歴史・時代小説 - 光文社文庫作品一覧

  • 会津の牙
    5.0
    水口藩の馬廻り役・柿崎主水は、酒癖の悪い同僚を斬って脱藩。習い覚えた揉み療治を生業としながらの旅で、会津城下に足をとめた。そこで主水は、藩命により、城下を荒らしまわる無頼の浪人一味の討伐に向かう。選り抜きの藩士二十人を引き連れ、三百人の浪人どもを相手に、血みどろの死闘。凄絶な人斬りの技が冴える。
  • 相馬の牙
    4.5
    相馬藩士・刈谷兵介は、真剣を持つと狼になる。ある日、十二人の浪人を瞬時に斬り伏せた。藩の剣術師範・百目木一風斎は、この噂が気にかかった。二人の決闘が迫る。兵介は一風斎の娘・佳乃に惚れていたが、一風斎を一気に斬り裂いて脱藩した。追手が来る。やがて、流浪の身となった兵介と、佳乃の幼い弟・兵馬の対決の日が訪れた……。
  • 秋月の牙
    5.0
    筑前秋月藩士・西水又七郎は、愛妻・沙登と上司の息子・左之介との密会現場に乗り込み、即座に左之助を斬り捨てて出奔。激怒した左之助の一族は、彼を仇と狙ってあとを追う。身分も家も失った又七郎は、わが身を守りぬくため、山賊の仲間に入る。そこで人斬りの技を磨いた彼は、やがて江戸へと向かった……。凄絶な人斬りと、男女の性を活写。
  • 前田太平記(上)雪の章
    -
    織田信長が本能寺で斃れたあと、前田利家は豊臣秀吉を立てて天下統一に向かう。〃義は君臣にして、情は朋友〃の間柄は生涯変わらず、すべての戦役に参加し、大老として政務を執る。秀吉没後も、彼は天下を窺う徳川家康の野心を抑え、幼主・秀頼を守り豊臣家のために肝胆を砕く。風雲急を告げる世に、利家に仕えて奮闘する兵法名人・富田越後守の剣が冴える。
  • 素浪人 宮本武蔵(四)〈剣鬼の篇〉
    3.0
    宮本武蔵は三人いた。各々一流の武芸者だった。その一人は年老いて名前を譲ってくれた人。もう一人が気にかかる。その武蔵が京の吉岡兵法所の総帥に挑戦状を突きつけた。引き分けた。だが、門人たちに叩き殺される。元・弁之助の武蔵は激怒した。京の一乗寺下り松にて遺恨試合となる。一人対二百人。武蔵は考えた。右手に刀、左手に鎧通しを持ち、先に叢で敵を待った。
  • 素浪人 宮本武蔵(三)〈修羅の篇〉
    -
    武蔵は江戸を離れた。憧れの小野次郎右衛門と対峙した瞬間が脳裡を去らない。450人も斬った人で、徳川家・剣術指南のひとりだ。小野は眼を閉じて武蔵の攻撃を避けた。貫禄が違う。甲州路に入った。またも女難剣難の嵐だ。下諏訪で黒曜石の利権を荒らす博徒一家を潰すための助っ人を引き受けた。斬る。斬りまくって小野を超えたい。だが修羅の旅はどこまで続くのか。
  • 剣鬼・根岸兎角
    -
    木刀で相手を打ち殺すほどの凄まじい腕前の根岸兎角。彼は、病いに倒れた師・諸岡一羽を見捨てて出奔、武者修行の旅に出た。途中、豪商の娘を救った縁により、小田原に道場を開き大いに繁昌する。だが、一羽の高弟たちは兎角を師の仇と付け狙い、やがて江戸城大手門前の橋上で、因縁の果たし合いが……。剣と女に賭けた鬼才の奔放な生きざまを描く、人斬り絵巻。
  • 上杉謙信
    -
    生まれながらの戦巧者にして天才的な武将上杉景虎(後の謙信)。戦塵の中に生き、合戦の勝利と、家名の再興以外には何も考えたことのない青年武将。彼は、父亡き後、柔弱な兄晴景に代わり、義侠の武人としての誇りを貫いていた! そんな景虎の人生に、ただ一点明るくともる灯……それは、ある清純な乙女との出会いだった。「不犯(ふぼん)の聖将」の半生をえがく!
  • お耳役檜十三郎捕物帖
    -
    将軍家斉の姫君が天降るのはどの藩か? 自藩の財政危機も招きかねない一大事の真相を究明すべく、秋田藩の〃情報官〃であるお耳役・檜十三郎の大仕事が開始された! 推理界の重鎮が放つ時代小説の快作!
  • 開化怪盗団
    -
    色白の顔に細い八の字ひげ、撫でつけた漆黒(しっこく)の髪……気障(きざ)で柔弱(にゅうじゃく)な宝石商・高牟礼三太郎(たかむれさんたろう)。しかし、彼には怪盗団を取り仕切る〃裏の顔〃があった。口八丁手八丁の仲間を率い、金持ち連中から宝石を巻き上げる手練手管は右に出る者なし。さらに、その心の内には、途方もない〃理想の夢〃が燃えていた――! 明治の若い息吹が横溢する痛快ピカレスクロマンの傑作!(『開化回り舞台』改題)
  • 馳けろ雑兵
    4.0
    桶狭間――織田信長の運命を拓いた大戦(おおいくさ)は、麾下の雑兵の運命をも変えた。蛭間兵八は運よく手柄を立て、合戦のさなかに出会った女を娶る。ひたすら馳け、泥にまみれ、そして、女を抱く……。信長はじめ、名だたる武将のもと、合戦に明け暮れながら、兵八は激動の戦国時代を生き抜いていく。一兵卒の視点から描いた異色の戦国時代小説!(『馳けろ雑兵―御先祖様功名記―』改題)
  • 居座り侍
    -
    向島の一膳めし屋上総屋にやって来た奇妙な風体の侍。めし代のかわりに下働きをはじめ、いつの間にか居座ってしまった。ちょうどその頃、本所一帯を荒らす賊が現われ……。しっとりした味わいの傑作時代小説集。
  • 闇与力おんな秘帖
    -
    牢屋敷で女囚が首を吊った。やって来た「闇与力」半次郎が目をつけたのは、新入りの女囚・お葉。秘かに女牢から引き取った半次郎は、奉行所が与り知らぬ「闇の仕置き」の探り役に仕立て上げる。お葉は、文字どおり相手の懐に飛び込み、魂をとろかす妖艶なからだを惜しげもなく与えながら、男顔負けの度胸で悪事のからくりを暴いていく。捻りのきいた異色の捕物帖!
  • 目明しやくざ
    -
    弥七親分の甥の伊佐吉は、酒、女、博打と三拍子そろって何でもござれのやくざな男。ところが、捕物にかけてもなかなかの腕利きで、ちょいちょい伯父の手伝いに駆り出される。可憐な町娘や妖艶な年増、果ては大名の姫君まで……。事件を彩る女たちの色香に迷いながら、ついにはもつれた謎を解き、意外な真相を探り出す。目明しやくざ伊佐吉の、痛快無頼の捕物帳!
  • お丹浮寝旅
    -
    三味線片手に、諸国を旅して歩く門付け女、お丹。息をのむほど美しい新内の名手。彼女を一目見た男は、すべて艶やかな色香の虜になってしまう。ところが実は、無類の力持ち。東海道の宿々で、美貌と怪力にもの言わせ、近寄る男たちを手玉にとりつつ、荒稼ぎ。御金蔵破りの助っ人やら、山賊、果ては大名の姫君の替え玉役まで、奔放に生きる怪美女の痛快旅日記!
  • 浜田騒動
    -
    島帰りの牢人(ろうにん)が、浜田旧城下で贋(にせ)の公卿(くぎょう)に化け、維新の世に不平不満をもつ旧藩士や庶民を引きこんで、ひと騒動を企(たくら)んだ(「浜田騒動」)。――時代小説界の巨匠が、武士世界の悲喜こもごもを綴(つづ)る珠玉の短編集!
  • 大利根任侠伝
    -
    天保十一年七月。岩井村の少年茂太(しげた)は、幼なじみのおりんと共に滝不動の祭礼へ。そこで笹川繁蔵の用心棒・平手造酒(ひらてみき)の居合い抜きに驚嘆し、やがて弟子入りを果たす。だが、すでに病魔に冒されていた造酒は、笹川―飯岡の大利根の決闘で惨死した。 強欲非道、無法の世界を舞台に、やくざとは、…庶民の人生とは何かを問う。真の任侠道を求めた男の青春像を活写。
  • 尼僧忍法 一番首
    -
    今川の人質として駿府に向かう松平竹千代(家康)が、尾張の織田に奪い去られた。竹千代に付き従う伊賀忍者お光は、信長に彼の出生の秘密を話す。竹千代は双子なのか。やがて織田と今川で人質交換が成立。信長は本物の竹千代を近習とし、ニセ者を今川に送る。数奇な運命をもつ二人は若武者に成長し、敵味方となって田楽狭間で対決する。新尼僧シリーズ。
  • 冥府の刺客
    -
    長崎の女郎・花桂は、同じ宿の女郎・薄雲に元気がないのが気になっていた。それを尋ねると、薄雲は、天草四郎と情を通じたと話した。総大将の四郎が討ち死にした島原の乱が治まってから、すでに十二年が過ぎている。討たれた首は替え玉のものだったのか。四郎は、原城に散った一揆勢三万七千余の血涙の思いをはらすとも語っていた。史実に挑む「性と暴力」の新路線。
  • 大逆説!西南戦争 西郷隆盛、九州王国を樹立す
    -
    1877年に起こった西南戦争。西郷軍は9月24日の明治政府軍の総攻撃で潰滅、隆盛も自刃して果てた……。だが、西郷は生きていた! 身代わりになった影武者のおかげで開聞岳(かいもんだけ)まで逃れた西郷は、残党を結集させ、鹿児島奪還を目指し、海と陸からの総攻撃で再び政府軍に挑んだ! 壮大なスケールで歴史のif(イフ)に挑戦した歴史スペクタクル小説、ついに文庫化!
  • 地獄十兵衛
    -
    「天草四郎が生きている……」老中・松平信綱は柳生十兵衛に告げた。「恐るべき陰謀を企(くわだ)て吸血鬼となって蘇(よみがえ)った!」すでに柳生の高弟にも犠牲者が出ていた。十兵衛は、合気の術と柳生杖(づえ)と称する特殊な武器で、妖怪を退治すべく九州へ旅立った。そこは魑魅魍魎が蠢(うごめ)き、謀略が渦巻く地獄であった。天才剣士が吸血鬼集団に挑む長編伝奇の傑作!
  • すっ飛び駕(かご)
    -
    爛熟の天保の世に咲いた悪の華──お数寄屋坊主の河内山(こうちやま)宗俊。浪人・金子市之丞を助けたことから、奥州棚倉藩五万石のお国替騒動に巻き込まれる。持ち前の度胸と気風(きっぷ)で大名相手に一世一代の大芝居。痛快時代小説。
  • 直飛脚(じきびきゃく)疾(はし)る
    -
    直飛脚――それは徳川十一代将軍・家斉(いえなり)の密書を、定められた刻限までに目的地に届けることを使命とする、凄腕の武士たち。使命を果たせぬときは、即刻切腹。秋元炎九郎は手裏剣、本荘錦之介は大刀(だいとう)、太田又兵衛は短槍(たんそう)、各(おのおの)の武器を携え、彼らは極限の疾走を開始した。襲いかかる凶刃(きょうじん)をかわして、たどり着いた場所には……?! 痛快、傑作、新感覚時代小説の極北。(『一千キロ、剣が疾る』改題)
  • 狂乱・春の夜の夢~松尾芭蕉と八百屋お七~
    -
    純情一途の恋に燃える八百屋お七、無軌道な邪恋にのめりこむ柏屋お駒。同じ小町娘と謳われながら、正反対の二人の恋が、やがてもつれ合い、あげくは殺人、放火の大事件へ……。お駒の父、柏屋忠兵衛や町奉行所同心、小野寺儀十を門弟にもつ俳人・松尾芭蕉は、鋭い推理で天和江戸大火の不可解な謎に迫る。〃探偵〃芭蕉があばく、悪漢、悪女の陰謀と愛欲模様。
  • 夢  剣(むけん)
    -
    剣の師・荒木又右衛門から、天分(てんぶん)に欠けると宣告された若き武芸者・正木(まさき)伊織は、厳しい修行の末「夢剣」を体得した。まさかその剣が……。剣豪物から股旅(またたび)物まで、推理小説的手法を縦横に駆使した傑作集。
  • 北風の伊三郎
    -
    裏街道を歩く者たち、追われている者、秘密の旅をする者、無宿人、それに女連れの旅人。下総無宿の北風の伊三郎もそんな一人だった。必殺の技、片目隠しの突きが空気を裂くとき、北風の音が聞こえるという。渡世の義理で用心棒を引き受けた伊三郎は、密命を帯びる武家の兄妹を守って、江戸まで五百三十キロ、敵がひしめく中仙道をひた走った……。
  • さらば風雲海峡
    -
    主君毛利元就の密命をうけた忍者・世鬼冬之介(せきふゆのすけ)は、関門海峡を渡り、大友氏の勢力下にある門司に潜入した。そこで彼は、かつて一族を滅ぼされた恨みから毛利家を敵視する美しい女・綾乃と出会い、愛が芽生える。忍びの世界に馴染めぬ冬之介は、殺伐とした戦国の世に、おのれの信念と愛情を貫く決心をする。 忍者の凄絶な死闘と、ひたむきな愛を描く長編戦国ロマン!
  • 上意討ち
    -
    「新之助、進吾を討ち果たし、深雪を連れ戻して参れ」と殿の厳命が降(くだ)る。新之助と進吾は同じ小姓組で無二の親友だ。深雪は先君の庶子。その深雪と駆け落ちして殿の逆鱗に触れたのだ。上意は絶対である。進吾を討たねば帰藩は許されない。新之助は婚約者と別れ旅に出た。三年目、独り身に落ちぶれた進吾を発見するが……(表題作)。武士道の真髄を活写。他8編!
  • 弥勒(みろく)の月
    3.7
    小間物問屋・遠野屋(とおのや)の若おかみ・おりんの水死体が発見された。同心・木暮信次郎(こぐれしんじろう)は、妻の検分に立ち会った遠野屋主人・清之助(せいのすけ)の眼差しに違和感を覚える。ただの飛び込み、と思われた事件だったが、清之助に関心を覚えた信次郎は岡っ引・伊佐治(いさじ)とともに、事件を追い始める……。〃闇〃と〃乾き〃しか知らぬ男たちが、救済の先に見たものとは? 哀感溢れる時代小説!
  • 変人武士道(上)
    -
    出石藩仙石家の変人武士、白鳥大三郎と一柳主税は、美貌の娘二人を助けた。藩主の御落胤のお墨付きを持つ袖姫と次女・糸枝。四人は、主家乗っ取りを企む一派が起こしたお家騒動をのがれ、江戸へ向け珍道中に出発!
  • 平賀源内(上)
    -
    時代を遥(はる)かに先んじ、人々の意表をつく業績を挙(あ)げた源内。多才に恵まれ、出世を志す野心家の彼を、「学問への純粋な情熱」と「ぬけめのない商才」との相反する二つの面を持った人物として描く力作。異能の士を、時代小説の巨匠が活写。
  • 明治剣客伝~日本剣豪譚~
    -
    文明開化の明治、断髪、廃刀令の施行により、剣道は衰え、職を失った剣士たちは、〃撃剣興行〃などで細々と生計を立てていた。しかし、西南戦争の折りの警視庁抜刀隊の活躍で、明治政府も改めて剣道の価値を見直す。苦難の時期を乗り切り、旧幕時代から伝わる各流派の奥義を次の世代に残した名剣士たち。名勝負の数々が、いま、鮮やかに甦る。
  • 電光剣の疾風(かぜ)
    4.0
    大身旗本である本多家の嫡男として生を受けた誠四郎(せいしろう)だが、いまは根津権現(ねづごんげん)の裏店(うらだな)で気ままな町場暮らし。門前の辻番所を預かる老爺・留蔵(とめぞう)への依頼が誠四郎の耳に入った。江戸市中を騒がす義賊・鼠小僧が再来し、水戸藩邸に犯行予告を送りつけてきたというのだ。(鼠小僧異聞)一本気な正義漢・誠四郎が留蔵、浪人・伊織(いおり)と手を携えて悪を討つ、好評連作短篇シリーズ。
  • 雷迅剣(らいじんけん)の旋風(かぜ)
    3.0
    江戸市中、参拝の善男善女で賑わう根津権現(ねづごんげん)の境内(けいだい)。掏摸(すり)と見れば相手構わず喧嘩を売り、腕に覚えの柔術で叩きのめしてまわる、精悍な若者が現れた。門前の辻番所の老爺・留蔵の説教にも耳を貸さない。そんな折り、留蔵と辻謡曲の浪人・田部伊織の許に、過去の“闇仕事”を知る侍が訪ねてきた(無頼の旋風)。無頼を気取る若者の心根は!? 好評連作シリーズ、新章開幕!
  • 哀斬(あいざん)の剣
    4.0
    根津権現の辻番所に集う、悪を許さぬ漢(おとこ)たち、留蔵、田部伊織、辻風弥十郎。記憶を取り戻しつつある弥十郎に過去からの討手(うって)が追いすがる。御先手組(おさきてぐみ)の旗本、闇の武士団、野望を抱く同心……。弥十郎を軸に卍巴の鍔迫(つばぜ)り合い、大江戸八百八町を血に染める大殺陣(おおだて)の幕が斬って落とされた!(大殺陣・八百八町)朋友(とも)を想い、単身斬り込む弥十郎の運命は!?
  • 碧燕(へきえん)の剣
    3.0
    根津権現(ねづごんげん)の門前町、留蔵の辻番所に持ち込まれた前代未聞の闇仕事。理不尽な悪行狼藉(あくぎょうろうぜき)を働いたのは、長崎からやって来たオランダ剣士だという。江戸を離れられない留蔵と伊織を残し、単身、西へ向かう弥十郎。異国の剣の遣い手は、剛力でならす手練(てだれ)だった。果たして弥十郎に勝機はあるのか!?(対決・異人剣)。徐々に記憶を取り戻す弥十郎の行く末は?
  • 辻風(つじかぜ)の剣
    4.0
    江戸・根津権現の辻番所を預かる老爺・留蔵と、辻謡曲を生業(なりわい)とする浪人・田部伊織には知られざる裏の貌(かお)がある。庶民を傷めつける悪党をひそかに始末しているのだ。伊織が救(たす)けた刀傷を負った若侍も、辻番所に居ついていた。友を心中に追い込んだ同心に、決死の覚悟で仕掛ける伊織。そこに一陣の風が!(表題作)。武芸を嗜(たしな)む著者が描く、迫真の剣戟(けんげき)と人の絆。時代中編集!
  • 素浪人 宮本武蔵(十)〈無常の篇〉
    -
    「負けないことが、生きること」を説きつづけた峰流武蔵。遂に、この最終巻で真価を発揮する。宮本武蔵、29歳。佐々木小次郎、27歳。互いに人を斬り、斬っては旅に出た。虚しくなれば女も抱いた。その同じ生き方が対抗意識を燃やしたのか、両雄は並び立たないのか。海上一里の孤島に死闘の時刻が迫る。「現代人の感覚に合う」と、好評の嵐を起こし、全十巻が完結!
  • 素浪人 宮本武蔵(九)〈牙狼の篇〉
    -
    武蔵は川越城の攻防戦で大活躍した。城番は江戸に招かれ、五千石の旗本に昇格。武蔵にも仕官の誘いがかかる。断わった。旅は人を磨く。江戸を去り、水戸、仙台を巡る。含み針の如雲斎も手強かった。同じ武蔵と名乗る武芸者とも戦った。敗北は死だけしかない。石巻街道で美男の剣士と擦れ違った。殺気を感じた。佐々木小次郎である。二人の前哨戦がもう始まった!
  • 素浪人 宮本武蔵(八)〈腥血の篇〉
    -
    武蔵は川越城下に潜り込んだ。川に紙を浮かべて斬る。難しい。やがて、きれいに割れた。川越城は江戸城の出城だ。だが、城番と旗本二〇〇人が守るだけ。この城を落とすと浪人が武士に戻れるとか。関ヶ原の落武者が結集した。家康の巧妙な残党狩りだった。武蔵は剣友・夢想権之助と城の守りを懇願された。群がる敵を斬る。水切り術の体得で、武蔵は一層、凄みを増した。
  • 素浪人 宮本武蔵(六)〈餓虎の篇〉
    -
    宮本武蔵は、300人も斬った。斬り慣れた体が疼く。出雲・松江に足を向けた。暫く穏やかに生きたいが、武芸者の休息は死しかない。その頃、越前の剣豪・鐘巻自斎の高弟に、美男子で筋骨隆々の佐々木小次郎が出現した。三尺二寸の刀を背負い、京へ向かう。滅法強い。一方、武蔵は、またも師の仇討ちに勇む山伏らに狙われていた。二人の剣鬼の共通項は、素質か練磨か。
  • 素浪人 宮本武蔵(五)〈斬狼の篇〉
    -
    武蔵は摂津の西宮で強烈な風邪で倒れた。曽根という老婆が介抱を……。老婆は言う。「武蔵か。武芸者に多い名だ。みな強かった。でも体を壊せば弱い」。弁之助の武蔵は、最強の武蔵になると誓った。姫路を通る。藩主・池田輝政はまだ怒り、武蔵斬殺の忍者群を差し向けた。斬るしかない。流れ流れて、加藤清正が知行の熊本へ。だが、ここでも武蔵の命を狙う白刃が待つ。
  • 素浪人 宮本武蔵(二)〈青狼の篇〉
    -
    姫路城で凄絶な果たし合いが行なわれた。武蔵が次々と斬る。「強い。仕官せよ」と城主の池田輝政が誘った。が、武蔵は江戸へ出て、徳川家の指南役、柳生又右衛門と小野次郎右衛門との対決を考え、東海道を急いだ。輝政が怒って武蔵に上意討ちをかける。追っ手を斬った。斬りまくった。旅は、いつも死と背中合わせ。武蔵は江戸で二人の先人に遂に会った。その結果は?
  • 素浪人 宮本武蔵(一)〈白刃の篇〉
    -
    十三歳の平田弁之助(幼名)が木刀で武芸者を撲殺した。美作国・宮本村生まれ。実父を知らず、山の和尚の許で山走りと棒打ちを習得したのだ。のち関ヶ原の西軍に参加、仕官の道を狙ったが、惨敗して山賊となる。殺(や)らなれけば殺られる。弁之助も殺人鬼と化した。が、虚しい。夢中で女を抱いた。十七歳で武者修行を志し、名も宮本武蔵に――。注目全十巻の第一弾!
  • 真田十勇士 巻の五
    -
    真田幸村など大坂方の凄まじい戦いぶりに、一時は東軍の本陣も総くずれとみえた。しかし老獪な家康は、淀君をまどわして城内の結束をみだす。落城に臨んだ猿飛佐助は、ある秘密を抱いて脱出を試みた。完結編!
  • 真田十勇士 巻の二
    3.0
    猿飛佐助と穴山小助、由利鎌之助たちは、駿府へ向かう家康を東海道で襲撃しようと計画を練る。いざ、と身構えたとき、思わぬ邪魔が入った。三好清海入道、伊三入道の二人が、行列に殴り込みをかけたのだ。
  • 真田十勇士 巻の一
    3.3
    時は慶長十六年、豊臣家の滅亡を謀る徳川家康は、九度山に隠遁する真田幸村に警戒を怠らなかった。猿飛佐助は幸村の命を受けひそかに旅立った。来るべき戦いに備えて、諸国を回り十人の勇士を探すため。
  • 女無宿人・半身のお紺~醒めて疼きます~
    -
    男嫌いでとおるお紺が、火消人足の善十に惚れ、互いの半身に下り竜、上り竜を彫った。平手造酒とともに、笹川の繁蔵の許に草鞋を脱いだお紺は、飯岡側の助っ人を斬ってみると……。シリーズ全3冊完結!
  • 女無宿人・半身のお紺~さだめが憎い~
    -
    天保十三年、善十の行方を追って中山道の追分から北国街道の宿場・善光寺大門町に入ったお紺は、そこで病いに倒れた。金策にはしる平手造酒は、松代藩士より五両で浪人暗殺を引き受けたが……シリーズ第2弾!
  • 女無宿人・半身のお紺~お怨み申しません~
    -
    男嫌いのお紺と、町火消人足の善十が惚れ合って、お互いの半身に下り竜、上り竜の入れ墨を彫った。だが、善十は吉原の遊女を殺めてしまった。お紺も、善十の逃亡を助け、追っ手三人を矢立仕込みの匕首で……。
  • 青嵐(あおあらし)吹く~御算用日記~
    4.0
    元加賀(かが)藩士の生田数之進(いくたかずのしん)は、風体(ふうてい)は冴えないが、勘定方(かんじょうがた)として頭抜けた才覚を持つ青年。しかし、姉たちがつくった多額の借金のために、幕府御算用者となる羽目に。つきまとう怪しい影、次々に起こる不可解な出来事。風が運ぶのは、だれの声なのか。そして、諸藩改革の裏に隠された真実とは? お取り潰しか繁栄か、結末は妙案次第!? 著者渾身の長編時代小説、登場!
  • 地獄の女殺し~玄白歌麿捕物帳~
    -
    柳橋の船宿の一室「風流洞」はいつもの4人に占領されている。蘭法医の杉田玄白、浮世絵師の喜多川歌麿、徳川の御家人にして剣の達人・平山行蔵、そして宿の女将(おかみ)・お艶(つや)。天明の世に次々起こる難事件、怪事件に彼らは立ち向かう。……三と八の日に出る幽霊。冷酷無比な盗賊の善行。女たらしで床上手(とこじょうず)な美男強盗。……江戸を舞台に4人の男女が大活躍。痛快時代推理小説。
  • 迷子石~岡っ引き源捕物控(三)~
    -
    伊沢町の出合い茶屋で大工の棟梁が殺された。岡っ引き源次の調べで、死因は尻の穴に凶器を突っ込まれたことらしい。仏の連れはお高祖(こそ)頭巾を被った背の高い女だったが、姿を消していた。女を追う源次と手下の助三(すけぞう)。そんな時、第二の殺人が! さらに調べの中で浮かんだ役者男が同じ殺されかたを……。源次は元同心の神子孫七(かみこまごしち)に助言を求めるが……(表題作)。
  • まぼろし鏡~岡っ引き源捕物控(二)~
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    岡っ引き源次の縄張りで心中事件が!? だが、源次は二人の死体から殺しの匂いを嗅(か)ぎ取る。女は半囲いとして3人の男の妾(めかけ)だった。源次は、元同心・神子孫七(かみこまごしち)の助言で見つけた血染めの手拭(てぬぐい)と女の線から、下手人探しに奔(はし)る。そんな折り、またもや女の水死体が……。女は生前、鏡に向かい、呪文のようなものを呟いていた(表題作)。――巧みな物語構成で描く好評シリーズ。
  • 隠密くずれ 悪党狩り
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    夢の五介と幻の三蔵。切っても切れない相棒同士が、江戸を抜けてからはや四年。上田城下に入った二人は、腐敗しきった藩重役どもの悪行を嗅ぎ付けた!! 信州から東海、四国へ放浪し、悪党相手に大立ち回り!
  • 隠密くずれ 剣鬼放浪
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    「裏切り者は殺せ!」と昔の仲間に追われ、諸国をさすらう隠密くずれの三蔵と五介。諸藩の内紛をめしのタネに一か八かの荒稼ぎに命を賭ける。中国筋から四国を目指して相変わらずの大暴れ! シリーズ第二弾!
  • おぼろ隠密記~妖(あやか)し小町 三 振袖御霊ノ巻~
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    和菓子の老舗・華月堂の娘・橘華月は、幕府の隠密。田沼意次と手を組む術師・池原雲伯は、<写し絵の術>を使う中村兵庫を差し向けてきた。兵庫は、梅、桜、菊の振袖御霊三人娘を操り、江戸に火を放つ。炎の中、華月は、三人娘、兵庫と闘う! しかし、華月(本体)=朧(霊気体)の秘密を雲伯に見破られ ……。ますます快調、第3弾!
  • おぼろ隠密記~妖(あやか)し小町 二 大奥騒乱ノ巻~
    3.0
    和菓子の老舗・華月堂は代々幕府の隠密。看板娘の橘華月も隠密名〃朧(おぼろ)〃を持つ。藩主が登城して、将軍から菓子を賜る〃嘉祥の祝賀〃の日に、将軍暗殺の企てが! 早速、仲間の宮本暁良、平賀拓海とともに、大奥に忍び込んだ朧に魔の手がのびる。水を自在に操る目鬘の太市、田沼意次の意を汲む謎の陰陽師・池原雲伯の策謀……。好評第2弾、渾身の新感覚時代小説!!
  • 遺書配達人
    -
    昭和十九年夏、上海で発病した西山民次は死地に赴く十三人の遺書を預かり内地に戻った。息子の帰りを待ちきれず息絶えた『墓の女』から、本人に直接遺書を手渡すことになる『受取人なし』まで、西山の辿る八年間が十四話から成る。西山は有馬自身だ。「戦争体験の風化を厳しく告発した」という著者の言葉が新鮮に甦る名作!
  • 黄金戦線――聖王の遺産
    -
    お家復興の悲願に燃える、土佐一条家残党・段蔵は、四国の覇者・朝宗我部元親(ちょうそかべもとちか)から、阿波剣山に眠るというソロモン王の財宝探索を命じられた。お宝を餌に南蛮諸国を動かし、打倒豊臣を謀ろうというのだ。だが、既に噂を耳にした秀吉が動いている。一番乗りはどっちだ!? 豊富な資料を駆使して注目の新鋭が描く、壮大な一大伝奇巨編!
  • 異端の殺し屋
    -
    「島田左近は、おいが斬る!」 薩摩藩の志士・田中新兵衛は、勤王派にとって仇敵である左近の暗殺を決意した。成功すれば、その報酬で、惚れた女郎小りんに会えるのだ。――果たして、示現流の一太刀で、見事、左近の首は宙に躍ったのだが……。 ともに「人斬り」と称された新兵衛と土佐藩の岡田以蔵。ふたりの悲劇を描いた標題作のほか、著者会心の時代小説集!
  • 慶安太平記
    3.0
    東海道は由比の宿。才気煥発な紺屋(こうや)のせがれである与四郎の夢は「公方様になる」ことだった。彼は、長じて由比民部之助橘正雪(ゆいみんぶのすけたちばなのまさゆき)と名を改める。由比正雪である。泰平無事の世とはいいながらも、巷には多くの浪人があふれ、時の執政に対しての不満が鬱積していた。幕府の転覆を企てた憂国の軍学者の、その波瀾万丈の生涯を描いた傑作時代小説。「慶安事件」始末記!
  • 妻を怖れる剣士
    -
    江戸での御前試合のため、沼田藩から五人の若い剣士が旅立った。試合は好首尾に終わったが、剣士たちは華の吉原でおいらん遊びの楽しさを知ってしまう。「我が城下にも小吉原を!」の要求で、藩内に奥方連も巻き込んだ騒動が起こって……。強いばかりが剣豪ではない。表題作など、血のかよった九人の剣士たちのほほえましい人間性に迫る異色の傑作剣士小説集!
  • 裁きの石牢
    -
    岡豊(おこう)城の城主は、城内に石牢を設け、みずから裁く罪人を入れておいた。そして、裁きの場では、神のごとく罪人の胸中を察し、空恐ろしいまでに罪状の虚実を看破した。領民は不思議がり、その〃裁きの石牢〃は、感謝と畏怖の象徴となっていた……。善政の裏にこめられた恐るべき領主の秘密の企みとは何か? 戦国乱世の無常を描く苛烈悲痛の残酷武芸譚!
  • 燈 台 鬼
    4.0
    遣唐副使として唐に渡ったまま行方不明となった父・石根(いわね)を求め、道麻呂(みちまろ)はかの地へ赴いた。二十数年の歳月を経て、ようやく出会った父は、あまりにもおぞましい姿に変わり果て……。 直木賞受賞の表題作のほか、オール新人杯第一回受賞作「子守りの殿」、異色作「水妖記」など初期の作品六編を収録。直木賞受賞までの歴史小説をすべて網羅した、巨匠の原点!
  • 黒田長政
    3.0
    豊臣秀吉、徳川家康にも一目おかれたほどの稀代の軍師・黒田官兵衛(如水)、そして武功輝くその子長政。豊家(ほうけ)ゆかりの大名に対する幕府の圧力をみごとにかわし、黒田藩五十二万石の礎を固めた。父子二代の活躍!
  • 寺田屋おとせ
    -
    京の伏見で船宿・寺田屋を営むおとせ。黒船以来、世相は風雲急を告げ、薩摩藩御定宿の寺田屋にも若き勤王の志士たちが集う。おとせは彼らの面倒をみるが、その中に、土佐の脱藩浪人・坂本龍馬の姿もあった。
  • 仙石騒動
    -
    但馬出石藩(兵庫県)の当主・仙石道之助の廃嫡を狙って、実父播磨守(はりまのかみ)と国家老(くにがろう)の仙石左京が暗躍。江戸詰勤番侍(えどづめきんばんざむらい)・金子半十郎は、但馬出石五万八千石の行く末を案じ、あえて不忠の臣となることを決意した!
  • 吟遊 直九郎内探記
    -
    千石取りの旗本の子息で、俳諧好きの高瀬直九郎は、おりおり気楽な吟行の旅に出る。が、それは表向き、実は大目付高木伊勢守の密命により、諸般の内情を探るのが彼の任務だ。 家来の友平、十吉少年、それに筆丸(伝書鳩)、給(愛犬)の一行が、悪人どもをむこうにまわして、丁々発止と火花をちらす。 複雑怪奇な陰謀を暴くニューヒーロー颯爽と登場!
  • 幕末算法伝
    -
    最上流算法家の金盛吉之丞は、維新の動乱に巻き込まれ、官軍参謀暗殺の一味に加わって失敗。逃走の途中、負傷して動けぬ親友の渡会清明を手にかけた過去がある。その事情を明かせぬまま、彼は清明の妹・志ほに、実の兄同様の愛情を注ぐ。ところが、志ほは彼を恋人として慕い、ひたむきな思いを寄せていた――。 日本独自の算学(和算)を題材とした、異色の長編時代傑作。
  • 算学武士道
    -
    水沢藩の勘定方に勤める保(たもつ)は、貧しさゆえに、好きな算学(数学)に打ちこむことができいない。ある日、算学を嫌っていた父が水死した。母の行動に疑惑を懐きながらも、そのままにしてしまった彼は、自責の念にかられる。保は、算学への夢を捨て、母を道連れにして…。(表題作) 剣の道よりも、和算の解に命を賭けた男たちの悲喜劇を描く、異色の傑作時代小説集!
  • 助 太 刀
    -
    山之辺銀二郎は新婚早々、すぐ江戸藩邸の勤務を命じられた。暫く独り暮らしに戻るのは辛いけど、出世は確実。ところが大恩を受けた人の嫡男・草狩敬之介から、「憎い男と果し合いをやる。助太刀を頼む」と切願された。果し合いは勝っても死罪。吉は凶に変わった。だが銀二郎は頷いた。(第一話・助太刀) 武士が掟に耐え、美しくも残酷に生き抜く士道小説の珠玉集。
  • 介 錯 人
    -
    不幸は突然、襲ってきた。藩内で陽明学を講ずる門出転(かどでうたた)に幕府から苛酷な罪科が下されたのである。「切腹」。この学問は国禁とされていた。愛弟子・和三郎の動揺は激しかった。「師の大恩に報いるには自ら介錯人を努めること」と申し出た。師を送る日が迫る。和三郎は〃失敗〃の夢にうなされた。さて当日は……? 武士道小説の名手が織りなす美しくも悲しい九編の宿命絵巻。
  • 洞窟の生存者
    -
    太平洋戦争――この二度と繰り返してはならない歴史は、戦いの真の姿を眼をそらさずに見ることによって、再びその愚を冒さない抑止力につながっていくだろう。極限状況に置かれた東南アジアの戦場で、兵士たちはどのように生き、人を愛し、憎み、そして死んでいったか。――戦争の実相に迫る傑作小説集!
  • 太閤暗殺
    3.8
    ようやく授(さず)かった我が子・お拾(ひろい)にすべてを譲(ゆず)り渡したい……太閤秀吉は、実の甥である関白・秀次を疎(うと)ましく思い始めていた。危機感を抱いた秀次の側近・木村常陸介(きむらひたちのすけ)は、大盗賊・石川五右衛門に太閤の暗殺を依頼した! 迎え撃つ石田三成と前田玄以の秘策とは? 本格時代小説にして本格ミステリー。戦慄のラストに驚愕必至の、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作!
  • 色に狂えば
    -
    奈津は不義密通が重罪だと知ってはいたが、小者の小市郎に惹かれ、からだを許した。以来、若い二人は燃え狂う。が、密会は露顕し、夫の茂右衛門は有無も言わせず小市郎を斬った。次の刃は当然、自分へ……と奈津は覚悟したのに、茂右衛門は太刀を納めた。なぜ? どんな仕置が奈津を襲うのか!(『芙蓉』)。直木賞作家が、武家社会の掟に抗う女性を描いた珠玉小説集。
  • 龍馬の明治(上)
    -
    坂本龍馬、暗殺者の凶刃を逃れる! 九死に一生を得た龍馬は、〃廃幕〃による改革を目指し、陸奥宗光(むつむねみつ)とともに精力的に動き始める。が、討幕の気運は諸藩に広がっていた。長州に続き、薩摩の西郷隆盛も武力討幕へ傾いていく。さらに諸外国までもが、龍馬の志を阻(はば)もうと……。龍馬が生きて明治を迎えたら日本はどうなったか。大胆な発想で描くもう一つの歴史物語。
  • 女刺客人~尼僧お庭番~
    -
    将軍吉宗の御落胤、と名乗り出た天一坊は、ニセ者として処刑された。だが、それは替え玉であった!? 腕利きの女忍者・鈴鹿は、密かに生母の故郷へ落ちのびる真の天一坊に同行する。一方、天下の乱れを案じ、天一坊を亡き者にしようとする公儀や尾張・紀州の刺客が、執拗に行く手を阻む。妖艶な女刺客やくノ一の対決を描く、官能時代傑作第三弾!
  • 松平長七郎旅日記~江戸・山陽編~
    4.0
    三代将軍家光の甥ながら、長七郎は無位無官の気まま者。折りから都で琉球の美姫刈女(びきかりめ)と出会い、姫が亡き父から受け継いだ莫大な財宝をめぐる怪事件に捲(ま)き込まれ、正義の刃(やいば)を揮(ふる)う(「白妖鬼」より)。痛快無比の道中記。
  • いざよい変化
    -
    蒼生(あおい)が以前に主(あるじ)夫婦を娶(めあわ)せた材木問屋のいせ屋は、最近の二度の火事で巨額の富を得ていた。一方、御府内では、巫女や拝み女の行方不明事件が次々発生。蒼生の裏稼業〈妖堂(あやしどう)〉に捜索の依頼が来ていた。更に。いせ屋の主・彦次郎の背後に、蒼生を狙う〈忍非人衆(しびとしゅう)〉の影が! 蒼生や三妖娘(さんようこ)を追いつめる謎の烏男(からすおとこ)とは!?
  • 月を流さず~御算用日記~
    5.0
    能州から、長姉の伊智が上ってきて、四兵衛長屋は大騒動! そんななか、幕府御算用者の生田数之進と早乙女一角は、下野国黒銀藩の藩邸に潜入する。藩主・大関増輔は鯱病を病み、藩政の実権をめぐって、奥方派と愛妾派の暗闘が噂されている小藩である。背後に潜む悪の謀(はかりごと)が打ち砕かれたとき、意外な真相が明らかになる、傑作時代人情小説。待望のシリーズ第6弾!
  • 流星のごとく~御算用日記~
    5.0
    「そやつは贋者(にせもの)じゃ、数之進(かずのしん)にあらず」。――幕府御算用者・生田数之進は、いつもとは違う方法で、筑後国鶴見藩に潜入している。走り者が続発し、財政は苦しいはずなのに、なぜか贅沢を続けられる藩。その調査を続けるうち、明らかになる驚愕のからくり。そして、その奥には、さらに根深い陰謀が……。千両智恵が窮地を救う、好評シリーズ第4弾!
  • まことの花~御算用日記~
    5.0
    生田数之進(いくたかずのしん)は、不審のある藩を調べる幕府御算用者(ばくふごさんようもの)。今回は無類の狂言好き、若狭守(わかさのかみ)村芳が治める吉田藩に潜入することに。前藩主の亡霊騒動、姿を見せない奥方の謎。その裏には本家と分家の争いが!? 仕掛けられた「連環(れんかん)の計」とは、そして、鶯の鳴き声が招くのは、藩の改易か繁栄か。数之進の千両智恵が大活躍。江戸の町に桜の嵐が吹き荒れる。
  • 天地に愧(は)じず~御算用日記~
    4.5
    幕府御算用者・生田数之進(いくたかずのしん)は、御家騒動に揺れる播磨国高野藩(はりまのくにたかのはん)への潜入を命じられる。改易を目論(もくろ)む幕府の思惑を避けつつ、真実を掴もうとするが、そんな折り、藩士が何者かに襲われた。また、藩に怪しい隻眼(せきがん)の大男が出入りし……。やがて、その男の正体が判明し、戦慄が走った! 果たして、藩と数之進の運命やいかに!? 著者渾身の時代小説、大好評第2弾!
  • 元禄百足盗
    5.0
    倒幕を謀る柳沢吉保と大僧正隆光が召還した四十七の「魔」は、浅野内匠頭の遺臣たちに憑依した! 悪霊祓い師・祐天上人は、阿弥陀仏の導きで彼らを封じんとするが……すでに江戸は、四十七人の盗賊「百足盗」の出現に震撼としていた! ――伝奇時代小説界の新たな俊英が描く、虚々実々の江戸魔界絵図。各界で話題を呼んだ怪異僧・祐天、ふたたび見参!
  • 月影兵庫 独り旅
    -
    惚れた女と一緒になって、道場を開いた兵庫。だが、恋女房の桔梗は流産し、あっけなく死んでしまう。無常を感じた兵庫は、道場をたたんで飄然と旅に出た。そこで待ち受けるものは……? 剣と愛欲の道中記!
  • 月影兵庫 秘剣縦横
    -
    気ままな暮らしに未練を残しつつ、桔梗と所帯をもった兵庫は、十剣無統流の道場を開く。入門者が増え、生活も安定したころ、昔すりだった女に惚れた同心の門弟が惨殺された! 快調シリーズ第三弾!
  • 写し絵殺し~岡っ引き源捕物控(八)~
    3.0
    油問屋の若後家(わかごけ)の死体が空き店の奥座敷で発見された。赤いしごきの片端を柱に括り付け、絞殺されていた。下手人は男か、女か? 源次(げんじ)は女が顔を出したことがある写し絵の会を探る。その後、死体のそばにあった妙なものから、元大奥勤めの女が浮かんだ。さらに、源次は元同心・神子孫七(かみこまごしち)から同じ手口の事件を報される。果たして、縺れた糸の先には……。(表題作)
  • 鷽(うそ)~岡っ引き源捕物控(五)~
    -
    小名木川(おなぎがわ)に浮かんだ女の水死体。自死か、それとも誤っての転落死か? 検屍(けんし)をした源次と手下の助三(すけぞう)は、全身数カ所に何かで殴られた痕を見つけ、殺しと断定した。女の身元から錺職人(かざりしょくにん)の亭主をしょっぴく。だが、男はその時刻、別の女と出合い茶屋にいた。源次は元同心・神子孫七の助言を得て探索に奔(はし)る。すると、女の意外な過去がわかってきた(表題作)。
  • 信  虎
    -
    内戦に明け暮れ、飢饉や疫病に悩む甲斐は、乱国であった。十四歳で守護の地位に就いた武田信虎は、甲斐統一を目指し、苦闘の道を歩む。信玄の父であり、〃悪逆無道〃の汚名を被(き)せられた武将の悲劇を描く傑作。
  • 篝  火
    3.5
    亡き豊太閤の遺志を無視して、着々と自己の勢威を拡大する家康に、真正面から対決を迫る石田三成。天下分け目の関ヶ原を背景に、三成と西軍諸将たちの、それぞれの生きざまを鮮烈に描いた傑作。
  • 石田三成
    3.7
    死の床にある秀吉をめぐって、北政所と淀殿、石田三成と古参の武将たちが激しく対立。慎重に時を待つ家康の巨大な影が、無言の圧力となって人々を脅かす。 知性の人・石田三成の悲劇を描いた長編歴史小説!
  • 三好長慶
    3.0
    群雄割拠の戦国時代。都では、管領細川氏の臣下であった三好長慶が、守役松永久秀の巧妙な知略に援けられ、ついに将軍を凌ぐ実力者となる。だが、「いずれはその権力も全て我がものに」と、久秀は秘かに機会を窺っていた――。織田・豊臣に先立って、一時期、天下を掌握した三好長慶の波乱の生涯と、戦国の世を彩るしたたかな人間たちの生きざまを描く、一大歴史巨編。(『妖雲』改題)
  • 大久保利通
    -
    水と火のごとく相反する性格を持ちながら、固い友情に結ばれた大久保と西郷。倒幕運動を推進し、維新の大業を成すが、「征韓論」をめぐって激しく対立。歴史を大きく動かした大久保利通の足跡を描く長編傑作。
  • 闇の龍馬
    4.0
    慶応3年(1867)11月15日。坂本龍馬、凶刃に倒れる! 幕末維新の立て役者ゆえに、幕府が、紀州藩が、さらに驚愕の大物が龍馬を狙う。彼の死で歴史を変えたのは誰だったのか? 恐るべき〃闇〃の指令者とは――。 歴史の暗部に消え去ろうとする真実に、「海援隊」で行動をともにした陸奥宗光が迫る! 大胆かつ緻密な推理。そして戦慄の真相。「闇シリーズ」第2弾!
  • 闇の本能寺~信長殺し、光秀にあらず~
    4.0
    〃信長殺しは光秀ではない。歴史に隠された闇の人物がいた!〃 殺戮と破壊を繰り返し、「天魔」と呼ばれた信長は、憎悪と恐怖の対象だった。そして、比叡山焼き討ちを機に、信長殺害を目指してついに闇の人物が動いた。 信長の死を望む大物は多いが、謀略と密計の渦巻く信長殺しの真相に、読者(あなた)は戦慄するにちがいない……。歴史推理に著者独自の新境地を拓いた、渾身の力作。
  • ご破算侍
    -
    社寺の境内で、大道芸を演じて生計を立てている塚野金三郎。実は、剣にかけては、なかなかの腕利き。ある日彼は、奥州某藩の侍に、藩士として他藩との試合に出てくれと頼まれる。勝てば一両二分、負けても二分はくれると言う。ところが、相手方の藩士からも、負けてくれれば二両やるが、と誘われて……。さて、金三郎が獲得した礼金は? 味わい豊かな傑作時代小説集!
  • 信長の女
    -
    「信長には何人も女がいたんだ」と言うと、ほとんどの人が、疑わしそうな顔をする。 しかし信長には男女合わせて23人の子がいたのである。 女性は、7人か8人かいたが、とりわけ愛し合った女性がいた。 その女性吉乃が、産後の肥立ちが悪く29歳で死ぬと、信長が一晩中、泣き明かし、小牧山城の望楼から、墓の方角を望んでは涙ぐんでいた。
  • 大江戸人情絵巻~御家人月十郎~
    -
    武士の力はもはや衰え、豪商の財貨が力を持ち始めた江戸。御家人・桐野月十郎は、材木商一文字屋と知り合った。一文字屋の背後には、吉原に本拠をおく浅草団左衛門一族がいた。月十郎を陰から助け続ける一文字屋と団左衛門。本人も知らない、月十郎出生の秘密に、その理由があったのだった……。月十郎たちは、大きな時代の渦に巻き込まれつつあった。(『元禄町人武士』改題)
  • 史談家康の周囲
    -
    大ベストセラー『徳川家康』の著者が、その創作の動機や意図を、情熱をこめて語り、家康の実像に迫る。また、信長、秀吉、政宗など、周囲の人物像にも鋭い視線をあてた史談集。ビジネスマン必読の書。

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