松田青子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私的2013年度ナンバーワンの本は松田青子さんのデビュー作スタッキング可能だったので、二作目はとにかく期待度高く楽しみにしていました。
二作目のこちらも素晴らしい。こう来たかと思わず唸りたくなる面白さ。相変わらず世の中の皮肉を摘み取るのがうまい。実に巧妙。ただスタッキング可能のときよりも幾分難しい、というか分かりづらい。どなたかの解説が読みたいくらい。表題作英子の森がちょっと読み取りづらかったかなー。英語の森? にかけてるのかしら。英語ができたとしても時給にして50円ほどしか変わらないなんとも残酷なんですよ、ってね。
表題作以外は分かりやすいです。なかでも、おにいさんがこわいが好き。
スタッキ -
Posted by ブクログ
取っ付きやすいカテゴリの作品ではないはずなのに、全篇ともするりと楽しく読めてしまった。
もちろんこれは、褒め言葉です。そして個人の感想です。自信と責任を持って発信したい個人の意見です。
「森」が意識のメタファーだなんてことは疾うの昔から知れてることですが、
こんなにシュールでガーリーで、ちょっとばかり毒のあるいい森を作ることは、
言葉について、言語について考え続けてきた人にしかできない高等な言葉遊びでしょう。
もし今度、ちょっと気になる誰かが現れたとしたら、
「今度、うちの森に遊びに来ませんか」と誘ってみたい。
その誘いに応じてくれる人とは仲良くなれそうだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ◾️record memo
敬子は、信じられないような気持ちで、彼女たちのことを見た。衝撃、としか形容できないショックを敬子は受けていた。
日本の女の子たちは、とても頼りなく見えた。
それまではそんな風に一度も思ったことがなかったのに、日本とは違う国で一ヶ月間過ごし、外から帰ってきた敬子の目に、それは明らかに異質なものとして映った。
まず、声が小さかった。
日本の女の子たちは、かわいらしい、誰も傷つけることができないような声をしていた。
最弱。
突然、その言葉が降ってきて、敬子は驚いた。
そう、敬子には、日本の女の子たちが最弱に見えた。とても弱々しい生き物に。その事実に、敬子は脅威を覚えた -