中村妙子のレビュー一覧
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ネタバレ自分の母を見るかのようで、心がゾワゾワした。きっと私の母は、砂漠で一人になっても、自分を顧みることはしない。自分は良い母親だったと満足し、疑うことはないだろう。
ロドニーの視点から見たジョーンが最後に描かれていた。諦めと失望と歪んだ優越感。栗本氏の解説にもあったが、結局似たもの同士なのだろう。子供達の視点から見たジョーンの姿も見てみたかった。
ジョーンが最後にあの選択をした(というより、考えることを放棄した)のも、リアルだし納得。私はロドニーにはなれないので、衝突の上、絶縁した。この選択が良かったのかは分からないし、ずっと関わらないで居られるのかも分からないが、自分に嘘をついて生きるのだけ -
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ネタバレずっと読みたくて、だから、やっと読めて嬉しい。1,2日でほとんど一息に読んでしまった。とても面白かったし、考えさせられる本だった。
バクダットで足止めを食らったジョーン・スカダモア夫人は、自身の半生を振り返る。穴からのぞくトカゲは終いには彼女を覆い尽くし、最後はさも「イギリス人らしく」改心したかと思いきや、最後のオチはなんと…といった内容。シェイクスピアのソネットの引用、タイトルの「Absent in the Spring」。そしてエピローグで夫のロドニーがこう独りごつ、「ああ、どうか、きみがそれに気づかずにすむように。」
まったく大した出来事も起こらず、ジョーン夫人とインド人の召使いしかいな -
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ミス・マープルの初歩のような短編集でした。
短編集なので日常の謎が多いのかと思ったらほとんどが殺人絡みで事件も推理も本格的でした。これを短編でどんどん出しちゃうとは本当にアガサ・クリスティーは引き出しが多いんだなあ。
「迷宮入り殺人事件。」作家のレイモンド・ウェストは最近この言葉が気に入っている。ここはイギリスの田舎町セント・ヘアリ・ミードの老婦人ミス・マープルの居間。レイモンドはミス・マープルの甥で、古風で家庭的で居心地の良い叔母さんの家で集まりを開いたのだ。その場に元スコットランドヤードの警視総監、ヘンリー・クリザリング卿(サー・ヘンリー)がいたこともあり、参加者たちが自分が遭遇して解決 -
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ネタバレミス・マープルの連作短編集。
ミス・マープルを囲んで繰り広げられる推理合戦13編。
各自が真相を知っている"迷宮入り事件"を語り、参加者一同が真相を推理し合うもの。
参加者の年齢も職業もバラバラなので、どの事件も変化に富んで面白い。私も一緒に解いてみたけれど13の事件全て惨敗だった。
特に面白かったのは『動機対機会』『二人の老嬢』『四人の容疑者』『溺死』
全ての事件の真相を次々と見事に暴くミス・マープル。自身の住むセント・メアリ・ミード村からほとんど出たこともない彼女はどうしてこんなに簡単に事件の真相を探り当てることができるのか。
「この世の中に起こることは、すべて似 -
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ネタバレシーリアという女性の半生が描かれている。
優しい両親や、前時代的だがよき理解者である祖母に愛され、シーリアは満ち足りた幼少期を送る。父の死で一家は傾くものの、美しく成長したシーリアには数多の男たちが言い寄ってくる。そんな中でシーリアは、のんびりして包容力のあるピーターの求婚を受ける。シーリアには慎重に結婚相手を決めてほしいピーターは、外地勤務の終わる2年後まで結婚を待つように言って旅立つが、その間にダーモットが現れる。結局シーリアは、ピーターとの婚約を破棄してダーモットを選ぶことに。
優しくて魅力的なダーモットとの間に娘も生まれ、シーリアは幸せだった。だが、幸福に思われた結婚生活にも次第に翳り -
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アクナーテン
どんな作品でもそうだが取りかかる順番はとても大事で、相乗効果で面白さが増す事がよくある。今作、「アクナーテン」を読む前に「ファラオの密室」(2024年)という作品を読んでいた為、世界観が踏襲され、まるで続編を読んでいるかの様な感覚になった。
「ファラオの密室」では神官とこの時代に生きる市民や奴隷、神々を中心に物語が描かれ、「アクナーテン」ではこの時代のファラオ、王族達を中心に物語が進められる。
今作に登場するファラオ、アクナーテン(おそらくアクエンアテンは読み方の違い)は愛と平和に憧憬する王なのだが、歴史上は余り評価されていない。彼が憧れる世界は理想郷であり、人間の悪い部分 -