服部まゆみのレビュー一覧

  • この闇と光

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    ネタバレ

    いやぁすごい作品に出会った
    どんでん返しとだけ聞いていたが、まんまとひっくり返されたな
    すごすぎて怖くも寒くもないのに鳥肌が
    まだ読んでいない人は是非何も調べずに以下を読まずに、本作品を読んで頂きたい!!



    レイアⅠ〜Ⅱは作中作なのか、実際に誘拐されているのか
    全てを語らず曖昧にすることで、2つの世界がどちらも成立し得る。
    作中作で誘拐はなく怜が狂気なのか、誘拐は現実で原口が狂気なのか
    「盲目」というギミックで主人公だけでなく読者も闇に放り込んでいる。

    ・レイア(怜)は原口の、理想的な美的センスを備えた「作品」である。
    ・怜は原口の狂気的なファンであり、原口の美を踏襲した「作品」を執筆す

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    2025年10月05日
  • この闇と光

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    ネタバレ無しに読んで欲しい一作です。
    音楽、文学、芸術、様々な「美」に関する知識があればあるほど、より面白い。

    「求めるものは、地位とも、虚名とも、金銭とも結びつかない。真に己の魂を震わせる「美」であり、魂によって選び抜かれた「極上のもの」だった」

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    2025年10月04日
  • この闇と光

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    光を失った王女の物語から始まる。王であった父と、世話をしてくれるダフネ。登場する人物は少なく王女の部屋の中で時間が進んでいく。音を知り、臭いと香りを知り、文字を知り、物語を知り、色を想像して形を学ぶ王女は闇の中で父から与えられた本と物語から世界を創り上げていく。
    ある日、全てが奪われます。
    闇と光を目の当たりにして王女は真相を知ります。
    主人公の王女が求める美とは。贅沢とは。
    驚きの連続です。

    真相と、幻想を行き来する物語に後半はイッキ読みしました。

    至上の美を誇るゴシックミステリーと紹介されています。解説を読みましたが美術や、絵画といった芸術に詳しい著者の服部まゆみさんはどのような方だっ

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    2025年08月30日
  • この闇と光

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    記憶を消してもう一回読みたい!!
    とある国の盲目の王女が、小さな箱庭の中で生活する耽美幻想小説として始まったのに、突然世界観が180度ひっくり返る。結末は好みと評価が分かれそうだと思ったけど、個人的には好きな終わり方だった。
    確かにガラッと話が変わった時はビックリしたけど、よく読み返すと丁寧にその種は少しずつ撒かれているのがわかる。完全な異世界のファンタジーかと思っている読者に、現実との橋渡しを徐々にしてくれている。ただその後読者が元の世界に戻れないように突然その橋を爆破してしまうから、衝撃で色々忘れてしまう感じ。
    「記憶を消して」って書いたけど、別に消さなくても何度も読み返したい。

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    2025年07月30日
  • この闇と光

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    叙述トリックやゴシックミステリにハマるきっかけになった作品。物語の最後にどんでん返しのある真相ビックリものです。自分で犯人を推理すると言うよりジェットコースターのように明かされる真相と被害者の心の動きを必死に追う感じです。

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    2025年05月04日
  • この闇と光

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    贅沢品を香気を浴びせられた美しすぎる作品。
    多くは語りたくないような、帯や口コミの予想を大きく超える作品だった。
    とにかく気品に溢れた文体がストーリーをより引き立たせていて、最後まで高貴で濃厚な小説だった。
    何度も読み返したい。

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    2025年04月21日
  • この闇と光

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    世界観が美しく、儚い。
    だんだんと現実味を帯びてくるような表現と序盤から張られている伏線に感無量。
    この本に出会えて本当に良かったです。

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    2025年03月27日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!

    ✂-----以下ネタバレです-----✂








    はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
    「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
    今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこ

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    2024年06月28日
  • シメール

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    シメール…幻想
    最初の数ページで「あ、好きな本」と思ったのだけど間違っていなかった。

    満開の桜の下に精霊がいた。

    片桐と翔、2人の視点から交互に進む物語。
    友人の息子である翔。
    父の友人である片桐。
    2000年に刊行された物語で人々がまだそれについて今ほどナーバスではなかったのだろうと思うのだけれど、人によっては嫌悪する内容であることは否めない。
    それでも私には美し過ぎる悲劇。

    火事によって、家と祖母と双子の片割れを失った僕と、兄を愛してやまない母と、社会性に乏しい父。
    母にとって不平不満だらけの引越し先のアパートでさえ立ち退きを言い渡されて途方にくれる僕たちの前に現れたのは、大学教授で

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    2023年08月18日
  • この闇と光

    騙される

    途中まではすっかり始まりの世界観に騙されていた。
    後半というか終盤辺りで夢から覚めたようになり少し呆気に取られながら読み進めていった。
    終わり方がこの先は読者に任せます的な感じだったのであまり好きではない終わり方だったのが残念。きっとこうしていくんだろうなって想像が働くのはいいけど、やっぱり著者の決定的な終わり方が見たかった。
    終盤のネタばらしのような展開は読んでいるとちょっと無理矢理すぎんか?と思うこともあったけどそれでも自分の中でベスト3に入るほど好きな作品。

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    2023年07月25日
  • 一八八八 切り裂きジャック

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     今年中にもう1冊読む予定だったのに、長すぎて本書が2022年最後の読書に。電子書籍は読み始めるまで分厚さに気づかないので臆さず読めるのは長所かもしれない。文庫本だったら読んでなかったかも。
     序盤はなかなか事件も起こらず優雅な留学生活ぶりに鼻白らんでいたが、細部まで丁寧な描写と美しく残酷な当時のロンドンの様子、終盤にかけての加速など、ページを捲る度にグイグイ惹き込まれていく。この時代はまだ指紋が1人1人違うことが常識ではなかったのか。長いがその分読み応えもバッチリ。もう1冊積んでる著者の別作品も楽しみ。

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    2022年12月31日
  • 一八八八 切り裂きジャック

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    霧のロンドン、貴族と貧民が混在する、耽美と退廃に彩られた血生臭い街。
    主人公は、日本人医学留学生・柏木薫。最初はベルリンで解剖学を学ぶのだけど、友人の「光の君」こと鷹原惟光の紹介で、先天性奇形症候群であるエレファントマンに興味を持ち、ロンドンへ。そこで切り裂きジャック事件に出くわし、巻き込まれていく。

    切り裂きジャックについては、なんとなくしか知らなかったので、無知の状態だったこともあって、事件の凄惨さに興味を持ちながら読みました。
    読後にあらためて調べると、実際の事件とほぼ同じ流れで小説も展開されていました。その上で、あの人が犯人かもという方向に持っていったんだなぁとわかり、なかなか面白か

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    2022年02月05日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    角川ホラー文庫ベストセレクション第二弾。全部読んだことがあるので再読かな。しかし何度読もうと、どれもこれも文句なしの名作です。
    何度読んでも恐ろしいのは坂東眞砂子「正月女」です。どこからどこまで全部怖い。柱時計の音が怖い。登場する人たちもみんな怖い。可哀想に思えるヒロインのキャラも、実はなかなかの恐ろしさなんですよね……。
    久しぶりに読んだ服部まゆみ「雛」も、再読でさらに恐ろしくなったかも。そしてラスト、小林泰三「人獣細工」で締めるとは!

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    2021年10月16日
  • シメール

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    『この闇と光』が良かったので、他の服部まゆみさん作品を探し、美少年と聞いてこちらを読みました。

    若くして美大の教授となりテレビでも人気の片桐教授。事故により嫁を亡くすが、もともと教授の座を射止めるための政略結婚であり愛惜に暮れる様子もなく、ただ鬱々としていたところに、美少年を発見し猛烈に魅せられる。
    こちらの美少年は双子の片割れであり、現在中学二年生。外見は美少年ながらも、中身は思春期真っ只中の中2病らしく、不登校でゲームに没頭しゲーム作家を目指している。
    教授は彼を手もとに置いておきたいがため、家族ごと自分の広い家に引っ越しさせ一緒に住み始めるが……。

    教授と美少年、それぞれの視点で交互

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    2021年04月25日
  • 一八八八 切り裂きジャック

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    ネタバレ

    素晴らしい。わたしも鷹原と柏木くんと共に19世紀ロンドンに存在していた。

    切り裂きジャックとエレファントマンは同じ時代だったんだ。

    ここではジャックの正体より、この時代の退廃したロンドンとそこに生きる人たちを中心に描いている。

    同性愛者であることを隠して生きていかなければならなかったスティーヴンとドルウェット、娼婦として生きて行くしかなかったメアリ、抑圧や鬱屈を排出できず爆発させてしまったトリーヴス医師、見せ物として晒され壮絶な人生を歩んできたにも関わらず感謝と敬意しか示さないエレファントマン。

    そして語り手である柏木くんも絶賛モラトリアムである。
    容姿端麗で頭脳明晰な完璧超人な鷹原で

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    2022年02月01日
  • シメール

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    ネタバレ

    面白かったです。
    幻を求めた為に、ひとつの家族を壊してしまうお話。
    主人公のひとりである美術家の片桐が、もう一人の主人公の美しい少年・翔へ向ける、崇拝と所有欲は狂気じみていました。
    翔には双子の兄・聖がいるようですが、巧みな描写でラスト付近までどちらが生きているのかわからずでした。家族は、生きているのは聖だと思い、でも本人は、自分は翔だと答える。この辺りで、翔も少しずつ壊れていっていたのかなと思いました。
    こちらでも、テレヴィ・ゲームが出てきました。でも面白そうなRPGです。
    人々は転落していき、悲劇的な結末を迎えるのも好きでした。片桐はひとり、空洞を抱えて生きていくのかな。それとも、生を失っ

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    2020年02月06日
  • この闇と光

    購入済み

    初めての感覚

    こんな本はじめて読んだ。他の著作も読んでみよう、面白かった。

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    2019年11月14日
  • 一八八八 切り裂きジャック

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    固有名詞にカタカナが多く、ページが800近くもあり読むのに苦労しました(笑)
    当時のイギリスの文化や生活の描写がしっかりと書かれていてそれだけでも楽しむことができました。
    読み進めるうちに切り裂きジャックの医者説も出てくるのは納得だな、と思えるほどでした。
    でもエレファント・マンと切り裂きジャックが同時代だったことには驚きました。
    確かに彼の心のうちはどうだったんだろう?と聞きたいです。

    人物としては柏木の内向的でウジウジグズグズした性格思考が気に入りませんでした。
    私もそうなので同族嫌悪なのかもしれません(笑)
    逆に人から声をかけられ社交的で見目麗しい鷹原に憧れました。
    その2人が留学後に

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    2016年02月10日
  • ハムレット狂詩曲

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    ネタバレ

    良かった。後味がとても良い作品。
    最初、読み始めたときはこんなエピローグになるなんて思ってなかったので、ハムレットってそっちなのね!と思った。
    何だか読み終わって、とても良い気分になったね。

    読みやすい感じでサラサラ読めてしまう。この人の話には転調がよく見られるのだけれど、この話は割りとゆっくり変わっていく感じで、最初に見ていた目線からどんどん違う目線に変わっていったのが印象的。
    耽美な表現は散りばめられているけれど、そこまで強くは無い。でも、読み耽ることができた。

    小悪魔って、ええなぁ。

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    2012年04月26日
  • 罪深き緑の夏

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    甘美な、耽美な世界観に、どっぷり浸かれて、蒸せかえるような華々の香りが厭と言うほどしてきます。

    謎解きは、一瞬よく分からなくて読み返したりしたのだけれど、何と無くでしか理解できず、否、そういうものなのかと思い直しました。
    何だか僕には複雑で、絡まった糸を解す余裕もないまま終わってしまって(苦笑)

    最後あたりの"あんなものが何になろう……"って言葉が痛々しくて、甘くて、すき。

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    2012年03月08日