服部まゆみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ服部さんのファンで、ずっと気になっていたこの作品にようやく手を出したけれど、読み始めてみると何とも読み辛い。服部作品定番の「美少年」や独特の関係性が冒頭からマンネリに感じられてしまったり、登場人物が誰が誰だかわからなくなってきたり、合わないと感じる文章表現が目についたり。
挫折しそうになったけれど、色々予備知識を蓄えながら挑み、第2章までいくと読みやすくなって中盤以降は一気に加速した。
まあとにかく、クセの強い作品。
フランチェスコにあまり魅力を感じられなくて辛かった。ほかの弟子たちの方に興味が向いていたので、少し消化不良な感じ…テーマから反れてしまうので仕方ないのだろうけど。
私が読んだのは -
Posted by ブクログ
ネタバレお耽美かと思いきや、コミカルでスラップスティックな味わい。
かと思いきや、所々まぶされていた暗い情念が、終盤にぶわっと明らかになって、ぞっ。
思わず二度目を読んで、構成の巧みさにびっくり。
翠と昭平という主旋律の奥に、瑠璃という副旋律の毒がぎらりと光る。
いろいろ連想できたのも面白い。
マンションからオペラグラスという構図は『裏窓』。だがあちらとこちら互いの誤解という捻りが効く。
殺人者の精神が乱れていく『黒猫』。あるいはホフマン『砂男』。
ごーん、ごーん、という工事現場の神経をささくれ立たせる音響は丸尾末広『電気蟻』を思い出したりして。
ある書き物ではキューブリック『シャイニング』。
老婆 -
Posted by ブクログ
本作は有栖川氏の『ダリの繭』同様、角川ミステリ・コンペティションの参加作品で文庫書下ろしで刊行された作品。
一読して驚くのは、非常に読みやすい文体と内容になっていることだ。ゴシック趣味溢れる『時のアラベスク』や『罪深き緑の夏』の同一作者とは思えないほど、普通のミステリとなっている。恐らく読者の人気投票で優秀賞が決まるというこの企画に即して、自らの持ち味をあえて殺し、普段本を読まない人でも読めるように意図したのではないだろうか。
出版社を退職し、翻訳者として第2の人生を歩むことに意気揚々としていた森本翠は女性編集者の瑠璃と祝杯を上げたその夜、愛猫の黒猫メロウが行方不明になり、心境穏やかでなくな -
Posted by ブクログ
ネタバレ定年退職した翠の飼い猫メロウが失踪する。
隣の古いアパートの昭平は妻幸子を殺したばかり。死体をバラバラにして、隣の建設現場のコンクリートに埋める。メロウは昭平のアパートに住みついていた。
狂ったようにメロウを探し続ける翠。その姿は、事情を知らない昭平には自分を監視しているように見える。いまいましい老婆。
実は、翠の仕事仲間瑠璃が、酔っ払った翠に愛想をつかし、メロウをベランダから放り投げたのであった。瑠璃の妹も翠といい、あまり仲が良くない。どころか憎悪している。もう故人。
翠も妹の茜と仲良くない。姉妹って大変なんだねー。でも容易に想像つく。
この方の小説って、イヤな男多いね。昭平も美青年設定だが