中村妙子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレアヴァリルの駆け落ちを止めるための、話し合いのシーンが出色。
アヴァリルと二人だけで話したいと言うロドニーに、ジョーンにも同席してほしいと言うアヴァリル。「なるほど、怖いんだな」と言ったロドニーの言葉の意味が、その時点では分からなかったが、今なら分かる。父に筋の通った言葉で事の本質を言い当てられ、説得されるのが怖かったんだろう。訳の分からない母にまぜっかえしてもらい、話し合いをうやむやにしたかったのかも。
感情的にならず理路整然と冷静に諭すロドニーは、いかにも弁護士然としていて、自分の娘に対する態度とは思えない。父の経験と苦しみを知っている理知的なアヴァリルは、もはや反抗する術もない。心配が -
Posted by ブクログ
今作はクリスティ作品の中では評価が低い
要因は幾つか考えられるが、
個人的には「アクロイド殺し」の次の長編なので期待値が高すぎたのでは?と考える
前作「アクロイド殺し」出版後から今作が出版された1927年までにアガサ・クリスティにとって心労が重なる出来事があったのも要因の一つだろう
最初の夫アーチボルト・クリスティ大佐の不倫と離婚問題、その後の失踪からしても今作を書いた当時アガサは一種のスランプ状態だったのではないか?
そんな彼女に義兄キャンベル・クリスティが「短編をまとめて出版してみれば?」というアドバイスをして今作は書かれた。
後年アガサが述べているが、ポアロは短編よりも長編向きた。
そし -
Posted by ブクログ
ネタバレ10年近く前に「バーナード嬢曰く」で取り上げられていて、その時に気になってすぐに購入して、10年近く積読になっていた本をようやく読み始めて一気に読んだ
うわ、この不遜さは自分かもしれない・・・痛々しい気持ちで読み進める
自分はみんなに嫌われているかもしれないと思ってるとむしろ自分を正当化したくなるんだろうなぁ
バクダットからテル・アブ・ハミド(テルアビブのことか?)→アレッポへとタクシーと汽車で移動 その後にヨーロッパに入って・・・そっか、第二次対戦前はイスラエルやシリアはイギリス領だった? あれ?バグダッド→イスタンブール→ベルリンを鉄道で結ぶ3B政策はドイツの政策だっけ? 待っていた汽 -
Posted by ブクログ
ネタバレとにかく怖い。自分の中にもジョーン・スカダモアがいるのではないか。すでに誰かにとってのジョーンなのではないか。夫であるロドニーの評価は分かれるところだと思うが、個人的には嫌な奴と切り捨てきれない部分があった。「結婚は連帯の意図の表明であり、不測の事態が起こった時も、相手を見捨てない契約」という覚悟を貫いているようにも思えたが、結局のところ、ロドニーもジョーンと同じように、自己満足に陥っているだけなんだろうな。ありのままの現実と向き合うレスリーの姿が、ロドニーの弱さを浮き彫りにしていると感じた。現実を直視し分かち合う勇気を持てないことを、優しさなどという美辞麗句で飾って済ませてはいけない、と突き
-
Posted by ブクログ
実ある心の婚姻に、許すまじ、邪魔だては。
世は移り、人は変われど、まことの恋は
摘まれて朽つる花のごとく
はかなきものにあらざれば。
そはさながら天の一角に
嵐を下に見て、巌としてゆるがざる、
かの不動の星、荒波に揉まるる小舟の
変わりなき道しるべ、
いと高く輝きて、限りなきものを内に秘む。
まことの恋、そは時の道化にあらず
よし、あえかな唇、ばらのかんばせは、
時の利鎌の一振りにうつろうとも
恋はかりそめならずして
世のきわみまで恋うるなり。
変わらぬ恋は世になしと証しさるれば
わがすべての詩はむなしく
およそ人のすべての愛もまたむなし。
──ウィリアム・シェイクスピア「ソネット116」 -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリーではないアガサクリスティー
一人の女性ジョーンが妻として母として人一倍の自信と誇りを持って生きてきた。
ただ実際は周りが何も見えていなかった
怖いことだと思う。自分に置き換えたらどうだろう。それに気づいた時180度変えた考え方ができるだろうか。それまでの人生を否定できるだろうか。
多角的な視野で見ることは難しい。自信があることは素晴らしい。
ロドニーはなんて大きい人なんだろう。ただ妻に心のうちも打ち明けられない人生は哀しいとしか言えない
子どもたちは離れていきそれぞれ新たな人生を歩み始める。今でいうところの毒親を離れてやっと自分基準の幸せを求めて。 -
Posted by ブクログ
読み終わった後の感慨がすごくて戸惑っている。
何箇所か読み直したりしている。
原題は GIANT’S BREAD (巨人の糧)、邦題は 愛の旋律。読んだ感想としては、巨人の糧のほうがしっくりくる。愛の旋律が想像させる、優しい愛の物語ではない。
主人公ヴァーノンにまつわる2人の女性が出てくるが、私はジェーンというキャクターが本当に好きになってしまっている!しっかり自分の人生を生きてきた、1人でも生きていける強い女性。依存的ではないし、愛を与えて、尽きない。
もう一方のネルは、美人さんな上にネルなりに頑張っていて素敵。でもジェーンとは質が違う。ヴァーノンが救うのは最後にはネルで。でもそのために -
Posted by ブクログ
旅行カバンと女性の座っている姿が素敵な表紙です。読んだ後に考えさせられる、素晴らしい内容でした。
春にして君を離れ
absent in the spring
英語の題名も、日本語訳の題名も秀逸です。「君」は誰なのか、「absent」の意味も考えさせられます。
「君」はジョーン側から見るとロドニー、逆から見るとジョーン。物理的に旅行したから「離れた」って意味合いもあるけど、「心が離れている」意味もある。
本の流れとして、ジョーンは自分の意見が間違っていない、周りを良い方向に直してあげていると思っているが、周りからは融通のきかない、わがままなお母さんと捉えられている。しかし、別の面から見た -
Posted by ブクログ
人間の心理を描いたとてつもない作品。
毒親、ともよべる、自己中心的な母親ジョーン。
家族のことを思っているようで、実は自分の思い通りにすること、それが彼らにとってよいことだという一方的な決めつけを押し付けることしかせず、そのことに自覚もない。
皆にうとましがられていることにも気づかず、自分1人の幻想の中で孤独に生きている。
その真実に、一番気づきなくないのは、本人自身だ。
一人きりで時間がたっぷりあるとき、
ジョーンはようやく、自分自身の真の姿に出会うことになる。
それは、気持ちいいことではない。
不安で、不穏で、懺悔がまちうけているような、天変地異のような。
そのシーンの描写は圧倒的だ。 -
Posted by ブクログ
ミス・マープルの初歩のような短編集でした。
短編集なので日常の謎が多いのかと思ったらほとんどが殺人絡みで事件も推理も本格的でした。これを短編でどんどん出しちゃうとは本当にアガサ・クリスティーは引き出しが多いんだなあ。
「迷宮入り殺人事件。」作家のレイモンド・ウェストは最近この言葉が気に入っている。ここはイギリスの田舎町セント・ヘアリ・ミードの老婦人ミス・マープルの居間。レイモンドはミス・マープルの甥で、古風で家庭的で居心地の良い叔母さんの家で集まりを開いたのだ。その場に元スコットランドヤードの警視総監、ヘンリー・クリザリング卿(サー・ヘンリー)がいたこともあり、参加者たちが自分が遭遇して解決