服部まゆみのレビュー一覧

  • 一八八八 切り裂きジャック

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    舞台は19世紀末のロンドン、実際に起きた切り裂きジャックの事件について、医学を学ぶために渡欧した日本人の目を通して、犯人を暴いていく。

    切り裂きジャックと呼ばれる犯人による娼婦連続殺人は、未解決の猟奇事件ということもあり、ミステリーの素材として取り上げられることも少なくない。これもそのひとつで、史実を織り混ぜながら重厚な読み物に仕上げている。
    主人公はまったく冴えない青年で、対照的に事件を解決していく友人は、容姿も性格も頭脳も正反対。そのコンビは、主人公が事件を日記風に綴っていくところも含め、ホームズとワトソンの姿と重なる。番外編で、別の事件も読みたいと思ったほどだ。

    個人的には、主人公が

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    2017年01月04日
  • レオナルドのユダ

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    「「幸せ」の入る場所に、嫉妬が待ち伏せしてこれを襲う。そして幸せの去ったあとには苦痛と悔恨とが残る。嫉妬は自分を傷つけるだけのもの」

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    2016年09月07日
  • 一八八八 切り裂きジャック

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    19世紀末のロンドンを舞台に、日本人青年の鷹原惟光と柏木薫の二人が当時世間を震撼させた「切り裂きジャック」を追うミステリで、文庫本で800ページ近くもある大変な労作です。惟光、柏木、薫は、いずれも源氏物語に登場する人物の名前で、さながら優雅かつ耽美な物語世界が展開されます。
    緻密な描写と野心的な設定は非常に魅力的ではあるのですが、どうでしょう、一般受けするにはハードルがちょっと高い気がします。

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    2016年07月23日
  • この闇と光

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    ネタバレ

    退廃的で耽美で危うい雰囲気にどっぷり浸かっていたら、ずどーんと崖から突き落とされる事凄まじき。
    お名前はかなり昔から知っていたのだけど、食わず嫌いしないでもっと早くに読んでおくんだった…!
    これはかなり好みだわ……。
    でもまぁ、新装版の表紙も素敵。
    他も色々探して読んでみよう。

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    2025年05月28日
  • 一八八八 切り裂きジャック

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    カタカナ苦手なので今まで読んだ本のなかで一番辛かった…(;ω;)
    途中何度やめようと思ったか(;ω;)
    ただ!
    読んで良かった!!!
    実際の歴史上の人物がちょいちょい出るのも面白い。

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    2016年02月02日
  • 一八八八 切り裂きジャック

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    ネタバレ

    本格ミステリでもパズラーでもない、
    エレファントマンおよび切り裂きジャック事件を題材にし、
    世紀末ロンドンの風景、文化、風俗、倦んだ人々をたっぷり描写する中で、
    ひとりの青年が思い悩み作家になることを決意する、
    いっぷう変わったビルドゥングスロマンだ。

    いくつかの軸がある中でどこに着目するかで見え方が異なる。

    BLというよりJUNE的展開もなかなかよい。
    美形美形といわれる鷹原よりも、その鷹原や同性愛者異装者を惹きつけておいてのほほんとしている柏木のほうに萌え。
    それにしても卑怯なネーミングだね。

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    2015年11月12日
  • 黒猫遁走曲

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    服部まゆみ第4作目。

    「この人コメディかけるのか!」と目からうろこの1冊。
    いや、本人は実に真面目なんだろうけどね。
    そのまじめっぷりが実に面白い。

    うん、面白いサスペンスでした。

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    2009年10月07日
  • ハムレット狂詩曲

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    切り裂きジャック1888と比べると、ずいぶんと描写やら口調がさらりとしたお話で読みやすい。
    構造や配役の妙が面白いのだが、やや描写に現実感が希薄だけれど、これは2人のハムレットのモノローグだと言う気もする。
    タイトルの通り、ハムレット狂詩曲にふさわしい、読後感が爽やかなお話。
    物語のための物語の好きな方にお勧め。

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    2009年10月07日
  • この闇と光

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    物語は盲目の姫レイアの生い立ちを中心に進行し、中世的な世界観を想起させる導入となっています。しかし、読み進めるうちに時代背景と齟齬を生じる要素が散りばめられ、その違和感が作品全体に張られた大きな伏線として機能しています。

    レイアの成長を丹念に追った第一章は分量が多く、冗漫に感じる可能性もありますが、後半で明かされる真相と構図の転換は、その長さを必要な積み重ねとして位置づけてくれます。

    音楽や芸術に関する描写が随所に織り込まれており、それらへの関心を持つ読者にとっては一層の深みを与えるでしょう。
    結末の受け止め方は読者によって大きく分かれるはずですが、周到な仕掛けと構成によって「欺かれる読書

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    2025年11月29日
  • この闇と光

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    序盤はゴシック風な世界観と主人公の我儘さが自分に合わなくて、最後まで読めるか心配だったけど、
    第一章の終わりがまさかの!衝撃フレーズ!
    帯にも「世界が一変する」って書いてあったけど、まさしくその通り。
    たしかに読んでて違和感はところどころあったけど、自分の想像上回ってた。当てれなくて悔しい。

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    2025年11月15日
  • シメール

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    ネタバレ

    『この闇と光』がとても面白く好みだったのでこちらも読んでみようと購入。
    世界観がやっぱり好きで楽しめたけど、主人公の実の両親を他の大人に比べて明らかに愚かに書きすぎなのがいちいち気になってしまいもやもやした。
    もちろん対比させた上で画家さんも問題のある人なのだからあえてなのはわかるけど。
    作者の他作品からもそれは感じてたので、なぜ実両親をこんな人物にするんた?という疑問が最期まで付きまとってしまった。
    本当に美しい世界観なんだけど、最後のページで一気にまとめる感じなのも少し残念に感じた。
    子の未来を守ろうとした英子は怖いけど素晴らしいと感じた。

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    2025年10月06日
  • この闇と光

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    何だこれは。が読後に浮かんだ感想。
    それは良い意味でも悪い意味でもあって、世界観の美しさやそういう展開かという驚きは良かったのだが、世界観の拘りが強く読者を置いてけぼりにしてる感想も抱いてしまった。

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    2025年09月28日
  • この闇と光

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    そう来たか。裏切られる結末。
    不思議な世界観のお話。起きてるのにまだ夢を見てるみたいな、朧というのが相応しいか、現実と夢との境界が分からなくなる。
    昨今流行るミステリー小説にありがちな、ハラハラドキドキ展開は少ないが、それゆえに一定に時が流れる世界観があり、他の小説にはあまりない上品さを感じさせられる。

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    2025年10月01日
  • この闇と光

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    ネタバレ

    今まで読んだことのない、へんな雰囲気で進むところが「百年の孤独」と似てるなあ、と思いながら読んでいたら、あらら、そうなりますか。
    初めは、どこかに囚われた盲目のお姫様。ファンタジー、メルヘンの世界かと思いきや、実際の言語や芸術作品が現れ、世界観が混乱する。
    父王の優しさや、芸術や自然の美しさと、意地悪なダフネと怖い兵士の暗さによる対比が、まさに光と闇で、題名はそういうこと?じゃあこの先の展開は脱出?それとも父王に何か起こるのか?と思った矢先に、ひっくり返る。ほえ?忙しい話w
    さて、ガラッと変わった世界で、元お姫様は、それでも持ち前の頭の良さを発揮する。煩わしいことばかりで辟易しながらも、遂に事

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    2025年06月04日
  • この闇と光

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    この作品のジャンルは何になるんだろう。
    ミステリーかな?

    盲目のお姫様の日常編からスタート。
    とにかく優しくて娘LOVEのお父様と、なぜかキツく当たってくる使用人風のオバさん?
    ぐらいしか登場人物がいなくて、
    どっかの国を舞台にした、よくある少女の成長譚なのかなとか思ってダラーっと適当に読んでたら、途中から雰囲気が一変。
    雰囲気というか、世界が文字通り一変する。

    ネタバレを避けてこれ以上はあまり書かないが、解説を読んでも、
    「この闇と光 ネタバレ」でググってみても、
    正直よく分からんかったので星は控えめ。
    ラストは読者にお任せ系かな?それとも私の理解力が欠如してるだけかな?

    この一冊の中

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    2025年05月27日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    ネタバレ

    角川ホラー文庫ベストセレクションの第二弾。今回も8名の作家の8作品だった。特に印象に残ったのは以下の3作品。
    「骨」小松左京
    なにかに突き動かされるように庭を掘り続ける主人公の姿が最後に悲しみを誘った。何かを思い出しかけているという描写がよかった。
    「或るはぐれ者の死」平山夢明
    こんなにも悲しい話だとは思わなかった。自分だけでも死者を埋葬しようとしたその清らかな心は悪意に踏み躙られる。
    「人獣細工」小林泰三
    この作品が最も衝撃だった。自分と父の秘密を探らずにはいられない、そのはやる気持ちが痛いほど伝わってくる。凄まじいラストだった。

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    2025年05月23日
  • この闇と光

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    ミステリーから一瞬純文学にもなって、理解力が足りず全てを明らかにして欲しい自分からすると後半のページ数が足りなかった。

    それでもぜーんぶ予想できなかった展開で、伏線回収には驚かされた!

    こちらの著者は聞いたこともなかったが、高貴な主人公を描けるのは、著者自身高貴なる方であり経験や知識を蓄えられてきたからだと思う。
    学のない自分にはとって最美なる物語と時間を提供してくれた一冊

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    2025年05月04日
  • レオナルドのユダ

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    絵画の表現が凄かった。実際に見てみたくなりました。レオナルドにとってのユダが結局誰だったのか、ジャンは自分がユダだと思っているけど実はフンチェスコだったと言うことなのか。。解釈があっているのか分からないけど、面白かった。

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    2024年03月03日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    なぜこの本を予約したのかさっぱり思い出せません。ともかく読んでしまう。
    1993年角川ホラー文庫創設。そこから30年あまりの作品の中から精選収録のアンソロジー。
    竹本建治「恐怖」1983
    小松左京「骨」1972
     SFっぽさあり
    宇佐美まこと「夏休みの計画」2017
     新しいなって思う
    坂東眞砂子「正月女」1994
     女の嫉妬の怖さ
    恒川光太郎「ニョラ穴」2013
    平山夢明「或るはぐれ者の死」2007
     都会の隅で見過ごされる悲しさ
    服部まゆみ「雛」1994
     雛人形の怖さと女の情念の怖さのダブル
    小林泰三「人獣細工」1997
     ありえなくもない豚と人間の相互移植

    坂東さんの正月女は、言い伝

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    2024年02月21日
  • 罪深き緑の夏

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    主人公の独白を交えて進むストーリー。著者特有の流麗な文体は変わらない。また「女」「父」と言った単語が誰を指すのか分かりづらい場面が多い。他の方のレビューにもある通り複数の伏線や謎が回収、解明されないまま終了。読者の想像に委ねるということなのかもしれないが、個人的に少々キャパオーバーでした。シメールもそうだったけど正直消化不良な作品。ただゴシックな時代背景、雰囲気を味わうにはうってつけかも。

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    2023年12月13日