松田青子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
痛い小説だ。いやいや作品が痛いんじゃなくて痛いのは私。
うーん、刺さるなぁ。痛すぎますよ・・・。
自分のことを言われているようで逃げたくなった。
多分ね、日本中に英子のドッペルゲンガーがうようよしている。
私もその中の一人。
英語ができない人から見たら英語ができる人と英語の出来ない人の二種類しかいないのだろう。でもね、英語ができる人(と認めたうえで)の中でも歴然としたヒエラルキーが存在するのよね。
ああやっぱりね、作者は英文科卒か。だから分かるのよね。そうよねー。
英子はやっと翻訳の仕事についたところ。
これからも先が長いのよ、なーんておせっかいか。
「翻訳の仕事やってます!」って胸を張っ -
Posted by ブクログ
カオス文学である。
妄想広がる部分ととても現実的な内容が共存しながら進み、その境目が非常に曖昧というか溶け合っている。
川上弘美ともこういうタイプなのだろうか(数冊しか読んだ記憶がないからわからないが)。
私は地に足ついた話が好きなのと、
導入部がハマらないと楽しめないので苦手なタイプだった。
表題作の『英子の森』が80ページ程度の短編で、他は20ページ程度の掌編。
『英子の森』
英語を習得すれば人生はうまくいくという教育のもと英語だけをひたすら頑張ってきた主人公の英子。
だが英語を使う仕事とは言っても地味で退屈、しかも英語ができない人と時給もほとんど変わらない現実を疑問に感じ始める。
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Posted by ブクログ
短編集で、作品の完成度はまちまちな印象だけど、私は著者の感性が好き。
表題作も、他にとりえもないから、唯一他人よりできる(といってもほんの少し)英語に縋って「知的でグローバルな私」という幻影に生きる自立できないフリーターを描いてはいるけれど、実際に結構な数存在するそういった人々を嘲笑しているわけではない。彼らの立場に立って悲哀を描いている。情に溺れずに。そして、そんな仕事をしている娘を生きがいに生きる母親も描き、ちゃんと救いがあるところが良い。
表題作が一番面白かったが、「*写真はイメージです」「博士と助手」も良かった。この人、詩を書いてもいいかもしれないなと思った。
これからも期待したい作家