中村妙子のレビュー一覧
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旅行カバンと女性の座っている姿が素敵な表紙です。読んだ後に考えさせられる、素晴らしい内容でした。
春にして君を離れ
absent in the spring
英語の題名も、日本語訳の題名も秀逸です。「君」は誰なのか、「absent」の意味も考えさせられます。
「君」はジョーン側から見るとロドニー、逆から見るとジョーン。物理的に旅行したから「離れた」って意味合いもあるけど、「心が離れている」意味もある。
本の流れとして、ジョーンは自分の意見が間違っていない、周りを良い方向に直してあげていると思っているが、周りからは融通のきかない、わがままなお母さんと捉えられている。しかし、別の面から見た -
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人間の心理を描いたとてつもない作品。
毒親、ともよべる、自己中心的な母親ジョーン。
家族のことを思っているようで、実は自分の思い通りにすること、それが彼らにとってよいことだという一方的な決めつけを押し付けることしかせず、そのことに自覚もない。
皆にうとましがられていることにも気づかず、自分1人の幻想の中で孤独に生きている。
その真実に、一番気づきなくないのは、本人自身だ。
一人きりで時間がたっぷりあるとき、
ジョーンはようやく、自分自身の真の姿に出会うことになる。
それは、気持ちいいことではない。
不安で、不穏で、懺悔がまちうけているような、天変地異のような。
そのシーンの描写は圧倒的だ。 -
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ミス・マープルの初歩のような短編集でした。
短編集なので日常の謎が多いのかと思ったらほとんどが殺人絡みで事件も推理も本格的でした。これを短編でどんどん出しちゃうとは本当にアガサ・クリスティーは引き出しが多いんだなあ。
「迷宮入り殺人事件。」作家のレイモンド・ウェストは最近この言葉が気に入っている。ここはイギリスの田舎町セント・ヘアリ・ミードの老婦人ミス・マープルの居間。レイモンドはミス・マープルの甥で、古風で家庭的で居心地の良い叔母さんの家で集まりを開いたのだ。その場に元スコットランドヤードの警視総監、ヘンリー・クリザリング卿(サー・ヘンリー)がいたこともあり、参加者たちが自分が遭遇して解決 -
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ネタバレミス・マープルの連作短編集。
ミス・マープルを囲んで繰り広げられる推理合戦13編。
各自が真相を知っている"迷宮入り事件"を語り、参加者一同が真相を推理し合うもの。
参加者の年齢も職業もバラバラなので、どの事件も変化に富んで面白い。私も一緒に解いてみたけれど13の事件全て惨敗だった。
特に面白かったのは『動機対機会』『二人の老嬢』『四人の容疑者』『溺死』
全ての事件の真相を次々と見事に暴くミス・マープル。自身の住むセント・メアリ・ミード村からほとんど出たこともない彼女はどうしてこんなに簡単に事件の真相を探り当てることができるのか。
「この世の中に起こることは、すべて似 -
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ネタバレシーリアという女性の半生が描かれている。
優しい両親や、前時代的だがよき理解者である祖母に愛され、シーリアは満ち足りた幼少期を送る。父の死で一家は傾くものの、美しく成長したシーリアには数多の男たちが言い寄ってくる。そんな中でシーリアは、のんびりして包容力のあるピーターの求婚を受ける。シーリアには慎重に結婚相手を決めてほしいピーターは、外地勤務の終わる2年後まで結婚を待つように言って旅立つが、その間にダーモットが現れる。結局シーリアは、ピーターとの婚約を破棄してダーモットを選ぶことに。
優しくて魅力的なダーモットとの間に娘も生まれ、シーリアは幸せだった。だが、幸福に思われた結婚生活にも次第に翳り -
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アクナーテン
どんな作品でもそうだが取りかかる順番はとても大事で、相乗効果で面白さが増す事がよくある。今作、「アクナーテン」を読む前に「ファラオの密室」(2024年)という作品を読んでいた為、世界観が踏襲され、まるで続編を読んでいるかの様な感覚になった。
「ファラオの密室」では神官とこの時代に生きる市民や奴隷、神々を中心に物語が描かれ、「アクナーテン」ではこの時代のファラオ、王族達を中心に物語が進められる。
今作に登場するファラオ、アクナーテン(おそらくアクエンアテンは読み方の違い)は愛と平和に憧憬する王なのだが、歴史上は余り評価されていない。彼が憧れる世界は理想郷であり、人間の悪い部分