服部まゆみのレビュー一覧
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他の人もたくさん書いている通り、先入観なく読むのが1番この作品の魅力を味わえると思います!
盲目の王女レイアが父王と森の奥で暮らすお話…。
前半は耽美で幻想的な世界観が広がっており、めちゃくちゃ素敵と思って読んでいました。ドレス、ピアノ、花、本に囲まれる生活…。
後半から音を立てるように崩れていく世界に本当にびっくり!自分の脳内でのイメージが崩壊しました。
余韻のあるラストで、解釈も人によって分かれそうなものでしたが、それも含めてとても好みな作品でした!
この闇と光というタイトルも作品をよく表していていい…、時間をあけて再読したいです。 -
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「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!
✂-----以下ネタバレです-----✂
はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこういう作品って初めて読んだんじゃないかな。世界が広がって面白い。アンソロジーの良さ。
「或るはぐれ者の死」、「雛」は現代のどこかで広がっている異様な光景に思いを馳せるような話。「雛」の、チラッと見たら鬼の形相になっているっていう映画的な描写良かったなあ。
そして一番怖かったのは最後の「人獣細工」!
冷たく鋭く人間の尊厳に切り込んだ作品で、一番本能的な恐怖をおぼえたかもしれない…。何度も「冒涜だ…おそろしい…」とつぶやきながら、ページを捲る手が止まらなかった。
面白かったのでシリーズ前作の「再生」も買おうっと♪ -
Posted by ブクログ
シメール…幻想
最初の数ページで「あ、好きな本」と思ったのだけど間違っていなかった。
満開の桜の下に精霊がいた。
片桐と翔、2人の視点から交互に進む物語。
友人の息子である翔。
父の友人である片桐。
2000年に刊行された物語で人々がまだそれについて今ほどナーバスではなかったのだろうと思うのだけれど、人によっては嫌悪する内容であることは否めない。
それでも私には美し過ぎる悲劇。
火事によって、家と祖母と双子の片割れを失った僕と、兄を愛してやまない母と、社会性に乏しい父。
母にとって不平不満だらけの引越し先のアパートでさえ立ち退きを言い渡されて途方にくれる僕たちの前に現れたのは、大学教授であり画家であり著名人として活躍する社会的成功者である片桐さんだった。
片桐さんもまた、事故により奥さんを失ったばかりだという。
片桐の幻想。
英子の思惑。木原の絶望。翔の希望。
それぞれの思い込みや勘違いで運命に弄ばれ墜落してゆくひとつの家族の物語。
『詩人のミューズの結婚』
詩人は美しいミューズに優しく抱かれ飛翔するけれど逆さに飾ればそれは墜落。
出会い、戸惑い、希望とただ美しく進む…はずもないと思っていたらやはり…ちゃんと辻褄の合った幕引きをしてくれる。流石です。
そして一行目に戻る。
全てはシメールが見せた悲劇。
今年の18冊目
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騙される
途中まではすっかり始まりの世界観に騙されていた。
後半というか終盤辺りで夢から覚めたようになり少し呆気に取られながら読み進めていった。
終わり方がこの先は読者に任せます的な感じだったのであまり好きではない終わり方だったのが残念。きっとこうしていくんだろうなって想像が働くのはいいけど、やっぱり著者の決定的な終わり方が見たかった。
終盤のネタばらしのような展開は読んでいるとちょっと無理矢理すぎんか?と思うこともあったけどそれでも自分の中でベスト3に入るほど好きな作品。 -
Posted by ブクログ
霧のロンドン、貴族と貧民が混在する、耽美と退廃に彩られた血生臭い街。
主人公は、日本人医学留学生・柏木薫。最初はベルリンで解剖学を学ぶのだけど、友人の「光の君」こと鷹原惟光の紹介で、先天性奇形症候群であるエレファントマンに興味を持ち、ロンドンへ。そこで切り裂きジャック事件に出くわし、巻き込まれていく。
切り裂きジャックについては、なんとなくしか知らなかったので、無知の状態だったこともあって、事件の凄惨さに興味を持ちながら読みました。
読後にあらためて調べると、実際の事件とほぼ同じ流れで小説も展開されていました。その上で、あの人が犯人かもという方向に持っていったんだなぁとわかり、なかなか面白かったです。
ただ、この作品の魅力は、事件そのもののトリックよりも、主人公が人生について悩みながら作家という存在に興味を持っていくという青春物語であったり、また大きな魅力としては鷹原のキャラです。彼は、高い知性、稀な美貌、社交術を持ち合わせながら、シニカルな見方をして時に薫と衝突しつつ、なんだかんだいいつつ薫を心配したりと、二人のやりとりに引き込まれます。
それから、エレファントマンの描き方も、最後まで読むと感心させられました。薫に影響を与えた人物として出てくるわりには、けっこう重要なポジションにいるよな…と思いながら読んでいたのですが、そうくるとは。最後の最後、あの塔の模型に隠された秘密。しびれます。
前半は登場人物が多く、恥ずかしながら世界史に疎くカタカナの人名にも弱い私は、何度もぺージを戻しては、これ誰やっけ??となりながら苦労して読み進める始末でしたが、物語が進むにつれ主要人物の関係性は自然とわかってきました。
ヴィーナスのくだりも、そういうものがあるとは知らなかったので勉強になりました。あの当時ってグロテスクな美が当たり前に許容されていたんですね。
19世紀末ロンドンにタイムスリップしたかのような気分に浸れる一冊でした。長かったけど、そのぶん読みごたえがありました!
あと、森鴎外や北里柴三郎が出てきた他、薫と鷹原が源氏物語になぞらえてあるという遊び心。柏木薫て…(笑)でもそれが35年後のラストにつながるのだからおもしろいですね。 -
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『この闇と光』が良かったので、他の服部まゆみさん作品を探し、美少年と聞いてこちらを読みました。
若くして美大の教授となりテレビでも人気の片桐教授。事故により嫁を亡くすが、もともと教授の座を射止めるための政略結婚であり愛惜に暮れる様子もなく、ただ鬱々としていたところに、美少年を発見し猛烈に魅せられる。
こちらの美少年は双子の片割れであり、現在中学二年生。外見は美少年ながらも、中身は思春期真っ只中の中2病らしく、不登校でゲームに没頭しゲーム作家を目指している。
教授は彼を手もとに置いておきたいがため、家族ごと自分の広い家に引っ越しさせ一緒に住み始めるが……。
教授と美少年、それぞれの視点で交互に描かれます。おもしろいのは、教授はひたすら美少年を愛でて耽美耽美しているのに対し、美少年は教授のことはなんとなく素敵なおじさんくらいにしか考えてなくて大半はゲーム脳という、二人の内面の対比。
そのズレが最終的には悲劇を生み出すのですが。
冒頭から三分の二くらいまでは、そんな二人と周囲の親や友人や職場の話がゆったりとすすみます。が決して飽きることなく、徐々に近づいていく教授と美少年の心情が丁寧に描かれます。美少年は双子の兄と弟どっちなのか?という謎も解明されないまま(兄弟二人の会話は出てくるが、どちらかが亡くなっているであろうと読んでいると察しはつくのだが、謎が解明されるのは終盤になってから)。
ラスト100ページで物語が一転。あれよあれよと展開。美少年ならではのラストとはいえ、私としてはけっこう衝撃のラストでした。悲しい。
美少年の母親に対する心情も、鬱陶しがってるのか好きなのか?まあ思春期だからな…と思って読んでいたのですが、双子の謎が解明されると、なるほどな、と。そんな彼を愛していながら、教授は最後まで観察者であり続けたということなのでしょう。夢見るために、シメールをシメールたらしめるために。うーん何とも言えない哀切。でもそれが心に残る。
やはり服部作品はおもしろいですね!他の作品も読んでみたい。しかし著者はもう亡くなられているのが残念です。文庫版復刊ありがとうございます。 -
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ネタバレ素晴らしい。わたしも鷹原と柏木くんと共に19世紀ロンドンに存在していた。
切り裂きジャックとエレファントマンは同じ時代だったんだ。
ここではジャックの正体より、この時代の退廃したロンドンとそこに生きる人たちを中心に描いている。
同性愛者であることを隠して生きていかなければならなかったスティーヴンとドルウェット、娼婦として生きて行くしかなかったメアリ、抑圧や鬱屈を排出できず爆発させてしまったトリーヴス医師、見せ物として晒され壮絶な人生を歩んできたにも関わらず感謝と敬意しか示さないエレファントマン。
そして語り手である柏木くんも絶賛モラトリアムである。
容姿端麗で頭脳明晰な完璧超人な鷹原ですら、実の母が娼婦であった過去を持つ。
非常に鬱々としながらも青春小説のような爽やかさもある。
そして何より、はじめと最後に老人になった柏木を置き回顧という形をとるのがエモすぎる。時代を超えたヴァージニアからの手紙。何十年越しに届くスティーヴン氏の手紙。そしてエレファントマンとトリーヴス医師の真実。
とても切なく、大きな存在感を残す作品である。
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったです。
幻を求めた為に、ひとつの家族を壊してしまうお話。
主人公のひとりである美術家の片桐が、もう一人の主人公の美しい少年・翔へ向ける、崇拝と所有欲は狂気じみていました。
翔には双子の兄・聖がいるようですが、巧みな描写でラスト付近までどちらが生きているのかわからずでした。家族は、生きているのは聖だと思い、でも本人は、自分は翔だと答える。この辺りで、翔も少しずつ壊れていっていたのかなと思いました。
こちらでも、テレヴィ・ゲームが出てきました。でも面白そうなRPGです。
人々は転落していき、悲劇的な結末を迎えるのも好きでした。片桐はひとり、空洞を抱えて生きていくのかな。それとも、生を失った翔を本当に飾るのか…片桐ならやりかねない、と思いました。
うっとりする世界でした。「ナジャ」や「さかしま」を読みたくなり、「詩人とミューズの結婚」は検索しました。綺麗な光の画でした。