松田青子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
松田青子さんの著書はフィクションでありノンフィクションだ。
それは彼女と私が同世代で、生まれ、育ち、そして働き今に至るまでに共有する感覚、世代間が共通しているからかもしれない。
英子の森にあるように、
私も「英語」が得意で英語ができて、英語ができれば職業選択の自由を得、お金持ちになれると思ってきたけれど、いざ働いてみたら完全ドメスティックな仕事、あれだけ得意で難解な学術論文すら読んでいた自分の英語力は化石となってしまった。
笑えない、苦しい、こんなはずじゃなかったのに、
しかも妊娠出産のキャリアを経て、第一線や出世というキャリアからは完全に遠かった。
葛藤があるからこそ、人は成長するものだと思う。
著書に描かれている他人事のようで紛れもない自分ごとと感じるなにかの世界に触れ、無意識に受けてきた呪詛に気づき、自立してどう生きるのか?
そのきっかけにしたいな、と強く思うのだった。 -
Posted by ブクログ
おもしろい!内容は、洋楽洋画洋ドラマ、たまにバレエなどの舞台系と、アートカルチャーの感想とゴシップなのだが、女性が元気になるネタがこれでもかと豊富。著者のインプット量がすごすぎて、知らないのがほとんどなんだけど。ネトフリに入って片っ端から見たくなる。
私的にぽん!と膝をうったのは、ロストイントランスレーションにツッコミ。ジュラシックワールドのハイヒールにツッコミ。フレンズあるある。2013年のアカデミー賞受賞式の我らがアンハサウェイの乳首ドレス事件の時代回顧録。たった7,8年前なのにね!あと、アンバーハードとは。ジョニデ事件は私も???だったので、松田青子説を今後支持していきたい。
気づいたけど、著者も高校アメリカ(いなか)留学組。どーりでテイストが好きなわけだ。ウィメンズマーチ、いっとけばよかったな。マーベラスミセスメイゼル、続き見てないな。。あの頃が最後の自由な時間だったのに〜。時間が欲しい。主婦のおたけびでした。
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Posted by ブクログ
冥界の住人か、そこに近いところにいる(本人には自覚がない)人間で組織される「会社」が絡む連作短編集。全17話。
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なんと楽しい作品なのだろう。飄々とした雰囲気で、最後まで気持ちを包んでくれました。
重大な事件が起こるわけではありません。深刻な悩みに襲われたりもしません。大団円を迎えることもなければ不幸な結末で終わることもないのです。
「会社」なる組織もユルユルです。
汀さんなる人は生者の利益 ( =幸せ ) のために日々努めていますが、「おばちゃん」たちはいいかげんです。問題を解決しようなどとは思っていないかのように心の赴くまま振る舞います。そして気がすめば引き上げる。それだけです。
だから物語が唐突に終わります。教訓など何も含んでいません。そこには潔さすらあるため不満や物足りなさを感じることもありません。だから不条理だけれど悔しくないのでした。
それどころか、読むうちに身体の隅々から余分な力が抜け気分もリラックスしてきました。
川上弘美さんの世界に似ていて一筋縄ではいかないなと思いました。それは、また浸ってみたくなるに違いない世界のようです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女性なら、フッと笑ってしまったり、スカっとしたり、よくぞ描いてくれた、と思うことが散りばめられている。けれど、これを男性が読んだとき、どんな風に思うのだろうか。
反発するのだろうか。女の嫌な面を見てしまったと思うのだろうか。それとも、そもそも何が問題なのか分からないのだろうか・・・せめて女が何を言いたいのかには気づいて欲しい。反感を持ったとしても、きっといつもニコニコしているアナタのそばの女性たちもこんな風に思っている人が沢山いるのだと言うことには気づいて欲しい。
以下おもいきり抜粋(ネタバレ)です。
ーボンドー(これは男性にはお薦めできない苦笑)
「ねえねえ、そんなにいいの、ボンドって?」
「うーん」「まさか、そんなこと聞かれるとは」
「・・・・・正直な話、なんだこんなもんかってわたしは思ったわ」
「でも、まあ、悪くないふりをしたわよ、それはね、だって相手はボンドなんだから」
「あの、やらなくてもいいんですよね?」
「もちろん、そうだけど、でもどうして?」
「いくら何でも、皆簡単にボンドと関係を持ちすぎではないかと思うんです。愛情からならまだしも、油断させる目的で関係を持つ時もあって、でもそういうやり方は古いんじゃないかと。愛情にしても、毎回毎回ボンドも軽くないですか。そろそろわたしたちの美しさを、もっと別の方法で打ち出していくべきじゃないかと思うんです」「わからないけど、一回やっとけって」「いいから、いいから、やっとけって」「そのほうがハクがつくでしょ?」「減るもんじゃないし、やっとけって」
「真面目な話、それはやっぱりやっておいたほうがいいのよ。やらないとね、見てる側も肩透かしをくった気持ちになるし。」
ーあなたの好きな少女が嫌いー(でもこれはお互い様な面もありますよね。女が好きな男像も男性は嫌いかもしれない)
あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は細くて、可憐で、はかなげだ。間違っても、がははと笑ったりはしない。
あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は弱くて、非力で、不器用だ。困ったやつだなあと、あなたはあなたの好きな少女を庇護してやらねばと言う気持ちにかられる。親でもないのに。
あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は、我がままで、自由で、子猫のように移り気だ。また、あなたの好きな少女は、そのような特質を備えつつも、あなたの言うことだけは素直に聞き、あなたの思い通りになる。
あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は、センスが良くて、前途有望で、いろいろ教えがいがある。教えてあげるのはもちろんあなただ。あなたは知識のすべてを総動員して、少女を教育したいと思う。学校の先生でもないのに。
(まだまだ続きます、、、)
ー女が死ぬー
女が死ぬ。プロットを転換させるために死ぬ。話を展開させるために死ぬ。カタルシスを生むために死ぬ。・・
女が死ぬ。彼が悲しむために死ぬ。彼が苦しむために死ぬ。彼が宿命を負うために死ぬ。彼がダークサイドに落ちるために死ぬ。・・・
女が結婚する。話を一段落させるために結婚する。そのままなし崩しでエンディングに持っていくために結婚する。・・・
女が妊娠する。新たなドラマをつくるために妊娠する。新たなキャラクターをつくるために妊娠する。・・・
女が流産する。恋人たちに試練をあたえるために流産する。そう簡単に幸せになっては中だるみするので流産する。・・・
女がレイプされる。彼を怒らせるためにレイプされる。彼の復讐心に火をつけるためにレイプされる。・・・
女が死ぬ。ストーリーのために死ぬ。・・・
我々はそれを見ながら大ききくなる。もう別に何も思わないし、感じない。そもそもたいして気にしたこともないかもしれない。大きくなった我々は、その日映画館を出る。
ーWe Can't Do It!-
わたしたちはできない!
できないことはできない!
向いていないことはできない!
面白くない話に無理に話を合わせられない!
面白くない話は面白くないから!
自慢話に愛想笑いはできない!
すごいですねと相槌を打てない!
相手の自己顕示欲を満足させることができない!
「男を立てる」ことができない!
「三歩下がる」ことができない!
面倒くさいから!
馬鹿馬鹿しいから!
ーこの国で一番清らかな女ー
ある国に、この国で一番清らかな女と結婚したい王子がいました。処女であることは言うに及ばず、自分以外の男にはどこにも触れられたことがないぐらいの女でなければいけないと王子は思いました。/王子はとうとう思い付きました。科学技術に頼るのです。/王子が作ってもらったのは、一度でも性的に触れられた場所が発光して見える特別な眼鏡でした。/清らかそうに見える若い女たちも必ずどこか光っています。ほうら見たことか。王子は悦に入り、右手で去れと言う合図を出し続けました。/年齢と比例して体の光っている場所も増えましたが、十歳に満たない少女でさえ、どこか光っていることに王子は驚きました。この国の女たちは堕落している。王子は嘆きました。王子は、性的に触れられると言う行為に、強姦や痴漢、性的虐待など、いくつかのバリエーションがあることなど思いつきもしませんでした。仮に知っていたとしても、王子の結論は同じだったでしょう。その女は清らかではない。ただそれだけのことです。
ー男性ならではの感性ー
男性ライターが男性ならではの感性で提案した男性向けの商品は、世間に驚きをもって迎えられた。/
この時流に目をつけた急進的な男流作家たちは、これからは男の時代であると、男性誌で連載しているエッセイで次々と取り上げた。/男性ならではの感性など信用できるかと渋い顔をしていた経営陣も、これには態度を軟化させるしかなく、男性ならではの感性も捨てたものではないというスタンスに徐々に移行していった。/男性ライターの成功は、社会に様々な変化をもたらした。「男性の感性的にはどう?」「男性ならではなの感性が我々には欠けているのでは?」「ちょっと待ってください。男性の意見も聞きましょう」/講演やトークショーの依頼も舞い込んだ。「男性が書くということ」「男性にとってキャリアとは何か」「男性の権利を考える」質疑応答では「男性が働き続けることのできる社会についてお考えをお聞かせください」「男性の理想の職場とは?」「男性の結婚と仕事の両立は可能だと思われますか?」/その後も、男性ライターと男流作家が何をつくり、何を書いても、それは男性性ならではの感性ということになった。男性ならではの感性にまとめられた。なんだかすべてが馬鹿みたい。別々の場所で、別々のタイミングで、男性ライターと男流作家は思った。