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Posted by ブクログ
霧のロンドン、貴族と貧民が混在する、耽美と退廃に彩られた血生臭い街。
主人公は、日本人医学留学生・柏木薫。最初はベルリンで解剖学を学ぶのだけど、友人の「光の君」こと鷹原惟光の紹介で、先天性奇形症候群であるエレファントマンに興味を持ち、ロンドンへ。そこで切り裂きジャック事件に出くわし、巻き込まれていく。
切り裂きジャックについては、なんとなくしか知らなかったので、無知の状態だったこともあって、事件の凄惨さに興味を持ちながら読みました。
読後にあらためて調べると、実際の事件とほぼ同じ流れで小説も展開されていました。その上で、あの人が犯人かもという方向に持っていったんだなぁとわかり、なかなか面白かったです。
ただ、この作品の魅力は、事件そのもののトリックよりも、主人公が人生について悩みながら作家という存在に興味を持っていくという青春物語であったり、また大きな魅力としては鷹原のキャラです。彼は、高い知性、稀な美貌、社交術を持ち合わせながら、シニカルな見方をして時に薫と衝突しつつ、なんだかんだいいつつ薫を心配したりと、二人のやりとりに引き込まれます。
それから、エレファントマンの描き方も、最後まで読むと感心させられました。薫に影響を与えた人物として出てくるわりには、けっこう重要なポジションにいるよな…と思いながら読んでいたのですが、そうくるとは。最後の最後、あの塔の模型に隠された秘密。しびれます。
前半は登場人物が多く、恥ずかしながら世界史に疎くカタカナの人名にも弱い私は、何度もぺージを戻しては、これ誰やっけ??となりながら苦労して読み進める始末でしたが、物語が進むにつれ主要人物の関係性は自然とわかってきました。
ヴィーナスのくだりも、そういうものがあるとは知らなかったので勉強になりました。あの当時ってグロテスクな美が当たり前に許容されていたんですね。
19世紀末ロンドンにタイムスリップしたかのような気分に浸れる一冊でした。長かったけど、そのぶん読みごたえがありました!
あと、森鴎外や北里柴三郎が出てきた他、薫と鷹原が源氏物語になぞらえてあるという遊び心。柏木薫て…(笑)でもそれが35年後のラストにつながるのだからおもしろいですね。
Posted by ブクログ
固有名詞にカタカナが多く、ページが800近くもあり読むのに苦労しました(笑)
当時のイギリスの文化や生活の描写がしっかりと書かれていてそれだけでも楽しむことができました。
読み進めるうちに切り裂きジャックの医者説も出てくるのは納得だな、と思えるほどでした。
でもエレファント・マンと切り裂きジャックが同時代だったことには驚きました。
確かに彼の心のうちはどうだったんだろう?と聞きたいです。
人物としては柏木の内向的でウジウジグズグズした性格思考が気に入りませんでした。
私もそうなので同族嫌悪なのかもしれません(笑)
逆に人から声をかけられ社交的で見目麗しい鷹原に憧れました。
その2人が留学後にも交流があることにはホッとしました。
Posted by ブクログ
私はめっっちゃくちゃ面白かったです!
主人公二人がすごく好き!!魅力的!
そして実際の事件や人物が出て来るのに
全然説明じみたり取ってつけた感もなく
自然に胸の中に収まっていく物語の面白さと繊細な描写でした。
ただ推理小説としては後手後手に回りすぎているので
つまらないと思う方もいるかもしれませんが、
私は、これは主人公である柏木薫の転機・成長を記した手記のようなものと思って読んでいたので、
純朴で真面目だけど人の心の機微に疎い柏木の心の動きにも惹きつけられたし、
日本人でありながら欧州の人をも虜にする美貌を持ち如才無く王族とも接し、
光源氏のように皆に愛される光こと鷹原の活躍と
その奥に疼いているしこりを覗き見ることができて
非常に満足しながら読めました。
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