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Posted by ブクログ
”走る・泳ぐ・飛ぶ” といった動物の移動の動作が、いかに効率的で、物理の原理に沿った動きであるのか、一つ一つ解き明かしていく1冊です。書名からは生物学的なイメージを受けますが、かなり物理に踏み込んだ内容です。
生物の骨格はカルシウムなどから構成されるので、強度には上限があります。筋肉の収縮の速度も上限があります。それらの制約の中で、”いかに速く、効率よく”走るには、”ストライドを延ばす”か”ピッチを上げる”しかないのですが、それを実現するために実に巧妙に動物は対応していることをテコの原理、モーメント、エネルギー保存などを用いて説明されています。
水中を”泳ぐ”場合、体重を支える必要がありません。一方、固体の地面に脚で作用する陸上の動物と違い、液体の水に対して推進力を得なければならず、その結果として脚ではなく、ヒレを使ったり、体をくねらせたりする方法で動くことになります。ところが水には大きな”粘性”があるため、泳ぐスピードや体のサイズによって泳法に違いが出てきます。これらの解析には粘性抵抗と慣性抵抗、レイノルズ数、運動量保存、ベルヌーイ式などが登場します。
”飛ぶ”の解析はまさに航空機が飛行するメカニズムとほとんど同じ。鳥によっても飛び方(渡り鳥みたいに長距離を飛ぶ、スズメみたいに障害物の多い場所を飛ぶ、猛禽類みたいなハンター)が異なり、それに適した翼になっています。これは旅客機と戦闘機では求められる飛行性能が異なり、それに適した翼を設定しているのと全く同じで、これらの解析に抗力、揚力、揚抗比、翼のアスペクト比、翼面荷重などが用いられています。
生物の移動のメカニズムがいかに物理法則にかなったものであるか、非常に分かりやすく解説されていて、目から鱗が落ちるような読後感でした。一方、高校物理の基礎ぐらいの知識がないと、ちょっと解説が難しく、そういう意味で読者を選ぶ本かもしれません。でも生物と物理をつなぐ非常に野心的な内容の本だという印象を受け、私自身は著者の前著「ゾウの時間・ネズミの時間」も読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
動物の移動という視点で、その動きと形態についての細やかな解説本。
本川先生の軽妙な語り口は、今回封印されているかのようになくて、ちょっとお堅い印象になっている。とはいえ豆知識的なコラムが随所に差し込まれていて楽しい。ただ動物が移動する時の身体の動きについて、とても丁寧な説明がされているため、全部を咀嚼するのは結構大変かもしれない。
流体力学についてもきちんと解説されているので、100㌫生物学の本というよりは、やや工学よりな内容だなあと感じた。
人間の歩行の話になると割と頻出する『ナンバ歩き』についてはコラムで書かれていて、『七人の侍』を見ると、その歩行の違いがわかるという紹介されていた。機会があれば、確かめたいと思う。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 歩く・走る
第2章 歩く力・走る力
第3章 歩行の進化
第4章 車輪
第5章 筋肉~移動運動のエンジン
第6章 泳ぐ
第7章 流体力学ちょこっと入門
第8章 飛ぶ
第9章 飛ぶ力
第10章 さまざまな飛行
第11章 ウニの歩行
<内容>
本川先生、三作目の「サイズとデザインの生物学」完結編(帯のフレーズより)。「動物」なのだから“動く”。そこにフィーチャーした本編。力学のさまざまな法則が飛び交い、純粋文系の私にはやや難しかった。ただ“動く”為の生き物の理にかなった構造(体型・筋肉・骨など)やその動き(歩く⇒走る・泳ぐ・飛ぶ)について、(たぶん)わかりやすく書かれている。第11章の「ウニ」は、先生の専門分野。退職までに完全なる分析には至らなかったようだが、確かにウニは不思議な生き物である(ヒトデもね)。
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