中村妙子のレビュー一覧
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(一応)ポアロもの。
本書は元々戯曲として書かれた作品を、クリスティー研究家(←理想の職業)、チャールズ・オズボーン氏が小説化したものとの事で「小説版」という表記になっております。
科学者のサー・クロード・エイモリーは自分が発明した新爆薬の化学式が、家族の誰かに盗まれた事に気付きます。
晩餐の席で「部屋を暗くしている間に化学式の書かれた書類を返すように」と皆に伝えるも、明かりがついた時にはクロード卿は殺されていて・・。
いかにも舞台劇といった雰囲気が感じられる作品。
“暗転後、照明がついたら人が殺されていた!ジャジャーン!(効果音)”なんて、まさに演劇チックな演出ですよね。
で、殺されてしまったクロード卿から“化学式を盗まれそうなので・・”と、事前に相談&件の書類を国防省に手渡してほしいとの依頼を受けていたポアロが、ヘイスティングズと共に屋敷に赴き、事件の真相を追及するという流れで話は進んでいきます。
舞台用の作品だけに、場面転換も少なく内容的にも王道ミステリって感じでそこは素直に楽しめるのですが・・えっと、犯人の行動まる見えだったんですけど( ̄▽ ̄;)・・。
“演劇”だから(?)しゃーないのかもしれないのですが…まぁミスリードもあるので、ポアロがどのような推理で真相に行きつくかの過程が見ものってことなんですかね~。
そして、個人的な注目ポイントというか“萌え”ポイントは、何といってもポアロ&ヘイスティングズのやり取りでございます♪
ポアロがヘイスティングズを小バカにしている時がすごく嬉しそうで“本当、お好きなのね~( *´艸`)”と、つい口元が緩んでしまった私です。
さらに、ヘイスティングズは年下の娘・バーバラにも“坊や”呼ばわりされたりと、いじられキャラ全開でしたね。
ということで、舞台劇の雰囲気とポアロとヘイスティングズの仲良しっぷりを堪能させて頂きました。
クリスティー作品の中で、戯曲シリーズはどうも食指が動かなくて手付かずだったのですが、本書を読んで小説と戯曲を読み比べてみるのもアリかも?と、思った次第です。
さて、ポアロもの(長編)は残すところ『カーテン』のみになってしまいました。
今年の“締め”ということで、これから読もうと思います~。 -
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ネタバレ古代エジプトに愛と平和と美を追求した王がいた。
アクナーテンはそれまでのエジプトの神アメン信仰を廃止して、太陽神アテンを唯一神とする。争いを否定し、美を尊んだ。エジプトは、世界は、愛と平和に満ちるはずだった——。
ちょうど大河ドラマ『べらぼう』を見ているせいか、人は正しく生きたいとは思わないのだと。それまで心を寄せていた様々な神たちを取り上げられることを民衆は喜ばない。力で治めていた場所にいきなり真理を説いても従うわけがない。窮地に援軍を送らずに愛を説く王なんて、軍からしたら見捨てられたと思うだけだ。
毒を用意した人、実際に飲ませた人、決別を伝えた人。アクナーテンの周囲が皆それぞれに複雑な想いを抱えていた。そして殺人は起きる。ミステリというか、エジプト歴史劇。クリスティーは楽しかっただろう。解説がさすがの吉村作治先生。 -
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【ノンシリーズ】
「いっそ死んだのが兄でなくローラだったら…」と両親から思われているローラ。
今度こそ両親の愛情はローラに注がれると思ったら、妹シャーリーが生まれた。すると今度は妹ばかりが愛され…。
『第1章 姉ローラ目線』
読者が姉か兄だと、下の兄弟が生まれた時の姉ローラの気持ちがよくわかると思う。
『第2章 妹シャーリー目線』
私は3番目なので、まさに妹シャーリーと同じ。「うん、わかるわかる。」とシャーリーに共感しながら楽しかった。
と、ここまでは『春にして君を離れ』『娘は娘』と同様に面白かった。
第3章になったら、説明もなく新しい謎の伝道者の話に突然切り替わる。
1.2章との繋がりが全くないので意味がわからず混乱する。ローラとシャーリーの話はどこへ行った?
そして宗教色が急に強くなるので、頭に内容が入ってこない。今まで宗教感をこんなに出したことなかったのに、急にどうしたんだろう。
第4章で第3章との繋がりがわかるけど、最後の終わり方も今までのクリスティーとは違う違和感を感じた。
第2章まではいつも通り面白かったので、第3章から突然の方向転換に驚いた。
解説にその辺りのことが説明されてるかなと思ったら、なぜかクリスティーの容姿について終始書かれていた。
末尾の一文
「だから、本書を手にするときは、くれぐれもクリスティーの中年以後の容姿は思い浮かべないこと。これが肝要である。英国伝統の、やや面長の、しかしすこぶるつきの美人時代のアガサ・クリスティーを、思い浮かべていただきたい。」
クリスティーに失礼過ぎるし、上っ面じゃなくて作品の中身について解説できる人が解説を書いて欲しい。 -
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ネタバレアラビアンナイトな世界でヴィクトリアの大冒険!
失業した日に偶然出会ったエドワードを追ってバグダッドに来たヴィクトリア。どうやらエドワードが働く組織には怪しいところがあるらしいのだが。息をするように自然に嘘をつけるヴィクトリアは、その特技を活かしてスパイ活動に協力するが、危険は彼女にも迫って——。
異国情緒がワクワクをグレードアップさせているスパイ小説。難しく考えずにヴィクトリアの一挙一動にドキドキしていればあっという間に読んでしまう。砂埃や発掘調査などの中東の雰囲気が雑多でエネルギッシュな舞台を盛り上げている。
エドワードが実は黒幕。何も知らずに親切心と正義感で飛び込んできたリチャードがヒーロー。ロマンス要素もしっかりとあって、その周りのオジサンたちもキャラが立っていて、そういう意味でもクリスティーはやっぱりすごい。 -
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【マープル短編】
ポアロの短編より面白かった。
「前置き→事件の話披露→マープルの推理」の展開で13話まである。
推理が好きな人は短くてたくさん推理ができるので楽しめると思う。
短編だとやっぱり人間ドラマが感じられないので、私は楽しむのが難しかった。
中でも『二人の老嬢』が1番面白かった。
Audibleにて。
★2.5
悲しいことに、これでAudibleにあるクリスティー作品は全部聴き終わってしまった…(;O;)
今まではAudibleと紙の本を2冊同時進行で読んでいたので、家でも移動中でもいつでもクリスティー作品を楽しむことができた。
紙の本ではまだまだクリスティーを読むけど、Audibleでは何を読もう…。
クリスティー以外の作品は久しぶりなので楽しめるか心配…。
クリスティーを読む前はカタカナ名前が苦手で海外ミステリーを全く読まなかったけど、クリスティーのおかげで少し慣れたような気がする。
クリスティーと同じイギリス人でクリスティーへのオマージュと紹介されていた『カササギ殺人事件』を読んでみようかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公のヴィクトリアは、「トミーとタペンス」のタペンスのような、クリスティ作品でよく登場するアクティブな女性。
冒険心に富み、行動力があって非常に勇敢。タイピストとして雇われていたが、雇い主のモノマネで同僚を笑わせているところを本人に見られて仕事をクビになる。これからどうしようかと路頭に迷っていたところで出会った青年に一目惚れし、彼を追ってバグダッドへと飛ぶことを決意。しかし運賃すら払うお金がないので、経歴を詐称して裕福な夫人の付人として飛行機に乗り込む。
一目惚れした青年に再び会うという目的のためだけに、諜報員として活動したり学者のふりをして発掘現場に潜り込んだりととにかく行動力に溢れている。命の危険にさらされながらも咄嗟の嘘や機転で乗り切るなど頭の回転も早い。
最終的に、一目惚れした青年は自分を欺く敵だったことを知り落胆するも、違う青年と結ばれることになるので結果オーライ。
飛行機の離陸シーンが臨場感に溢れていて印象的だった。 -
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ノンシリーズ(メアリ・ウェストマコット編)。
想像力が豊かで内気なシーリアは、優しい母親・ミリアムや、周囲の人々に温かく見守られて不自由のない少女時代を過ごします。
やがて、美しく成長したシーリアは、穏やかで堅実なピーターと婚約していたのにも関わらず、突如現れたダーモットから猛アプローチを受けるうちに、彼に惹かれていき・・。
本書はメアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(ミステリでない方のクリスティー)シリーズの一つで、クリスティーの自伝的な内容といわれているようですね。
冒頭では、とある肖像画家が、今にも自殺してしまいそうな女性(シーリア)と知り合い、その彼女から聞いた半生を“知人の作家・メアリー”に物語にしてほしいと依頼する、というところから入っていて、そこからシーリアの長い物語が幕を開けるという構成です。
シーリアの子ども時代にかなりのページが割かれていて、そこがちょっと冗長に思われがちですが、ここで彼女のバックボーンがしっかりと描かれていることによって、その後の展開におけるシーリアの価値観への理解に繋がるのかな・・と思いました。
そして、問題の(?)ダーモットが登場してからはもう危惧した通りの展開というか、無駄だとわかっていても、シーリアの母・ミリアムと同じような気持ちで“ダーモットはやめておけ!”と思いながら読みました。
ダーモットの“やめておけポイント”は無数にあるのですが、個人的に最も“コイツはアカン!”と思ったドン引きポイントは以下の場面です。
↓↓
ダーモット「・・約束してくれたまえ、いつまでも美しいままでいるって」(←は・・?)
シーリア「でも、もしあたしが美しくなくなっても、愛してくださるでしょう?」(←頑張れ、シーリア!)
ダーモット「そうはいかないよ。同じというわけにはね・・以下略」(←おいおい!お前もオッサンになるだろうが!そこは棚上げかい!)
・・と、このような身勝手なダーモットと夢見がちなシーリアとの結婚生活は、お互いが未熟だったということもあると思いますが、最初から危なっかしくて見てられない感じでした。
さらに、最高の理解者だった母・ミリアムの死で消沈していたところに、ダーモットから離婚を切り出されるというダブルパンチですっかり病んでしまったシーリアが痛々しくて、読んでてしんどかったです。
因みにこの辺りは、クリスティーの“失踪騒動”の原因となった事情とも重なりますよね。
そんな訳で、後半は結構しんどいシーリアの半生でしたが、クリスティーの巧みな人間描写で綴られているのもあって、なかなかの読み応えでございました。
あと、冒頭に登場した謎の肖像画家と、本文中に度々シーリアの妄想(?)に出てきた“切り株のような腕”という暗示が終盤で繋がってきたのもゾクっとさせられましたね。
ミステリとはまた違った味わいの、メアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(?)シリーズは、この作品の他に五作(全六作品)あるとのことなので、また追々読んでいきたいと思っております~。