中村妙子のレビュー一覧
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長ったらしい自己満足に満ちた回想なのに、最後までちゃんと読ませる文章力というか構成力があって、さすがアガサクリスティだなぁと。いや、もしかしたらアガサクリスティだからという信頼のもとに読み切れたのかもだけど。
正直この本を読んで、何を思えばいいのか分からなかった。自分は自分しか認知できない、ともすれば自分すらも曖昧なまま、他人の思考や考えなど理解できようもない、ということなのかしら。
妻や母として、家族のためにどうのこうのというのは実際のところ、正しい形なんてないのだと思う。人を愛するということも、献身も、何もかも自己満足じゃない?というか自己満足を通じてでないと他人に干渉なんてできないんじ -
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アガサクリスティはミステリーしか読んだことがなかったため新鮮だった今作。
前半はジョーンのプライドの高さ、子供達からどう思われているか気がつかない鈍感さにばかり目がいったけれど、後半の、急激に自分の過去の過ちを振り返り始めるのは見ていてもとても心苦しい。
それとともに後半印象が変わるのは、ロドニーだ。
前半は、旦那さんあるあるだなあ、子供にとって良い父親なんだろうなあ、とか呑気に考えていたけれど、後半を見ているとそうも言えなくなる。
完全なモラハラとも違うような気がするけれど、なんだかモラハラ臭を感じる。
決定的なことを言うわけではないけれど、だからこそ胸に秘めてずっと相手に核心的なことを -
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アガサクリスティーのミステリーではない作品。
平凡なイギリス人主婦がバグダッドに住む娘を見舞った帰りに列車が止まり、数日かかって帰るまでの話。道中で昔の友人に会ったり、昔のあの出来事はどういうことだったのかしら?など思い出したりしながら、途上の宿泊場所で次の列車を待ちます。
やることがなくて、孤独な時についつい昔のことを思い出して、恥ずかしくなったり後悔することは皆心当たりがあるではないでしょうか。(特に風邪で寝込んでいる時とか…)
真実を知ってしまうことと知らされないこと、どっちが幸せなのか。
主人公の性格が自分勝手で好きじゃなく、前半は退屈に思いましたが、最後の最後で、はあっ…とな -
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砂漠を彷徨う傲慢で独善的なジョーン・スカダモア夫人を眺め続ける体験。
自己正当化が続く。クルクル回る万華鏡……クルクルクルクル…
これスカダモア夫人が決して無能ではないところが怖い。単純に家族を尊重できない独りよがりな母親というわけでもない。(結果としてそうなのだが)
正当化を繰り返すが、彼女は彼女の正義に基づいて判断をしている。
良き妻、良き母像を忠実に守っている。そして自分自身をも忠実に守っている。
彼女は目の前の生活における「正解」を選び続けてきたのだろう。けれど、その正解を選ぶ自分自身を疑うことはできなかった。1944年の小説でありながら、「目の前の最適解に集中すること」と「 -
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素晴らしかった!
クリスティのウエスト・マコット名義で書いた本を読んでいる。これもまた恋愛、家族について考えさせられる。
死を選びそうな女性(主人公)が、出会った人にこれまでの人生を夜通し話すというスタイルで、幼少期の話から始まる。そこは正直読んでいて少しダルい感じもしてしまうのだが、主人公が内気な妄想好きの少女だった、ということがわかる。少女が大人になって、恋愛話が出てくると、一気に面白くなってくる!いろんな人から救愛されるのだけど、ちょっとでも違和感を感じると、彼女は流されず、断る。きちんと自分の好きな人を結婚相手として選ぶことができた。はずなのだが、ずっと続くと思われた結婚関係が、相手 -
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ネタバレその人生を幸福と呼ぶか。
ヒュー・ノリーズの元にゲイブリエルが死にそうだと報せが来る。ノリーズはゲイブリエルを憎んでいた。イザベラを死なせたゲイブリエルを。ノリーズの語るゲイブリエルの物語。
一気に読ませる。メアリ・ウェストマコット名義の作品なのでいわゆるミステリではない。しかし最後に明かされる真相に向かって進み、最後の打撃に痺れるという点では実によくできたミステリ的。
軽薄で自己宣伝的な醜男ゲイブリエル。彼の根底に流れる高貴なものへの歪んだ感情。生まれながらに貴族というのが日本には(一応)ないので、ここら辺の大英帝国的な価値観を完璧に理解はできないけど、なんとなく感覚的にはわかる。自分 -
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個人的にクリスティ作品の魅力といえば、
個性豊かかつ人間味のある登場人物(事件の容疑者)たち、
膨大な情報の中にミスリードと本当のヒントとを潜り込ませる巧みさ、
そしてミスリードの要素すら拾い上げ本筋とは別のストーリーに昇華させる組み立ての巧さ、
あたりが大きいのだが今回は短編集という性質上どうしてもそれらを感じづらかったというのが正直な印象。
短いページ数で語らなければいけないので人物描写にそこまで割けず、ミスリードを入れる隙がないのでヒントが分かりやすく浮き彫りになっており、長編では毎回予想外の真相に驚かされていたのに、今回は途中でなんとなく分かってしまうことが多かった。
というのは各話