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憂鬱な愛人 新装版
夏目漱石の長女との結婚の顛末を描いた松岡譲の幻の名著! 近年、文学者たちを主人公とするゲーム「文豪とアルケミスト」の登場人物としても人気が高い松岡譲。 本書は、夏目漱石の娘婿である松岡が夏目家の令嬢・筆子と結婚するまでのいきさつを描いた長編小説である。 筆子との結婚を望み破れた久米正雄が先に発表した『破船』により、当時の世間は、久米に同情。松岡は冷たい目にさらされた。 そして、結婚から10年--松岡自身がようやく結婚に至るまでの真実をもとに書いた小説が、本書と言われている。(※諸説あります) トータル1,200ページにもおよぶ大作が、90年の時を経て、新仮名遣い・上下巻で再登場! ▼内容 夏目漱石の弟子であった松岡譲が、夏目家の長女・筆子と結婚するまでのいきさつ、親友を失い、仲間から孤立し、先輩を敵に回し、世間の非難を浴びたことを詳細に記した長編作品。 ※本書は1928~31年に第一書房より刊行されたものを再編集して復刊した新装版を電子書籍化したものです。 -
私を見下さないで
恋愛依存体質でホストに入れあげている京香と、親の言いなりで現役医学部生の大介は幼馴染。ある日大介にお見合い話が持ち上がり、ダサ男な見た目の彼を改造しようと奮起する京香だが!? 表題作の『私を見下さないで』ほか、パフェ専門店の美人店長に一目惚れし、下心ありきでアルバイトを続けている大学生の浜松は、単発バイトの指導を頼まれる。店に現れたのは、彫りの深い顔に色気のある声を持つ優秀なアルバイターで・・・!?(『パフェとガチ恋』)剣道部の可児先輩に惹かれ入部したミル子だが、先輩はケガで半年休学することに。休学後、留年して同学年になった先輩は、なぜか古めかしい言葉でしか話さなくなっていた。彼は本当に先輩なのか疑うミル子は・・・?(『僕の目を見て』)など、コバルト短編小説新人賞・集英社ノベル大賞受賞の著者が様々な恋と愛の形を鮮やかに描く6編の短編集。 -
世界は僕の箱庭
ゆったりまったり、コーヒートーク 直史、美奈子、涼くんは、今日もいつもの店にフラリとやってくる。 どこかレトロな現代を過ごす3人の、ゆったりとした日常がここにある。 --収録------- ・いつもの店で三人で ・リップクリームと留守電 ・会えてうれしかった 約19000文字 ※本作は久納 一湖の個人誌作品の電子書籍版となります。 -
幽都タクシー 午前二時の遺品
それは、あの世からの乗客。 元刑事のタクシー運転手×遺品整理士 曰くつきの〈木箱〉が 二人を猟奇殺人にいざなう 元刑事の佐久間悠介は、現在はタクシー運転手をしている。ある日の深夜、歌舞伎町で訳あり風の女性客を乗せるが、彼女は佐久間が一瞬目を逸らした隙に消え、座席には飾りのついた木箱が残されていた。ひとまず忘れ物として箱を社に持ち帰るが、そこへ現れたのは大崎と名乗る遺品整理士。大崎は物から思念が読めるのだと明かし、木箱の飾りは生きた人間から無理やり抜いた歯だと言い出して……。 -
みすがら 軽キャン、女ひとり旅
ウェブデザイナーの真田まりえは夫の定年退職を機に自分も早期退職してフリーランスとなり、夫婦で車で日本一周する旅に出た。が、その途中で夫を不慮の事故でなくし、自宅に戻って引きこもる。が、一筆書きの一周の旅を完結させるため、春の訪れとともに車中泊を続けながらの旅を再開する。 友人の熟年離婚、ヒッチハイク中のユーチューバーの女子大生との出会い、青木ヶ原樹海や富士五湖周辺のキャンプ場めぐり、自転車事故、図書館での仕事とビブリオバトル、タウン誌の取材、ひょうたんからコマの鵜飼い見物、離島での映画の聖地巡礼、カヌー軍団との遭遇と自作の精霊舟流しなど、道の駅やキャンプ場、国道脇の駐車場、季節外れの海水浴場などでの車中泊を繰り返しながら、各地でさまざまな人々と出会い、交流が生まれ、そうした日々のささいなできごとにあたふたしつつ、少しずつ日常に復帰していく。 ヨットに乗り一人で瀬戸内海を旅している老婦人、京都から四国まで自転車でツーリング中の学生、細長い半島の先端の岩場で聴いた吹奏楽――人生はかならずしも計画したようには進まず、思いがけない挫折に見舞われたりもするが、支えてくれる友人や、予想外の展開や喜びに恵まれたりもする。そうした経験を日々積み重ねながら、徐々に一人で生きていく覚悟のようなものが生まれてくるのだった。 目次 プロローグ 一 龍神とポテチパン 二 山の神と樹海 三 点滴とビブリオなんちゃってバトル 四 文明開花と測量野帳 五 磯笛とポータラカ 六 ワッパとヤシの実 七 国際児童文学館とどんぶらこっこ 八 パンクと脱藩の道 九 てんとう虫とイカ刺し -
P+D BOOKS 海
漁師町の人たちとの交流を描く自伝的小説。 ――巨大なかじきであった。かじきは二度、三度と海上に躍り上った。嘴だけではなく、かじき全体が鋭い大きな刃物のように見えた。かじきは海を裂き、空を切った。かじきの怒りが、必死の抵抗が、空や海を圧していた。その迫力に、私の全身は震えた。―― 東京の家屋敷を売り払い、母親とふたりで鴨川の漁師町に流れ着いた〈私〉。売れない画家であったが、手元のお金もさみしくなり、漁師の手伝いをして小銭をもらっていた。荒波にもまれる小船の上の生活は厳しいが、烏賊、蛸、鰤、鯖、鰹といった房総の恵みと、漁師たちとの濃厚な交流が心地よく、いつしかすっかりこの町のとりこになっていた。 ――海人の生活が原始的であるが故に、却って私は強く惹かれるのであろう。―― 著者自身「最も気に入った作品」と言い切る自伝的小説の名篇。 -
小田くん家は南部せんべい店
焼き続けるのは幸せの味。 心を満たすハートフルストーリー。 家族に秘められた深い結びつきに 目頭が熱くなります。 (ジュンク堂書店 藤沢店 鈴木沙織さん) 【あらすじ】 青森県の片田舎にある「小田せんべい店」。 小学四年生の弘毅は家が南部せんべい店であることが恥ずかしかった。 しかしある日、弘毅が家に帰ると、せんべいを焼いていたのは同級生の潤。 家を出ていった母親のために、 いつも一緒に食べていた「小田せんべい」を焼きたかったのだ――。 ずっと続いてきた食べものにはきっとなにかある。 人と人とをつなぐせんべい店一家の物語。 【著者コメント】 青森県の片田舎で南部せんべい店を営む六人家族の物語です。 南部せんべいは、青森県南から岩手県にかけて昔から食べ続けられてきました。 今ではピーナツやゴマを混ぜ込んだり、クッキーっぽく焼いたりしていますが、 基本は、塩と小麦粉と重曹のみの素朴で真っ白な塩味のせんべいです。 飽きがきません。鉄型にはさんでサクサクに焼き上げます。 特徴的なのが耳。型からはみ出た部分を耳と呼び、地元では人気があります。 南部せんべいのように飽きがこずに、いつまでも続いていきそうな小田せんべい店の泣いたり笑ったりの日常。 一つの家族の在り方と、伝統食の行く末、友情、少年の健やかな成長を見守っていただけましたら幸いです。 【目次】 一章 せんべい焼き窯の熱 二章 甘く香ばしいチョコクランチの冬 三章 飴と耳と、手紙 四章 薄胡麻と白 五章 せんべい型 あとがき -
出版創作イベント「NovelJam 2021 Online」全作品
この書籍は、2021年8月13日から15日にかけて開催された出版創作イベント「NovelJam(ノベルジャム)」に参加した25人が、初日に運営から提示されたお題「縁」に基づきゼロから生みだした14作品を合本したものです。 「NovelJam」とは「著者」と「編集者」、そして「デザイナー」が集まってチームを作り、小説の完成・販売までを目指す『短期集中型の出版創作イベント』です。ジャムセッション(即興演奏)のように参加者が互いに刺激を得ながら、その場で作品を創り上げています。 今回は「コロナ禍」の影響で中断していた活動を再開すべく、まずはオンラインでの開催としました。分断されてしまった世界で、再び協力しあい競い合う喜びを取り戻すべく開催に踏み切りました。参加者たちの、時代に流されない熱い思いの吐露をお楽しみください。 なお、参加者が定数に満たなかったため、編集者1名で著者3名を受け持ったチームや、、著者と編集者を兼任するチーム、編集者のいないチームなどもあり、悲喜こもごもの現場となりました。 チーム「ええじゃないか」 『アフターコロナ・パンデミック』萬歳淳一(著) 『えしに独楽』鷹村アキラ(著) 『合縁奇縁の絵画』小林太路(著) 岡田篤宜(編)mori_______(デザイン) チーム「くせもの上等」 『染まれよ、心』葉々(著) 『Innocent』M☆A☆S☆H(著) 篠田すみれ(編)吉田彩乃(デザイン) チーム「ノベルカルテット」 『名前のないお面』ナカタニエイト(著) 『サロン奥沢』栗山心(著) 阿部和也(編)岸端優奈(デザイン) チーム「いちじく」 『縁あれば千里』結城玲夏(著) 『縁上商法』shiho(著) 蓑もえ(編)鹿島絵里子(デザイン) チーム「夏之日」 『宵闇白夜神社に火が灯る』日野光里(著) 『魔法使いの娘』一之瀬楓(著) 日野光里(編)彩夏(デザイン) チーム「編集無縁」 『BOND』澤俊之(著) 『シェルターズ』おおくままなみ(著) 花井ひかる(デザイン) 『第211回縁田家家族会議 ~世界が(ファンタジーに)変わっても家族の縁は変わらない(変わる)~』坂東太郎(著) 杉浦昭太郎(デザイン) -
僕の受験クエスト レベル1からの挑戦 ゲーム好き少年の成長と友情の合格物語
「中学受験は、人生で最初の無理ゲーか?」ゲームのコントローラーをペンに持ち替え、偏差値という名の強敵に挑め! 本書は、ゲーム三昧だった小学四年生の翔太が中学受験という過酷な世界にログインし、個性豊かな仲間とパーティーを組んで第一志望校を目指す成長物語です。難解な問題を「ボス攻略」に見立て、RPG感覚で楽しみながら試練を突破していく姿が、会話形式でテンポよく描かれています。 読者は、受験の厳しさやスランプの乗り越え方を疑似体験でき、「勉強=楽しい冒険」という新しい視点を得ることができます。また、仲間との絆や努力の価値を通じて、目標に向かって突き進む勇気をもらえる一冊です。 こんな方におすすめ ・勉強に苦手意識がある小学生やその保護者の方 ・ゲームが好きで、エンタメ感覚で物語を楽しみたい方 ・中学受験という壁に立ち向かっている、または検討中の方 さあ、君も新しい冒険へログインして、最高の「合格」というエンディングを掴み取ろう! -
海神様の寵愛妃
「お前にだけ本当の名を明かそう」生まれつき声を失い、家族に虐げられ、ついには海に沈められた少女・藤乃(ふじの)は、目が覚めると青く光る海の聖域にたどりついていた。そこで出会ったのは『海の民』の王である青年・碧(あお)、彼曰く藤乃にはかつて海に存在していた『龍宮の姫』の血が流れているというが―ー美しい海の異世界で繰り広げられる。海神と歌姫のシンデレラ恋愛ファンタジー! -
「潮風」シリーズ【全5冊合本版】
小さな海辺の食堂を舞台に温かい人間模様を描く、感動のシリーズ全5冊がまとめて読める! 合本だけの特典として書き下ろしストーリーと撮りおろし写真、手書きサインを収録した愛蔵版。突然、母が家を出て行ってしまい、小さな食堂を経営することになった海果。最初は手探りだったものの、とれたての魚介類と、地元の有機野菜を使った料理は徐々に評判を呼び、店は軌道に乗りはじめた。わけあって一人暮らしの13歳の女の子・愛に加え、迷子のサバトラの子猫も海果の家で暮らすことに。潮風の中で始まる恋と友情、そして新しい夢……。葉山の海辺にある小さな料理店を舞台に、自分の居場所を見失った人々が、心を癒していく姿を温かく描くシリーズ。爽やかな感動の物語。 合本だけの特典として、本編完結後の海果の姿を描く書き下ろしストーリー「ウイニング・ボールを君に」、手書きサインを収録。 ※本電子書籍は下記の5冊を1冊にまとめた合本版です。 『潮風キッチン』『潮風メニュー』『潮風テーブル』『潮風マルシェ』『潮風サラダ』 -
君だけがいない海で、あの夏を思い出す
私の恋した人は“人魚”でした―― 少女たちの涙あふれる青春物語。 「僕は“人魚”なんだ」 あの夏、瀬戸内の島に住む夏希が恋をした転校生・眩は、海からやってきた。 人間の姿をしているけれど、人間じゃない。 世間知らずで自由気ままな彼の姿に心惹かれながら、幼馴染の涼太と三人で楽しく過ごす毎日。 ずっとこんな日々が続けばいい――そう願う彼女だったが、 夏の間に恋が成就しなければ死んでしまうという眩の秘密を知ってしまう。 その恋の相手とは、三人の時間を誰よりも大切にしている涼太だった――。 忘れられないたった一度の恋に涙があふれる、青春物語。 泉サリ 2003年生まれ、埼玉県出身。『林ちゃん』で第209回コバルト短編小説新人賞入選。高校在学中、『シラナイカナコ』で2021年集英社ノベル大賞〈大賞〉を受賞、同作を改題・改稿した『みるならなるみ/シラナイカナコ』(集英社オレンジ文庫)でデビュー。おもな近著に『一八三 手錠の捜査官』(集英社オレンジ文庫)、『おたくの原稿どうですか?』(集英社オレンジ文庫)がある。 -
現代ユウモア全集 16巻 『笑ひの天地』 佐々木 邦
日本のユーモア小説の先駆けにして第一人者の貴重な作品集第2弾。「ぐうたら道中記」をはじめ、全3篇を収録。 本全集第6巻に続き、佐々木邦の2作目作品集。日本のユーモア小説の先駆けにして第一人者の3作品を収録。 「ぐうたら道中記」は、40歳にもなっても寝て本ばかり読んで定職を持たない、愚迂多羅兵衛こと村岡清一郎と奇想瓢逸な團仙吉、三輪哲彦の大学の同窓生三人が、二人の子供まで連れた大勢で、東海道を江戸から振り出しに、名古屋から伊勢参宮、大阪、さらに九州は鹿児島まで、ぐうたらな旅をするお話。しかも、道中記の語り手は、愚迂多羅兵衛の息子、中学生の村岡謙一となっている。「箱根の彼方から始めて二週間に行けるところまで行く」など、計画性はなく、どこでまでもぐうたらな旅が続いていく。 「豪い人の話」は、『面白倶楽部』(講談社)大正十四年十月号に「諧謔小説 豪い人の話」として掲載された。銀行の頭取、陸軍大将、前大臣が、倶楽部で国家の問題を語りあった後で、「頗る際どい話」をする。国家の重鎮三人が密かに会談するので張り込んだ記者に、前大臣は「君達に話すやうなことぢやないよ。」と答える。一種の下ネタ話も、最後の「実に意味ありげである。」が、物語のおもしろさを増す仕掛け。 「或る良人の惨敗」も『面白倶楽部』に「諧謔小説 或良人の惨敗」として大正十五年二月号に掲載された。妻をたしなめるつもりの良人(おっと)が逆にやり込められる夫婦の物語。 一見亭主関白そうだが妻に弱いという男性が、邦の作品にはよく登場する。邦自身がそうだったようだ。 発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究の第一人者・浦 和男。付録には、外箱や表紙や裏表紙、「ぐうたら道中記」の雑誌「主婦の友」(初出)連載時と弘学館版の別バージョンのイラストなど、当時の貴重な資料を収録する。 (電子版 2026年2月27日配信開始) ※この作品はカラーが含まれます。 -
阿姉、いっそ僕に殺されて
建平の初め、大洪水が街を呑み込み、すべてを奪った。 泥濘に沈みかけていた六歳の少年、宴寧(えんねい)を救い上げたのは、少女・宴安(えんあん)の細い手だった。 「この子を、うちに置いてあげて」 血の繋がらない老婆と、行き場のない少女。 そこへ、さらに寄る辺ない少年が加わった。 三人は「家族」となった。 貧しくとも、その絆は永遠に続くはずだった。 月日は流れ、少年は美しき天才へと成長し、科挙を受けるため都へと旅立つ。 「合格したら、もう二度と苦労はさせない」 それは、少年が己に課した、最愛の姉への誓いだった。 ――しかし。 栄光を掴み、帰郷した彼を待っていたのは、 「姉」が他人の妻となり、別の男の腕に抱かれているという現実。 「一生、離れないと言ったのに」 姉の清らかな瞳が、自分以外の男に向けられる。 その瞬間、宴寧の中で何かが音を立てて壊れた。 先に裏切ったのは、阿姉だ。 ならば、 どんな手段を使おうと、誰に責める権利があるだろうか。 逃げ場のない愛が、静かに、そして深く、彼女を侵食し始める。 -
万葉の里
千三百年の時を超えて紡がれる、言葉と心の物語。 大学の親友、香織が忽然と姿を消した。加奈子に残されたのは、香織が作った一首の和歌。回文としても成り立つその歌には、万葉時代の防人の妻が夫の帰りを待つ切ない想いが綴られていた。 26年後、京都・広隆寺で香織を見かけたことをきっかけに、加奈子は親友の失踪の真相解明を始める。加奈子は高校生の娘・美郷の知恵を借りながら、博物館に所蔵された万葉集の文献をあたり、徐々に真相を組み立てていく。東京都飛鳥山、香織の故郷千葉県朝夷、京都、万葉の記憶……。それらの点と点が結ばれた時、加奈子は脳裏に万葉の里で琴を弾く香織の姿を見るのだった。 加奈子と美郷の親子に託された使命とは? ラストで驚きの真相が明かされる。 時空を超えた親友同士の約束、母娘の絆。失われた言葉の魂を現代に甦らせる感動の物語。 -
ライ麦畑の木偶の坊 ~綾瀬亘の大学戦記~
日本の大学教育に明日はあるのか? AI・組織・権威、〈知〉をめぐる静かな戦記 主人公・綾瀬亘(わたる)。 単位取得目的の剽窃とAI生成文。 「学び」を消費者活動とする学生。 商業的利益を優先し、「学び」と「教育」の意味を見失った大学組織。 そして、学問の世界に潜む嫉妬と権力構造。 現代日本のアカデミアに張り巡らされた無数の糸のなかで、綾瀬は一人の大学教員として、静かに、しかし決して折れずに言葉と姿勢で抗い続ける。 本作は、大学という舞台を通して描かれる、知の倫理と誠実さをめぐる〈戦記〉である。 そこにあるのは静かな怒りと抵抗であり、勝利は存在しない。 しかし、それでもなお失われない希望と賭けが、ここにある。 『ライ麦畑の木偶の坊』という逆説的なタイトルが示すのは、矜持と諦念のあわいに立ち尽くす現代人の姿であり、同時に、示されるべき<知性>のロールモデルでもある。 近くで見れば悲劇、遠くから見れば笑えない喜劇。 学生及び教育関係者はもちろん、逃げずにその場に立ち続けている、すべての<大人>に捧げる物語。 -
高速バスター ミナル
日本随一の”オタク総合企業”スタジオ・ハードで大量の書籍・雑誌を企画し、「図解博士」として膨大な質・量のオタク雑学をSNS中心に発信し続ける木川明彦著、数々のスタジオジブリ作品で作画の中核的役割を果たし、『ジャイアントロボ THE ANIMATION – 地球が静止する日』ではキャラクターデザイン・絵コンテ・作画監督を務める等、アニメファンを魅了して止まない絵を描き続ける山下明彦がキャラクターデザイン・イラストを手がけた本格SF作品が、電子書籍として復刻。 かつて誰もが夢見た科学と冒険に満ちた異未来。 戦乱の暗雲立ち込める冷戦下の欧州。 一人の少女、嵐座 美奈留(ランザ ミナル)と三人の改造戦士「高速バスター隊」が強大な敵に立ち向かう! 高速バスター隊のメンバーは「リブーター」と呼ばれる肉体の大部分を機械化した強力な戦士たち。壮絶な世界大戦後の世界、超重砲、反応弾、巨大破壊兵器を駆使した国際的な巨大犯罪の魔の手から人類を守る!! -
社長少女 PRESIDENT GIRL
天宮翼17歳。「わたし、社長になります!」 銀髪の美少女、そしてAI開発の世界的大企業「天宮システム」の創業者の一人娘であり、天才ゲーマーでもある天宮翼。父親の病死に続く会社の倒産で生活が一変、ほぼ全てを失いネカフェ難民生活が始まる。しかし、失意のどん底の状況から、ただ一人彼女に付き添う、父親の元側近で元プロボクサー、そして過去の飛行機事故で感情を失った男、間伸と共に、ゲーム会社「天宮システム2」を立ち上げ、彼女が愛するゲームで業界に乗り込み、一発逆転を狙う。 やがて理想の面白いゲームを追い求めてゲーム大手企業を飛び出したカリスマゲーム開発者・東島秀樹、翼のストーカーで眼鏡巨乳の美少女・神田エリカらの仲間を得て、幾多の困難を乗り越え、遂にリリースされる天宮システム2の新作ゲーム。しかし、彼女達は思いがけない巨大な陰謀と危機の真っ只中に引き込まれ、そしてその危機が人類全体に及ぼうとする時、彼女は自分の奇跡的な宿命を知る−。小さなゲーム会社起業から始まった、社長少女・天宮翼の物語は、果たしてどこに辿り着くのか? ゲームディレクター、CGクリエイター、キャラクター企画(東北ずん子等)、小説家として活躍する榊正宗が送り出す、彼のゲーム愛と、次世代人工知能システム、インターネット、ゲーム業界、国家機密、アンドロイド、火星探査計画、そして時空を越える恋と、疾走するように拡がるケオティックな世界観とが融合する傑作SF小説作品。 イラスト・キャラクターデザインは江戸村ににこ(東北ずん子キャラクターデザイン等)。 ※この作品は令和2年7月に株式会社スペースシャワーネットワークより刊行された作品の一部を改訂し電子書籍化したものです。 -
漆黒のLAST WALTZ〈帰還〉
柳原郁夫は独立して自分のビジネスを始めたいと考えるが、妻の裕子からは強く反対され、計画を断念する。それから1年後、今度は妻の裕子が女性起業家養成塾を立ち上げ、多くの参加者を集め成功を収める。その後、裕子の様子に変化が見られ、医師から中程度のアルツハイマー型認知症と診断される。徐々に彼女は出不精になり、階段やエスカレーターの使用を避けるようになる、外出時は郁夫が付き添ったが、ショッピング中の混乱や物忘れが頻繁に起こり、裕子は自身の行動に戸惑いを見せ始める。そして、優しい性格だった裕子は次第に激しい怒りから物を投げたり、時には包丁すら手に取るようになってしまう。家族は彼女を守り、耐えることが続いたが、年月の経過と共に関係が次第に複雑になっていった。その後、施設に入居したが、その生活中に裕子の体調が急変し、膵臓がんが発見された。余命宣告を受けた彼女は在宅看護を受けながら最後の日々を家族と穏やかに過ごすが、徐々に体力が衰えていく。それでも息子・祐の支えもあり、裕子は一時的に生き生きとし、病気を忘れたように見えたが、緩和病院への転院前夜に、裕子は家族に見守られながら静かに息を引き取った。郁夫は妻を悼みながら、裕子のことを思い出の中で大切に抱きしめる。 -
特殊作戦捜査官
合成麻薬フェンタニルの脅威から日本を守れ! 世界中に広がる合成麻薬フェンタニル。その密輸組織にマトリの機密情報が流出した! 組織の幹部と目される在日中国人・夏を追う朝倉は華僑や極道の力を借り、名古屋、沖縄、そしてメキシコへ? 新章突入! 自衛官と刑事、二つの顔を持つオッドアイ捜査官・朝倉俊暉の闘いは次のステージへ。 【『オッドアイ』シリーズとは】 陸上自衛隊のエリート「特殊作戦群」の候補生として将来を嘱望されながらも、演習中の事故で左目の視力が低下し、自衛官の道を諦めた朝倉俊暉。 警察官に転身した彼は、その鍛え抜かれた肉体と洞察力を武器に数々の難事件を解決していく――。 肉体と知能を極限まで駆使する、最強の警察小説シリーズ! -
じんわり深夜の洋食店
三十路を前に漠然とした不安を感じていた史緒(しお)は、知り合いからお見合いを勧められ、理人(りひと)と出会う。 料理人として働いている理人は、家族の事故のトラウマで夜眠ることができず、夢だった自分のお店を持つことを断念したという。 ――深夜にごはんが食べられるお店は、きっと需要があるはず。 お見合いの場で史緒は「深夜営業の洋食店を二人で開かないか」と、結婚と開業を提案。 勢いで始めた深夜の洋食店にやってくるのは、二人のように夜間勤務のお客様や、「眠れない同盟」を組んでいるお客様も。理人の作る料理と史緒の接客で、人々は癒され、眠りにつく。 お見合い夫婦の絆が徐々に太く濃いものになっていく、美味しいごはんと優しいご縁の物語。 -
わたしと帝都の陰陽師
時は大正10年。行方不明の姉を捜して帝都にやって来た家出令嬢、亜寿沙(あずさ)は、「あやかしなんていない!」「陰陽師なんて詐欺師!」という現実主義者。 なのにひょんなことからひ弱なスゴ腕陰陽師、維吹(いぶき)の弟子に抜擢され、さらには本物のあやかしに襲われて考えを改めるはめに! 生活力ゼロな維吹を見るに見かね、身の回りの世話をしながら彼と一緒に事件を解決していく亜寿沙。お調子者の雑誌記者、冷徹な帝国軍人にお節介焼きな仙人……。さまざまな人と出会ううち、亜寿沙は姉の失踪に凶悪なあやかしが絡んでいたことを突き止めて――。 霊感ゼロなら知識で倒す、型破りなおてんば娘と残念なイケメン陰陽師の事件録、ここに開幕! -
国際ビジネスマン
理想か、現実か。人生を左右する仕事選び、 あなたの決断は? 夢や理想を追う「天職」か、能力や適性に合う「適職」か。挫折からの再起に挑んだ一人の男が、最終的に選んだ“答え”とは─。グローバルな舞台を目指した商社マンの半生を描いた成功物語(サクセスストーリー)。 国際ビジネスマンを夢見て挑戦と挫折を繰り返してきた、赤沢崇36歳。横浜の貿易商社で働く彼のもとに、突然、念願のニューヨーク本社への転勤の話が舞い込む。夢見てきたグローバルな舞台は、赤沢にとって適職なのか、それとも天職なのか─。 現代を生きるすべてのビジネスパーソンに贈る、希望と再生の人生ドラマ -
潜水艦カブト(第9回大藪春彦新人賞 映像化奨励賞受賞作)
候補作の中から、最も「映像化にふさわしい」という観点で選ばれた、痛快海洋アクション! ●白石和彌(特別選考委員・映画監督) 選評 アイデアが素晴らしい。 潜水艦が台風を駆逐するという荒唐無稽ではあるがロマンたっぷりな発想だけでわくわくした。 ●あらすじ 海上自衛隊ではなく、気象庁に所属する、潜水艦カブト――。 その任務は、「氷結弾魚雷」で海水の温度を急速に下げることによって、日本の領海内に侵入した台風を、駆逐することである。 草加欣司が艦長に就任してから特にその成果はめざましく、ここ二年、日本列島に上陸した台風は、ひとつもなかった。 今年は例年以上のハイペースで台風が発生しており、潜水艦カブトは八面六臂の活躍をするが……。 草加艦長曰く、「自分は、日本人だけが助かればいいなどとは思っていません」 痛快海洋アクションの誕生! ※受賞作のほか、選評および受賞の言葉を収録 -
君が残した贈りもの
球場を魅了した彼はもういない。意志を継ぐのは、数学の天才。 数学界に自分の頭脳を捧げたいと思っている上杉和典は、互い才能を認め合っていた野球部エースの早逝に触れ、彼が命を削っても成し遂げたかった真の目的を探し始める。それが自分の人生を揺るがせるものになるとは知らずにーー。 野球は、そんな底の浅いものじゃない。大事なのは、高校生が自分で考え、全力を投入し、勝敗という形でその結果を受け止め、自分の心身に反映させて、さらに考え、ぶつけ、その繰り返しで心を成長させ、自分を信じる気持ちを構築する事だ。それができるのは、勝ちを目指さない野球だけなんだ。 ーー本文より -
P+D BOOKS 夢の通い路
西行からかぐや姫まで登場する不思議な世界。 ──桂子さんは鏡の中の自分の顔を見た。そしてそれが夜の化粧のせいで、妖しい燐光を放つ「あちらの世界」の顔に化けていることを確かめると、外に来ている人の気配に応じて立ち上がり、家を抜け出した。文字通り、壁も扉も意のままに通り抜けていくのである。── 西行、定家、藤原道長、六条御息所、紫式部といったそうそうたる面々が、時空を超えて〈桂子さん〉を訪ねてきて、ときには妖しげな契りを交わしていく。〈桂子さん〉の35歳の誕生日には、かぐや姫や則天武后、「血まみれの伯爵夫人」エルゼベート・バートリなどが集まって盛大なパーティを催す不思議な世界。 幻想的作品で知られる倉橋由美子の真骨頂21篇。 -
ペンギン村に陽は落ちて/その他の短篇
異色短篇集『ペンギン村に陽は落ちて』は、小説家の父が小学生の息子に宿題として課された「しょうせつ」の書き方を尋ねられるところから始まる「序文」を冒頭に置く。 その問答を経て、息子は自分の「しょうせつ」でなければ書く意味がないと考えていることがわかり、自分の「しょうせつ」とは自分の好きなテレビの画面に映っていることを書くことなのではないかという考えに至る。そして父子はひたすらテレビに見入ることになる。 結局、息子はいくつものアニメ番組の断片的な感想しか書くことができなかったが、代わりに父親が画面を見ながら自動筆記的に記した文章を息子に渡す。それが『ペンギン村に陽は落ちて』に収められた各篇だという体裁であり、小説家の父親というフィルターを通してアニメが小説に変換される。 「ペンギン村に陽は落ちて」は『Dr.スランプ』の人型ロボット「アラレ」を『鉄腕アトム』のアトムに置き換え、科学の発展と人間の夢の関係を問う。 「愛と哀しみのサザエさん」ではまだ若い人妻のサザエさんがウルトラマンファミリーの入所する介護施設の職員となり、老いと性愛の問題を考えさせる……といった具合に、1970年代~80年代に人気を博しアニメ化された漫画作品のキャラクターたちの裏に潜んでいる設定を思わぬ方向に発展させることで、小説の登場人物にリサイクルしている。 そして、どの作品も人気漫画の持つテンポの良さと無責任なまでの破天荒さを湛えながら、奇妙な苦みをうっすらまとう、軽薄そうな外見と裏腹に奥行きを感じさせる深みと渋みを備えてもいる。 「その他の短篇」は1987年から2000年に文芸誌に発表された7篇の短篇小説。 「日本野球」「言葉」「正義」「ドン・キホーテ」「日本文学」「ゴジラ」など、作家高橋源一郎にとって重要なモチーフたちと本気で戯れた成果である。 本書に収められた14篇の短篇小説は著者と通念としての文学との格闘の成果であり、現在も色褪せず輝きを放つものである。 -
17歳の女ともだち
正義感が強くさっぱりした性格のすみれは、小さい頃から気弱で人見知りの光莉を守るヒーローのような存在だった。中学に進学すると、すみれのはっきりした物言いが災いし、友人グループで浮いた存在になっていく。一方、人気者になった光莉にも劣等感を抱くように。二人の共作漫画が注目を集めるなか「ともだち格差」はますます大きくなる。けれど17歳になったある日突然、光莉はすみれの前から姿を消す――。「最愛の親友」にして「宿命のライバル」。憧れと嫉妬、響き合う心情を描いた青春小説。 -
八咫の刻
これが、全ての起こりなのであった―― 【4カ月連続刊行】 「警視庁公安J」シリーズで人気沸騰の著者が贈る、 大江戸時代活劇、ここに開幕! 「八咫の刻」シリーズ第一巻 時は元禄十年──江戸幕府五代将軍・綱吉の寵愛を受ける 高僧・護持院隆光には、ある陰謀があった。 幼子の頃より抱き続けた恨みを晴らし、 江戸を我が物にすること。 巧妙な手を使い綱吉を操り、 着実に復讐の駒を進めていた。 その企みに気が付いた水戸徳川家の前藩主・光圀は 隆光の動きを探るべく幾人もの隠密を差し向けるも、 生きて戻ったのは、ただ一人。 その者さえ、隆光が差し向けた手下と交えた一戦が災い、帰参早々事切れた。 最後の望みを託し、光圀は熊野に住まう “ある人物”に助けを求める。 江戸の命運をかけた未曽有の大戦の、幕が開く――。 ●目次 怨 呪 呪怨 授恩 第一章 第二章 第三章 第四章 -
ポピー・シンドローム
中央アジアにあるタズール共和国に突如創設された量子コンピューター研究所。三連結量子コンピューターというとてつもない時代を牽引するが、そこには未来を形作るAI技術も含まれ各国の思惑が絡み合っていた。量子コンピューターの時代を迎えつつも、世界各国では同時大量刺殺事件が発生し、日本でも高校生による同時鉄道自殺事件や児童虐待事件が多発していた。AIの暴走による同時発生する事件に立ち向かう報道番組BSジャーナルの司会者・松永エリカ、防衛省軍事心理学担当官・作田麻由子、そして警察庁の元刑事・春山寛治たち。1972年春にウラル山脈の麓で発生した旧ソビエト連邦軍325名の殺し合った事件「ポピー・シンドローム」からその謎が解かれていく。脳が脳のことを考え始めるとき希薄化する〈自我〉を抉り出す、新時代のサイコミステリー小説です。 -
没落令嬢フェリシアの婚約
没落した家の生計を支えるため、商会で絵師として働くフェリシア。彼女に舞い込んできたのは、終戦の証として隣国から送り込まれた厄介者・第五皇子のオリバーとの婚約話だった。初の顔合わせで、オリバーが幼いころに国境沿いの森でよく遊んでいた初恋の男の子だったと発覚。再会を喜ぶフェリシアだが、オリバーには「君だけは嫌だった」と言い放たれ――。失われた初恋ともう一度向き合う、切なくも甘い西洋ロマンス! -
その後宮妃、女装した弟につき
蒋灯国の女嫌いの新帝が迎えた妃・胡妃は、上級官吏・胡家の娘・春蛍の弟・秀英だった。本物の春蛍の存在を隠すため、春蛍も男装して文官として後宮入りし、皇帝の真意を探ることに。悪名高き先代の妃・紫艶の影を追う中、他殺体の発見や、死神の人探し、廃宮に消える鬼など怪異が頻発。姉弟皇帝と共に後宮の闇に迫り、やがて恐るべき秘密へと辿り着く――。正体を隠した姉弟とミステリアスな皇帝が挑む、中華怪異ファンタジー! -
褐色の血
「褐色の世界にこそ私の求めているものがあるような気がします」 1975年、二人の男がブラジルへ向かうため空港にいた。ひとりは仲間に見送られ、もうひとりは孤独に。 児玉は、サンパウロでパウリスタ新聞の記者として働くことになっていた。ブラジル社会に呑み込まれつつも、日系人の変遷の取材にのめり込んでいく。人種の坩堝と言われるブラジルで、児玉は「ある答え」を、この国と日系人社会に求め始めていた。 一方、サンパウロのホンダの関連会社で整備士として働く小宮は、ブラジルで日本では味わうことのなかった安心感をおぼえていた。現地で出会う人々に支えられながら、次第にブラジル社会へと馴染んでいく。 国家、人種、民族、人は何を拠り所に生きるのか。 差別に翻弄された人々の50年にわたる流浪を描いた長編小説三部作の序章。 -
線路は続くよどこかまで
シリーズ累計発行部数2500万部の大人気コミックス『BOYS BE…』の原作者最新刊! ページを閉じたら、我が子に会いたくなる 児童書作家が後悔したたった一つのこと。 一度失いかけた命で父が描く、息子、そして家族への本音。 殺風景な病室で目を覚ますと涙が頬を伝っていた。何故だかひどく虚しい。 ひとりには、もう慣れてしまったはずだった。妻が出ていってからかなりの年月が過ぎていた。 かけがえのない息子まで妻に引き取られてからは、 生きる気力を失い、仕事は手につかなくなり、人と会うことを避け、自宅に籠もり、行く当てもなくふらふらと街を徘徊し、自宅に戻ると酒を飲んで、泣いた。打たれ弱い体質なのだ。 ついでに虚弱体質だったのか、運気も落ちていたのか、ようやく仕事もしだしたのに、新型ウイルスに感染してこのざま。 一難去ったのかも定かでないうちに、また一難。弱り目に祟り目。泣きっ面に蜂。降ればどしゃ降り。このまま死んだ方がいいのか。 そんな時、ひとりの病室で思い出したのは、あの頃の、息子の笑顔だった。 ――伝えられなかった言葉が、線路の先で響く。 板橋雅弘 東京出身。中央大学法学部卒。1991年から10年間、イタバシマサヒロ名義で『BOYS BE…』などのマンガ原作を手がけた。板橋雅弘名義では小説、児童書などを執筆している。 -
転生した剣聖は遊び人としてスローライフを送りたい
国の英雄とたたえられた剣聖は、王子に転生した。その名をペンジュラム王国アレグザンダー第一王子。 戦いに明け暮れた前世の反動で、アレグザンダーは「戦わない」「好きなことをして遊び暮らす」決意を固める。反逆のぬれぎぬを着せられて国を追われる羽目になるが、それは彼にとって願ったりかなったりだった。身分がなければ、望み通り、自由気ままに生きることができるからだ。 しかし、宿命は、いやでもアレグザンダーを追ってくる……! ひたすら遊び人をめざす最強主人公の、アクション・ファンタジーコメディ。 ※本作は双月ねむるの個人誌作品の電子書籍版となります。 -
天命愛憐
【幻冬舎グループ主催『第4回新人賞』大賞受賞作品】 激動の時代を、ひたむきに、自分らしく生きる女性を描いた本格小説。 家族のために出稼ぎをしていた25歳の沙茅(さち)は、働いていた工場の落雷事故により傷を負い、仕事も住む場所も失ってしまう。ある日、工場の事故について週刊新聞の記事が出る。労働環境の劣悪さなど、実態と違う報道や、それを鵜呑みにする世間に違和感を覚えるが、その背後に陰謀があることを知る。沙茅は、新たに富裕層宅で住込みの仕事を始めるが、そこで表層的な貧富の差だけでなく、人々の内実も知ることになり、さまざまな意識や感情に直面する。 昭和初期を思わせる異世界を舞台に、戦争の影が差す中、差別や偏見に縛られず、個々が公正に評価される社会とは? 自分は望み通りの人生を生きているのか? 生きられるのか? 迷い、悩みながらも、現実と向き合い、自分の価値観と希望を見出し生きようとする姿が、さわやかな感動をくれる一冊。 -
幽世の法廷
その罪を、死んでも隠し通せるか? 少女殺害の容疑者、自首した男、事故死した青年―― それぞれの「死」の先で再会した彼らが導かれたのは、「幽世の法廷」。 この世界では、心の声がすべて聞こえてしまう。 隠していた真実、守りたかった嘘、抱えていた罪。 魂が裸にされるとき、本当の正義が姿を現す。 真実は、死んでから明らかになる。 工場の資金繰りに苦しむ吉田は、公園で話しかけてきた少女を思わず突き飛ばし殺害してしまう。 現実から目をそらすようにバーに逃げ込むと、偶然居合わせた同業者の男から試作品の依頼を持ち掛けられる。 工場を救うため、わずかな希望にすがる吉田だが、殺人の罪を暴かれ、ついに逮捕されてしまう。 家族と従業員を思い無罪を主張し続ける中、真犯人を名乗る別の人物が出頭したという知らせが入り……。 -
現代ユウモア全集 15巻 『見物左衞門』 水島爾保布
日本SF界の先駆者とも呼ばれ、画家、漫画家、随筆家など多彩な顔を持つ作家、唯一の作品集。全18篇を収録。 水島爾保布は日本SF界の先駆者とも呼ばれ、画家、漫画家、随筆家など多彩な顔も持つ作家。特に本巻収録の『人造人間時代』は古典SFファンには有名で、SF作家・今日泊亜蘭の父としても知られている。東京美術学校(現東京芸術大学)を卒業しているが、『日露戦争実記第八号』(育英社 明治37年4月)には、「水島爾」名義で新体詩「火鳥の賦」が掲載されるなど、在学中から絵より文芸活動が目立っていた。 本巻には「人造人間時代」をはじめ、表題作「見物左衞門」「漫画小説 結婚と馬鈴薯」「まがひ黄表紙 臥薪瓢箪」「葉巻とチョコレート」「服飾愚談」「女優と犬」など、SF小説から随筆、欧米ジョークの翻案まで、新聞・雑誌に連載された作品を中心に全18篇が収録されている。 彼の作品の多くは未来予想を描きながら、当代の世相を諷刺するエッセイのようなスタイル。例えば、醜い幼虫から華麗な成虫への成長を描く場合も、さりげなくモガ・モボ批判、政界批判を含んでいる。また、「服飾愚談」では、ありし日の出身地、東京・根岸界隈を詳細に記述して、写真のない時代の貴重な記録ともなっている。さらに画家として、本巻の挿絵はほぼすべて連載時から描き直しも行っている。 発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究の第一人者・浦 和男。付録には、外箱や表紙や裏表紙など、当時の貴重な資料を収録する。 (電子版 2026年1月30日配信開始) ※この作品はカラーが含まれます。
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