王城夕紀のレビュー一覧
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数学は、中世の時代から競い合うことで発展してきた歴史があり、本作は、そんな数学の問題に真剣勝負を挑む若者たちの物語です。
主人公は高1男子・栢山。冒頭、天才女子高生・京香凜と出逢い、「数学って、何?」と問われ困惑‥。栢山は高校入学後、本格的に数学と向き合っていきますが、この問いが繰り返し通奏低音のように鳴り響き、物語を貫きます。
栢山は、若い数学愛好家が集うネット空間「E2」や夏合宿「数学の国」で競い合い、数学をやる意味、勝負をする必要性の有無を考え続けます。そして、追求を重ねることで成長していきます。
本文中に、数学者や数式などがたくさん出てきますが、理解できなくても何ら問題あ -
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青春ってのは、何かを諦めるまでの季節のことだ。だから終わった後にしか気づけない、終わったときに初めて気づく。自分が今まで青春の中にいたのだと。(本書より)
人はなぜ数学を続けるのでしょうか。
壮大な発見をしながら早世したガロア
数学の天啓を受けたラマヌジャン
無限に魅入られたカントール
二千年の時を超えたユークリッド
数学が無矛盾ではないことを証明してしまったゲーデル
…
数学が確かではないなら
それまで発見された功績は無意味なのでしょうか?
ここでは偉人の言葉をお借りしましょう。
「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に立っていたからです。」―ニュートン
本書最大の -
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数学に青春を賭ける高校生を描く青春小説、第2巻。1巻で、純潔に数学に挑む少年少女に惹かれて続編を。
数学を言葉で表現する事は大変だろうなと想像します。その中で無限級数のくだりは、文学的だなあと思いました。“近づく事はできても届くことはできない。”
2巻は、数学に賭けるというよりは、悩める高校生達の心情を描く方に重きが置かれていまして、その表現が、時折、詩的になっていってしまうんです。言葉は美しいのですが、読者としての年齢制限に引っかかってしまった感じ。
登場人物が多めで名前とバトルネームもあり、かと言って、群像劇になる程それぞれの描き込みがあるわけでないので、読み分けできなくなる。
それでも、 -
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ネタバレ将棋のような盤戯、天盆。平民であれどこの盤戯ひとつで国を動かす地位につける可能性がある。
頂点を目指す彼らは、ただの私欲のものもある。地位そのものが欲しいのではなく、地位に着くことで得られるこの腐敗した国を変える力が欲しいものもある。思惑はそれぞれ。
凡天はただこの盤戯を楽しみ夢中になり追究するのだが、いつしか家族の希望となり平民たちの希望となってゆく。
実際将棋で、終局が見えて尚くつがえせるものなのかはわからないけれど
、諦めない気持ちの熱さを感じた。
全員血の繋がりがない、それがなんだと母は言う。これを心底すごいと思った。
このところ家族ってなにかね?と考えさせられる本によく出会 -
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ネタバレ京(かなどめ)の数列に解はない。全くのランダムで規則性はない。
とのことだったが、素因数分解するとかなり大きな素数が因数になってる数が多いんだよな。だから何だ、と言われればそれまでだが、おそらく意図的にそういう数字を選んでるのだろう。
本書において素数というのが重要なキーワードになってるのは確か。
中三数学で習うように「素数とは1と自分自身でしか割れない数」という定義は簡単で分かりやすいが、それが無限に存在し、いつ現れるか、どういった法則で現れるかが分からない。分かりやすい部分と非常に分かりづらい部分の両面があるが故に人は素数に魅了されるのか。 -
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ネタバレスポーツ雑誌 NUMBER Doに連載されたランを題材にした短編小説を集めたアンソロジー。
ランナーではなく、ランを題材にしているってのがポイント。王道に走る楽しみを描いた小説だけではなく、走ることがイヤになる小説、走らされる小説等各種色が揃っている。出来もマチマチで、トータルで評価すると凡作ってことになってしまうなぁ。アンソロジーはそこが難しい。
好きな作品は
「パン買ってこい」中田永一
「ホープ・ソング」王城夕紀
「桜の並木の満開の下」遠藤徹
どれも結局はちゃんとランに目覚める人の話だった。
読み手によって好みは絶対分かれるだろうなぁ。 -