本川達雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
クチクラの素晴らしさがよく分かった。原クチクラをタンニングすると水分が抜けて硬くなる。キノン硬化。蛋白質同士の橋架が行われる。クチクラは初め白くしなやかだがタンニングによって茶色→黒と強度が増してくる。軽量なので昆虫の羽にもなっている。
水分の蒸発を抑える事が陸上の昆虫の課題で、気管を別に作ったり、クチクラで外骨格を作った。小さな生き物ほど体表面からの蒸発が多い。
脱皮をしなければ大きくなれないが、リスクは大きい。気管の1つでも引っかかってクチクラが脱げなければ、脱皮の最中に死んでしまう。
動物の中で1番種類の多いのは昆虫。全動物の7割以上。生物全体でみても昆虫が半数を占めている。
昆虫 -
Posted by ブクログ
「デザインの生物学」と銘打ち、様々な動物、特に無脊椎動物の体のつくりの違いを中心に、多彩な動物たちの世界を紹介。代表的な5つの門(刺胞動物門(サンゴなど)、節足動物門(昆虫など)、軟体動物門(貝、タコ、イカなど)、棘皮動物門(ヒトデ、ウニ、ナマコなど)、脊索動物門(ホヤなど)、脊椎動物亜門(魚、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)を取り上げている。
進化の先にいる哺乳類がもっとも優れているというわけではなく、どの動物たちも他とは異なる工夫された体のつくりをもち、他とは異なる生き方をしながらそれぞれに繁栄しているということがよく理解できた。まさに、みんな違ってみんないい、という感じだ。「造礁サンゴは体 -
Posted by ブクログ
序盤から中盤までは生物多様性の底力というのか、どのようにして多様になっていったのかを解説していて、特に熱帯地方の陸と珊瑚礁の海を具体的に述べていて、それはそれで興味深いものがありましたけど、僕が知りたかったのはそこではなくて、『なぜ多様性を守らなければならないのか?』という疑問に対して、生物学者である著者がどんな回答をするのかが気になって本書を読み始めたので、まぁ終盤ではそれがちゃんと書いてあったので良かったです。
著者曰く、『今ある生物種は全部必要かと言われれば疑問が残る。しかし、生物多様性は現代科学ではまだまだ解明できていない部分も多いし、不要な種もあるかもだけれど、それらを排除したらどん -
Posted by ブクログ
昨年あたりからのストレス解消は、およそ仕事にも生活にも関係ない、どうでもいい知識を仕入れて悦に入ること。誰かに話すこともせず、「なるほど、すごいな」と思うだけで満足しています。
という意味では、この本は最高の時間を与えてくれました。著者は歌う動物生理学者の本川達雄さん。「ゾウの時間 ネズミの時間」の中で「ゾウさんもネコもネズミも心臓はドッキンドッキンドッキンと20億回打って止まる」と忘れられない歌を作詞作曲しています。
現在、知られている動物の種の数はおよそ130万、その95%が背骨を持たない無脊椎動物。本書はサンゴ礁、昆虫、貝、ヒトデ、ナマコ、ホヤなどを取り上げ、なぜ今のようなデザイン、機 -
Posted by ブクログ
今の会社への転職をした時期に出された、「長生きが地球を滅ぼす」という衝撃的なタイトルで本を出された、本川氏による最近かかれた新書本です。
人類本来の寿命はせいぜい40歳程度ですが、エネルギーを多く利用することで寿命を伸ばしているという主張です。歴史的に振り返ってみると、江戸時代の頃の寿命は乳児も含めればその程度だと思われますし、現在でもある地域での寿命は50歳以下と聞いたことがありますので、日本の現在の寿命がいかに長いかというのがわかります。
子供は親と完全に似ていない(クローン)でなく、少し変えているのは、急激な環境変化に耐えられる(絶滅しない)という考え方は興味深かったです。組織でも、 -
-
-
Posted by ブクログ
実に興味深い本。色々な視点から書いてあるのだが、やはり動物の時間の部分が印象的だ。
動物の寿命は、ハツカネズミで2-3年、ゾウで70年。ところがどちらも心臓は15億回ほど打つのだという。ゾウはゆっくりと心臓が動き、ハツカネズミの心臓はゾウの18倍速く打つということ。要はハツカネズミの心臓時計はもともと速く、ゾウのは遅い。我々は常に絶対時間を基準に考えて、ネズミは早死だなどと思っているが、もともとネズミの時間は我々の時間とは違って速く、ネズミにして見れば何も早死にしているわけではない。犬や猫しかりということなのだ。
これが人間となると40歳と少しで心臓の打つのが15億回に達する。かつ -