サブカルチャー・雑学 - 岩波書店 - 岩波現代文庫作品一覧
-
4.0ファンタジー文学は空想への逃避ではなく,時に現実への挑戦ですらある.それは妄想ともつくり話とも違う.すぐれたファンタジー文学は,読み手自身のファンタジーを呼び起こし,何らかの課題をもって読み手に挑戦してくる――.心理療法家が,ストー,ゴッデン,リンドグレーン,ギャリコ,ピアス,ノートン,マーヒー,ル=グウィンを読む.(解説=河合俊雄)(全6冊)
-
3.0太郎はいま,身をやつした民族学者となって,旅に出る.縄文土器を発見し,東北,沖縄,そして韓国へ.かつてパリで民族学を学びバタイユらと親交を深めた太郎が,類まれな感性で見出した日本とは.その道行きを鮮やかに読み解き,思想家としての本質に迫る.Bunkamuraドゥマゴ文学賞,芸術選奨文部科学大臣賞受賞作.
-
-『三国志演義』は乱世を生き抜く智恵の言葉の宝庫.波瀾万丈の物語にちりばめられた名言・名句を160項目選び出し,本文(読み下し文・原文・現代語訳)を掲げ,解説を付す.本文の調子の高さ,響きの楽しさに,声に出して読みたくなる! 三国志ファン必携,三国志初心者も楽しめる1冊.情景を彷彿させる挿絵も多数.
-
4.3「一陽来復」とはもともと,陰暦十一月の冬至,一年で夜が最も長い日に陰が極まって陽が戻ってくることをいう.巡りゆく季節を彩る花木や懐かしい風物に,中国の古典詩・随筆・歳時記に描かれた印象深い情景を重ね合わせ,明るい世界の到来を願いつつ心伸びやかに生きる日常を綴った滋味あふれる随筆集.(解説=井波陵一)
-
4.0一五年戦争下,途切れることなく刊行された婦人雑誌の料理記事は,銃後の暮らしをリアルに伝える.配給食材の工夫レシピから防空壕での携帯食まで,人々が極限状況でも手放さなかった食生活の知恵から見えてくるものとは? 再現料理もカラーで紹介.「食」を通して「戦争」を考えるための「読めて使える」ガイドブック!
-
-日本の教育の危機は,学校教育の危機であるにとどまらず,日本社会の構成員を育成するのに失敗しているという社会全体の危機でもある.工業社会から知識社会への転換点でもある今,どのような教育改革が必要とされているのか? スウェーデンの事例などを参考に考察し,真に教育を再生させる道を提示する.(解説=佐藤学)
-
-『三国志』『西遊記』『水滸伝』『紅楼夢』…….とてつもないスケールで繰り広げられる華麗な物語世界,烈々たる気概に満ちた奇人・達人の群像.中国文学の魅力をわかりやすく説き明かす第一人者である著者が,「竹林の七賢」をはじめとする個性豊かな人物のエピソードや,興味深い書物,不思議な出来事をめぐって縦横無尽に語る.とびきり愉しい中国文学案内.
-
4.4ときに英知の結晶の重みに粛然とし,ときに寸鉄人を刺す切れ味に感嘆し,ときに洒脱なユーモアあふれる面白さに哄笑し,ときに鮮やかに世界を凝縮した詩句に心を酔わせる――博学能文の中国文学者が,史書,詩文,随筆,小説,俗諺等々から精選した366の名言を,1年各日に配して明晰な解説を付す.日々の暮らしを彩る,教養と実用を兼ねた1冊.
-
-「従軍慰安婦」の存在は周知のものだったにもかかわらず,1990年代の当事者による告発まで,なぜ彼女らの存在は「見えて」いなかったのか.「慰安婦」問題がつきつけるすぐれて現代的な課題を,フェミニストとして真正面から論じ話題となった『ナショナリズムとジェンダー』に,その後の論考を加え,戦争・国家・女性・歴史にかかわる著者の発言を新版として編集.
-
4.3このままだと日本は必ず没落する…….1999年に刊行された本書は,2050年を見据えて書かれているが,驚くほど現在の日本の現実を予見している.なぜそうなるのか,日本人の精神性と日本の金融,産業,教育の荒廃状況を舌鋒鋭く指摘し,その救済案「東北アジア共同体構想」を示し,救済案への障害となるものをも示す.(解説=中村達也)
-
4.7〈かれら〉を攻撃し,かれらと異なる〈われら〉であることに安寧を求める社会に,未来はあるのか.いじめ,ホームレス殺害,障害者施設設置反対運動,宗教集団への批判,超常現象への傾斜――80年代に世間を賑わせた数々の事件から,異人が見出され生贄とされる,共同体の暴力を読み解く.時代を超えて切実に響く傑作評論.
-
3.7フェミニズムとは,女の解放を意図しながら,「女」と位置付けられている者以外にフェミニズムを開いていくこと──最良の入門書であるとともに,男/女のカテゴリーを徹底的に解析する本書は,性差の虚構性を暴き,この身体から未来を展望する可能性を示す.齋藤純一氏との『思想』対談を付して文庫化.(解説=岡野八代)
-
-
-
4.3売られた喧嘩は買い,連帯は国境や世代を超えて呼びかける――.社会学者・上野千鶴子の発言はさまざまな波紋を呼んできたが,背景にあるのは,自身の率直な思いと,女が女であるがままの解放をめざすフェミニズム思想.1970年代以降,40年の時を刻んだフェミニズムの歩みと共にあった迫力の発言を大集成!岩波現代文庫オリジナル版.
-
-「民間の新嘗祭」と呼ばれる奥能登のアエノコト.稲作民族の原点を伝えるとされるその姿は,じつは,激変する戦後日本の中で柳田国男とその門下たちによって「発見」されたものだった.フィールドとテクストに働く政治と修辞を徹底的に読み解き,アエノコトを「二十世紀の物語」として再考する.(解説=佐藤健二)
-
5.0グローバル化された世界の中での軍事衝突,ポピュリズムや原理主義の台頭,娯楽化するメディア…….歴史があたかも進歩をやめて後ずさりしはじめたかに見える二十一世紀初めの政治・社会の現実に鋭い批判の矢を放ち,異文化への理解や教育のあり方,知識人の使命について独特のアイロニーに富む文体で深い洞察を巡らす.
-
-言語学者と政治活動家.これまでほとんど関連づけられることのなかったチョムスキーの二つの側面が,2014年来日時の連続講演とインタビューを通して初めて一個の人格として像を結ぶ.浮かびあがってくるのは,言語能力によって与えられた「理性」を人間の本質と捉え,自らの理性の力を用いて徹底的に考え続ける「理性の人」の姿だ.
-
4.0「そうじゃ,わしが博士じゃ」という博士や「ごめん遊ばせ,よろしくってよ」としゃべるお嬢様.現実には存在しなくても,いかにもそれらしく感じてしまう言葉づかい,これを役割語と名づけよう.誰がいつ作ったのか,なぜみんなが知っているのか.そもそも一体何のために,こんな日本語があるのだろう?(解説=田中ゆかり)