葉真中顕の作品一覧
「葉真中顕」の「鼓動」「ロスト・ケア」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「葉真中顕」の「鼓動」「ロスト・ケア」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、推理作家としてデビュー。
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Posted by ブクログ
平成の始まった日に生まれ、平成最後の日に亡くなった無戸籍児・Blue。彼に絡む一家殺人事件を軸に、平成31年間の時事ネタとともに事件の謎を追っていく。
葉真中さんらしく、児童虐待や貧困、外国人労働者問題など、さまざまな社会問題が描かれている。平成に起きた実際の事件や音楽、当時の風物が随所に散りばめられ、自分が生きてきた平成という時代を良くも悪くも再認識させられた。まさに平成がぎゅっと詰まった作品だった。
親を選べなかった悲しい子供たちは、それぞれ必死に戦っていた。Blueにはつい肩入れしてしまう。一瞬でもファミリーができ、幸せな時間を過ごせたことが、せめてもの救いだったと思う。彼のしてきたことは決して許されないけれど、誰かが救われたのもまた事実。何より、彼にとっての真実が語られたとき、なぜか私自身も救われた気がした。
苦しみと悲しみに満ちた平成という時代を背景に、二つの惨殺事件を描いた重厚な物語。「絶叫」に勝るとも劣らない作品だった。
Posted by ブクログ
人生の辛さから生まれる「絶叫」
鈴木陽子は何処にでもある「普通」の家庭に生まれた。
母親は陽子の弟だけを溺愛した。
その弟は「自殺」。
父親は借金取りに追われて蒸発。
やがて結婚するも夫から離婚を告げられ、上司には利用され、会社を解雇される。
陽子はデリヘル嬢として懸命に働くが、次から次へと超ド級の不幸に見舞われる。
物語の随所で、社会に捨てられた人の絶叫が響く。
全方向から騙され、痛めつけられても、陽子は懸命に生きる。生き残るための最後の計画の残忍さと緻密さに度肝を抜かれた。
人は環境に応じて感情が動き、行動を起こす動物なのだという伏線が見事なまでに回収され、大満足の1冊だった。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった、すごく引き込まれた!私は社会派ミステリーが好きなんだなーと気がついた。
所謂氷河期世代を生きた人々の苦悩が描かれた物語。中学時代はヤンキーが流行って、オタクが好きってだけで犯罪者扱いだったり嫌われてカースト最底辺にされて、大学受験は団塊世代で熾烈な戦い、バブルが弾けて就活、、、就職できてもあの頃はハラスメントなんて言葉なくブラック企業だらけで、、、鬱病に対する理解も全く無いし、苦しい世代だなってしみじみ感じた。
引きこもり視点、両親視点、刑事視点、母親視点、子供視点、、、様々な人生や思いが書かれていて、みんな苦しんでいて、、、
読み終わった後の満足感すごい!
Posted by ブクログ
『“殺してもいい命”なんてあるわけ無い、でも自分の命の価値を他人が推し量ることはできない』
この感想を読んだ人の中には、家族や親族などの介護を経験したことがある方もいらっしゃるだろう。
本作を読んだ私は、その方々に「本当にお疲れ様です」とただ声をかけたくなった。
(非常に上から目線になっていて申し訳ないが・・)
今、日本の高齢者は総人口の半数にも迫ると言われている。
日々のテレビ番組や動画サイトなどでも度々、この介護の現場を取り上げられるが、そこには映像の中で語られる綺麗事だけでは済まされない状態に既に陥ってしまっている家族がいることも忘れてはならない。
本作は、性善説を信じるクリスチャンの検察官・大友、介護の現場で働くヘルパー、両親の介護に疲れ切った家族、そして“事件の犯人”、4人の視点から描かれる。
本作で起こる事件、それは日常生活の殆どに介助が必要、いわば要介護状態の高齢者を殺害するというものだ。
最初読んだ時は「動けない高齢者を狙って殺害するなんて酷い事件だ!」なんて激昂してしまった。
ただ、読み進めていくとその裏にあったのは介護疲れで崩壊寸前の家族の姿だ。
例えば、自分の両親が認知症等を患い、要介護状態になったとしよう。
軽度な状態だと家族・親戚同士で介護をすることもあるだろうが、進行するにつれ、家族だけでは全ての介助が難しくなるケースが起こる。
自分に所帯を持っていれば、仕事や家事など介護以外でもやることは山積みで、時間の全てを介護に使う、なんてことは困難になるだろう。
生活の全てに介護が必要だとなった場合、訪問介護などの専門サービスを頼るか、老人ホーム等への入居を検討するが、直面するのはお金や施設等の利用までの順番待ち、場合によっては世間体もある。
(世の中には、「親を施設に入れる」ことへネガティブに感じ、家族介護がベストだという風潮・考えを持つところがあったりするのだ)
運良く訪問介護サービスを利用できるようになったとしても、家族介護には限界がある。
その限界の先に待っているが、介護疲れやストレスによる虐待や家族の鬱病などにより、元に戻すことが難しいほど壊れてしまった家族の姿なのだ。
本作にはそんな介護の限界を生々しく、そして赤裸々に描いている。
「殺してもいい命」、それはあってはならないものだ。
だが、自身の介護で「家族に殺して欲しい」とまで願ってしまう高齢者や、届くことのないSOSを出し続ける家族の姿を性善説を信じる検察官の視点から見ると、同情と憤慨、私はどちらもが湧いてきた。
ロストケアというタイトル、それがなぜ生まれたのかは本作を読んで確かめて欲しい。