かもしれない。 流体力学についてもきちんと解説されているので、100㌫生物学の本というよりは、やや工学よりな内容だなあと感じた。 人間の歩行の話になると割と頻出する『ナンバ歩き』についてはコラムで書かれていて、『七人の侍』を見ると、その歩行の違いがわかるという紹介されていた。機会があれば、確かめたいと思う。
<目次> 第1章 歩く・走る 第2章 歩く力・走る力 第3章 歩行の進化 第4章 車輪 第5章 筋肉~移動運動のエンジン 第6章 泳ぐ 第7章 流体力学ちょこっと入門 第8章 飛ぶ 第9章 飛ぶ力 第10章 さまざまな飛行 第11章 ウニの歩行 <内容> 本川先生、三作目の「...続きを読むサイズとデザインの生物学」完結編(帯のフレーズより)。「動物」なのだから“動く”。そこにフィーチャーした本編。力学のさまざまな法則が飛び交い、純粋文系の私にはやや難しかった。ただ“動く”為の生き物の理にかなった構造(体型・筋肉・骨など)やその動き(歩く⇒走る・泳ぐ・飛ぶ)について、(たぶん)わかりやすく書かれている。第11章の「ウニ」は、先生の専門分野。退職までに完全なる分析には至らなかったようだが、確かにウニは不思議な生き物である(ヒトデもね)。
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絵とき 生きものは円柱形
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絵とき ゾウの時間とネズミの時間
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