服部まゆみのレビュー一覧
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ネタバレ視覚が戻り、真実の世界を知り辟易とするシーン時点では深すぎる闇も眩しすぎる光も視えるものが視えなくなってしまうから、本質的には同じ物だと感じた。
闇も光も解釈次第だなーと。
同世代の他人や両親に対する愚かさとそれによる生きやすさみたいなものを冷笑と同時に羨ましく思っていたり、闇を知ったものは2度と光の中でだけに居る事が出来ないのも知っていたから、分かるしそれがどんなに苦しいか、自分が苦しいと思っているかを外から再認識できた。
レイア2から、エピローグにかけて読みながらずっと気になっていた誘拐の経緯(真偽不明)を読めて、孝夫もまた光と闇の中に居た事を知れてよかった。
作中では色々な光と闇があったし、この本を読む前に光の中に居た人が闇を知ってどう思ったのかがとても気になる。
他作品から引用するが、「地獄は頭の中にあります」という文章が個人的にこの本を読んでより強く印象に残った。 -
Posted by ブクログ
服部まゆみさんと言えば…憂鬱で含みのある雰囲気から、ゴシック的モチーフを緻密に、絵画のように組み立てる筆致で、『この闇と光』を初めて読んだ時から、読書に疎かった私を「没入」させてくれた、思い入れの深い作家さんになります。
本作の雰囲気は、いみじくも作中に書かれた通り…『ヴェニスに死す』『ハムレット』『ロリータ』…といった作品群を彷彿とさせるものがあります。画壇の若き秀才、片桐哲哉が、美少年木原聖(翔)の絶対の美を求めんがために生まれてしまった悲劇が、その流麗な筆致により息付く間もなく次々と展開していきます。ラストのぶつ切り感は否めませんが、それでも見事な悲劇であること! シメールというタイトルの意味から、ゲームの構想や様々なシーンに張り巡らされた伏線まで…丁寧でそして勢いがある…服部まゆみさんでなければこうはいきません…。
さて、まとまらぬ感想はとりあえずこのくらいにして…もう一度最後の節を読みます……うーん、この哀しい勢いと虚しさ! そうそう忘れることはないでしょうね… -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもの親に対する健気な行動、成長と共に新たな生活も含め、親に対する考え方の変化。それでも、子どもは、どうすることもできず、親が選択したものについていかなければならないという葛藤、現実。
目の届く範囲にいれば、愚痴も嫉妬も羨望も憐れみも強くなる。そしてお互いが相手をどう思っているか、いたのか浮き彫りになり、強く意識するようになる。
一人の少年と出会ってしまってからの、男の酔い方。花を愛でるように、手の届かない神をみるように陶酔し、畏れ、悶える。
シメールをシメールのままにしていれば、この男が行動を起こしたことで、ひとつの家族が、崩壊してしまう話。
最初はうまく回っていたかのような歯車も徐々におかしな方向に流れていく。
物語だけでなく、芸術、小説、絵画も知れる作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったです。
目眩めく絵画の描写はさすが…知っている作品も知らない作品も見てみたいです。
殆ど神格化されているレオナルド・ダ・ヴィンチを取り巻く愛憎。誰がレオナルドにとってのユダだったのか。。
いけ好かないやつ、と思ってたパーオロが最終的に一番好きでした。何とかしてレオナルドを貶めてやろうと悶々としていても、実際に絵画に接するとこの人が一番的確で饒舌に賞賛していて人間臭くて良いです。
フランチェスコは見目麗しいかもしれないけれど…ユダはやっぱりこの人かなと思いました。ジャンはとことん不憫。
でもレオナルドの光が強すぎて、周囲は全て影に入ってしまうのかもしれない。師を超えられる弟子を育てられなかったのも。
歴史ミステリーにしてはミステリ部分が少ない気がしますが、歴史小説として楽しみました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった!!1888切り裂きジャックがとてもお気に入りなので、本作も読んでみたのだけど、こちらもとても良かった。好きな女性作家さんを聞かれた時、これまではこの人!と言える人がいなかったのだけど、これからは服部まゆみさんと言おう。
弟子たちから語られる、まるでイエスのようなダヴィンチ。まさか最後の晩餐のモデルがサライという男性だったとは知らなかった(一説ではあるが)
そしてジャンとフランチェスコをはじめ、登場人物全員に息が吹き込まれている感じがして良かった。
読んでる時は、登場人物たちは服部まゆみさんの創作だと思っていたので、
ジャンはイエスの12使徒の1人であるペテロで、パーオロジョーヴィオは絶対パウロを意識しての名前だと思ってた。
パウロはイエスのことを迫害していた側だったけれど、イエスの死後、イエスの幻をみたことから心を改め改心し、キリスト教の伝道師となる人だけど、パーオロジョーヴィオもダヴィンチの絵を見て改心してダヴィンチの伝道師になるのかと思ってた笑
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ネタバレあぁ美しい・・・この破滅美をどう伝えれば良いのだろう。
河出文庫様、『罪深き緑の夏』に続き『シメール』の復刊をありがとうございます♪
『この闇と光』で服部まゆみ先生の美しい世界に魅せられ、手に入った作品を読み漁っているけれど、毎回その期待を裏切られることはなく安心する。
作品紹介
満開の桜の下、大学教授の片桐は精霊と見紛う少年に出会う。その美を手に入れたいと願う彼の心は、やがて少年と少年のの家族を壊してゆき――。陶酔と悲痛な狂気が織りなす、極上のゴシック・サスペンス。(河出書房)
本作にサスペンスの要素はあまりないと思う。様々なことがわりと早い段階で種明かしをされていくし、トリックのようなものもない。
でも、だからこその、片桐と少年とその家族との薄氷越しの会話や行動が読み手の心を掴んでいくのだと思う。
片桐は紳士的でありながらも、究極の「美」を求めるその心と行動が、「美」そのものである少年を癒し、そして追い詰めてゆく。
片桐も、少年の家族もみんな少年を愛しているのに、薄氷の向こうにいる少年にはその愛が届かない。そしてその氷は解けることなく割れる。
その突然の幕引きに暫し思考が停止した。。。
ああそうか、という思いに至るまでにかなりの時間を要した。
そうだね。うん。やっぱり美しいね・・・。 -
Posted by ブクログ
美少年に魅せられた男の物語。といっても下心のある感じではなくて、あくまでもその美を愛でる、というような純粋な思いだと感じられるのですが。それでも恋に似た感情なのかも。微笑ましいようにも思えたのだけれど、ぴりぴりと危なっかしい雰囲気が漂う作品です。
秘密を持った少年、どこかしら歪みを見せる少年の家族、という道具立ても相まって、物語の進み方はとにかく不穏。美しい雰囲気とファンタジックな要素も交えつつ、この生活は絶妙なバランスの上に成り立っている気がしました。だからこそそこに綻びが見え始めた時にどのようになってしまうのか、という危惧が感じられて、それがなんとも言えず不安です。
そしてこの急激な幕切れ。後に残るのはなんとも言えない読後感……でも最後まで「美しい物語」という印象は消えませんでした。 -
Posted by ブクログ
美しい少年は聖なのか翔なのか?
少年に魅入られた男の柔らかい傲慢さ。
関係を端からみしみしと詰めてきて、息苦しいほど。
少年も男も、欲しい相手の愛情は手に入れられなかった……
自分で創る物語や、鑑賞してきた絵画や小説に浸る分には、この家は少年にも楽園だったはずなのに。
男が身勝手極まりないのに紳士すぎて笑える。
が、彼が評する翔の姿は、うっとりするほど美しかった。それがよけいに残酷に感じる。
相手をまるで一人の人間として扱っていないようで。
だからこその美か。
どうしても大谷亮平さんの顔しか浮かばなくて……
実写化されることがあったらぜひにw