本川達雄のレビュー一覧
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動的平衡の隣においてあったから、切り口の違う話も読んでみようと思い手に取った。まさかナマコ研究者の本とは。笑
機能の継続性のための遺伝、環境の変化に対応するための有性生殖というのは納得感あった。ちょっとげんだい社会への批判はくどいかな。
ナマコは特殊に伸び縮みする皮によって、エネルギー消費が極端に少ないから餌を探すための脳もエネルギーを送る心臓もいらない
省エネになればなるほど皮が厚くなって美味しくなくなるから安全になる
エントロピー増大がある以上材料の継続は難しいから機能の継続を図るのでは?
しかも全く同じ機能の伝達では環境の変化に対応できないから有性生殖が発達したのでは?
大きいほど体 -
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数学・物理学的発想が、便利で豊かな社会を作り、同時に環境問題などの大問題をも生み出している。しかも、問題は解決されないばかりかどんどん深刻化していく一方である。しかし、生物学的発想をすれば解決の糸口がつかめるのではないか、という視点で考えが進んでいく。
技術と便利さを追求する数学・物理学的発想よりも生物学的発想という提言や相対的な時間の考え方には納得させられる。やや哲学的ではあるが、生物の時間・寿命から、ヒトの人生に関する話には感心させられる。
生物の本質を理解し、生物学的発想で現代社会を見つめ直してみてはいかがだろうか。
(第2閲覧室 460.4||M) -
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<目次>
はじめに
第1章 サンゴ礁と共生の世界~刺胞動物門
第2章 昆虫大成功の秘密~節足動物門
第3章 貝はなぜ螺旋なのか~軟体動物門
第4章 ヒトデはなぜ星形か~棘皮動物門Ⅰ
第5章 ナマコ天国~棘皮動物門Ⅱ
第6章 ホヤと群体生活~脊索動物門
第7章 四肢動物と陸上の生活~脊椎動物亜門
おわりに
<内容>
生物はなぜそんな形をしているのか?そこに視点を置いた記述による生物の本。よくわかる。基本は食べるためと外敵から身を守るため。各生物がそこに特化して、生き残るためにデザイン化されてきたのだ。「神が作った」と言っていいような素晴らしさ。そして、そこに関わるメカニズム(まさ -
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さまざまな動物の世界を紹介するという本書。じゃあ、どんな動物が紹介されるのかというと、軟体動物とか棘皮動物などの海にいるグニャグニャした感じのものが多い。著者の専門領域がそっちの方だからのようで、あまり馴染みはないが、キャッチ結合組織という筋肉ではないが筋肉よりも効率的に強い力を発揮する組織の仕組みや役割など、興味深いものはある。ただ、いかに工夫された説明であっても、形状などでイメージが掴めないものや、細部にこだわらず流して読みたい部分もあった。
身近なもので興味深かったのは、昆虫の脱皮。特に、気門という呼吸器官の絶妙な仕組みと、それゆえに、脱皮のときに失敗するリスクということは初めて知った。 -
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一〇月に名古屋で「生物多様性条約第10回締結国会議」(COP10)が開かれました。生物多様性の減少に、何とか手を打たなければ、という会議です。 現在、知られている種の数はほぼ一八〇万種。それが、毎日、約一〇〇種ずつ絶滅していっている。
多様だ、というのは質がいろいろあるということです。量はほどほどでいいから、質の違ったものがいろいろあることが豊かなのだと、豊かさの定義を変えればいい。
ごはん一膳で風呂二・五杯分の水が使われています。
生きものは丸くて角がなく、人工物は四角くて角張っています。なんで人間はこうも四角いものばかり作りたがるのだろうか
「便利」とは速くできることと言い替え -
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代謝速度から時間を考えるのがおもしろい。体が小さいほど動きが速いが寿命が短く、大きいほど動きが遅いが寿命が長い。子供と大人の時間感覚も代謝速度で説明でき、昆虫の成虫の命も代謝時間で考えれば短くはないという。
動物の時間は体重の1/4乗に比例し、体重あたりの代謝量は、体重の1/4乗に反比例する。時間と比代謝率は反比例するので、速度と比代謝率は正比例する。細胞のサイズは動物のサイズによらないため、細胞単位でも大きい動物では代謝量が小さい。
成人男子の標準代謝量は73ワット、サラリーマンの食事のエネルギー量は121ワット。日本人ひとり当たりの外部エネルギーの消費量は5450ワット(2002年)。 -
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名著「ゾウの時間ネズミの時間」の著者による一冊。講演録五篇に手を入れたものだそうで、タイトルから受けるイメージとはちょっと違う内容のように思う。
著者がナマコの研究者だとは知らなかった。第一章はそのナマコの生態についてのお話で、正直ここはツライ。ちっとも活動しないナマコを見ているうちに生物の「時間」について考えるようになったそうだが、やはりそう言われてもあまり興味の湧くものではないなあ、ナマコって。
第二章以降は、いくつかの切り口で今の社会のあり方について語られている。すごく目新しいというわけではないが、なるほどなあと思われるくだりがあちこちにあって、面白く読んだ。「現代人は膨大なエネルギ -
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ネタバレ著者曰く「老眼、白髪、閉経。老いの兆候はみな40代から現れる。そして老いた動物は自然界にはいない。ちょっとでも衰えると、たちまち食われてしまうから。50歳以降の老いの時間は本来存在しないもので、医療技術などにより人為的につくられたもの。だからこれはおまけの人生」と。そんな風にも言えるかもしれませんが、なんだかネガティブで夢のない考え方だと思いました。(^-^)
「ゾウの時間 ネズミの時間」は大変興味深い本でした。その著者、本川達雄氏「おまけの人生」、2005.6発行。海鼠(なまこ)の如く、生きものに学ぶ、道元の時間の3部構成です。生物に関すること、生物学に関すること、そして著者の人生観が語 -
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環境問題や資源・エネルギー問題、超高齢化社会といった、現代文明が直面している問題を、生物学者の視点から考えたエッセイです。
著者は、現代文明の背後には数学・物理学的発想があると主張し、それが現在の私たちの豊かな生活を可能にする一方、さまざまな深刻な問題を引き起こしていると言います。そして、数学・物理学的発想一本槍で進むのではなく、生物学的な発想を取り入れることが、これらの問題の解決の緒を与えてくれるのではないかと論じられます。
著者の考える生物学的発想とは、生物多様性や生態学的条件などを考慮するということを意味しており、その文明批判は養老孟司の「脳化社会」批判を思わせます。 -
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筆者は、生物多様性に関しては全くの素人である、と冒頭にことわっている。では何をやっている人かというと、生物学者であるという。生物学者なら生物多様性もお手の物であろうと思うのだが、この世界ではそうではないらしい。筆者の専門は動物生理学で、主にナマコの皮の硬さの研究をやっているのだそうだ。
しかしながら生物学者であるがゆえに、特に2010年のCOP10前後には生物多様性についての講演依頼を、あちこちから受けている。本書はその時の講演内容をもとにまとめられたものである。
新書版ながら改行の少ない文章なので、内容は相当なボリューム。一般的な生物多様性の話に加えて、ダーウィンの進化論やメンデルの遺伝の法 -
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続・サンゴについて知らなければいけない状況に追い込まれたので手に取りました(謎)
サンゴ本2冊目。何故そんな状況なのは僕に会った時にでも聞いて下さい。ある目的があって読んでいるわけですが、何かヒントがあるのではないか…というしがみつくような感じです。ちなみに関連でまったく違うジャンルの本も買ってるんですが。
本書は、多少の図はあるものの基本的に文字です。名称が沢山出てきてカタカナが多く、日本の神様とか古事記関連の本を読んでる時の感覚になりました。
本書を読みながら宮古島でシュノケールした時のことを思い出していました。その時はサンゴが何に分類される生物なのかもしらず、あの塊?郡?の中はそんな -
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とても面白い。
本書のなかの色々な箇所が示唆に富んでおり、その部分部分を抜き出して紹介することは難しい(全文引用になってしまう)。
はじめにに書かれているように、現代社会は数学・物理学の考え方をベースに築かれており、そこに生じる環境問題その他山積する問題を、数学・物理学的発想を元に解決しようとするから、いつまでたってもうまくいかないのではないか?本書では、生物学者である筆者が、生物学的視点から現代社会を分析している。実に面白い。
生物学的に見れば、次世代を育て上げたり、次世代を作れなくなった親は、存在価値がなくなるのではないか?無駄に生き残った老人は、社会の財をこれからの存在である子供たちと奪