松田青子のレビュー一覧
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11編からなる短編集。
どれも人物や設定が異なり、バラエティに富んでいる。
割と現実世界に近いものもあれば、奇想の世界もある。
読んでいてつらい気持ちになるものもあれば、楽しかったり、力強さを感じたりするものもある。
奇想ということであれば、「ゼリーのエース」。
某食品メーカーが販売している家庭で作れるゼリーのミクスを思わせる。
美佐子と正吉夫婦は台所=実験室で、ゼリーを作るように粉末にお湯をかけ、冷蔵庫で冷やして「娘たち」を作り、あちこちの家庭に「納品」している。
「娘たち」は冷蔵庫の中で「身を固め」、おしゃべりをするようになる(!)。
その中で、いつまで経っても「身を固め」ない娘が現れ -
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なんで歴史上の偉人に女性がいないのか?
女性の脳は小さい。女性が勉強すると胸が萎む。
試験を受ける時に試験会場に羊を離す。
女性の偉業は歴史のゴミ箱に捨てられる。
しんどすぎる。かなりマシになったとはいえ、今も続いていることが身に覚えがありすぎて不快感しかない。
フェミニズム系のことってしっかり勉強しないとって思うけど、本当にしんどくなる。
それでも立ち上がって改善しようとした人たちがいてくれたから今があるんよなぁ。考え続けないといけない。
と同時に、日本は平安時代に紫式部とか清少納言が活躍していて、女流作家の歴史も長い。当時の世界から見るとかなり異質で最先端をいっていたのでは?と思うのに -
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松田青子さんが、2015年~2024年にわたって書いた文章を集めたエッセイ集です。
自分が経験できないことや考えに触れ、しかも楽しめるところが、エッセイを読む楽しさだと思います。
〈Ⅰ 時々、外に出ていこう〉には、そんな文章があふれていていました。読み進めながら、インド料理のビリヤニを食べてみたいなとか、岸田衿子さんの詩集を読んでみたいとか、たくさんの思いで一杯になりました。そしてやはり、自分の子どもを「子どものひと」と敬意を払って呼ぶのが、すてきだと思いました。
〈Ⅱ 「当たり前」の痛みにさよなら〉では、今でもまだ多くの「当たり前」に悩まされていることについて考えるきっかけになりま -
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全く問題だらけの女性たち。19世紀のありえない女性観。21世紀の私たちは19世紀の問題だらけの女性を笑えない。まだ、まだ、私たちは19世紀と変わらぬ、男性からの期待を受けている。男性も同様。19世紀ほど露骨ではないにしても、男性よりも知的で賢い女性が疎まれ、男勝りなんて言葉も死語にはなっていない。男性と張り合う女性がいる。お互いにお互いの違いを認め、性別に関係なく、性別ではなく特性だけを見て、やりたいことをやり、生きたいように生きられる世界はまだまだ遠い。女の子なのに、と言われる子ども時代を過ごす人がいなくなりますように。同じに、男の子なのに、と言われて悲しくなる人がいなくなりますように。
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ネタバレ備忘録:
P124: もしこの場所がもっと違ったらもっと対策がちゃんと取られていたら、今のように耐えたり諦めたり声を出したり出せなかったり、抗ったり闘ったりしている時間を日本の女性はどう過ごしていたのだろう。すとれっすや悲しみや怒りや諦念の代わりに何を感じていたのだろう。それが本当に想像できない。
魂は減る。敬子がそう気づいたのはいつの頃だったか。魂は疲れるし魂は減る。魂は永遠にチャージされているものじゃない。理不尽なことやうまくいかない事があるたびに魂は減る。魂は生きていると減る。だから私たちは魂を持続させて長持ちさせて生きていかなくてはならない。そのために趣味や押しを創るのだ。30年以上生 -
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すっごく読みやすかった!
松田さんが生活を送る中で気づいたこととか感じた小さな幸せとか面白い出来事をおすそ分けしてもらってる感じ。
自分の周りにも何かないかなって探したくなった。
小さな幸せに気づけるってすごく幸せなのかもしれないと思った。
将来は松田さんみたいな生き方をしたいと強く思った。
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そして、自分自身も、取材で写真を撮られるから痩せないといけない、と思ってしまうことについて、考えていた。
別にこのままでもいいはずなのに、どう思われるか気にしている自分がいるのだ。
妊娠中のしんどい時期に体重のことでプレッシャーを感じなくてすむような、出産後も別にそんなにがんばって体重を戻さなくて -
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申し訳ないことに、松田さんはこちらで初めて出会ったので、最初の話を読んで、「お、歳の近い人かな?」と思ったのだけど40代とのことで驚いた。
というのも、感覚がめちゃくちゃ若い気がするからだ。服をめちゃくちゃ買ってたけど、環境配慮だったりで買うのをやめた、とか。SNSで見て〜してみた、とか。そしてなんかわかんないけど、余裕がある感じがした。なんだろう。
この考えが失礼かもしれないけど、世の中の流れについていって、かつ、柔軟に適応するのって経験を重ねるほど難しいだろうと思っていたから、素敵な大人だなと思った。
ただ、趣味は全く合わない(笑)
BTS、サンリオ、韓国コスメ、シルバニア、外国の子供向 -
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好き嫌い分かれそうな
作品だけど私は大好き
♪
男性に読んでほしいと
切に思う。
噴火する前触れで黒い
噴煙を上げる、
女性という火山の火口
を間近に感じてほしい。
私はフェミニスト?と
聞かれたら、うーんと
考えてしまう立ち位置。
ウーマン・リブは賛成
だけど女性は護られて
当然という甘えは嫌い。
男性社会のなかで男性
の感覚を学んできて、
フェミニズムに対して
多くの男性が面倒臭い
と感じるのも分かる。
同時に、多くの男性が
女性は護られて当然と
思ってることに違和感。
それって男性が強くて
女性は弱いという固定
観念が前提にあるから。
私はレディファースト
に反対派。