toi8のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“「あの……」
「はい」
まだ突っ立っている明智に、彼女が言う。
「よかったら、これから少し、お話でもしませんか」
「え」
ためらいがちに、でも期待を込めて、明智を見る目。
勧誘。宗教とか、セールスとか。
「せっかく来て、映画見るための二時間だから、買い物より新鮮なことしたいし……」
「新鮮て」
「あは、なんか変な例えになっちゃったかな」
また笑う。口紅の色はないけど、白いきれいな歯。
逆ナンすか。とか言えたらかっこいいのか、笑えるのかそれもわからない。しかしこれは、やっぱり逆ナンというやつじゃないのか。このおれが。悔しいがありきたりなTシャツとパンツで、どう見ても金はありそうもない高校生のお -
Posted by ブクログ
“めぐみはつい声を高くした。だいたい、あの山から私が電話したときも出ないし、あとで出たけど駅名を言ったら「そこなら自分で帰ってこれるな」とか冷たいし。まあ、お母さんの連絡待つって考えたら迎えに来てとも言えないけど、こっちは心配かけまいと思って、トオのことも言うの我慢したんだよ。部活の子と遊びに行ってたなんて、嘘に決まってるじゃない。お母さんもいないのに、遊びだなんて。
「大丈夫だよ」
父はレンジの上に置かれた縦長の鍋を火にかけた。蓋を開け、おたまでぐるぐる中をかきまわした。
「お母さんなら、心配しなくていいから」
「連絡あったの?」
「いや、ないけど」
「じゃあなんで」
カレーはすぐぷつぷつ言 -
Posted by ブクログ
“「そういえば、言ってなかったけどさ」
牧生は寿司政の手前でふと思い出した。
「今日のあの、運命の女神とかいうの、嘘だから」
「そうなのか?」
「ああ、おれが自分で動かしてたんだよ」”
少し切ない終わり方。
でも、ハッピーエンド。
中山が、可哀想だった。
「身内」と呼ばれる4人が良い方向に変わっていくのが良かった。
呪われた悪魔の庭と嘘の話。
プラモ好きの寿司屋の息子、早川牧生
美形で悪魔で嘘の、中山りあ
おとなしい性格のパン屋の娘、滝瀬唯
ボーイッシュなコンビニの娘、小暮琴美
口が達者な総菜屋兼洋食屋の息子、梶尾裕貴
大磯とも名乗る、川原ヨシオ
呪いを懐かしむ、浅井操
「君の嘘、伝 -
Posted by ブクログ
“「あのね……これから、目的の場所に着くまで、私ずっと、目をつぶって行きたいんだ」
「―――は?」
思わず、頭から高い声が出てしまった。
「だめかなあ」
「だめって……いうか……」
なんで?”
正直、よく分からない終わり方だった。
喪失感がある。
でもって、どこか切ない。
不幸を呼ぶ魔女と嘘の話。
古いものとかが好きな普通の少年、浅井操
物静かで不思議で嘘の、神鳥智奈
智奈の親戚だという、中木ミカ
顔が良くざっくりとものを言う、高見高広
色々とある少女、斉藤るな
同じく色々とある少女、湧井戸ひな子
『月刊ふしぎ』という雑誌を作っている、川原ヨシオ
意外だったのは、共通してる人物が、 -
Posted by ブクログ
“「えっとね。いきなりだけど私、現実じゃないのね」
本当にいきなりだ。
「立場とか、説明するの難しいんだけど……ヨシユキ君が持っている本の、抱いている魂っていうか、物語を管理する人っていうか……
一番近い言葉でいうと、本の妖精かな」
「きついなーおい」
「きついよね。私もそう思う。羽もないし、不思議な力使えないし、ただ、その本をどうにかしてほしいっていう気持ちだけで、人間の形になっているようなもんだし。あ、そう考えると私って霊に近いのか」”
嘘と不思議の町物語の三部作の中では、一番しっくりした終わり方だといえる。
これは、バラバラになった物語を集めて欲しいという妖精のみどと嘘の話。 -
Posted by ブクログ
○2008/09/09
とりあえず厚い!重い!
絵が多いからそんなに読む部分はないかな、と思ったら全然そんなことなかった。色んなところに不意に文とか注釈とかが入ってるし、文もどこから読んでいいかわからない(漫画のモノローグみたいな)ようなページが多くて、読み易さでは最低点…。構成は面白いのに、ちょっと残念だった。自由度が高すぎ?
章の最後にある各解説も、ファンタジーな雰囲気をガシャンと壊してしまうから微妙だった。興味深いな、と思うところはあったけど、量も量だし。
閑話休題(それはさておき)、表紙絵で特に惹かれたこともあって、やっぱり絵がいい。全部好き。子鳩さん(小市民とかぶる… 笑)が可愛い -