あらすじ
ハチは、硬軟自在の「クチクラ」という素材をバネにして、一秒間に数百回も羽ばたくことができる。アサリは天敵から攻撃を受けると、通常の筋肉より25倍も強い力を何時間でも出し続けられる「キャッチ筋」を使って殻を閉ざす――。いきものの体のつくりは、かたちも大きさも千差万別。バッタの跳躍、クラゲの毒針、ウシの反芻など、進化の過程で姿を変え、武器を身につけたいきものたちの、巧みな生存戦略に迫る。
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ものすごく勉強になりました。
勉強というほど硬くなく、楽しく一気に読めちゃう感じで、親しみながら学べた本でした。
初めて知る事がほとんどで、私のような基礎のキも身に付けていない身からすると、新発見の連続で驚き続け読み終わりました。
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本川達雄先生、「ゾウの時間 ネズミの時間」は面白くて、かつとても啓蒙された本でした。「ウニはすごい バッタもすごい」(2017.2)もすごい本です。専門的でありながら、ぐいぐい引き付けられます。動物の種は約130万種、脊椎動物は6万種で、大半の動物は無脊椎動物。動物はその体の構造(デザイン)によって34の門に分類されるそうです。この本は、その34の門のうち、刺胞動物(サンゴなど)、節足動物(昆虫、甲殻類など)、軟体動物(貝など)、棘皮動物(ヒトデ、ナマコなど)、脊索動物(ホヤなど)の5つの門について、書かれています。なお、脊索動物門の中の一群が脊椎動物だそうです。節足動物門ひとつをとってみてもすごいですね。三葉虫、エビ・カニ、昆虫、ムカデ・ヤスデ、カブトガニ・クモ・サソリなど。昆虫の体、すごいです。その骨格・関節、飛翔力と跳躍力、気管、体のサイズ、花を咲かせる植物との共生、脱皮・変態(幼虫、成虫、二つの時代の使い分け)などなど。
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ウニとバッタがどうつながるのか?
読む前は、なっちゅうタイトル?って思ったけど、
体の作りから、進化をからめて、内容の濃い面白い本だった。
専門知識がなくても気軽に読める。
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その昔読んだ「ゾウの時間 ネズミの時間」の著者が出した本がまた話題だっていうので読んでみた。
我々哺乳類が一番だと思っていたけれど、いきものみんなそれぞれの環境で生きていくように形も大きさも違うんだなぁと改めて認識。
五角形っていうか五芒星の形の最強性にも驚いた。
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生物(どちらかというとマイナーな種類)の仕組みの巧妙さを解き明かした本。
昆虫は軽くて硬いクチクラの発生が肝で、これで飛べるようになったし、水分を保持できるようになった。また変態は幼生時はふんだんにある葉を長期間にわたり食すことであまり動かず大きくなり、より効率的な蜜や花粉は、その短いピークに合わせて成虫となって翅を持って飛び回り摂取し、交尾を行い次の世代を生む。翅もその起源は不明だが、トンボのような筋肉を使って飛ぶものと蜂のようなクチクラの外骨格を振動させて細かく翅を動かすものがあり、後者は筋肉は振動に比べはるかに動かす回数が少ない省エネである。また虫は小さいので揚力が少なくその分羽ばたかなければならないのでこういう進化を遂げる必要があった。翅も含め小さければ風の影響は少ないし、的にも見つかりにくい。
人手が五角形なのは、食物が流れてくるのを待つには奇数の職種が効率的であるということらしい。花びらも虫をあらゆる方向からおびき寄せるには5角形が効率的ではないかという仮説。
貝が対数螺旋の形をしているのは、脱皮をしないで大きくなるにはどこを切っても相似形になる対数螺旋が効率的である。
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2017/4/15 ジュンク堂書店三宮駅前店にて購入。
2018/7/2〜7/9
歌う生物学者として有名な本川先生の本。なんと今回は楽譜まで付いている!
内容は刺胞動物門、節足動物門、軟体動物門、棘皮動物門、脊索動物門の5つの門を取り上げ、進化と動物の形に注目している。いやいや、面白いなぁ。高校生くらいのときにこういうの読んでいたら、自分の進路も変わっていたかも。
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色々な動物群の体の構造がどのように発達しているか、すごく分かりやすかったし興味深かった。こんなに広く色々な動物群をカバーしている本はあまりない気がするので面白かった。それぞれが固有に特有の進化をしてきたことが感じられる。
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サンゴ礁
全海洋面積の0.2%に海水魚類の1/3、全海洋生物の1/4がいる 生物生産性100倍
熱帯、浅い、岩場 =安定した環境
石灰岩のサンゴの中で褐虫藻が光合成し、CO2や排泄物の窒素、リン酸を受取る
粘液が体を覆う バクテリアが食べ、食物連鎖
温暖化により褐虫藻の活性酸素が増え、藻が減り、サンゴが白化=死滅
昆虫
動物の7割、生物の5割、個体数も一番多い
クチクラ(=キューティクル)
表皮細胞から生成された三層構造の薄くて硬い死んだ膜
べニヤ板構造+キノン硬貨(キノンによる架橋)=タンニング 黒いほど硬い
関節部はキノン硬化が少なくなっていて曲がりやすいが一体
羽
トンボなど 古い昆虫は 直接筋肉で羽ばたくので30Hzほど
ハチ、蚊などは 筋肉バネで張られたクチクラ共鳴箱が最大1000Hzで振動する
気管
拡散で 酸素を(哺乳類の血液より)早く筋肉に送り込むシステム
毛細器官の直径0.2μ 酸素分子の平均自由工程の2倍、酸素は通るが水は通らない
乾燥した陸上で活発に活動できる小さな生物は昆虫のみ
小さいと多くなれる 被子植物と共生
レジリン ノミのバネ力
強弾性タンパク質 弾性エネルギーの97%が位置エネルギーに変換
ためたバネ力を一気に解除して身長の200倍飛びあがる
完全変態 昆虫の83% 生物で最も多い種
幼虫はたくさんある葉を長い時間をかけて食べる
花と蝶の命は短い
棘皮動物 ヒトデ
良く動く動物は 一方向にに配慮した細長く左右対称形状
動かない生物は 環境に均等に向き合う放射形状
5角形は水流の陰になる腕が少ない、3は陰にならないが腕の数が少ない
花びらは5枚が多い
滑走路としての花びらは1本あたり2方向に使えるが、偶数では半分無駄になる
3では少なすぎるから5になる 多すぎると線が見えにくくなる
ユリは6に見えるが実は3枚は萼
骨片が筋肉でつながった骨格
穴だらけ ステレオム構造 内骨格 割れにくい 壊れにくい 直す機構を含む
キャッチ結合組織(皮膚や靱帯相当)が硬さ調整 筋肉の1/10のエネルギーで維持
柔らかくなるには10倍のエネルギー
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無脊椎動物から脊椎動物の体の仕組みを詳しく解説している。ヒトデ、ナマコ、ほやなど無脊椎動物の説明に多くの紙面を割いており、脊椎動物との違いがとても興味深い。
動物の筋肉はカルシウムイオンの発生で伸び縮みするので時間がかかるが、ハチなどの昆虫はばね振り子の原理で振動するので高速で羽ばたくことができる。
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「ゾウの時間、ネズミの時間」を呼んだ次にすぐ読みたい。著者が長年研究してきた無脊椎動物について存分に堪能してほしい。
あの小さい身体に、人間にはない機構がたくさんあると思うとステキだろう?
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地球上の生物は如何に分類され、それぞれの生物はどのような戦略で最適化されているのか。
生物に本当に本質的な能力は何で、それを得るために本当に必然的な機能は何かについて一歩下がった広い視野での知見を与えてくれる。
特に生存戦略と密接に繋がった体の構造のそれぞれの優位性や特徴など。
トンボの羽ばたきは各ストロークが神経でコントロールされているが、
ハチや蚊などの羽ばたきはバネのような機構で動いており、連続した運動としてコントロールされている。
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クチクラの素晴らしさがよく分かった。原クチクラをタンニングすると水分が抜けて硬くなる。キノン硬化。蛋白質同士の橋架が行われる。クチクラは初め白くしなやかだがタンニングによって茶色→黒と強度が増してくる。軽量なので昆虫の羽にもなっている。
水分の蒸発を抑える事が陸上の昆虫の課題で、気管を別に作ったり、クチクラで外骨格を作った。小さな生き物ほど体表面からの蒸発が多い。
脱皮をしなければ大きくなれないが、リスクは大きい。気管の1つでも引っかかってクチクラが脱げなければ、脱皮の最中に死んでしまう。
動物の中で1番種類の多いのは昆虫。全動物の7割以上。生物全体でみても昆虫が半数を占めている。
昆虫の変態は完全変態(バッタなど)と不完全変態(チョウなど)の2種類で、不完全変態が進化的には新しいもの。そして昆虫の83%を占めている。
花と蝶。幼虫の餌は葉など消化に時間と労力を伴うがいつでもあるもの、体も腸が長く重くても良い。反対に成虫は限られた時期にしかない少量の花の蜜、燃料として吸収が良く飛ぶのに使うエネルギーとして軽くて便利良い。
ナマコは殻も骨も持たないが、真皮が分厚く、その中に微細に砕いた骨をいれ、すり減らないようにしている。また、強度を3種類設定でき、1番柔らかい時は引っ張られれば引っ張られるだけ、伸びて千切れたり溶けたりする事もできる。
棘皮動物のキャッチ靭帯。疲れを知らない筋肉。柔らかくなる時に通常の10倍エネルギーを使うが硬くなる時は通常の1.5倍。中でもキャッチ結合組織は更に利点が多い。
脳、心臓(血管系)、肺、目もない。代わりに半分にすればナマコは2つに分かれるし、1つの腕から5本足を再生するヒトデもいる。
動かない生き物は奇数の花弁などを持つ物が多く、動く生き物は割り切れる偶数の足などを持つ物が多い。
三角形と五角形を繋ぎ合わせれば、球体に近い物体ができる。
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「デザインの生物学」と銘打ち、様々な動物、特に無脊椎動物の体のつくりの違いを中心に、多彩な動物たちの世界を紹介。代表的な5つの門(刺胞動物門(サンゴなど)、節足動物門(昆虫など)、軟体動物門(貝、タコ、イカなど)、棘皮動物門(ヒトデ、ウニ、ナマコなど)、脊索動物門(ホヤなど)、脊椎動物亜門(魚、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)を取り上げている。
進化の先にいる哺乳類がもっとも優れているというわけではなく、どの動物たちも他とは異なる工夫された体のつくりをもち、他とは異なる生き方をしながらそれぞれに繁栄しているということがよく理解できた。まさに、みんな違ってみんないい、という感じだ。「造礁サンゴは体内に藻を住まわせ共生している」「昆虫の体を覆うクチクラは軽量かつ丈夫できわめて高性能」「ヒトデなどの棘皮動物には脳も心臓もない」など、個々の動物たちのエピソードもとても興味深かった。非常に知的に面白い1冊だった。
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『ゾウの時間、ネズミの時間』はおもしろかった。あれから25年経っていると。今回は、ウニも、バッタも、ホヤも、ヒトデもいろいろと登場する。なるほどなあと思うことが多く、生き物を見る目がちょっと変わるかも。
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昨年あたりからのストレス解消は、およそ仕事にも生活にも関係ない、どうでもいい知識を仕入れて悦に入ること。誰かに話すこともせず、「なるほど、すごいな」と思うだけで満足しています。
という意味では、この本は最高の時間を与えてくれました。著者は歌う動物生理学者の本川達雄さん。「ゾウの時間 ネズミの時間」の中で「ゾウさんもネコもネズミも心臓はドッキンドッキンドッキンと20億回打って止まる」と忘れられない歌を作詞作曲しています。
現在、知られている動物の種の数はおよそ130万、その95%が背骨を持たない無脊椎動物。本書はサンゴ礁、昆虫、貝、ヒトデ、ナマコ、ホヤなどを取り上げ、なぜ今のようなデザイン、機能を得るようになったのかを説明します。
面白いと思ったのは、昆虫は筋肉とクチクラという素材をバネに、羽という錘をつけてバネ振り子を構成。最初にちょっとだけ筋肉を収縮させてやれば、あとは自動的に羽の上下振動を繰り返すという話。貝殻の対数ラセンの話。体中に不味く感じさせる物資を持ったウミウシの話。ヒトデが星型(五放射相称)となった誰もが納得できる理由などなど。
圧巻は、ナマコの話。
ナマコの皮はキャッチ結合という組織により少ないエネルギーで長時間硬くすることが出来ます。「毒を備えており、捕食者の心配はほとんどない」。「動くといっても、砂を食べる場所を少々移動するくらい。そのための筋肉はごくわずかでかまわない。おかげで筋肉が少なくなり、体の大部分は身を守る皮ばかり。そんなもの、食べても栄養にならないから」「ますますナマコは安全になる」。そして著者は、そのような環境を「ナマコ天国」と名付けます。
最近、ジャカルタの都心に水族館が出来ました。タッチコーナーなるものがあり、サメの赤ちゃん、ウミウシ、ヒトデ、小型の熱帯魚に触れることができます。ナマコがいたので手で包んでみました。なるほど、幸せそうでした(笑)。
本書は再読に値する本と思います。著者の作詞作曲した楽譜も十分楽しめます。動物生理の学術書ですが、読書が娯楽であることを認識させてくれる新書らしい新書です。お勧めの★★★★。
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多様な生物(群)の身体の構造・仕組みに注目した記述。生物学の基礎に、化学、物理学があることがよく分かる。
専門用語が多いのと対象がマニアックすぎるのが玉に瑕だが、昆虫や群体、人間・哺乳類についての解説は面白かった。
生物の仕組みに学び、現実に応用ができるならば、この分野(バイオミメティクス)はとてもエキサイティングだ。かつて上野の科学博物館で、昆虫の知恵を応用するみたいな企画あったなー。
Posted by ブクログ
地球上の生物のなかでも、特に無脊椎動物について、その生態を詳細に解説している。
内容はとても興味深いのだが、見慣れない単語ばかりなので、その都度思考が停止してしまった。
「刺胞」「原腸胚」「穿孔性」「渦鞭毛藻」「管足」「飛翔筋」「背縦走筋」「無翅類」「外套膜」……など他にの多数の専門用語。
字面から意味を想像して、なんとか読み進めた。
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各種の動物(刺胞動物、節足動物、軟体動物、棘皮動物、脊索動物、脊椎動物)について熱く語る本
ウニについてはかなり熱く語っているが、実はバッタについての記述はそれほど多くない。
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what a revolutionary world! every creature fantastic! bugs fail in taking of their shell and dies.
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<目次>
はじめに
第1章 サンゴ礁と共生の世界~刺胞動物門
第2章 昆虫大成功の秘密~節足動物門
第3章 貝はなぜ螺旋なのか~軟体動物門
第4章 ヒトデはなぜ星形か~棘皮動物門Ⅰ
第5章 ナマコ天国~棘皮動物門Ⅱ
第6章 ホヤと群体生活~脊索動物門
第7章 四肢動物と陸上の生活~脊椎動物亜門
おわりに
<内容>
生物はなぜそんな形をしているのか?そこに視点を置いた記述による生物の本。よくわかる。基本は食べるためと外敵から身を守るため。各生物がそこに特化して、生き残るためにデザイン化されてきたのだ。「神が作った」と言っていいような素晴らしさ。そして、そこに関わるメカニズム(まさにメカニズム)は、我々がさらに科学技術を深化させるために必要な気がする。虫の翅の動かし方、虫のカラダ(キチン質のすばらしさと脱皮のつらさ)、ヒトデの五角形の秘密などなど。
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さまざまな動物の世界を紹介するという本書。じゃあ、どんな動物が紹介されるのかというと、軟体動物とか棘皮動物などの海にいるグニャグニャした感じのものが多い。著者の専門領域がそっちの方だからのようで、あまり馴染みはないが、キャッチ結合組織という筋肉ではないが筋肉よりも効率的に強い力を発揮する組織の仕組みや役割など、興味深いものはある。ただ、いかに工夫された説明であっても、形状などでイメージが掴めないものや、細部にこだわらず流して読みたい部分もあった。
身近なもので興味深かったのは、昆虫の脱皮。特に、気門という呼吸器官の絶妙な仕組みと、それゆえに、脱皮のときに失敗するリスクということは初めて知った。今度、セミの抜け殻の内部をじっくり観察してみたい。