本川達雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
なるほどーと、あたらしい発見があるうえにわかりやすくておもしろい。
▼簡単なメモ
【歩き方】爬虫類は横に張り出した手足を身体をくねらせることで動かし移動する。ほぼ魚と同じメカニズム。ちなみにすり足(ナンバ歩き)はこの歩き方。
【円柱】生物のパーツは円柱形のものが多い。
【大きさ】大きくなるほど表面積の率は低くなる。
【エネルギー消費量】人間が食べる食物の量は一日百二十一ワット。電気や天然ガスなどの形で使っているのは三千三百ワット。身体の時間は縄文時代から変わっていないのにエネルギー消費量は三十倍、要するに生活の時間は三十倍になっているギャップが現代の息苦しさ。またエネルギー消費量は体重の四分の一に反比例して減っていくという法則があり大きいものほどエネルギー消費量は減る。
【親子】生物学的には子と親は同一のもの。
【オルガニコン】生物の目的。アリストテレスが名づけた。
【拡大版生殖活動】子どもを産めない年齢になっても生き続けるために次代のたすけを行う。
【辛み】辛みを感じるのは味覚センサーではなくトリップチャネルという温度センサーなので触覚の部分。辛い=熱い。メントールやワサビもトリップチャネルが感じる。
【クチクラ】昆虫の殻。小さい羽虫は羽を筋肉で動かすのではなく羽がついたクチクラの箱の振動で飛ぶ。
【五弁の花】偶数だと花弁の示す方向が重なってしまい効率が悪いので多くの方向に対応するため奇数になったのではないかと。
【時間】アリストテレスによれば「時間とは前後に関しての変化の数」。生物のエネルギー消費量が固有の時間を定める。体内の化学変化の速度が生物的時間といえる。老人はエネルギー消費量が下がるので時間もゆっくりになるので若者とは異なる世界に存在する。東洋では循環する円としての時間だったが現代はキリスト教世界的な直線的な時間が世界を支配している。
【四足類/しそくるい】魚が進化して四足類となったわけだがその中では両生類がご先祖でそこからは虫類や哺乳類に進化した。
【島の規則】小さいエリアに隔離されると大きな動物は小型化が進み、小さな動物は大型化する。
【人口密度】人間の動物としての適正な人口密度は一キロ四方に一・四人。現在の日本平均の人口密度は一キロ四方に三百三十五人。人口密度から逆算すると人間の体重は一三四グラムでないといけないのでほぼドブネズミ並。東京は全国平均の二十倍の人口密度なので適正体重は五・三グラムでトガリネズミ並でないと苦しい。
【ゾーエー】ギリシャ語。動物園の語源。親から子へとずっと伝えられていく生命活動=遺伝子のことなので死なない。
【ナマコ】ナマコは超省エネ動物。エネルギーを使う器官をほとんど持っていない。毒と堅い皮を持ち砂(につくバクテリア)を食うので持つ必要がない。
【ビオス】生物個体のことなので死ぬ。バイオの語源。
【文明】硬いこと。速いこと。活動時間を増やすこと。恒環境。
【水】水の分子サイズだと本来沸点は摂氏マイナス八十度くらいだが水素結合のおかげで大きな分子のようになっており摂氏百度まで沸点が上がっている。温めにくく冷めにくいのも水素結合のおかげ。ゆえに水中の環境は変化しにくいという特徴がある。人間は体重の六割が水。赤ん坊では八割、老人では五割くらい。
【レジリン】ゴムのような弾性タンパク。ノミのジャンプやバッタの飛翔に使われる。 -
絵とき ゾウの時間とネズミの時間
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
動的平衡の隣においてあったから、切り口の違う話も読んでみようと思い手に取った。まさかナマコ研究者の本とは。笑
機能の継続性のための遺伝、環境の変化に対応するための有性生殖というのは納得感あった。ちょっとげんだい社会への批判はくどいかな。
ナマコは特殊に伸び縮みする皮によって、エネルギー消費が極端に少ないから餌を探すための脳もエネルギーを送る心臓もいらない
省エネになればなるほど皮が厚くなって美味しくなくなるから安全になる
エントロピー増大がある以上材料の継続は難しいから機能の継続を図るのでは?
しかも全く同じ機能の伝達では環境の変化に対応できないから有性生殖が発達したのでは?
大きいほど体積辺りの表面積が小さいからねつがたまりやすい。だから動きがのろい -
Posted by ブクログ
数学・物理学的発想が、便利で豊かな社会を作り、同時に環境問題などの大問題をも生み出している。しかも、問題は解決されないばかりかどんどん深刻化していく一方である。しかし、生物学的発想をすれば解決の糸口がつかめるのではないか、という視点で考えが進んでいく。
技術と便利さを追求する数学・物理学的発想よりも生物学的発想という提言や相対的な時間の考え方には納得させられる。やや哲学的ではあるが、生物の時間・寿命から、ヒトの人生に関する話には感心させられる。
生物の本質を理解し、生物学的発想で現代社会を見つめ直してみてはいかがだろうか。
(第2閲覧室 460.4||M) -
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 サンゴ礁と共生の世界~刺胞動物門
第2章 昆虫大成功の秘密~節足動物門
第3章 貝はなぜ螺旋なのか~軟体動物門
第4章 ヒトデはなぜ星形か~棘皮動物門Ⅰ
第5章 ナマコ天国~棘皮動物門Ⅱ
第6章 ホヤと群体生活~脊索動物門
第7章 四肢動物と陸上の生活~脊椎動物亜門
おわりに
<内容>
生物はなぜそんな形をしているのか?そこに視点を置いた記述による生物の本。よくわかる。基本は食べるためと外敵から身を守るため。各生物がそこに特化して、生き残るためにデザイン化されてきたのだ。「神が作った」と言っていいような素晴らしさ。そして、そこに関わるメカニズム(まさにメカニズム)は、我々がさらに科学技術を深化させるために必要な気がする。虫の翅の動かし方、虫のカラダ(キチン質のすばらしさと脱皮のつらさ)、ヒトデの五角形の秘密などなど。 -
Posted by ブクログ
さまざまな動物の世界を紹介するという本書。じゃあ、どんな動物が紹介されるのかというと、軟体動物とか棘皮動物などの海にいるグニャグニャした感じのものが多い。著者の専門領域がそっちの方だからのようで、あまり馴染みはないが、キャッチ結合組織という筋肉ではないが筋肉よりも効率的に強い力を発揮する組織の仕組みや役割など、興味深いものはある。ただ、いかに工夫された説明であっても、形状などでイメージが掴めないものや、細部にこだわらず流して読みたい部分もあった。
身近なもので興味深かったのは、昆虫の脱皮。特に、気門という呼吸器官の絶妙な仕組みと、それゆえに、脱皮のときに失敗するリスクということは初めて知った。今度、セミの抜け殻の内部をじっくり観察してみたい。 -
Posted by ブクログ
一〇月に名古屋で「生物多様性条約第10回締結国会議」(COP10)が開かれました。生物多様性の減少に、何とか手を打たなければ、という会議です。 現在、知られている種の数はほぼ一八〇万種。それが、毎日、約一〇〇種ずつ絶滅していっている。
多様だ、というのは質がいろいろあるということです。量はほどほどでいいから、質の違ったものがいろいろあることが豊かなのだと、豊かさの定義を変えればいい。
ごはん一膳で風呂二・五杯分の水が使われています。
生きものは丸くて角がなく、人工物は四角くて角張っています。なんで人間はこうも四角いものばかり作りたがるのだろうか
「便利」とは速くできることと言い替えられますから、結局、エネルギーを使って時間を速めるのが文明の利器なのですね。
体の時間は昔と何も変わっていないのに、社会生活の時間ばかりが桁違いに速くなっているのが今の社会です。つまりみんな疲れているんです。社会の時間に追いつこうとして、疲れ果てている。 -
Posted by ブクログ
代謝速度から時間を考えるのがおもしろい。体が小さいほど動きが速いが寿命が短く、大きいほど動きが遅いが寿命が長い。子供と大人の時間感覚も代謝速度で説明でき、昆虫の成虫の命も代謝時間で考えれば短くはないという。
動物の時間は体重の1/4乗に比例し、体重あたりの代謝量は、体重の1/4乗に反比例する。時間と比代謝率は反比例するので、速度と比代謝率は正比例する。細胞のサイズは動物のサイズによらないため、細胞単位でも大きい動物では代謝量が小さい。
成人男子の標準代謝量は73ワット、サラリーマンの食事のエネルギー量は121ワット。日本人ひとり当たりの外部エネルギーの消費量は5450ワット(2002年)。これを恒温動物の体重に逆算すると、ゾウなみになる。
ヒトサイズの動物の寿命は26歳。縄文時代から室町時代までは、15歳以上の平均寿命で30歳ほど、江戸時代で45歳。明治から戦前までの幼児を含む寿命は43〜47歳。縄文中期の日本の人口は50万人ほどだった。人口密度は1.3人/km2で、ヒトサイズの哺乳類の密度とほぼ一致していた。
変温動物は摂食エネルギーの30%が肉になるが、恒温動物では2.5%。 -
Posted by ブクログ
名著「ゾウの時間ネズミの時間」の著者による一冊。講演録五篇に手を入れたものだそうで、タイトルから受けるイメージとはちょっと違う内容のように思う。
著者がナマコの研究者だとは知らなかった。第一章はそのナマコの生態についてのお話で、正直ここはツライ。ちっとも活動しないナマコを見ているうちに生物の「時間」について考えるようになったそうだが、やはりそう言われてもあまり興味の湧くものではないなあ、ナマコって。
第二章以降は、いくつかの切り口で今の社会のあり方について語られている。すごく目新しいというわけではないが、なるほどなあと思われるくだりがあちこちにあって、面白く読んだ。「現代人は膨大なエネルギーを使って時間を速くしている」「好きなものだけを集めて世界を作れば、それはご都合主義のうすっぺらなものになり、当人もうすっぺらな存在になってしまう」などなど。若干説教臭が漂うけど、エラソーな感じはないところが良いです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者曰く「老眼、白髪、閉経。老いの兆候はみな40代から現れる。そして老いた動物は自然界にはいない。ちょっとでも衰えると、たちまち食われてしまうから。50歳以降の老いの時間は本来存在しないもので、医療技術などにより人為的につくられたもの。だからこれはおまけの人生」と。そんな風にも言えるかもしれませんが、なんだかネガティブで夢のない考え方だと思いました。(^-^)
「ゾウの時間 ネズミの時間」は大変興味深い本でした。その著者、本川達雄氏「おまけの人生」、2005.6発行。海鼠(なまこ)の如く、生きものに学ぶ、道元の時間の3部構成です。生物に関すること、生物学に関すること、そして著者の人生観が語られています。 -
Posted by ブクログ
環境問題や資源・エネルギー問題、超高齢化社会といった、現代文明が直面している問題を、生物学者の視点から考えたエッセイです。
著者は、現代文明の背後には数学・物理学的発想があると主張し、それが現在の私たちの豊かな生活を可能にする一方、さまざまな深刻な問題を引き起こしていると言います。そして、数学・物理学的発想一本槍で進むのではなく、生物学的な発想を取り入れることが、これらの問題の解決の緒を与えてくれるのではないかと論じられます。
著者の考える生物学的発想とは、生物多様性や生態学的条件などを考慮するということを意味しており、その文明批判は養老孟司の「脳化社会」批判を思わせます。 -
Posted by ブクログ
筆者は、生物多様性に関しては全くの素人である、と冒頭にことわっている。では何をやっている人かというと、生物学者であるという。生物学者なら生物多様性もお手の物であろうと思うのだが、この世界ではそうではないらしい。筆者の専門は動物生理学で、主にナマコの皮の硬さの研究をやっているのだそうだ。
しかしながら生物学者であるがゆえに、特に2010年のCOP10前後には生物多様性についての講演依頼を、あちこちから受けている。本書はその時の講演内容をもとにまとめられたものである。
新書版ながら改行の少ない文章なので、内容は相当なボリューム。一般的な生物多様性の話に加えて、ダーウィンの進化論やメンデルの遺伝の法則といったあたりの説明もけっこうな紙面を割いている。ただ残念ながら、最後の方になると、ちょっと観念的な領域に足を踏み入れてしまっている。副題は<「私」から考える進化・遺伝・生態系>。