松田青子のレビュー一覧
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わかりやすく強い言葉でこれでもかこれでもかと繰り返される「おじさん」への糾弾、拒絶、排除の物語。気づかせる、目を覚まさせる、奮起させる、連帯させるという意味ではとても良い作品なのだと思う。
だけど、残念ながらわたしにはあまり響かなかった。特に、作中に驚くほどたくさん登場する「おじさん」という言葉。いくら概念的に扱っているとはいえ、ある一定の年齢を超えた男性や、関係上の呼称としても使われている言葉を用いて語る内容としては攻撃的すぎて疲れてしまった。個人としてではなく女として弱い存在とみられること、制服を着ているだけで性的搾取の対象としてみられることにNo!といいながら、個人ではなく概念としての -
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文庫本の帯で紹介されていた「あなたの好きな少女が嫌い」の文章がカッコよかったので読んでみました。
「あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は細くて、可憐で、儚げだ。」
うん,確かにあなたの嫌いな少女が好きです。
捉え方が少し類型的な気がするけど、シニカルな視点が魅力の掌編集です。
巻末に収録された、著者本人による全53話のひと言解説と照らし合わせながら読むとより面白いです。
いろんな視点をお持ちのようですが、ジェンダー以外の作品は切れ味が劣る事が多い気がするのが残念。
ざっと他の人の感想を見て、誰も褒めてないけど「TOSHIBAメロウ20形18ワット」にいちばん共感しました。僕に -
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落語とか民話、戯曲とかをモチーフに軽い感じで書かれた、軽い感じの連作短編集。自殺したおばちゃんや、幽霊としてさまよう者達が、有る会社に雇われ、私たちの前にひょっこり現れ心を癒していく。どんな小説、作品と言われてもよくわからんかったけど、自分から死を選んだ人、殺された人、いろんな理由で亡くなった人達がいるけど、死んだら自由。未練を残さず軽い気持ちで生きている。死んでるのに生きてるというのも変だけど。有名な幽霊も登場するけどみんなとにかく湿っぽさがなく自由奔放に生きてる。それよりスカウトの汀さんって何者。よくわからんかったけど、死を推奨している本じゃないのは確かで、単に軽いのりで書かれた幽霊たちの
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この作品の初版は2013年に上梓されているのですけど、まだまだ今どきが「わかる、わかる」「そうなのか」と新鮮だったですね。
「スタッキング可能」は会社で働く女子社員の嘆きっぽい独白、オフィス模様。「マーガレットは植える」女の子の不如意な暮らし、昔なら乙女な嘆き。「もうすぐ結婚する女」ずばり、マリッジブルーに絡めた期待と不安の風景。
松田青子さんの初期の作品でしょうか、作風が出ています。ぼやいたり嘆いたりなのですが、なんとなくおかしみがあるのです。小品の間に挟まれている「ウオータープルーフ噓ばっかり」の3編が特におもしろいなあ、TVドラマ「家政婦は見た」の家政婦協会の事務所(畳のくつろぎ部屋 -
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読んだ2014年当時、正に主人公の娘と同じように英語の仕事に固執して、キャリアに悩んでいた。だから「それじゃお守りじゃなくて呪いよ」というフレーズが刺さった。
2022年に再読。今は拘りなく英語に関係ない仕事をしている。
改めて読んでみると、英語が出来ることがアドバンテージのはずなのに、そのせいで派遣の仕事を転々としていることの皮肉が伝わってくる。
また、今更ながら英語への皮肉とは別で親の子供に対する執着についても皮肉られていることに気付いた。
主人公の母は夫や義母のような道を歩んでほしくない一心で娘に英語教育を受けさせているけど、それは「あの人たちのようになってほしくない」が動機であって、