王城夕紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すごい物語を読んでしまった。王城夕紀さん、未チェックだったんだけど、すごい作家さんじゃないですか?
私自身のタイミングも良かった。『プロパガンダ戦争(前出)』を読んで難民・移民の現状を垣間見た後での同書だったので、現在の現実が透かして見えるようだった。
”複製”やアプリなど、技術的なことはイメージでついていくしかないけど、想像し得る描き方だったので問題なし。
後ろの参考文献も興味深い。不勉強なため私は1冊もよんでなかったけど。
王城さんが寡作らしいことが、唯一残念な点です。もっと読みたいし、出版元の中央公論新社さん、こんな大作眠らせておくなんて以ての外ですよ! -
購入済み
テーマもエンタメ性も最高
めちゃくちゃ面白いし良い。近未来SFエスピオナージもので難民がテーマ。今年ベストな気がする。攻殻機動隊とか伊藤計劃作品が好きな人は好きなはず。答えのない問題にどうにか答えるという作品が好きなんだけどこの人の作品は毎回それがめちゃくちゃカッコ良くて痺れる。今回も色々やってて英雄の定義も良かったけど課長の動く理由がめちゃくちゃ良かったな。あと世界を変えるのはテクノロジーっていうのがそうだよなって感じで好き。実際は色々要因になるんだろうけど今はその発達が一番速くて他はもう追いつけない気がするんだよな
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Posted by ブクログ
シリーズの1巻が面白すぎたので、2巻も読んじゃった。相変わらず作者の言葉選びが好きです。
恋愛小説を読んで恋がしたくなるように、この本を読んだら無性に数学がやりたくなるはず。
正直、もっと早い時にこの本に出会いたかった。
私の高校には東大数学科出身の若い数学の先生がいて、読みながらずっとその先生のことを考えていました。院で研究をやりながら教師をしていて、もし先生だったらどういう読み方をするんだろうと。
その先生の一番好きな定理は、この本にも出てくるカントールが提唱した連続体仮説。そんな先生がこの本をどう読むのか知りたい。
もう高校を卒業しちゃったし、すでにその先生も辞めてしまったそうなので会 -
Posted by ブクログ
本の装丁とかがラノベっぽかったのであまり期待していなかったのだが、思わぬ誤算でめちゃくちゃ面白かった。
私は正直数学があまり得意な方じゃないけど、それでも読み終わった時には数学を解きたくなっていた。恋愛小説読み終わった後に恋愛したくなるのと同じ感覚。
不思議。
著者はきっと数学科卒とかなんだろうなあ…と著者紹介を見たら、なんと普通に早稲田の一文卒。
めちゃくちゃ文系。
でも逆に、その輪の外にいるからこそここまでのものが書けるのか、とへんに納得もした。
数学の魔力に取り憑かれている当事者だったら、ここまで冷静に伝わりやすく面白く、数学の計り知れなさを書けないかもしれないな、と。
シリーズもので -
Posted by ブクログ
「数学」を中心につながる高校生たちの物語。幼い頃に師と交わした約束を果たし、数学の世界へと足を踏み入れ、学生生活を過ごす主人公が、様々な人と出会い、E2というインターネット上のサイトに足を踏み入れる。そこで数学とは?数学で競う意味は?などの哲学的な疑問の答えを探りながら、数学を学ぶことを朧げながら掴んでいき、物語が展開される。後半ではE2に集ったライバルたちが合宿で顔を合わせ、切磋琢磨しながら、自分たちが数学を続ける理由を見つけ、トップを目指していく。E2が数学の才能を持った者たちの集まる場であることは確かでも、彼らが解いているものは、まだ「数学」ではなく「青の数学」。数学の面白さと、数学の決
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Posted by ブクログ
“出会いと別れ”
少し前のイチオシ本。
ネット社会の今だからこそ読んでほしい。
少し複雑な文章構成からなる
少し不思議な「量子病」を持つ稀の物語。
世界中を飛びまわる彼女が、出会いと別れを繰り返す。
ある時、自分の存在をネットに移住させる提案を受けるも悩んでしまう。
旅をしながら彼女が出した答えに、ネット社会を生きる私たちもなにか感じるものがあるはず。
私は、人とのリアルな付き合いに恋しさを感じた。
『別れあってこそ、出会いがあるのだ。』
『出会え。別れたって、また、出会え。』
出会いと別れの、どうしようもない大切さを感じた。
もっともっと時間を作りたい。。 -
Posted by ブクログ
前作からの続きで結末を迎える本書。
数学を題材にしているものの、テーマとしては「なぜやり続けるのか」を掲げているように感じた。
様々な意見を受けながら、オリンピックが開幕している。
世界のトップアスリートの活躍を数多く見ることができ、感動を与えられている点では、開催できたことを喜ぶべきだと思う。
トップアスリートには彼らなりの悩みが、自分たちには理解することができない悩みがあるのではないかと思う。
自分が人生をかけて努力してきたことに順位や記録という結果が残る。
国の代表としてやり続けていけばいくほどその先が見えなくなることがあるのではないだろうか?世界のライバルと戦ってさらに高い壁の存在に気 -
Posted by ブクログ
かつてどこかにあった国「蓋」。そこでは盤技「天盆」を制するものが国を動かす。天盆に魅入られた少年凡天が、歴史を変える天盆に挑む。
天盆とは将棋に似た架空の遊戯。しかしその大会で勝ち進んだものは、政治の世界での立身出世が約束されているという。その設定からして面白いのです。天盆の細かいルールーは書かれていません。しかし駒が盤上を動き、相手を攻め牽制し駆け引きが行なわれ勝敗を決する、その様子が活き活きと描写され手に汗を握ります。
これはもう表現力の勝利でしょう。具体的でない描写で、盛り上がりだけを見せる。しかしその反面、具体性だけでキャラクターを書き分けることもするのです。
主人公凡天は13人き