服部まゆみのレビュー一覧
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ネタバレいやぁすごい作品に出会った
どんでん返しとだけ聞いていたが、まんまとひっくり返されたな
すごすぎて怖くも寒くもないのに鳥肌が
まだ読んでいない人は是非何も調べずに以下を読まずに、本作品を読んで頂きたい!!
レイアⅠ〜Ⅱは作中作なのか、実際に誘拐されているのか
全てを語らず曖昧にすることで、2つの世界がどちらも成立し得る。
作中作で誘拐はなく怜が狂気なのか、誘拐は現実で原口が狂気なのか
「盲目」というギミックで主人公だけでなく読者も闇に放り込んでいる。
・レイア(怜)は原口の、理想的な美的センスを備えた「作品」である。
・怜は原口の狂気的なファンであり、原口の美を踏襲した「作品」を執筆す -
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光を失った王女の物語から始まる。王であった父と、世話をしてくれるダフネ。登場する人物は少なく王女の部屋の中で時間が進んでいく。音を知り、臭いと香りを知り、文字を知り、物語を知り、色を想像して形を学ぶ王女は闇の中で父から与えられた本と物語から世界を創り上げていく。
ある日、全てが奪われます。
闇と光を目の当たりにして王女は真相を知ります。
主人公の王女が求める美とは。贅沢とは。
驚きの連続です。
真相と、幻想を行き来する物語に後半はイッキ読みしました。
至上の美を誇るゴシックミステリーと紹介されています。解説を読みましたが美術や、絵画といった芸術に詳しい著者の服部まゆみさんはどのような方だっ -
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記憶を消してもう一回読みたい!!
とある国の盲目の王女が、小さな箱庭の中で生活する耽美幻想小説として始まったのに、突然世界観が180度ひっくり返る。結末は好みと評価が分かれそうだと思ったけど、個人的には好きな終わり方だった。
確かにガラッと話が変わった時はビックリしたけど、よく読み返すと丁寧にその種は少しずつ撒かれているのがわかる。完全な異世界のファンタジーかと思っている読者に、現実との橋渡しを徐々にしてくれている。ただその後読者が元の世界に戻れないように突然その橋を爆破してしまうから、衝撃で色々忘れてしまう感じ。
「記憶を消して」って書いたけど、別に消さなくても何度も読み返したい。 -
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「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!
✂-----以下ネタバレです-----✂
はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこ -
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シメール…幻想
最初の数ページで「あ、好きな本」と思ったのだけど間違っていなかった。
満開の桜の下に精霊がいた。
片桐と翔、2人の視点から交互に進む物語。
友人の息子である翔。
父の友人である片桐。
2000年に刊行された物語で人々がまだそれについて今ほどナーバスではなかったのだろうと思うのだけれど、人によっては嫌悪する内容であることは否めない。
それでも私には美し過ぎる悲劇。
火事によって、家と祖母と双子の片割れを失った僕と、兄を愛してやまない母と、社会性に乏しい父。
母にとって不平不満だらけの引越し先のアパートでさえ立ち退きを言い渡されて途方にくれる僕たちの前に現れたのは、大学教授で -
騙される
途中まではすっかり始まりの世界観に騙されていた。
後半というか終盤辺りで夢から覚めたようになり少し呆気に取られながら読み進めていった。
終わり方がこの先は読者に任せます的な感じだったのであまり好きではない終わり方だったのが残念。きっとこうしていくんだろうなって想像が働くのはいいけど、やっぱり著者の決定的な終わり方が見たかった。
終盤のネタばらしのような展開は読んでいるとちょっと無理矢理すぎんか?と思うこともあったけどそれでも自分の中でベスト3に入るほど好きな作品。 -
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霧のロンドン、貴族と貧民が混在する、耽美と退廃に彩られた血生臭い街。
主人公は、日本人医学留学生・柏木薫。最初はベルリンで解剖学を学ぶのだけど、友人の「光の君」こと鷹原惟光の紹介で、先天性奇形症候群であるエレファントマンに興味を持ち、ロンドンへ。そこで切り裂きジャック事件に出くわし、巻き込まれていく。
切り裂きジャックについては、なんとなくしか知らなかったので、無知の状態だったこともあって、事件の凄惨さに興味を持ちながら読みました。
読後にあらためて調べると、実際の事件とほぼ同じ流れで小説も展開されていました。その上で、あの人が犯人かもという方向に持っていったんだなぁとわかり、なかなか面白か -
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『この闇と光』が良かったので、他の服部まゆみさん作品を探し、美少年と聞いてこちらを読みました。
若くして美大の教授となりテレビでも人気の片桐教授。事故により嫁を亡くすが、もともと教授の座を射止めるための政略結婚であり愛惜に暮れる様子もなく、ただ鬱々としていたところに、美少年を発見し猛烈に魅せられる。
こちらの美少年は双子の片割れであり、現在中学二年生。外見は美少年ながらも、中身は思春期真っ只中の中2病らしく、不登校でゲームに没頭しゲーム作家を目指している。
教授は彼を手もとに置いておきたいがため、家族ごと自分の広い家に引っ越しさせ一緒に住み始めるが……。
教授と美少年、それぞれの視点で交互 -
Posted by ブクログ
ネタバレ素晴らしい。わたしも鷹原と柏木くんと共に19世紀ロンドンに存在していた。
切り裂きジャックとエレファントマンは同じ時代だったんだ。
ここではジャックの正体より、この時代の退廃したロンドンとそこに生きる人たちを中心に描いている。
同性愛者であることを隠して生きていかなければならなかったスティーヴンとドルウェット、娼婦として生きて行くしかなかったメアリ、抑圧や鬱屈を排出できず爆発させてしまったトリーヴス医師、見せ物として晒され壮絶な人生を歩んできたにも関わらず感謝と敬意しか示さないエレファントマン。
そして語り手である柏木くんも絶賛モラトリアムである。
容姿端麗で頭脳明晰な完璧超人な鷹原で -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったです。
幻を求めた為に、ひとつの家族を壊してしまうお話。
主人公のひとりである美術家の片桐が、もう一人の主人公の美しい少年・翔へ向ける、崇拝と所有欲は狂気じみていました。
翔には双子の兄・聖がいるようですが、巧みな描写でラスト付近までどちらが生きているのかわからずでした。家族は、生きているのは聖だと思い、でも本人は、自分は翔だと答える。この辺りで、翔も少しずつ壊れていっていたのかなと思いました。
こちらでも、テレヴィ・ゲームが出てきました。でも面白そうなRPGです。
人々は転落していき、悲劇的な結末を迎えるのも好きでした。片桐はひとり、空洞を抱えて生きていくのかな。それとも、生を失っ -
Posted by ブクログ
固有名詞にカタカナが多く、ページが800近くもあり読むのに苦労しました(笑)
当時のイギリスの文化や生活の描写がしっかりと書かれていてそれだけでも楽しむことができました。
読み進めるうちに切り裂きジャックの医者説も出てくるのは納得だな、と思えるほどでした。
でもエレファント・マンと切り裂きジャックが同時代だったことには驚きました。
確かに彼の心のうちはどうだったんだろう?と聞きたいです。
人物としては柏木の内向的でウジウジグズグズした性格思考が気に入りませんでした。
私もそうなので同族嫌悪なのかもしれません(笑)
逆に人から声をかけられ社交的で見目麗しい鷹原に憧れました。
その2人が留学後に