本川達雄のレビュー一覧
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絵とき ゾウの時間とネズミの時間
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試し読み
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Posted by ブクログ
生物(どちらかというとマイナーな種類)の仕組みの巧妙さを解き明かした本。
昆虫は軽くて硬いクチクラの発生が肝で、これで飛べるようになったし、水分を保持できるようになった。また変態は幼生時はふんだんにある葉を長期間にわたり食すことであまり動かず大きくなり、より効率的な蜜や花粉は、その短いピークに合わせて成虫となって翅を持って飛び回り摂取し、交尾を行い次の世代を生む。翅もその起源は不明だが、トンボのような筋肉を使って飛ぶものと蜂のようなクチクラの外骨格を振動させて細かく翅を動かすものがあり、後者は筋肉は振動に比べはるかに動かす回数が少ない省エネである。また虫は小さいので揚力が少なくその分羽ばたかなければならないのでこういう進化を遂げる必要があった。翅も含め小さければ風の影響は少ないし、的にも見つかりにくい。
人手が五角形なのは、食物が流れてくるのを待つには奇数の職種が効率的であるということらしい。花びらも虫をあらゆる方向からおびき寄せるには5角形が効率的ではないかという仮説。
貝が対数螺旋の形をしているのは、脱皮をしないで大きくなるにはどこを切っても相似形になる対数螺旋が効率的である。 -
Posted by ブクログ
本川達雄著「生物学的文明論」新潮新書(2011)
*今の世は、マネーが万事のお金の世。この貨幣経済の背景にあるのも、数学・物理学的発想です。つまり数学・物理学的発想が、この便利で豊かな社会を創り、同時に環境問題などの大問題を生み出しているというのが生物学で世の中を見る著者のスタンスです。
*珊瑚礁にはさまざまな生物がすんでいます。生物多様性が非常に高い場所です。面積では世界の海の「0.1%しか占めていませんが、海水魚の三分の一は珊瑚礁の種です。漁業でも、世界の漁獲高の10%を珊瑚礁が占めています。それだけ生物多様性が高い珊瑚礁なのですが今は世界でも四分の一だけが健全なもので、のこり四分の三は危機的状況にあります。
*生物多様性という言葉には「多」という形容詞が入っているが、多い事がいいことなんだ、だったらどれだけの多さが必要なのか、どれだけ減少したら問題になるのか、量の問題としてとらえたくなるかもしれませんが、そうではなく、多様だということはそれぞれの生物がかけがえない、質がみな違うのだと、質の問題としてとらえたほうが良いです。(1)多様性とは、つまりかけがえのない生物達が互いに関係を持ち合って複雑に絡み合ったシステムをつくっているものです。(2)また、多様な生物たちとつながっていなければ人間はいきていけない、そもそも生物は単独では生きて行けない。という考え方が大切です。
*質と量という話がありましたが、科学は基本的に質を扱わない物です。量だけで考える。すると数式が使えて極めて客観的に見える学問になってくる。経済学もそうです。すべてのものは同じ質であり、違いは多いか少ないかだけ。つまり価値をはかるモノサシはただ一本。すると量の多い方がより豊だ、より良いのだという価値観になりやすい。だからより幸せと思えばどんどん量を増やす。
*科学的発想の問題点はまだあります。科学は普遍性を大切にします。いつでもどこでもあてはまる法則、それが科学では重要です。ところが性粒は個別主義でご当地主義です。異なる環境ごとにそれに適応した異なる種がいます。そしてそういう種は、進化の長い歴史の産物なのであり、歴史には偶然がからんできます。だから多様な生物はそれぞれが特殊なのであって、普遍性を大切にする科学の目からみるとそんなものは重要性が低いと思われがちです。かけがえのないとは特殊だということです。長い歴史をもった特殊なもの、そういう物に価値があるという発想が、生物多様性を大切にする根底にあるものです。
*さらに科学について一言いえば、科学は世界を単純かして眺める物です。世界の構成要素も単純化し、要素間の関係も単純化します。科学が質を問わないのは、構成要素を単純化するためです。ところが生態系は、質の異なる非常に多くの生物達が相互に複雑な関係を結んで出来上がっている物です。
*科学の立場では、見る物と見られる物の間がきっぱりと分かれています。私という見る主体があり、見られる物という客体が別にあるのです。私という主体は、物たちの遥か上方から、いわば神様の視点で物と見て操作します。私と物との間には、距離がありますから、こちらが何をやってもやられた相手がやり返して来て、こっちが危険に陥るなんでことは考えなくてよい。こういうタイトに慣れてしまうと、自然に対して何をやっても自由だし安全だと考えがちになります。それが、自然から大きなしっぺ返しを受ける今のような自体をつくってしまいました。
*考えようによっては、企業と生物は良く似ている。生物とは生き残って子孫を増やすという目的を持ってエネルギーを使いながら、身体や群体という複雑なシステムを動かし維持している物です。そして企業だって、生き残って利益をあげるという目的をもって、エネルギーを使いながら複雑なシステムを動かし維持している物と言えるでしょう。つまり、生物も企業も「目的をもって、エネルギーを使って動いている複雑系」という点では同じとみなせます。だからそれらにおいて、システムのサイズとその構成員の活動度との間ににたような関係が見られても不思議ではないと思います。サイズの生物学は、人間のつくるシステムにもヒントを与えてくれそうです。
*政治や経済のいろいろなことがらについてアロメトリー式をつくってみると面白いと思います。GDPの四分の三乗に比例するもの、三分の二乗に比例する物などの例が出てくるでしょう。
*恒温動物は、エネルギーを投入することにより、即座に早く正確に動けるようにあんり、現在の反映に至っています。ただし、非常に多くのエネルギーを必要とします。一方で変温動物は逆です。つまり、同じもと出て高性能の機械を1台つくるか、それほどでもないものを何台もつくるかという選択です。どちらも選択してもちゃんと生き残っています。ただし、単純に肉の生産装置としてみるならば、変温動物のほうが効率が良いのは確かです。
*いろんなサイズのほ乳類で、心臓一泊分の時間をはかった人がおり、それによると「動物の時間は体重の4分の1乗に比例する」と一般化できそうです。象の時間、ネズミの時間というのがあります。体重の四分の一乗ですから、体重が10万倍違えば、時間は18倍違うという計算になります。象では時間がネズミよりも18台ゆっくりと進んでいるのかもしれません。
*心臓時計は、15億回で泊る。動物は、一呼吸の間にほぼ4回、脈をうちます。これは象でもネズミでも成り立ちます。こうすると、ネズミの寿命は2〜3年、インド象は70年近く生きる物です。時計の時間で比べれば、象は桁違いに長生きですが、一緒に心臓がうつ数はどちらも同じ15億回なのです。体重辺りのエネルギー消費量が、体重の四分の一に反比例している事実が有る結果、心臓一泊の時間をとり、これに体重辺りのエネルギー消費量を掛けると答えは2ジュール。つまり、生涯エネルギーは30億ジュール。一緒の間に、象もネズミも心臓は15億回うち、どちらも30億ジュールの仕事をして死ぬということになります。
*個体一生の時間は、一方向に流れて行き、もとに戻りません。でも世代交代という視点でみれは時間はくるくると回ってもとに戻ります。生物の時間には二面性があります。つまり、一回きりの個体の命、そして親から子へとずっと受け継がれて行く継続する命。
*動物においては、時間の測道と、体重辺りのエネルギー消費量とが比例しています。これを人に当てはめると、体重辺りのエネルギー量は、赤ん坊は非常い大きく、成長するに従って、20歳まで急速に減って行き、20歳を過ぎてからは緩やかに減り続けていきます。これは、子供の時間は早く、老人の時間はゆっくりだということを意味します。エネルギー消費量は、子供の2.5分の1ですから老人の時間は子供の時間の2.5倍ゆっくりだということになります。まてよ、年を取ってきたら、1日も一年も早くたつ。時間が早くなるんじゃないの?と思いますが。なぜ実感は逆になるのでしょうか?時間は、その中に入っているときとあとから振り返った時とでは、感覚が逆になるのではと思っている。
*広い意味での生殖活動。生物は子供を生んでなんぼというものです。子供を生んでずっと子孫が続いていく。そのようにできているのが生物です。身体も行動もそうできるようになっています。生物にとって、生殖活動がきわめて大きな意味を持ちます。ですので老後においてもそれは大切です。しかし、なまなましい生殖活動ができなくなるのが老いです。そこで直接的な生殖活動はできなくても、次世代のためにはたらくことを、これを広い意味での生殖活動ととらえる。これに老後の意味を見つけてきたい。具体的には、老人が子育てを支援し、若者が子育てを行いやすくする環境を整える。身体も脳も日々よく使い自立した生活をして老化をおくらせ、できるだけ次世代の足を引っ張らないようにする。年金があるのだから利益なしで世のために働く。儲からないから誰もやらないが本当は大切な仕事がたくさんあるはずだ。
*今の世は万事お金であり、お金を稼ぐために忙しくビジネスにいそしんでいます。なんでそうするのかに生物学的に応えれば、利己的遺伝子がそうさせているのです。うまいものをたべ、精力をつけ、格好つけてよい子を産みそうな相手をほれさせ、いい家に住んで安全に子を育てながら良い学校にいかせて自分の子孫の反映を図る。これらすべては、利己的遺伝子の欲求です。生殖活動を卒業したとは、このような利己的遺伝子の支配から解放されたことを意味します。だから定年後にまで利己的な価値観や、それから出てくる経済至上主義に縛られる事はないでしょう。つまり、定年後はそれまでとは時間が異なる事を認識する必要があります。ビジネスとはエネルギーを注ぎ込んで時間を早くして、金を儲ける事です。現代社会の時間が以上に速いのは、ビジネスの時間が基調となっているからです。ビジネスではもたもたしていれば負けてしまいます。心を滅ぼしてでも金を稼がなければいけないのが若いときです。でも定年後は、そんな忙しい時間につきあう必要はなくなるのです。人間らしい時間速度にもどれる定年後。この特権を利用しない手はないでしょう。 -
Posted by ブクログ
推薦理由:
1992年に出版されて大きな話題となり、今や必読書と言われている『ゾウの時間ネズミの時間』の著者が、生物学者の立場から述べた文明論であり、環境破壊や資源枯渇などの問題の解決策として、多様性を大切にする生物学的価値判断を提案している。
我々人間も生物のひとつであり、「私」を引き継いでいく子も孫も、自分の周りの環境もみな「私」の一部だと理解すれば、利己的な開発で地球環境を破壊する事はないはずだという言葉には納得させられる。
内容の紹介、感想など:
物質的に豊かな社会を築くために科学や技術を発展させてきた人類は、現在、環境破壊による生物多様性の損失や資源枯渇などの深刻な問題に直面している。これまでの文明は、全てを「量」で扱う数学、科学、経済学的発想にもとづいて、「量が多い=豊か」という価値判断で豊かさを追求してきたが、これからは、「様々な質がある=多様である=豊か」という基準で豊かさを判断する生物学的発想が必要である。
豊かな海を育んでいるサンゴの生態は、エコシステムの素晴らしさと生物多様性の重要性を教えてくれ、砂の上に転がっているだけのナマコの驚くべき生態は、多様な生物はそれぞれにかけがえの無い独自の個性を持つことを示してくれる。生物が基本的に円筒形である理由、生物には多くの水が含まれている理由など、興味深い話題も豊富に盛り込まれている。
そして、『ゾウの時間ネズミの時間』で述べられている「サイズの生物学」については、本書でも改めて述べられている。ネズミの寿命は3年、ゾウは70年。それでも、生涯で使うエネルギーは30億ジュールで同じであり、その一生に心臓が拍動するのは同じ15億回である。拍動も行動も素早いネズミとゆっくりのゾウは、それぞれ別の生物的時間を生きているという説明は、改めて読んでも大変興味深く、物事を色々な視点で見ることの大切さを教えてくれる。『ゾウの時間ネズミの時間』と合わせて是非読んで欲しい。 -
Posted by ブクログ
この20年ばかり本を読み終わって、その内容を忘れない様に「レビュー」と称して、本の中の気になったポイントを書き出す作業をしています。自分の言葉に置き換えないと意味がないという方もいらっしゃいますが、本の内容を着実に描くことで、後から見返して、それに対して自分の意見を持つことができるので、私はこの方法を続けていこうと思っています。
さて、この本は12年ほど前にレビューを書いたことになっていますが、初めて読んだのは、2005年位だったと記憶しています。本を読んで自分の「人生観」が変わったと思える記憶に残る本です。
以下は気になったポイントです。
・今日の日本が直面している大問題は、すべて時間の問題として捉えることができる、だから正しい時間の見方が必要、時間とエネルギーが関係し、時間がエネルギー消費量(酸素消費量)によって変わる(p13)
(コメント)各々の生物の時間が酸素消費量によって変わる
・一生の間に心臓の打つ回数は15億回、70年生きる象も1年で死ぬネズミも同じ15億回である(p14)
(コメント)これは衝撃的な事実でした、心臓打つ回数は同じ
・満員電車の中では、まわりの人は物とみなす(寝ている)と、人口密度はぐっと下がる、それにより、異常な時間や移動距離を感じなくて済む(p26)
(コメント)電車の中で、寝る、スマホに夢中になるは、ストレスがかかるのを防ぐためかな
・時間は決して不変ではなく、動物が違えば時間も変わる、時間はエネルギーと密接に関係している、これは生物的時間である(p28)ハツカネズミは1分間に600-700回心拍する、サイズの小さい動物は心周期は短く、サイズが大きくなるにつれて長くなる(p33)
・体重が2倍になると、時間が1.2倍長くなる、体重が10倍で1.8倍、これが1/4乗に比例する世界、これは殆どの動物の世界に当てはまる(p36、41)
(コメント)動物が違えば時間も変わる、凄い指摘です
・子供の時代は大人よりも心臓の動きが速い、大人になると時間が長くなる(p48)
・体重あたりのエネルギー消費量は、子供では高く、老いてくると減る、つまり、子供の時間は速く進み、大人の時間は遅い(p141)
・老人のほうが子供に比べてエネルギー消費量が1/2-1/3であり、時間は2-3倍ゆっくりである(p190)
(コメント)子供と大人と時間が異なる
・私たちは対数で世界を認識している、桁が違って(10倍になって)はじめて、これは本当に違うと感じる(p121)
(コメント)2倍ではなく10倍で違いを認識する
・江戸時代まで時間の進み方が変わる時計を使っていた、日の出と日没を基準としてその間を当分していたので、一刻の時間の長さが変わっていた(p139)
(コメント)不定時法、こちらが自然と生きる人間には合っているかも
・代謝速度を時間の速度と考えると、ヒトの1秒と、ネズミの0.15秒、ゾウの2.7秒が同じ重みである、ネズミの1時間はゾウの18時間、現代人の1日は縄文人の1か月になる、エネルギーをたくさん使って仕事したものの代謝時間は短く、逆も真である(p141)
(コメント)現代人の1日は縄文人の1か月になる、これを当てはめると、10年間の自分と現在はどうなるのだろうか
・意味のあるおまけの人生を送るには、1)時間の見方を変える、2)老人にも働く義務があることを考える(p222)
(コメント)働くことは大事
2012年3月10日作成 -
絵とき ゾウの時間とネズミの時間
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試し読み
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Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
多くの生物がそこに住み、互いに助け合って生きるサンゴの森。
エビ、ウニ、ナマコなど、さまざまな種類の生物が密接な協力関係のもとに暮らしている。
しかし多様性と共生がキー・ワードであったサンゴ礁が、危機に瀕している。
地球温暖化によって海水温が上昇し、共生を保てなくなったサンゴが死滅しつつあるのだ。
本書は、生物たちの絶妙な関係を紹介し、海を守るサンゴ礁のこれからを考える「自然の教室」である。
[ 目次 ]
1 教えて!サンゴ礁(サンゴに関するQ&A サンゴ礁に関するQ&A)
2 もっと!サンゴ礁(褐虫藻との共生 褐虫藻をもつさまざまな生物 サンゴの進化 サンゴを棲家とする動物たち 魚たちの共生 危機のサンゴ礁 サンゴ礁の保全)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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