栗木さつきのレビュー一覧
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ワーキングメモリとは長期記憶の事らしい。例えて言うと、九九とかそろばんとか。ベースをすぐに思い出せる状態にしておくと、複雑な計算をするときにそれを組み合わせるだけで処理ができる。みたいなもの。もちろん鍛えるにはそれなりに根気が必要だし、訓練も必要。九九を習った時に一生懸命覚えたのと同じ。今は脳の情報量の多さで決まるIQの数値よりも、身に付けた基本の記憶をその場面に応じて、選んで連結するようなワーキングメモリの方が、知性を測るのに適しているのではないかと言われているらしい。ワーキングメモリは料理や運動などにも関係しているので、強化すれば勉強はできるのにそれ以外の事はサッパリできない、というような頭でっかちな人ではなく。オールマイティに機転が効いてなんでもできる人になれると思う。
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サイコパスから見た世界: 「共感能力が欠落した人」がこうして職場を地獄にする
著:デイヴィッド・ギレスピー
訳: 栗木 さつき
あなたの職場には、少なくとも20人に1人の割合でサイコパスがいる。サイコパスはどこにでもいる。本書では、妄想や被害妄想等の症状に苦しむ精神疾患の人について述べるのではなく、とりあげるのは、あくまでも「サイコパス」、すなわち他人にいっさい共感をもたず、自分が利益を得られるのであればあなたが生きようが死のうが知ったことがない人である。
職場のサイコパスに対処するには、企業が彼らの悪行を効率よく封じ込めるか、彼らを追い出すしかない。だからこそ、サイコパスがもたらすリスクを理解して対処法を学べば、あなた個人の心身の安全を守れるだけでなく、勤務先の組織に長期的な成功と安定をもたらせることができる。
構成は以下の9章から成る。
①私たちのなかに紛れ込んでいるカメレオン
②共感力の進化
③サイコパシー
④サイコパシーのおもな特徴
⑤ケーススタディ1 ステファニー
⑥ケーススタディ2 アリス
⑦ケーススタディ3 スコット
⑧ケーススタディ4 ジャスミン
⑨サイコパスへの対処法
サイコパスは時代が生んだものではなく、古から言い方を変えたり捉え方を変えて存在し続けている。その存在がいなくならないのは、遺伝やルールがあるものではなく、突発的に出てくるからなのかもしれない。
時代が変わり、多様性がという言葉で片付けられる話でもないものの、義務と権利の中で上手に権利という枠の中でサイコパスはほくそ笑みながら生きているのかもしれない。
解決に直結する対処法は存在せず、リスクを計る中で、間接的な対応を行うしかない。社会問題としての捉え方も必要な深い問題でもある。共通言語として備えながら、建設的な対応を学びたい。 -
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ネタバレ全体的に面白かった。サイコパスと呼ばれる(他害に躊躇がない利己的な人々)は脳の側頭葉にあるフォン・エコノモ・ニューロンがないらしい。認知症で「人が変わった」といわれる人々も、このニューロン発現部に病変が見られるという。
もちろんサイコパス的な性格か否かは0か100で決まるわけではなくグレーな部分が大いに含まれるのだろうし、特に反社会的な行動にまで及ぶ傾向が強ければ大いに問題でサイコパスと呼ばわっても問題はなかろう。しかし拡大解釈するのは差し障りがありそうだ。
閑話休題。
まずは作者が挙げた「誰がサイコパスか?」
作者は007のジェームズ・ボンドがそうだと言い、ある程度信頼性が高い質問項目から成る質問紙を示し、一問一答していた。いやまぁ確かにそう、と笑い転げてしまった。常に嘘をつくのが仕事だし、魅力的だし、350人以上殺害しているので罪の呵責はないし(ダニエル・クレイグになると少し人間らしさを身につけた気がしなくもないが)、自己顕示欲は強いし、忠誠心もない。
さらに作者は誰もが知る歴史的人物や著名人の名を挙げる。サダム・フセインやらヒトラー、スティーブ・ジョブズ、そしてドナルド・トランプ。当初の質問紙ではイエス・キリストや聖パウロも名前が上がり、作者は「倫理的な側面や社会師範の面から」その2人はサイコパスではないと考えている(スコアが低下するので)のだが、当時の社会規範から考えれば二人ともサイコパスで良いのではなかろうか。 -
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ネタバレ・本書は、約20人に1人の割合で存在するとされる「サイコパス」が、いかに職場を破壊するかを脳科学・事例をもとに解説する一冊である。
・サイコパスは脳の機能障害により共感能力が欠如しており、他人を「管理すべき家畜」のように見なす傾向があるとされる。
・「嘘をつかず不正もしない人間は単なる愚か者」と考え、自分は常に正しく間違うことはないと確信している。
・表面的には非常に魅力的で、印象操作に長けている一方、他人を信頼できずマイクロマネジメントに走る。
・リスクを正しく評価できず衝動的に行動し、モラルという歯止めがないため平然と非道なことを行う。
・前半では歴史上のサイコパスの事例や、共感力・協力・信頼が進化してきた背景(「コモンズの悲劇」など)を説明する。
・中盤では、実際の職場を舞台にした4つのケーススタディ(ステファニー、アリス、スコット、ジャスミン)を通じて、サイコパスが組織内でどのように立ち回り、周囲を陥れていくかを具体的に描く。
・終盤では対処法が示される。要点は「サイコパスと正面から戦わない」こと、そして組織全体が常に誠実に行動し、脅しやお世辞に動じないルールを徹底することで、サイコパスの策略が通用しなくなるとする。
・著者自身は医学の専門家ではなく元企業顧問弁護士・起業家であり、実務経験に基づく実践的な護身術として書かれている点も特徴である。
「善意の心理的投影」をやめ、「記録」を盾にする
私たちは無意識に「相手も自分と同じ人間味や罪悪感を持っているはずだ」と期待してしまいがちだが、共感能力が欠落した人物にその前提は通用しない。
違和感を覚える人物に出会ったら、感情論で戦わず「日付・発言・事実の記録」を淡々と残す習慣を身につけるべし。
客観的な証拠だけが、自分と周囲の身を守る最大の盾になる。 -
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サイコパスと聞くと、自己中心的で殺人などの犯罪を繰り返す人間をイメージしがちだけど、本書では幼い頃から認知的共感を利用し、社会性のある仮面を被って生きているサイコパスも多く存在すると説明されていて、見分けることの難しさが分かる。
サイコパスには罰が効きにくい一方で、報酬には強く反応する。共感しているふりをすることで利益が得られるなら、容易に共感を示すというのはかなり合理的かっこいいって思ってしまいます。作中ではドナルドトランプ大統領もその一例として挙げられていて、興味を持ちました。
第5章以降のケーススタディでは、被害者3人の視点とサイコパス本人の視点の両方から物語が描かれていて実際にどのような手口で人を操るのか、どう接するべきなのかを具体的に学ぶことができて面白い。
また、サイコパスは「今」という瞬間を生きており、過去を悔やんだり将来を心配したりすることが少ないという特徴も印象的だった。他の人間よりも動物的な生き方をしているのだと感じられた。
「自分は絶対に騙されないと思っていても騙されることはある」これはすごく共感。
やっぱりできるだけ関わりたくない、と思いつつ
サイコパスって興味深いから気になる。 -
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ネタバレ丹念に事実を積み上げ、世界的な食糧問題に対し奇をてらわず、夢物語にも独善にも陥らず明快な結論を出してくれる、胸のすくような内容。さすがにシュミル氏の論理構成は隙が無く、膨大なデータに支えられた緻密な論考は説得力にあふれている。
内容は文句なし星5なのだが、出来れば各種データはテーブル等にまとめたものを挿入してほしかった(編集側でできるはず)ということで1点マイナス。せっかくの理論がデータの可読性が低いせいでとっつきにくくなっているのはいただけない。シュミル氏のレベルならわざわざ図解する必要もないレベルなのだろうが。
今後予想される世界を養うには、食料の廃棄を抑え、食肉(特に牛)の消費を少しだけ抑え、そしてアフリカなど政治的に不安定な国の農業を現在の技術の範囲で改善すればよい。食品廃棄量が先進国で可食部のみで10~20%弱、ないし、食費の約1/4がただ捨てられている、という事実はショッキングで、これを減らすだけでも相当な改善が可能。
代替肉、古くは有機農業、「この技術で世界は救える」という華々しい(が空虚な)ただ一つの解にすがるのではなく、今ある技術を丹念に積み上げることで問題の解決に至ることができるのだ、という思考。これこそ、ともすれば「夢の技術」に飛びつきがちな我々に必要な思考だと思う。
とはいえ、この「丹念に積み上げる」ことは得てして最も難しく、政治的に言えば「受けが悪い」ところ。その意味では、こういった思考が広まらない真の原因は、我々凡人が思考し続けることを苦手とする、パッと打ち上げられたあだ花に飛びついて飽きたら次に移る、という性質を持つ故でもあろうかと思う。
本文中に指摘されるように食の価値を低く見積もり、半導体やエネルギーに投資し続ける現在の経済システムも含めて、やればよいだけの改革をやらない。食と環境が保全されなければいくらGPUを作ったところで意味がないのに、そちらの市場価値だけが高く評価されていく。挙句に切羽詰まると、データを見るのが面倒だからと現実を認識するところをスキップして「夢の技術」にすがる。
こうした風潮がはびこってしまうところに、せいぜい半年のタイムスパンしか思考できない人類の限界を見せられる思い。政治や、教育の世界において、もう少しこの手の議論をできるようにならないものか(その意味でも、数字が苦手な人に拒否反応を起こさせないためにデータのビジュアル化は欲しかった)。
ということで内容には基本的に文句ないのだが、読後、なぜか引っかかったところがあり、しばらく理由が何なのかわからなかった。
要するに、今の膨れ上がった世界人口を維持するには、現代農業を大規模化し効率を上げ、廃棄を減らし、効率よく人々に食を届ける、その当たり前「しかない」のだ。有機農業、代替肉、伝統農業etcといったサイドストーリーの入る余地は、基本的にない。その「しかない」ところに追い込まれてしまっていることが気持ち悪いのだ、と気づいた。
シュミル氏は古い生活をいたずらに、かつ無批判に懐かしみそれに戻ろうとする風潮にくぎを刺している。確かに、古い生活での乳幼児死亡率、平均寿命の短さを思えばそれは妥当なのだろう。その一方で、非効率ながらそれゆえに生まれた多様な食の文化もあったはずだと思う。
しかしながら、今の世界はその昔ながらの非効率を選択する余地は、基本的にないのだ。多少の非効率や非論理(多様性と言い換えてもよいが)を苦笑いしながら受け入れる余裕はなく、唯一解としてロジカルな栄養システムを洗練するしかないのだ、というところが、個人的に居心地の悪さを覚えた理由なのだろう。
スーパーに数千種類の食材が並ぶだけで、十分に変化に富んだ栄養のある食生活は営めるのだから、伝統食だの多様性だの言うのはただの贅沢だし、食のシステムを洗練させたからと言ってそれらがなくなるとは限らない。それでも、もしかするとそれらもいつかは効率よく食を届けるという大義の前には無くなるのかもしれない、と思ってしまった。 -
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サイコパスとはどのような人物か、サイコパスはなぜ非サイコパスには考えられないような行動を取るのか、サイコパスをどう見分ければいいか、サイコパスから身を守るためにどうすればいか、などをケースや研究結果を上げながら分かりやすくまとめた本。
サイコパスの特徴として、異常な自己愛、自己中心的、平気で嘘をつく、他人を信用できない、などの中心に、共感することができない、があるとあった。
サイコパスが共感できないのは、人間が共感するのに必要な脳内の神経回路が存在しないため、今のところ薬物などでの治療法は無いとのこと。(サイコパスは罰を受けてもなんとも思わない反面、その場の報酬に強く惹かれるため、社会規範に沿った行動を取るごとに報酬を与えると犯罪を犯す確率が減るよう訓練することはできるそう)
共感できないということで、ここまで見える世界が変わるのかと驚いた。こういった人間が存在することに驚きはしないが、あまりにも思考回路が違う。どうやら私はサイコパスではないらしい。
サイコパスが一人紛れるだけで一つ集団が壊滅するのも恐ろしい。これは確かに自分が生きていく土俵にサイコパスがいるのか見極める必要がある。
率直な対処法は、誠実であること。
誠実であることは、実行できたら長所として文句なく挙げられるほど、そうあり続けるのが難しい。
しかし組織のトップが誠実であることで、その組織には信頼関係が生まれ、サイコパスを退けられるという。
理想論だと言われそうな方法だが、それが一番の対処法であることに、希望を感じた。
面白かった。
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サイコパスとは実際どのような人間を指すのか、なぜそうなるのか、その対応方法は、といったことがよくまとまっている。
サイコパスは20人に1人はいる。相手の感情を自分のもののよくに受け入れる能力を共感能力といい、サイコパスにはこれが欠落している。FBI初代長官のフーヴァー、トランプ、ダンラップ、ジョブズはサイコパス。フォン・エコノモ・ニューロンが共感能力の鍵で、人間以外で明確に存在が確認されているのはチンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン。サイコパスにはフォン・エコノモ・ニューロンに問題がある。アセトアミノフェンは共感力を低下させるので、共感力の低下をSNSの台頭が理由とする説もあるが、アセトアミノフェンの摂取量が原因である可能性がある。
サイコパスは息をするように嘘をつく、マイクロマネジメントを好む、自分に利害があるかどうかだけで意思決定する、過去の経験から学べずネガティブな結果を不安に思うこともない、羞恥心もない。
重要な教訓として、サイコパスは別に壮大な戦略を立てたうえで計画を実行しているわけではない、サイコパスはいつでもウソをつく、この一線を越えてはならないという感覚がない、印象操作の達人である。
サイコパスと関わる場合のルールとして、ロボットになれ(言われたことを実行しずっと冷静で余計な情報を与えない)、挑発にのらない、おやつを用意しておく(サイコパスの好みに合わせた行動とお世辞)、サイコパスに立ち向かってはならない。最後につねに誠実に行動せよ、誠実でいるのをあきらめず、誠実さをかなぐり捨てるよくな組織で働きつづけてはならない。