松田青子のレビュー一覧
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松田青子さんが、2015年~2024年にわたって書いた文章を集めたエッセイ集です。
自分が経験できないことや考えに触れ、しかも楽しめるところが、エッセイを読む楽しさだと思います。
〈Ⅰ 時々、外に出ていこう〉には、そんな文章があふれていていました。読み進めながら、インド料理のビリヤニを食べてみたいなとか、岸田衿子さんの詩集を読んでみたいとか、たくさんの思いで一杯になりました。そしてやはり、自分の子どもを「子どものひと」と敬意を払って呼ぶのが、すてきだと思いました。
〈Ⅱ 「当たり前」の痛みにさよなら〉では、今でもまだ多くの「当たり前」に悩まされていることについて考えるきっかけになりました。声をあげる人が増えてきて、変わってきたことが徐々に増えてきました。でもまだまだだと思います。ただ幸せに生きたいという思いは、皆、同じはずだから、きちんと声をあげた人の言葉には耳を傾けて、皆で考えていかなければ、と思いました。
そういえば、文中に出てきた『じゃりン子チエちゃん』は、面白くて大好きでした。
〈Ⅲ 彼女たちに守られてきた〉では、多くの書籍や映像などから松田さんが感じたことが、語られていました。そのなかで、読みたい本がどんどん出てきました。そして、大島弓子さんの漫画の言葉は、守られている感じがする素敵な言葉でした。
最後に、ひとこと。挿画のねこが、とてもかわいいです。
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全く問題だらけの女性たち。19世紀のありえない女性観。21世紀の私たちは19世紀の問題だらけの女性を笑えない。まだ、まだ、私たちは19世紀と変わらぬ、男性からの期待を受けている。男性も同様。19世紀ほど露骨ではないにしても、男性よりも知的で賢い女性が疎まれ、男勝りなんて言葉も死語にはなっていない。男性と張り合う女性がいる。お互いにお互いの違いを認め、性別に関係なく、性別ではなく特性だけを見て、やりたいことをやり、生きたいように生きられる世界はまだまだ遠い。女の子なのに、と言われる子ども時代を過ごす人がいなくなりますように。同じに、男の子なのに、と言われて悲しくなる人がいなくなりますように。
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ネタバレ備忘録:
P124: もしこの場所がもっと違ったらもっと対策がちゃんと取られていたら、今のように耐えたり諦めたり声を出したり出せなかったり、抗ったり闘ったりしている時間を日本の女性はどう過ごしていたのだろう。すとれっすや悲しみや怒りや諦念の代わりに何を感じていたのだろう。それが本当に想像できない。
魂は減る。敬子がそう気づいたのはいつの頃だったか。魂は疲れるし魂は減る。魂は永遠にチャージされているものじゃない。理不尽なことやうまくいかない事があるたびに魂は減る。魂は生きていると減る。だから私たちは魂を持続させて長持ちさせて生きていかなくてはならない。そのために趣味や押しを創るのだ。30年以上生きてきてどれだけ万単位チャージしても100%ではない。
P197: 今の十代二十代ぐらいになると違うのかもしれないがこれまで自分はこうゆうシーンに何百回も同遇しているしされたことも場をしのぐためにしたこともある。相手が自分よりも低い存在だと暗に示す行為、マウントは女同士のそれが一時期話題になり女は怖いという文脈でかたあっれたが自分に言わせると息を吐くようにそれをやるのは、むしろ一般的な男の文化だ。自分たちがマウントをしているということに気付かずに男がこわいという切り取られることもないまま無邪気にやり続けている。いじりといじめ、束縛と友情を取り違えたまま、男の文化は何十年も、もしかしたら何百年も膠着している。 -
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すっごく読みやすかった!
松田さんが生活を送る中で気づいたこととか感じた小さな幸せとか面白い出来事をおすそ分けしてもらってる感じ。
自分の周りにも何かないかなって探したくなった。
小さな幸せに気づけるってすごく幸せなのかもしれないと思った。
将来は松田さんみたいな生き方をしたいと強く思った。
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そして、自分自身も、取材で写真を撮られるから痩せないといけない、と思ってしまうことについて、考えていた。
別にこのままでもいいはずなのに、どう思われるか気にしている自分がいるのだ。
妊娠中のしんどい時期に体重のことでプレッシャーを感じなくてすむような、出産後も別にそんなにがんばって体重を戻さなくてもいいような、もうちょっと女性が気楽にいられる雰囲気が社会にもっと必要なのだろう。
そういう社会ならば、痩せていることがそもそもそんなに重要視されないはずだ。
健康を害するレベルなのは、太り過ぎも痩せすぎもよくないが、どちらにしろ、自分の体のことで世の中の目を気にしなくていいのが一番だなと、改めて思った。
なので私も、ぼちぼちいきたい。
明らかに私に足りていなかったのは、本を読むことだった。
私はそもそも何が好きって本を読むことが好きな人間なのだけど、やはり本を読まないと自分は駄目なんだなあとよくわかったし、読書がいかに心にいいか痛感させられた。
目を背けてはいけないことは多いけれど、忙しない、不安な日々の中で、SNSやニュースを見続けていると処理しきれない膨大な情報が体内に溜まって、心が疲れてしまうのかもしれない。
本は、自分自身と本の世界にだけ的が絞られて、集中できるのがいい。
余計がない。
世の中の情報に置いていかれてしまう不安もあるかもしれないけど、時にはこうやって、自分を休ませてあげることも必要なのだ。
もちろん見え方は人それぞれ違うものだし、視力がよければよく見えているわけでもないだろう。
でも、自分にとっての日常の見え方に色がついてしまうのは、なんとなく避けたかった。
美の基準、「普通」の基準は、そもそもがつくられたものなので、本来、いくらでも変えられるはずなのに、誰かの社会通念や商売のために、手間やお金がかかるはめになっているのが、なんとも納得いかないところである。
ストレスや自己肯定感の低下にもつながるし。
眉の太さがその時々でブームになるように、毛穴が開いてる、とかもブームにしてくれたらいいじゃないか!
小さいことや身の回りのことにこだわるのは、軽く見られたりもするけれど、よくよく考えてみれば、自分自身のあり方が最もはっきり現れるところかもしれない。
だから、こだわって、大切にしていきたいし、これからも、自分の日々に訪れる、新たな発見を見つめていきたい。 -
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申し訳ないことに、松田さんはこちらで初めて出会ったので、最初の話を読んで、「お、歳の近い人かな?」と思ったのだけど40代とのことで驚いた。
というのも、感覚がめちゃくちゃ若い気がするからだ。服をめちゃくちゃ買ってたけど、環境配慮だったりで買うのをやめた、とか。SNSで見て〜してみた、とか。そしてなんかわかんないけど、余裕がある感じがした。なんだろう。
この考えが失礼かもしれないけど、世の中の流れについていって、かつ、柔軟に適応するのって経験を重ねるほど難しいだろうと思っていたから、素敵な大人だなと思った。
ただ、趣味は全く合わない(笑)
BTS、サンリオ、韓国コスメ、シルバニア、外国の子供向け映像(メリーポピンズなど見たことない)…などなどで、共感が一つもなかった。そして、とにかく日頃から物を買いすぎだ…
服を買わない人は他のものも買わないのだろうよ…と物を買いたくないこだわりのある私は思ったのだけど、松田さんはおそらく人権へのこだわりが強そうなので(タクシーの話は全く共感できず。私が若い男でも同様態度だろうと思ってた)、人のこだわりとは多様だなと思った。
そして、そういえばフェミニストという分類の本は手に取ったことがなかったかもと思ったので、松田さんの小説も読んでみたい。 -
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好き嫌い分かれそうな
作品だけど私は大好き
♪
男性に読んでほしいと
切に思う。
噴火する前触れで黒い
噴煙を上げる、
女性という火山の火口
を間近に感じてほしい。
私はフェミニスト?と
聞かれたら、うーんと
考えてしまう立ち位置。
ウーマン・リブは賛成
だけど女性は護られて
当然という甘えは嫌い。
男性社会のなかで男性
の感覚を学んできて、
フェミニズムに対して
多くの男性が面倒臭い
と感じるのも分かる。
同時に、多くの男性が
女性は護られて当然と
思ってることに違和感。
それって男性が強くて
女性は弱いという固定
観念が前提にあるから。
私はレディファースト
に反対派。
なんてのたまってると
どんどん面倒くさい奴
になるので独言は以上。
発想の斬新さが私好み。
特にワイルドフラワー
の佇まいを象った、
短篇とも詩ともとれる
一篇がとても気に入り
ました♡ -
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私は以前から「母性」とか「我が子」とか「妊婦」とか「懐妊」とかいう言葉がなんか気持ち悪いと思っていた。子を持ちたくないわけではないけど、その言葉が自分のことを表すものとなると不快だなと。
・国のために産んでいるのではない。生殖にまつわるすべては個人的なことだし、国は本来、人々の様々な選択をサポートするためにあるだけだ。
この言葉がよかった。
さっき挙げた言葉たちが気持ち悪いのは、言葉に纏わりつく「おおらかで無償の愛で全てを包み込む母」的なイメージに自分が括られることに嫌悪感があるからではないかと思う。
このイメージってキリスト教の聖母子とか家父長制の家庭の中での良妻賢母とか宗教的・政治的に謳われたものであって、今でも子どもを産む女性は社会に貢献してる(産まない人は貢献してない)みたいな言い方されることあるけど、いや、お前らのためじゃないよ。というか。
個人的にやってることだからあんまりそっち側のレンズを介した目で見ないでもらえる?みたいな。
うまくまとまらないけどそんなことを考えた。
あと我が子という言葉も、なーんか血のつながっている子を産むことこそ正義で無条件で愛すべきみたいな感覚が滲み出ているような気がして好きになれない。
そりゃ子どもが夫や自分や自分の家族に似ているところがあったら嬉しくて可愛いだろうけど「我が子」だから愛するんじゃなくて生まれてきたその人そのものを愛すんじゃないのかい、という。
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Posted by ブクログ
松田さんのエッセイを読むのは初めて。年齢が割と近いこともあり、共感できるエッセイが多かった。「シンクロフィット」の存在を知らなかった。今度購入してみよう。こういう情報、ありがたい。
「バチェロレッテ」について言及されていて、私も今、丁度ハマっているところであり、同じくハマっている人の話を読むのが楽しかった。私は夫と一緒に観ており、バチェロレッテの福田さん、芯があるよね、でも半端な気持ちで参加してる男性は直ぐに見抜かれて大変だろうね等と言いながら観ている。松田さんもほぼ同じ見解である。「バチェラー」シリーズは観たことがないが、松田さんが好意的な意見なので、観る予定だ。
また、ブラジャー買い替え問題や体毛処理について、世の女性たちの常識とされているところが、そもそも何故"常識"とされているのかと語られており、私には考えもしなかったことで新鮮だった。確かに、毛が濃かろうが無かろうが、そんなことは気にならないという世界線があっても良かった。日本に住んでいる限り、他人の目はある程度気にしなければならないから、面倒だ。とは言っても、自分の美的感覚がもう構築されてしまっていて、たとえ他人からそのままで良いと言われても自分では納得できないだろうことは目に見えている。
私も妊娠中、カフェインの入っていない飲み物を外出時に探すのには苦労した。そうか、スタバは味方なのか。あんまり好きではなかったが、また妊娠することがあったら、利用してみよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ非常に面白かった。
最初に、「おじさん」から少女が見えなくなった世界であることが示される。
現実ではない、仮想世界の物語かと思って読んでいくと―
現代の女性たちが直面するさまざまな理不尽なことが、これでもか、と挙がっていく。
セクハラを訴えて職を失った30代の女性、敬子を軸に、何人もの女性の生活が、次々と提示される。
・非正規社員の女性へのセクハラとそれをもみ消す会社
・女性が楽しむことを非難する雰囲気
・女性の自己主張へのタブー視
・女性の外見を問題にする文化、特にアイドルへの圧力
・女性の身体の自己決定への侵害
・女性の体への性的なまなざし
・ワンオペ育児
これが、地球環境を保全するため、国家を仕舞うためのくじに当たった日本の、緻密で効果的な施策の結果だった―というあたり、非常にシニカルだ。
そして日本は何もない、緑なす土地になり、ここに魂となった女性たちが浮遊するという結末。
なんとなく、井上ひさしの『吉里吉里人』が思い出された。
どちらも地縛霊とか、魂だけが滅んでいく国について語っていたという構図が、最後に明かされる点で似ていると思ったから。
でも、吉里吉里人は、日本に接収されて終わった。
本書では、日本ごと滅びる。
「女性ならではの観点で、日本を立て直す」などという、おじさん世界のおとぎ話に収斂することも避けたのだな、と感じた。