松田青子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
不思議な世界観の、まるで風刺画のような短編たち。
面白い中に皮肉もいっぱいで、ときどき怒りも感じる。
ものすごい感性だと思った。
松田さんが見ている世界をもっと知りたい。
小説でもエッセイでもないような、本当に不思議な体験だった。
風刺画を見ているようだったというのが自分で1番しっくり来る。
“どうしてカミングアウトしないと、存在が認められなかったり、秘密を隠していることになるんだろう"
という言葉にはっとさせられたり、
子供たちのいる部屋を"武器庫"という表現で表すことで戦争の影を感じさせられたり、
女性が感じている違和感を色んな角度からこれでもかと見せつ -
Posted by ブクログ
夫婦別姓への思い、妊娠してからの思いなどが綴られていた。共感することだらけだった。
疑問に思い、寂しさも感じながら姓を変えた女性は多いと思う。結婚って?と改めて思ってしまった。やはり自分の気持ちを尊重するために、普通と言われていることを諦めるしかないことは、おかしいと思った。
妊娠から出産までの体の変化や大変さについても書かれていた。キャサリン妃やダイアナ元妃を例に挙げて、妊娠してからも無理をすることが当たり前と思い込まされないようにというのが印象的だった。
子育てをしていたら、人の目が気になってしまうことがある。愚図っているこどもに出会ったら、「うるさくないね、かわいいね」という優しさ -
Posted by ブクログ
ネタバレすがすがしいディストピア小説。
「おじさん」による「おじさん」に都合のいい社会。
※この場合の「おじさん」は「家父長制・男尊女卑」を維持しようとする生物のことであり、年長の男性を指して言う言葉ではない
こんな日本に誰がした!という答えにいやいやそんな、と思いながらもそうでもなければこんな風なことがまかり通るのおかしいよねとも変に納得してしまう。
どんな革命が起こり、どんな畳まれ方をしたのか具体的には描かれていないが「きれいに畳まれた」のは確かでそれはほっとする。
家父長文化、ミソジニーが色々書かれ、その象徴としてアイドル文化が出てくる。
アイドル文化を批判しながらそのアイドルに救われるジレン -
Posted by ブクログ
p124
「魂は減る。(中略)
魂は永遠にチャージされるものじゃない。理不尽なことや、うまくいかないことがあるたびに、魂は減る。魂は生きていると減る。(中略)
三十年以上生きてきた敬子はもう自分の魂は、どれだけ満タンにチャージしても、残り「82%」ぐらいなんじゃないかと感じる。さっきの××たちのライブでだいぶ充電されたけれど、それだけももう「100%」には戻れない。一体人生のどの段階まで、敬子の充電は「100%」だったのか。」
p138
「望ましい」の枠外に出ることはもちろん自由だったが、その自由には名前があり、ただ大目に見られているだけだった。「まだ若いから奇抜なファッションを楽しんでいら