中村妙子のレビュー一覧

  • 春にして君を離れ

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    この小説が80年以上前に、イギリス人の物語として描かれた物語であることに驚きを隠せない。ジョーンの葛藤は現代の日本で生きる人々の葛藤そのものではないか、読み進めるうちにそう強く感じた。承認欲求を満たす為のSNS社会、効率と生産性を追求する余白のない社会、価値観の相違を受け入れられない排他的思考、私たちが行き着く先はいったいどこなのだろうか。そして後半に触れられる戦争の足音。私たちは砂漠の真ん中で立ち止まり自分自身と向き合い、他者に思いを巡らせる時間が必要なのだと、クリスティが語りかけているような気がした。

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    2026年09月13日
  • 春にして君を離れ

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    本書を、あの時代に、女が書いたのか…と。そして、広義でも「どんでん返し」とは違うのかもしれないが、私は本書に「どんでん返し」の銘を打ちたいと思う。
    やはり彼女も経験した「結婚は墓場」とはまさに言い得て妙であるのかもしれない(私は結婚したことはないが)。
    とりわけ未婚化が進む現代の男女関係を見るに、本書は、現代人は読むべきでないのかもしれない。こうして私も、ロドニーと同じ道を歩んでしまうのだろうか…

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    2026年09月08日
  • 春にして君を離れ

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    さすが女王、アガサ・クリスティー!
    誰も死ななくてもこの緊張感

    人間心理の根元をひとつの家庭、一人の心の中の葛藤だけで物語を構成させるとは
    虚栄心を砂漠の蜃気楼へのたとえ
    そしてラストの気持ちの迷い

    さすがに歴史に名を残す作家です。

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    2026年09月06日
  • 春にして君を離れ

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    人間の奥底にあるものを抉り出して曝け出したようなストーリーで、80年以上前出版されたものであっても、現代を生きる人間共通の悩みや広い意味での人間関係に起因する憤りがありありと描かれていて個人的には痛快というか、色々考えさせられます。特に夫婦関係とかですね...

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    2026年09月02日
  • 春にして君を離れ

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    ネタバレ

    サスペンス小説とはこんなにも面白いものなのか、と感銘を受けた。

    元々アガサクリスティー作品が好きでポアロシリーズ等のミステリー小説は読んできたが、本作は群を抜いて面白い作品だった。

    物語の最後、一度は認めた過去の愚行に対しての懺悔ができず、結局ジョーンは何も変われなかったことに、人間らしさを感じた。ジョーンに対して哀しみを覚える一方、夫ロドニーの残酷な優しさの余韻が残り、複雑な感情を楽しむことができた。非常に満足できる物語だった。

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    2026年08月31日
  • 春にして君を離れ

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    ネタバレ

    最後のロドニーの一言で震えた。この言葉はロドニーなりの優しさ(気持ちが無いのに側にいることが優しさとは思わないが)からくるものなのか、それとも真実を話して離れる勇気がないからなのか。ジョーンの言動はもちろんだけどロドニーや他の人たちを見ていても、相手のためと自分なりに思って言うことに常に疑問を持たなきゃいけないなとこの読書を通じて強く思った。読む年齢によっても感じるものは変わるんだろうな。教科書にした方がいいと思うくらい、強く残った本だった。折に触れて再読したい。

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    2026年08月30日
  • 春にして君を離れ

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    ネタバレ

    読み終えて、とても怖く感じた。主人公のジョーンとは時代も境遇も違うが、いつの間にか自分のことを振り返ってしまう。
    「あの時うまくやれたと思っていたのは、実は自分だけなのでは?」
    「あの人のことを想ってやったことは、ただの自己満足だったのでは?」
    自分の中の悪意や弱さを突きつけられた気分になった。

    ジョーンの最後の選択は残念だったけど、ジョーンの性質を理解しながら野放しにするロドニーにも悪さを感じた。離れればいいのに、なぜ…。

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    2026年08月29日
  • 春にして君を離れ

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    湊かなえさんが「あの本読みました?」でオススメしていて読んだアガサ・クリスティ初作品。新しい扉を開けてもらった気がする。舞台は第二次世界大戦前のイギリスだが、21世紀にも通ずる思想だ。心の葛藤の描写にグイグイ引き込まれた。自分が知る自分と他人が思う自分。誰しも自分の見たいように自分を見る。自己評価との乖離。栗本薫さんの解説に共感する。「それは最終的にはその当人の責任でしかない」「この小説は永遠に苦い切ないバイブルである」

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    2026年08月27日
  • 春にして君を離れ

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    【ネタバレあり】『春にして君を離れ』レビュー
    読んだきっかけ
    文芸評論家の三宅香帆さんがおすすめの一冊として挙げていたのがきっかけです。「平凡な主婦の話で、誰も死なない」という紹介に興味を惹かれました。アガサ・クリスティー作品は『そして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』を読んだことがあり、もう一冊探していたタイミングだったため、別名義(メアリ・ウエストマコット)で書かれた本作を手に取りました。

    あらすじと物語の背景
    3人の子供に恵まれ、一見すると非常に幸せな家庭を築いてきた主人公のジョーン(名前はマザーグースの「ジャンプのジョーン」に由来)。彼女は娘の住む中東を訪ねた帰り道、砂漠のレ

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    2026年08月20日
  • 春にして君を離れ

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    読み終わって、恐ってなった!
    アガサ・クリスティー作品ではあるが、
    殺人事件とか何も起きて無いんだけどಠ_ಠ

    家族の歪さをこれでもかと見せつけられた。
    家族を、夫を心から愛していると信じるジョーン・スカダモアの有りようが哀しいし、虚しい。
    本人は良き夫、良き子供たちに恵まれて理想的な家庭を手に入れたと自負しているのに、「知らぬは当人ばかりなり」といった具合に事実は全くの逆。それを段々に鋭く描き出しているから凄まじい!
    流石のクリスティーだな、と感嘆しました。

    砂漠の只中で一人、自身の内面を省みることしかやる事が無くなっていく描写が寒々とこわかった…
    汽車がやっと着いて、徐々に現実の生活に戻

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    2026年08月09日
  • 火曜クラブ

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    ミスマープルの活躍を描いた13の短編
    マープルの甥の提案によって始まった謎解きの語り合い
    村でのできごとと重ねて思うあみものをしながら聞いている穏やかな老嬢の姿があった
    村の中で暮らしていると人間のすることは同じようなものだと思えるそう
    ミスマープルのスタイルを形作った作品です
    ジェーンヒクソン、山岡久乃吹き替えのNHK版がとても好きでした

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    2026年07月26日
  • ブラック・コーヒー〔小説版〕

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    今年(2026年)日本で舞台が上演されたので
    個人的には小説の方が物語の世界に入り込めた
    戯曲版と違い冒頭はポアロのシーン
    私が観た舞台は片岡鶴太郎さんがポアロ役なんですが、
    舞台は舞台で面白かったのですが、
    私個人的にそもそもエルキュール・ポアロを日本人が演じるのは無理があると思っているので、
    小説の方が頭の中で好きなキャスティングで読めるので良かった。

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    2026年07月04日
  • 未完の肖像

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    メアリ・ウェストマコット名義で出版された作品。
    メアリ・ウェストマコット名義で書かれた作品はクリスティの内面を反映しているように思う

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    2026年06月02日
  • 愛の旋律

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    クリスティが別名義メアリ・ウェストマコットの名前で発表した最初の長編作品
    ミステリ小説ではないので注意
    邦題の愛の旋律も良いが、原題のGiant’s Bread(巨人の糧)の方が作品を表していれる
    個人的に印象に残った登場人物はネル(エリナー)・ヴェリカーだ
    他の女性陣のジョーやジェーンが新時代の20世紀的な女性だとすると、彼女は19世紀的な女性なんだと思う


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    2026年05月31日
  • ブラック・コーヒー〔小説版〕

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    舞台をきっかけで知った作品。小説版から読んだけれど、戯曲が先なのね。読みながら舞台のシーンを思い出し、と思ったら舞台では出てこなかった場面や情報も含まれていて、さらに奥行きが広がった印象。
    果たして戯曲はどうなのか、これから読みます。

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    2026年05月11日
  • ビッグ4

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    今作はクリスティ作品の中では評価が低い
    要因は幾つか考えられるが、
    個人的には「アクロイド殺し」の次の長編なので期待値が高すぎたのでは?と考える
    前作「アクロイド殺し」出版後から今作が出版された1927年までにアガサ・クリスティにとって心労が重なる出来事があったのも要因の一つだろう
    最初の夫アーチボルト・クリスティ大佐の不倫と離婚問題、その後の失踪からしても今作を書いた当時アガサは一種のスランプ状態だったのではないか?
    そんな彼女に義兄キャンベル・クリスティが「短編をまとめて出版してみれば?」というアドバイスをして今作は書かれた。
    後年アガサが述べているが、ポアロは短編よりも長編向きた。
    そし

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    2026年03月04日
  • 愛の旋律

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    読み終わった後の感慨がすごくて戸惑っている。
    何箇所か読み直したりしている。

    原題は GIANT’S BREAD (巨人の糧)、邦題は 愛の旋律。読んだ感想としては、巨人の糧のほうがしっくりくる。愛の旋律が想像させる、優しい愛の物語ではない。

    主人公ヴァーノンにまつわる2人の女性が出てくるが、私はジェーンというキャクターが本当に好きになってしまっている!しっかり自分の人生を生きてきた、1人でも生きていける強い女性。依存的ではないし、愛を与えて、尽きない。
    もう一方のネルは、美人さんな上にネルなりに頑張っていて素敵。でもジェーンとは質が違う。ヴァーノンが救うのは最後にはネルで。でもそのために

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    2026年01月15日
  • 娘は娘

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    ネタバレ

    なぜかノン・シリーズばかり読み進めてしまう。母娘の積年の愛憎劇だけど結末は自立というのか、共依存が解消されて希望のある最後でよかった。作中貫かれていた使用人のイーディスの愛がありがたかった。

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    2025年12月27日
  • 黄色いアイリス

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    ネタバレ

    レガッタ・デーの事件
    バグダッドの大櫃の謎
    あなたの庭はどんな庭?
    ポリェンサ海岸の事件
    黄色いアイリス
    ミス・マープルの思い出話
    仄暗い鏡の中に
    船上の怪事件
    二度目のゴング
    以上を収録した短編集、
    パーカー・パイン物は初めて読んだ…。

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    2025年12月15日
  • ビッグ4

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    国際犯罪組織、ビッグ4とポアロの対決です。
    アクションシーンも登場します。
    ポアロの双子の兄弟とみなされる人物が登場しますが、本当に実在するのか怪しげです。

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    2025年08月14日