中村妙子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレメアリ・ウェストマコット名で書かれた小説は、どれも面白い。
アガサクリスティの本を数十冊読んだ後で、同じ作者だということを知っていて読んでいるからかもしれない。
特に、アガサクリスティの自叙伝を読み、アガサクリスティの一生を知ってから、メアリウェストマコット作の作品を読むと、どれもアガサクリスティが登場しているように読める。
マープルものの「ミスマープル」、ポアロものの「アリアドニ・オリヴァ」、トミー&タペンスの「タペンス」など、アガサクリスティの分身は多い。
アガサクリスティの分身を見つけることが、アガサクリスティの作品の楽しみ方の一つになっているかもしれない。
アメリカ出身の親、イギリスでの生活、
結婚、出産、失踪、離婚、再婚、中東への発掘調査への随行など、
アガサクリスティの作品には、自分の経験が十分に反映されているように思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアガサクリスティの楽しみ方は
1 イギリス文化に馴染む。紅茶、朝食、昼食、夕食など。
鉄道の利用、新聞の読み方、新聞への広告の出し方など。
2 中近東、南アフリカ、オーストラリア、アメリカなど旧植民地の文化に馴染む。
アガサクリスティ自体が行ったことがある地方の描写は、すごく立体的。
3 犯人探し
4 女性のものの見方と男性のものの見方の違い
5 考古学、遺跡発掘作業など。
6 音楽、オペラなどの芸術活動。
7 作家、小説、詩、マザーグースなど。
3以外は、アガサクリスティの経験に基づく内容なので、とても勉強になります。
本書は、1,2,4,5,7の視点が得られるのでたいへん楽しめる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアガサクリスティの3つの面がみごとに3人の女性として描かれているように思われる。
まず、未亡人の母親。
再婚をめぐる心の葛藤。
死別ではない、アガサクリスティからは、一番遠い性格のように見受けられる。
未亡人の母親の娘。
わがままだけど、反面大人びた考えの持ち主。
最後は、幸せを選択できるところは、一番アガサクリスティに似ているかもしれない。
未亡人の母親の友人。
著名人で、仕事上はアガサクリスティに一番近い役回り。
考え方、発言も、公式のアガサクリスティの言いたいことを代弁している。
それでも、未亡人の母親の性格の中に、ひょっとしたらアガサクリスティらしさが
織り込まれているような気がしたのは、設定のうまさだろうか、表現のうまさだろうか。
自分が選ぶアガサクリスティのベスト10に入れたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ愛を一手に独占する赤ん坊の妹に対して、死んじゃわないかと思った姉。
それでも、火事のときに、夢中で助け出そうとした人間性。
人間の性格はなかなか直せないが、
愛されることによって変わるかもしれないという望みは残った。
愛するときの重さと、愛されるときの重さの、性格が違うことが分った。
どちらか一方では、手抜かりなのだということを感じた。
ps.
解説において、ハンセン病に対する時代的な認識の限界について断りがある。
原作を書き換えると、時代的な認識の限界が分からなくなるので必ずしも書き換えは必要はないが、最低限、解説では言及がある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説版ってどういう意味かわからずに購入してしまいました。
ブラックコーヒーは、最初は戯曲としてかかれたということを知りました。
表紙に著者の名前を掲載しないのは、ひどいと思いました。
本の中には、チャールズオズボーン小説化と書かれているので、
表紙にも掲示すべきだと思います。
そんな不満を持って読んでいたので、表現の細かいところに気が回らず、
読み終わったあとも、内容がピンと来ていません。
戯曲版を先に読んでから、本書を読み直してみます。
ps.
2010年、イオンシネマに持って行って、紛失してしまいました。拾われた方はお届けいただけると幸いです。 -
Posted by ブクログ
メアリ・ウェストマコット名義のクリスティの作品は、読み返すほどに味が出てきます。読むたびに新たな発見があり、そこから自分の考え方が分かってくるというか。最初に読んだころから随分違う印象を持つようになりました。母と娘、愛しているからこそどんな犠牲も払う。それを決めたのは自分なのに、相手を恨めしく思ってしまう瞬間があるのです。その気持ちが段々胸に溜まっていって、自分でも訳のわからないモヤモヤになって・・・。ミステリの女王は人間観察の女王でもありますね。イーディスやデーム・ローラの台詞を読んでいると、目の前にクリスティがいたら心の奥底まで見抜かれそうな気がしてきます。
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Posted by ブクログ
ノンシリーズ(メアリ・ウェストマコット編)。
本作品は、ヴァーノン・デイアという一人のだめんず・・もといw、若き気鋭の音楽家(作中ではまだ原石ですが)の愛と苦悩、そして彼をめぐる人々の波乱の人生を描いた、“ミステリではないクリスティー”でございます。
美しい屋敷(アボッツ・ピュイサン)で生まれ、空想に耽った繊細な幼少期から始まり、従妹のジョー、幼馴染のセバスチャンやネルと過ごした少年期。
音楽に目覚め、美しく成長したネルと恋に落ちる青年期、そして圧倒的な歌声を持つオペラ歌手・ジェーンとの出会い、さらに戦争の勃発・・と、ヴァーノンをメインに五人の男女が運命に翻弄されながら生きていく展開です。
主人公ヴァーノンは「純粋で芸術的才能はあるけれど、付き合うと絶対に苦労する男」で、彼の“夢見るお子ちゃま”っぷりにはイラッとさせられっぱなしでしたw
そんなヴァーノンを巡るネルとジェーンという二人の女性の対比が特に印象的でしたね。
前半はキラフワ系女子だったネルが、戦時中に病院で一生懸命に働く姿はとても健気で良かったのに、彼女の病院勤務を「看護なんて、きたない仕事じゃないか」と、否定して自分の理想ばかり押し付けるヴァーノンにまたイラつく私・・(-_-;)。
(で、ネルが不安になった絶妙なタイミングで金持ちおじ様・ジョージ登場という・・ま、これはミセス・ヴェリカーの策略だと思いますが・・)
一方、大人の魅力に溢れていたジェーンですが、終盤でネルに対してかなり意地悪な牙を剥いたりと、そんな女の執念というか、剥き出しのエゴの描き方にゾクゾクさせられました。
さらに、奔放で自らしんどい恋愛に走ってしまうジョー、冷静に時流読む眼を持ち事業で成功していながらもジョーへの切ない想いを抱き続けるセバスチャン・・。
といった、それぞれ悩みや葛藤を抱えた登場人物たちが織りなす物語に、つい引きこまれてしまった次第です。
かなりのヴォリュームでしたが、読み終わった瞬間、思わず深い吐息が漏れてしまうような・・そう、まるで一本の重厚な映画を見終えたかのような読後感を味わっております。
ということで、クリスティの天才的な人間描写の上手さが遺憾なく発揮された、濃厚な人間ドラマを堪能させて頂きました。
未読のクリスティー作品は、ノンシリーズ(と戯曲)のみなので、残りを少しづつ読んでいきたいですね~。