【感想・ネタバレ】ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学のレビュー

あらすじ

動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。

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Posted by ブクログ

動物のエネルギー消費量や行動範囲などのさまざまなデータと体重を両対数グラフで比較するとほぼ例外なく綺麗な関係性が導かれるという面白い原理を紹介してくれる本。
大きい哺乳類と小さい哺乳類の利点と欠点、進化の先にいる動物と手前にいる動物の利点と欠点、それぞれの特徴が強みと弱みの両面を持っているからこそ、今の地球上でどちらも淘汰されずに生物の多様性が保たれている。
動物学の師匠の本のユーモアにリスペクトを捧げ、その師匠に実際に会って「サイズの研究をする人間は背丈もサイズがでかいと思った」と書くように、この本にもその師匠のユーモアが継承されている。「島に隔離されるとサイズの大きい動物は小さくなりサイズの小さい動物は大きくなるという島の規則が人間にも当てまりそう」など、事実以外の感想の部分も面白い。
体重との比較の話題の次は、微生物の体の機能とサイズの関係。微生物のサイズによって消化器、呼吸器といった機能が複雑化していく理由が、物理化学的な境界によって分かれているというはなし。
その次は植物についての論。全く違うように思える植物と動物の細胞の違いと構造の違いを、木造の建物とレンガ積みの建物で同じ土俵の上で比較できるというのは納得だった。
最後は昆虫とサンゴやウニのような動物の特殊な体の構造について。どの動物も「外敵や外乱から身を守るために、何かを犠牲にしつつ武器を苦心して獲得している優秀な設計者である」というような見方に変わった。

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2025年09月04日

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「時間は均等ではなく、生き物のサイズに応じた心拍で異なる」という視点を知った時は強烈なインパクトだった。
「なぜ車輪生物はいないのか」など身近な疑問から始まり、生き物の身体がどれも合理的に進化してきたことを知ると、生命の戦略的な進化が垣間見れて面白い。

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2024年12月10日

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体のサイズや形態から、その生き物の時間、あり方を考えると、サイズ対比ではどんな生き物にも概ね同じ法則が当てはまるというのは、とても興味深いこと。進化はやはり奥が深い。この法則に基づいてヒトやその技術を相対化すると、自然の道から外れてるなぁ、と思う。

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2024年04月08日

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様々な動物についてサイズをベースに進化、エネルギー消費量、食事量、生息密度、行動圏などを考察し、走る、飛ぶ、泳ぐという行動とサイズの関係、さらには動物の各器官とサイズの関係、細胞とサイズの関係などなど広範囲に渡って興味深い論考が満載の好著だ.説明の図表のほとんどが両対数グラフであるのが特徴だと感じた.あまり見かけない図表だが、非常に便利なものだと理解している.植物への展開もあり、さらには棘皮(きょくひ)動物まで考察しており、著者の類まれなる好奇心の一端に触れることが出来たと喜んでいるところだ.

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2023年10月09日

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生物のサイズに着目して、種の違いを貫く法則を見出し、そのデザインや生き方に迫っていく本。サイズと時間の関係が生き物への相対的な視点をもたらしてくれます。

楽しそうにどんどん拡がっていく筆者の発想にワクワクし、対数を用いたアロメトリーには感動さえしました。付録の計算も面白いです。各章読み応えがありましたが、第11章「細胞のサイズと生物の建築法」が特に好きです。

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2023年03月06日

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サイズと、それに伴った動物それぞれの時間感覚の話も当然面白いが、後半にかけて語られるサイズに関連した動物デザインの話(研究考察含む)も面白かった。
何気なく見てきた昆虫や棘皮動物の構造に自然な理由が考察できるなんて、とても面白い。
個人的にはあとがきも秀逸であったと思う。サイズと、動物を考えてきた筆者だからこそのメッセージ性があり、歌詞のように心に響いた。大切なのは等身大でいること、なのかもしれない。

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2022年01月03日

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ところどころ数式が頭に入ってこなかったが、普段考えることのない生物の不思議や体の構造の奇跡について考えることができた。
個々の生物に目を向ける中で、少し大げさだけど、世界には人間だけが生きている訳ではなく、いかなる生命も尊いと思えた。

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2025年07月03日

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生物は、その大きさにより、体感時間が変わる。
時間は体重の1/4乗に比例する。体重が増えると時間は長くなる。寿命を心臓の鼓動時間で割ると、哺乳類ではどの動物でも、一生の間に心臓は20億回打つという計算になる。寿命を呼吸する時間で割れば、一生の間に約5億回。これも哺乳類なら、体のサイズによらず、ほぼ同じ値。

物理的時間で測れば、ゾウはネズミより、ずっと長生きである。ネズミは数年しか生きないが、ゾウは100年近い寿命をもつ。しかし、もし心臓の拍動を時計として考えるならば、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになる。

子供の頃の一年が充実して長く感じたが、大人になるにつれて、あっという間だ。経験が増えるにつれ、目新しさがなくなっていくからだと思っていたが、それだけが理由ではなさそうだ。

この他にも、生物に関する様々な原理が明かされる。例えば、体温が一定である大きな利点として、化学反応の速度が高温だと速くなるため、鳥類や哺乳類では、体温を高く保つことで速い運動を可能にするなど。あるいは「島の規則」。島国という環境では、エリートのサイズは小さくなり、ずばぬけた巨人と呼び得る人物は出てきにくい。逆に小さい方、つまり庶民のスケールは大きくなり、知的レベルはきわめて高い。「島の規則」は人間にもあてはまりそうだと。大陸に住んでいれば、とてつもないことを考えたり、常識はずれのことをやることも可能だろう。まわりから白い目で見られたら、よそに逃げていけばいいのだから。島ではそうはいかない。出る釘は、ほんのちょっと出ても、打たれてしまう。だから大陸ではとんでもない思想が生まれ、また、それらに負けない強靭な大思想が育っていく。

昔からタイトルのみ見知っていて、気になりながら読んでいなかった本だったが、期待した通りの面白さだった。

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2024年12月13日

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この地球に住んでいる生物は、ただそこに生きている存在としてしか認識していなかったけど、色んな戦略を立てながら生きていたんだなあ、と

昆虫がなぜ小さいか、昆虫が大きくなるとどうなるか、体が大きいとは、は結構面白かった

ただ、時間に関係する所は難しくてよく分からなかった
心拍数が関係するってのは分かったけど、それだけじゃないらしい、、、
とにかく体の大きさで体感する時間が違うってなんか不思議な感覚

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2024年08月07日

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1992年初版発行でかなり古いんだけど、新鮮に面白かった。
たぶん有名な本すぎて、どこかで紹介を聞いたことがあるんだとおもう。「サイズが違うと生体時間が違う」という話は私も知っていた。でもそれが実際にどういうことなのかは本書を読んで初めてわかった。
体重と代謝が比例すること、体重と生体サイクルが一定の比例をみせること、そこから各々の生体時間の比較ができること。サイズの比較の話だけじゃなくて哺乳類の骨の強度の話、昆虫の外骨格の話、14章の棘皮動物のデザインの話まで新しく知ることばかりで面白かった。具体的な数字は失礼ながら結構読み飛ばしたけど、それでも生物学の入門書としていいとおもう。
同じ視点の、もっと最新の本が読みたい。

⚫︎内容
動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。
(中央公論新社HPより引用)

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2024年02月26日

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ツリガネムシのレイノルズ数トリック
棘皮動物のキャッチ結合組織による生活スタイル

著者がのろのろ動く動物のことを割と下にみててうける

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2023年09月26日

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30年前の初版時からタイトルは知っていたがようやく一読。
哺乳類ではどの動物も一生の間に20億回心臓を打って死んでいくそうだ。それぞれのリズムでその一生を生きていく。大きい方が長生きで、体重当たりのエネルギー消費量は少なく、個体数は少ない。小さい方はエネルギー消費量は多いが、個体数は多く、一世代の時間が短く、その分突然変異の生まれる確率は高い。
そう考えると、サイズ的にゾウと同等のエネルギーを消費する現代人類は何とも分不相応だろうか。または桁違いな存在だろうか。
その他、極小生物、植物、昆虫、サンゴ、ウニ、ヒトデ等々の驚きの生態、構造を教えてくれる。いくぶん古い本ではあるが、目に見えない極小の世界、時間・空間感覚といった何やら哲学的な話題や非日常的な世界観に触れ新鮮な気持ちになれた。

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2023年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サイズの生物学。初めて知ることが多かった。言われてみれば不思議。小さなネズミや大きなゾウでもそのサイズに合わせた骨格や脳、心臓を持っている。また身体の大きさに合わせて心臓の動くスピードや、骨の太さも調整されている。走るより飛ぶ方が速度が出るので燃費が良い。微生物は小さいからこそ単細胞生物として成り立つ。動物の細胞は一つ分の大きさが同じで、植物は細胞壁と液胞を持つことで細胞を大きくできた。昆虫は外骨格を持つことで、ヒトデやウニは外骨格を内骨格化し、生存競争を生き残った。食べられにくくなりながら養分を確保する。

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2023年02月11日

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畳みかけるように次々と展開するため、ワクワクしてページをめくる手をなかなか止められない
おまけに著者の想像力豊かな表現力が大変素晴らしく、いちいち拍手をしたくなるのだが…
今回そちらを強調したいので、その部分に(面白表現)と記載してみた
(こういうのって楽しい♪)

動物は体のサイズに応じて違う単位の時間をもっている
ゾウはゾウの時間
ネズミはネズミの時間があるという

一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量はサイズによらず同じ
生物における時間を物理的な時間と区別して、生理的時間と呼ぶ

物理的時間でいえばゾウはネズミよりずっと長生き
しかし心臓の拍数を時計として考えるならば、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになるだろう
小さい動物の体内で起こる現象のテンポが速いのだから一生を生き切った感覚はゾウもネズミも変わらないのではないか

(うわー面白い!物理的時間でしか物事を考えたことがなかったため、こんな考え方があるとは驚いた
生理的時間で物事を考えると違った見方が出来そうではないか!
年を取ると時間を早く感じてしまう…とかね)

先ほどの生理的時間をもう少し専門的に描写されたのが以下の内容だ
・体重が増えると時間が長くなる
時間は体重の1/4乗に比例する=体重が16倍になると時間が2倍になる
体重の増え方に比べ時間の長くなり方はずっとゆるやか
・1/4乗則というのは時間が関わっているいろいろな現象に広く当てはまる
寿命から成長の時間、性的に成熟するまでの時間、赤ん坊が母親の胎内に留まっている時間、
息をする時間間隔、心臓が打つ間隔、腸がじわっと蠕動時間、血が体内を一巡する時間、
体内から入った異物を再び体外へ除去するのに要する時間、タンパク質が合成されてから壊されるまでの時間など
生物における時間を物理的な時間と区別して、生理的時間と呼ぶ

以下は興味深いものの抜粋

・大きいもの
 メリット:ちょっとした環境の変化はものともせず長生きできる
 デメリット:1世代の時間が長くその結果、突然変異により新しい種を生み出す可能性を犠牲にしている
(例:象…象の仲間で現在生き残っているのはインド象とアフリカ象の2種類だけ)
・小さいもの
 メリット:1世代の時間が短く、個体数も多いため短期間に新しいものが突然変異で生まれて出る確率が高い
 デメリット:小さいものはしょっちゅう餌を食い続けなければならず、餌がちょっとでも見つけられなくなったらすぐ飢えて死ぬ危険に直面する
・島の法則…島に隔離されると、サイズの大きい動物は小さくなり、サイズの小さい動物は大きくなる
理由:島という環境は、捕食者の少ない環境であるため
この島の法則は人間にも当てはまりそうだ
大陸に住んでいればとてつもないことを考えたり、常識外れなことをやることも可能だ
だが島では出る釘はすぐ打たれてしまう…(面白表現)
・体重が増えるほどには、食べる量は増えない
・大きいものほど速い
ただしサイズがどんどん大きくなれば際限もなくどんどん速くなるわけではない
地上で1番速いランナーであるチーターは体重約55キログラム
これ以上体重が増えても速度はほとんど増えない
サイズが大きくなると、足にかかる衝撃は大変なものになり、足は体を支えきれなくなってしまう
・主要な臓器はサイズが変わっても体の中で占める比率は変わらない
つまり哺乳類の体の作りはサイズに限らず、ほぼ一定の比率でできている
ただし体重が増えるほどには器官の重量が増えないものがある
脳や内分泌器官である(体の機能を制御しているもの)
制御する方の重さが制御される方の重さに正比例しない
(例:車の鍵…軽自動車とトラックの鍵の大きさはそれほど変わらない、ハンドルも2つにならない) (面白表現)
・動物では時間は体長の3/4乗に比例する
 まだ理由は不明だが、長さは空間の単位だから、時間と空間はある一定の相関関係を保っていると言うことを意味する
動物を理解するためには、「空間」と「時間」と「力」、この3つに対する感覚が必要
ヒトは視覚主導型の生き物
空間認識はよく理解できるが、時間感覚や力の感覚はあまり発達していない(時計に支配されている人間)
・細胞のサイズは、動物の種類が違っても、ほとんど変わらずの一定(直径約10ミクロン)である
細胞の真ん中には遺伝子情報を持った核がある
・植物細胞は50ミクロン
・動物が柱と梁を組み合わせた骨組み建築(動物では骨格系が体を支えている)
・植物はレンガ積建築である(細胞1個がレンガ1個に対応)
・建築法の違いは動くか動かないかと言う事と深く関係している
 骨組み建築なら、柱と梁のつなぎ目を間接にしてあれば体が変形して動くことができる
 レンガ積ではレンガ同士が全て貼り合わされているので動くことができない(壊れやすいが増やしやすい)
 増やしやすい→光合成において光を受ける面積が広い方が良いし、背丈の高い方が他の物の影にもならずにすむ


■昆虫
・サイズが小さいことの長所…変異を短時間で生み出すことができる
・サイズが小さいことの短所…外の環境に左右されやすい
陸上の生き物では、乾燥にいかに耐えるかが大問題となる
体の表面を殻ですっぽり大ことにより、乾燥の問題を解決した(この殻をクチクラという)
・サイズが小さいが故、循環系に頼ることなく、空気をチューブで酸素を必要とする細胞まで直接配達する気管がある
空気の詰まったチューブのため拡散だけで速やかに酸素が運べる
・昆虫は成長のたびに脱皮する、気管も脱皮する
脱皮というものは費用と危険を伴う(面白表現)
ここから昆虫のサイズの上限を決めているのではないか
・昆虫は変態(羽化)を節目として、食性と運動法を切り替える
幼虫期はあまり動かずひたすら食う (この時は胃袋が重くても良い)
羽化して成虫になると、飛びまわることが最優先になり、消化の良いものだけを食べる

■動かない動物たち(サンゴ)
・サンゴは体の中に、褐虫藻と言う小さな単細胞の植物を大量に共生させている
この共生藻が光を受けて光合成をし、作り出した食物を気前よく親であるサンゴに分け与える
サンゴは自前の農場を体の中に持っている(面白表現)
・レンガ積建築法
単一ユニットをどんどん積み上げていく
つまりサンゴはたくさんの個体が集まってできた群体である
・個々のユニットは分裂や出芽によって無性生殖的に増え、成長に制限がない
また硬い殻はユニットが死んでも残るので体が大きくなるに都合が良い
個体には寿命があるが、群体としては新しい個体が付け変わっていくので寿命は無い
・固着性の生物にとって、土地と言うのは最大の財産である
日当たりの良い場所を確保したら死ぬまで手放せないほうがいい(面白表現)

■ちょっとだけ動く動物(棘皮動物 ウニやヒトデ)
・ウニ…棘を折りたたみ式にできる
棘は根元の殻とのつなぎ目が関節になっていて、と棘を立てたり倒したり(360度どの方向にも)できる
棘を倒せば、ウニは殻のサイズまで小さくなれるので、岩穴などの隠れ家を見つけやすくなる
・ヒトデ…体の表面には、数ミリ程度の小さな骨(骨片)がびっしりと敷きつめられており、
この小さな骨片が結合組織でつづり合わされた鎧を着ている(面白表現)
結合組織は硬さを変えられるため、自由自在に体を動かせる
・ヒトデの捕食
貝の食べ方…5本の腕で抱きかかえたくさんの管足を貝の殻に吸い付かせ、殻をこじ開ける
胃を口から出し、殻の隙間から貝の体内に滑り込ませ、消化液を分泌し、貝を溶かして吸収し食べてしまう
何時間、何日もかけて(なかなかエグいなぁ)


著者のあとがきより…
動物の世界観とヒトとの違いについて
ヒトの常識にあてはめない
生物学はヒトという生き物を相対化して、ヒトの自然の中での位置を知ることができる

生物学というのは身近でありながら、実に謎が多い
上手いこと出来ているなぁと感心させられることが多く神秘的だ
後半の動かない動物やちょっとだけ動く動物…面白かった
生命を司る工夫がなるほど!というものばかり
さすが生き残った者たちだ!

さて本書は全て理解できたかは正直微妙なのだが(笑)…
計算式をすべてすっ飛ばして読んだとしても、初心者でも楽しめる
専門的な話には都度例えや噛み砕いた説明があり、わかりやすく最初から最後まで楽しめた

ヒトという常識に囚われていることに気づくと同時に、
ヒトって生きるための使い勝手が何かと悪いから脳が発達したのかも…とふと思った

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2023年01月24日

Posted by ブクログ

 生物の時間(寿命や成長にかかる時間など)は、ゾウであれ、ネズミであれ体重の1/4乗に比例する。この値は生物のサイズに由来する。例えば、大きい生物の場合、小さい生物に比べて体積当たりの表面積が小さくなる。すると、代謝量が減少するので心拍が遅くなる。小さい生物ではこの逆の現象が起こる。

 本書は、この仮説を皮切りに生物のサイズや形が生きるためにどのような役割を果たしているのかを考察していくものである。

 肺や心臓の必要性や微生物の構造の違いにも述べられており、分子による力学的エネルギーは生物のデザインに多大な影響をもたらしていることが大変興味深いと感じた。

 一見何気ないものでも必ず理由があることを教えてくれる本である。

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2022年08月28日

Posted by ブクログ

哲学は人間の頭の中だけを覗いているし、
物理や化学は人間の目を通しての自然の解釈なのだから、
人間を相対化することができない。
生物学により、はじめてヒトという生き物を相対化して、
人の自然の中での位置を感じることができる。

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2022年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

動物の体は効率よく生きるために設計されている、ということがよくわかる本。
例が巧みで面白く、楽しく読めた。
植物や棘皮動物(ウニやヒトデなど)についても述べられており、興味深かった。




【memo】
・時間は体重の1/4乗に比例する。
・1呼吸4回心臓は打つ。
・哺乳類ではどの動物も一生の間に心臓は20億回打つ。
・体調1mm以下の動物は水の粘性力に影響されて生きている。熱運動も無視できない世界。
・体調1mm以上になってくると、粘性力よりも慣性力に影響されて生きている。
・多数の繊毛を貼り合わせたクシ板で動いているタイプのクラゲがいる。(テマリクラゲ)
・酸素を細胞内の拡散だけに頼って生きている動物のサイズの上限は半径1mm。陸上では0.8mm。
・ミミズは呼吸系はもたないが、循環系は持っている。
循環器を持っていると、サイズの上限は半径1.3㎝となる。
・脳や内分泌帰還(脳下垂体・副腎・甲状腺)は、体重に正比例しない。
・体重を支えるため、大きな動物ほど骨の占める割合が大きくなる。
・ヒトは体重の15%が骨格系。ゾウは20%以上。トガリネズミは3.5%。

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2021年11月09日

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ちょっと読みにくかった。数式が出てきたり専門用語が出てきたりした。本当に理解するにはこのくらいのものを苦労しながら読まなきゃいけないんでしょうね。

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2021年09月05日

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動物のサイズから自然の凄さが分かって面白かった。どんな動物にも共通する法則や進化過程の話を読んで、生態系が絶妙に保たれていることを感じた。

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2021年08月13日

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中古本で何気なく見つけ購入。
すごく面白かった。後半はウニやヒトデで読むのが大変だけど、前半は学のない私でも十分楽しめました。車輪の件なんかすごくよかった。

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2021年06月08日

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生物を「サイズ」の視点から考察した本。

レイノルズ数から考えると、体長が1mmに満たない生物は住む世界が違ってくるといった話が印象的でした。

生き物はそれぞれの生き方があり、人間の物差しだけで考えず、それぞれを尊重することの大切さを教えられました。

本書は1992年刊行と自分の生まれる前に書かれた本ですが古さを感じず、驚きました。生き物の見方を広げてくれる良書だと思います。

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2021年03月22日

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第1章「動物のサイズと時間」
第2章「サイズと進化」
第3章「サイズとエネルギー消費量」
第4章「食事量・生息密度・行動圏」
第5章「走る・飛ぶ・泳ぐ」
第6章「なぜ車輪動物がいないのか」
第7章「小さな泳ぎ手」
第8章「呼吸系や循環系はなぜ必要か」
第9章「器官のサイズ」
第10章「時間と空間」
第11章「細胞のサイズと生物の建築法」
第12章「昆虫 ー 小サイズの達人」
第13章「動かない動物たち」
第14章「棘皮動物 ー ちょっとだけ動く動物」

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2025年11月17日

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高校生のときの課題図書?だけど読み切らなかった気がするので、読んでみた。仮説としてはごく単純なんだけど、それを確かめるための調査、分析などの手法を伝えるのがメインなんだろうな。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

前から気になってた本を読むシリーズ。
両対数とってから直線引くやつ慣れなくて難しかった。
論旨自体はおもしろ。いろんな変数を体重に回帰してから比をとっていくの、妥当性は知らんけどアイデアとしては興味深いし結果も面白かった。死ぬまでに心臓は何回打つか、とか。

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2025年05月26日

Posted by ブクログ

最近の本だと思ってたら30年以上前の本だった!奥付を見ると2017年で78版というロングセラーだ。
だが、内容が古くなってないか心配、、、と思いつつそれなりに面白くて読み終えてしまった。途中ちょっと眠たくなったところもなくはなかったが(これは私の体調にもよる)、最後の方のヒトデの話とかも楽しかった。
冒頭に、哺乳類はどの動物でも一生の間に心臓は20億回打つ、と書かれてあって「へえ〜」と思ったが、ちょっと調べてみると現在の人間の平均寿命の場合は30億回ともあって、やはり生育環境はかなり影響するぽい。
しかし、動物それぞれに時間の感覚があるということは信用できそう。
前にユクスキュル『生物から見た世界』を読んだ時にユクスキュル本人だったか日高敏隆だったかが、生物それぞれに固有の物理学があるはずだ、みたいなことが書かれてて「ホントに??」と思ったけど、本書にあるようなそれぞれの動物に固有の時間があるとしたら、たしかにまた別の物理学があり得るのかもしれない、と思った。
あと直前に朝井リョウ『生殖記』を読んでたので、『生殖記』にあった「個体と共同体」というワードを思い出しつつ、ヒトデの「群体」という生き方が興味深く感じた。もう少し新しめの本でヒトデのことはもっと知ってみたい。

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2025年03月12日

Posted by ブクログ

生物学の本を読み始めるきっかけとなった本です。ゾウもネズミも死ぬまでの心拍の回数は同じ、ただそのスピードが違うだけ。スポーツ選手が短命と言われるのもそれが原因といわれる諸説があるとか。ここから「生物と無生物のあいだ」を読んだのが最高の流れでした。

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2024年05月13日

Posted by ブクログ

なるほど、と感心。ゾウとアリ、考え方によっては同じ時間を生きている。島国と大陸、日本人の特性がわかるような。根拠のための数字がたくさん出てきて、文系の私は?分かったような理解不能のような。

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2023年12月28日

Posted by ブクログ

30年前の名著。当時読んだかな?思い出せない。

日本人は島に住んでいるのだから、自己のアイデンティティーを確立するためにも、島とは何かを、真面目に考えるべきだ。

日本人のエネルギー消費量は4400W 半分か代謝量で体重換算すると4.3t
日本の人口密度(320/km2)から計算される体重は140g

なぜ細胞はそろいもそろって10ミクロンなのだろう?

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2023年03月08日

Posted by ブクログ

動物の身体の大きさと心拍速度との関係について書かれた本。時間の概念が種によって違うといった考えはとても興味深い。自分が人間じゃなくほかの動物だったら世界がどのように見えるんだろう、とか考えたりして想像力が膨らんだ。

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2021年04月21日

Posted by ブクログ

・時間の流れ方は、個体の大きさで違う
・虫は、他の生物が食べない葉っぱを食べるように進化して生き残った。
あとの難しい話は忘れた

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2021年03月07日

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