松田青子のレビュー一覧
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短編集。
いくつかの小説に関連性があったり、時々ショートショートより短い一文が挟まったりする。
相変わらず不思議な世界観だが、テンポがいい文章で読みやすい。
以外特に面白かったもの。
・あなたの好きな少女が嫌い
日本のアニメなどを見ていると黒髪ストレートに白ワンピ(もしくは女子学生の制服)が正統派少女像みたいな前提が存在するのを感じる
ポトレ撮影が目的でもなければそんな機能性に欠ける格好をしている女性がいるとは思えないような場面でもそういう格好をした少女が微笑んでいる画が多く、でもこういう少女を好む人たちは“自分を美しく撮影するために装う女”は嫌いなんだろうなぁと思う。
・女が死ぬ
瀕 -
Posted by ブクログ
50もの短編が収められている。
短編だからサクサク読めるかと思いきや、一つ一つが濃厚で、時間をかけて少しずつ読みたい一冊。
全然違うかもしれないけど、芥川龍之介の『侏儒の言葉』を想起した。私たちが普段何気なく過ごしている事柄を言葉に、物語にして提示されることでドキッとする。中にはほんの数行の作品もあるけれど、意味を考えるとクスッと笑ってしまったり、ドキッとさせられたり。
「ハワイ」は3年着られなかったセーターが主人公の話。
世の中でブームの断捨離の裏をかくような内容。
「少年という名のメカ」「あなたが好きな少女が嫌い」「女が死ぬ」などは私たちのジェンダーに対する認知バイアスに思いもよらない角 -
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p.53「何千人と人がいたって、どの階でも同じようなことが話されていて、行われている。構成要素だいたい同じ。」
望む望まない、戦う戦わないに関わらず女性として会社で働くこと。本人が様々な環境で自分らしく考えて化粧をし服を着て、男性と会話をし、仕事をしているとしても、周りがそれを評価し、ラベルを貼っていく。5階でも7階でも11階にも、A山さんもB木さんもC川さんD田さんもいて働いている。
最初は、この没個性的なABCDEのネーミングとエレベーター階の表示、スタッキングの意味がわからず、前衛的な女性論的な本を読んでいると思っていたが、漠然とそれぞれのアルファベットの位置付けと「個性」を感じるにつ -
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ネタバレ◾️record memo
あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は細くて、可憐で、はかなげだ。間違っても、がははと笑ったりはしない。がははと笑うような少女をあなたは軽蔑している。というか、それはもうあなたにとっては少女ではない。では、がははと笑う少女はどこに行けばいいのか。
あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は弱くて、非力で、不器用だ。困ったやつだなあと、あなたはあなたの好きな少女を庇護してやらねばという気持ちにかられる。親でもないのに。
あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は、我がままで、自由で、子猫のように移り気だ。また、あなたの好きな少女は、そのよう -
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キャッキャと読み終わりました。
「おばちゃん」と言いたくなる格好良い人ばかりで、、わたしもおばちゃんと言われるような人になりたい…と憧れてしまうパワフルなご婦人たち。
面白かったです。
ここ数年で沼にハマりだした落語も、歌舞伎も戯曲もほぼわからずで勉強不足でした。
『八百屋お七』(ガラスの仮面)と、歌舞伎『紅葉狩り』(陰陽座「紅葉」)くらい…。
でも、それらのモチーフが、現代話にこう絡まってくるとは。相乗効果がありました。
連作短編集で、ある部分で少し、別のある部分でまた少し、世界が重なっていました。
「どんなに時代が変わっても“ある”もの」と「新たな形をつくっていく関係」、どちらもそれぞ -
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ネタバレジャンルは「おばちゃん」という幽霊が出てきて、怪談話だから怖いのかな、と思ったら全然怖くありませんでした。幽霊のエンタメ要素がかなり入ったファンタジーにさせてもらいました。ジャンルをエンタメにカテゴライズしてもよかったです。
話は、現実の世界で日常生活をする人間に対して「おばちゃん」という幽霊がやってきて何か言ったりアドバイスすると言った内容で、全17話からなる短編集です。幽霊目線、現実で生きている人間目線」という幽霊が出てきて、怪談話だから怖いのかな、と思ったら全然怖くありませんでした。幽霊のエンタメ要素がかなり入ったファンタジーにさせてもらいました。ジャンルをエンタメにカテゴライズして