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19世紀末、霧の帝都ロンドンを恐怖に陥れた連続娼婦殺人事件。殺人鬼「切り裂きジャック」の謎を日本人留学生の美青年探偵・鷹原と医学生・柏木が解き明かしていく。絢爛たる舞台と狂気に酔わされる名作ミステリ!
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Posted by ブクログ
今年中にもう1冊読む予定だったのに、長すぎて本書が2022年最後の読書に。電子書籍は読み始めるまで分厚さに気づかないので臆さず読めるのは長所かもしれない。文庫本だったら読んでなかったかも。 序盤はなかなか事件も起こらず優雅な留学生活ぶりに鼻白らんでいたが、細部まで丁寧な描写と美しく残酷な当時のロ...続きを読むンドンの様子、終盤にかけての加速など、ページを捲る度にグイグイ惹き込まれていく。この時代はまだ指紋が1人1人違うことが常識ではなかったのか。長いがその分読み応えもバッチリ。もう1冊積んでる著者の別作品も楽しみ。
霧のロンドン、貴族と貧民が混在する、耽美と退廃に彩られた血生臭い街。 主人公は、日本人医学留学生・柏木薫。最初はベルリンで解剖学を学ぶのだけど、友人の「光の君」こと鷹原惟光の紹介で、先天性奇形症候群であるエレファントマンに興味を持ち、ロンドンへ。そこで切り裂きジャック事件に出くわし、巻き込まれていく...続きを読む。 切り裂きジャックについては、なんとなくしか知らなかったので、無知の状態だったこともあって、事件の凄惨さに興味を持ちながら読みました。 読後にあらためて調べると、実際の事件とほぼ同じ流れで小説も展開されていました。その上で、あの人が犯人かもという方向に持っていったんだなぁとわかり、なかなか面白かったです。 ただ、この作品の魅力は、事件そのもののトリックよりも、主人公が人生について悩みながら作家という存在に興味を持っていくという青春物語であったり、また大きな魅力としては鷹原のキャラです。彼は、高い知性、稀な美貌、社交術を持ち合わせながら、シニカルな見方をして時に薫と衝突しつつ、なんだかんだいいつつ薫を心配したりと、二人のやりとりに引き込まれます。 それから、エレファントマンの描き方も、最後まで読むと感心させられました。薫に影響を与えた人物として出てくるわりには、けっこう重要なポジションにいるよな…と思いながら読んでいたのですが、そうくるとは。最後の最後、あの塔の模型に隠された秘密。しびれます。 前半は登場人物が多く、恥ずかしながら世界史に疎くカタカナの人名にも弱い私は、何度もぺージを戻しては、これ誰やっけ??となりながら苦労して読み進める始末でしたが、物語が進むにつれ主要人物の関係性は自然とわかってきました。 ヴィーナスのくだりも、そういうものがあるとは知らなかったので勉強になりました。あの当時ってグロテスクな美が当たり前に許容されていたんですね。 19世紀末ロンドンにタイムスリップしたかのような気分に浸れる一冊でした。長かったけど、そのぶん読みごたえがありました! あと、森鴎外や北里柴三郎が出てきた他、薫と鷹原が源氏物語になぞらえてあるという遊び心。柏木薫て…(笑)でもそれが35年後のラストにつながるのだからおもしろいですね。
固有名詞にカタカナが多く、ページが800近くもあり読むのに苦労しました(笑) 当時のイギリスの文化や生活の描写がしっかりと書かれていてそれだけでも楽しむことができました。 読み進めるうちに切り裂きジャックの医者説も出てくるのは納得だな、と思えるほどでした。 でもエレファント・マンと切り裂きジャックが...続きを読む同時代だったことには驚きました。 確かに彼の心のうちはどうだったんだろう?と聞きたいです。 人物としては柏木の内向的でウジウジグズグズした性格思考が気に入りませんでした。 私もそうなので同族嫌悪なのかもしれません(笑) 逆に人から声をかけられ社交的で見目麗しい鷹原に憧れました。 その2人が留学後にも交流があることにはホッとしました。
実は再読だけど、ほとんど内容を覚えていなかったのでほとんど初読み気分で読めた。 前半物語の雰囲気に慣れるまでは読むのにひたすら時間がかかったけど、後半事件の解決まで気になって一気に読めた。おかげで寝不足。 ほんとにシリーズ化して欲しいくらいメイン2人のキャラクターが好き。
読み終わりましたー。 久しぶりにシャーロックホームズを読んで、そのままイギリスが舞台の小説を…と思って読み始めたら、ぐいぐいズルズルとはまり… 気がつけば、3時。 仕事のときも休憩中に読んだりしましたが… 長いので、休みの日にイッキ読みするのがよいかなと。 ヨーロッパの歴史と並行しながら進み...続きを読むますが、私は心境が変わっていく柏木さんが好き。本の虫同士、仲良くなれそうな気がします。
皆川博子さんの「開かせていただき~」の装丁に似ていていたので手に取ってみたのだが、なんとなく中の雰囲気も似ていた…。 とんでもなく長かったのだが、美貌の伯爵家長男(鷹原惟光)に胸キュンで何とか読み終える。しかし、もう少し整理してこの半分でテンポよく読みたかった。また、登場人物が多すぎたし、愛称も似て...続きを読むいて混乱した。 ミステリーとしては面白かった。私も、犯人は彼だと勘違いしていたので…。 ただ、犯行の動機としてはいまいち納得できなかったけど。 光に薫…ね。美しい青年が出てくると、それだけで読んでいてワクワクしちゃう!
私はめっっちゃくちゃ面白かったです! 主人公二人がすごく好き!!魅力的! そして実際の事件や人物が出て来るのに 全然説明じみたり取ってつけた感もなく 自然に胸の中に収まっていく物語の面白さと繊細な描写でした。 ただ推理小説としては後手後手に回りすぎているので つまらないと思う方もいるかもしれませんが...続きを読む、 私は、これは主人公である柏木薫の転機・成長を記した手記のようなものと思って読んでいたので、 純朴で真面目だけど人の心の機微に疎い柏木の心の動きにも惹きつけられたし、 日本人でありながら欧州の人をも虜にする美貌を持ち如才無く王族とも接し、 光源氏のように皆に愛される光こと鷹原の活躍と その奥に疼いているしこりを覗き見ることができて 非常に満足しながら読めました。
舞台は19世紀末のロンドン、実際に起きた切り裂きジャックの事件について、医学を学ぶために渡欧した日本人の目を通して、犯人を暴いていく。 切り裂きジャックと呼ばれる犯人による娼婦連続殺人は、未解決の猟奇事件ということもあり、ミステリーの素材として取り上げられることも少なくない。これもそのひとつで、史...続きを読む実を織り混ぜながら重厚な読み物に仕上げている。 主人公はまったく冴えない青年で、対照的に事件を解決していく友人は、容姿も性格も頭脳も正反対。そのコンビは、主人公が事件を日記風に綴っていくところも含め、ホームズとワトソンの姿と重なる。番外編で、別の事件も読みたいと思ったほどだ。 個人的には、主人公が関わっていくエレファントマンは、その昔映画を観たが(若い頃映画館で観たため、映像にも内容にもかなりショックを受けたことを思い出した)、切り裂きジャックと同時期だとは考えもしなかった。 伏線等は比較的分かりやすく、おのずと犯人の目星もつく。が、それはともかくとして、ロンドンの匂いたつような光と闇の、くらりとするような妖しい雰囲気が存分に楽しめる。途中、皆川博子の長編を読んでいるような錯覚に陥った。 ただし、とくに前半はかなり冗長で、物語に入り込むまでに根気が必要。もう少し削ってアップテンポでもいい。 同時に、800ページ近い作品を1冊の文庫本というのは物理的に重い……。せめて2冊に分けてくれれば。あと、これだけの長編なので、人物一覧がほしかった。
19世紀末のロンドンを舞台に、日本人青年の鷹原惟光と柏木薫の二人が当時世間を震撼させた「切り裂きジャック」を追うミステリで、文庫本で800ページ近くもある大変な労作です。惟光、柏木、薫は、いずれも源氏物語に登場する人物の名前で、さながら優雅かつ耽美な物語世界が展開されます。 緻密な描写と野心的な設定...続きを読むは非常に魅力的ではあるのですが、どうでしょう、一般受けするにはハードルがちょっと高い気がします。
カタカナ苦手なので今まで読んだ本のなかで一番辛かった…(;ω;) 途中何度やめようと思ったか(;ω;) ただ! 読んで良かった!!! 実際の歴史上の人物がちょいちょい出るのも面白い。
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一八八八 切り裂きジャック
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