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血の絆
雨の夜、二人の少女を襲った凄惨な暴行殺傷事件。十七歳のミュリエルはズタズタに切り裂かれた死体で発見されたが、傷を負いながらもかろうじて逃げのびた十五歳のパトリシアの証言をもとに、刑事たちは捜査を開始する。だが、少女の供述が一変し、事件は予想外の展開を見せはじめた! -
われらがボス
吐く息も凍る一月のアイソラ――六人の男女は溝の中で折り重なるように息絶えていた。刑事たちも思わず眼をそむけるこの残酷な大量殺戮は、数日後行われた一人の男の供述によって、驚くべき真実を暴き出した。拮抗するギャング団の三つどもえの抗争が生んだ、この血塗られた殺人の真相とは? -
サディーが死んだとき
キャレラは自分の耳を疑った。本当に嬉しいよ――弁護士フレッチャーは妻サラーの刺殺死体を見てこう言ったのだ。犯人はあっさりと捕まり、麻薬を買う金欲しさに襲ったと自供した。しかしキャレラはフレッチャーの言葉が忘れられなかった。異様なほど挑戦的なフレッチャーの態度の裏には? -
夜と昼
土曜日は凄惨な事件で始まった。踊り子が劇場で刺殺されたのだ。分署には女が幽霊話を持ち込み、爆弾騒ぎの通報までとび込んできた。夜が明けても忙しさは変らない。押し込み強盗、失踪、ひったくり……さまざまな事件に明け暮れる87分署の二十四時間を、キャレラ以下オールキャストで描く。 -
はめ絵
殺されていた男は奇妙な写真の一片を握りしめていた。保険会社の調査員に、写真が銀行強盗の強奪金のありかを示すものと教えられた刑事たちはさっそく捜査を始めた。だが、一人また一人と写真の切れはしの持ち主が殺されていく……血生臭い写真争奪戦を息もつかせぬ展開の連続で描く秀作! -
ショットガン
外の爽かさとは裏腹に、部屋には死臭が漂っていた。夫婦者がショットガンで顔をふき飛ばされていたのだ。夫は商用でカリフォルニアにいるはずだった。次々に明るみに出る彼の不可解な行動に刑事たちは困惑する。彼の行動は何を意味するのか? 惨劇の裏に潜むものを求めて街に散る刑事たち! -
たとえば、愛
ハーブ河の上に春の微風が吹きはじめて間もない頃、アイソラの街に時ならぬ爆発音が鳴り響いた。現場に急行したコットン・ホースが目にしたもの、それはベッドに横たわる一組の男女の裸の死体だった。遺書もあったし、第三者がいた形跡もなかった。明らかに、覚悟の心中と思われたのだが…… -
殺意の楔
秋の静かな昼下りに刑事部屋に押入った女の手には、拳銃とニトロの小壜が握られていた。女はキャレラに恨みを抱いている。だが彼は、今ここにはいない……復讐の鬼と化した女と刑事たちとの熾烈な心理闘争。刻一刻と迫るカタストロフィ。息づまるスリルと緊迫感で描くシリーズの決定版。 -
殺しの報酬
こぬか雨に濡れた舗道。街角を曲った黒いセダンからライフル銃が顔を出す。一発の銃声。舗道の男の顔は粉みじんに吹っとんだ……殺されたその男はプロの脅迫者だった。彼は何を種に誰をゆすっていたのか? また脅迫者殺害犯の殺しの報酬とは? 分署の刑事たちはにわかに活気を帯び始めた! -
007シリーズ
英国情報部員ジェイムズ・ボンドは、オーリック・ゴールドフィンガーと名乗る謎の男と出会い、男がカードでいかさまを働くのを見破った。が、黄金を異常に愛するこの男の正体とは、巨大な犯罪組織を牛耳る怪物だったのだ。やがてボンドは、ゴールドフィンガーが企む恐るべき犯罪計画に単身闘いを挑んでいく! スパイ小説史上もっとも有名なヒーローが、華麗な活躍を見せる永遠の名シリーズを代表する傑作。 -
007/カジノ・ロワイヤル【井上一夫訳】
英国が誇る秘密情報部。そのなかでもダブル零(ゼロ)のコードをもつものはどんな状況でも冷静に切り抜ける腕ききばかり。ソ連の工作員で、フランス共産党系労組の大物ル・シッフルが、党の資金を使い込み、カジノの勝負で一挙に挽回をはかろうとしているらしい。それを阻止すべく英米仏三国の共同戦線のもと、カジノ・ロワイヤルに送り込まれたのはジェームズ・ボンド。007のコードをもつ男。華麗なカジノを舞台に、巨額の賭け金をめぐる息づまる勝負の裏で密かにめぐらされる陰謀。007ジェームズ・ボンド登場。映画『007/カジノ・ロワイヤル』原作。/解説=杉江松恋 -
八頭の黒馬
八頭の黒馬と棒線で消された耳の写真――奇妙な手紙に刑事たちの表情が凍りつく。幾度も苦汁をなめさせられた天才犯罪者デフ・マンが帰ってきたのだ。おりしも公園で女の死体が発見されたばかりだった。写真と殺人には何か関連が? クリスマス目前のアイソラで刑事たちに最大の危機が迫る! -
熱波
異常な熱波襲来の中、鎮静剤を飲んでアパートで死んでいた男は、なぜ部屋のエアコンのスイッチを切っていたのか? キャレラの胸に芽ばえた小さな疑問は、明らかに自殺と思える事件に波紋を投げかけた。一方、相棒のクリングは妻に浮気の疑いを抱き、ひそかに彼女の行動を監視し始めたが…… -
幽霊
全身に無数の傷を受けて死んでいたベストセラー作家、同じアパートで刺殺された主婦――犯人を異常なまでの憎悪に駆りたてたものはなんだったのか? 二重殺人の謎を追い雪のアイソラを駆ける刑事たちの前に浮かび上がる恐るべき真実とは? 警察小説に恐怖の味を加えて描いたシリーズ異色作 -
カリプソ
深夜の嵐のなか、黒人のカリプソ歌手が黒ずくめの服装の男に射殺され、数時間後、87分署管轄区外で、黒人の売春婦がやはり黒ずくめの人物に射殺された。通り魔的な二つの殺人事件の背後には、どんなつながりが? 刑事たちをも震撼させた恐るべき事件の驚愕の真相を描く衝撃作。 -
死者の夢
寒風に吹かれて歩いていた盲人ジミーの喉に突然痛みが走った。ふき出した血が舗道をまっ赤に染める。続いて第二、第三の殺人が……盲人ばかり襲う犯人の目的は? ジミーがうなされていたという奇妙な夢の話にキャレラは興味を惹かれる。忌わしい過去を秘めた連続殺人事件を緻密に描く力作! -
糧
八月、炎暑の季節――キャレラに、グリムという輸入業者が泣きついてきた。自分の倉庫の火事を放火と証明してほしい、保険金が下りなければ破産してしまう……渋々腰を上げたキャレラだが、グリムの自宅が放火されさらに重要容疑者の男が殺されるに及んで、事件はその様相を一変した! -
死んだ耳の男
刑事部屋の平和を破る一本の電話――「わたしは帰ってきたよ」予告電話を皮切りに次々と舞い込む意味不明の写真。フーヴァー元FBI長官の写真が二枚、つづいてジョージ・ワシントン……奴の狙いは? 奇妙なギャラリーを前に刑事たちも頭を絞る。天才犯罪者デフ・マンと87分署精鋭の死闘! -
警官
分署の刑事部屋に次々と届けられる脅迫状はいたずらではなかった。公園局長が銃弾に倒れ、副市長が殺された。こんなことがやれるのはあいつしかいない――不安は的中した。『電話魔』の事件以来、復讐の鬼と化したあのデフ・マンの仕業だったのだ! 犯人との闘いをスリリングに描く傑作。 -
空白の時
都会の片隅で女が死んでいた。家具付安アパートで何者かに扼殺されて。ところがその被害者には二つの銀行に合せて六万ドル以上もの預金が眠っていたのだ……上記表題作をはじめダイイング・メッセージの名篇「J」と犯人の意外性を秘めた「雪山の殺人」の三篇を収録する初の珠玉中篇集。 -
キングの身代金
野心家のキングは窮地に追いこまれた。彼の息子の誘拐を企てた犯人が、誤って運転手の幼い息子を連れ去ったのだ。身代金の要求は五十万ドル。もし支払えば、キングの一生の夢である会社乗っ取りの賭けがうてなくなる。拒絶すれば、罪のない生命が……! 誘拐事件に真向うから取り組んだ力作 -
警官嫌い
夏の夜の大都会――まばゆい灯のかげに街があり、夜空の下でうごめく暗い生活があった……。闇を引き裂く何者かの兇弾が、87分署の刑事たちを次々と倒していった。果して警官嫌いの狂人のなせる業か? 同僚刑事たちの胸は憤激で燃え上った。探偵小説に新生面を開いたシリーズ第一作! -
剣の八
幽霊屋敷に宿泊中の主教が奇行を繰り返すという訴えがあった。主教は手摺りを滑り下りたり、メイドの髪を引っ掴んだり…さらに彼はとてつもない犯罪がこれから起こると言っているらしい。警察はその言葉を信じていなかったが、主教の言葉を裏付けるように隣家の鍵のかかった部屋で射殺体が発見される。そして死体の側には一枚の不吉なタロットカードが!続出する不可解な謎にギデオン・フェル博士が挑む。新訳決定版。 -
007/薔薇と拳銃【井上一夫訳】
英国秘密情報部の腕利きエージェント、007ことジェームズ・ボンド。祖国の平和と安寧のため、世界を股にかけて危険な任務を遂行する。パリ郊外の静かな森に隠れ潜むソ連の情報機関を破壊する「薔薇と拳銃」、ジャマイカで荘園主夫妻を殺害した、凶悪なナチの残党の男を暗殺する「読後焼却すべし(フオー・ユア・アイズ・オンリー)」、ローマからベニスに通じる麻薬密輸ルートを追跡する「危険」、セーシェル諸島のサンゴ礁を舞台に、アメリカ人の富豪の死を描いた「珍魚ヒルデブランド」、植民地総督がボンドに語る、一組のカップルの数奇な運命「ナッソーの夜」の全5編を収録。 -
ノクターン
安アパートの一室で、老女が胸を撃たれ横たわっていた。捜査に出向いたキャレラは、老女が元有名ピアニストだったことを知る。やがて、老女が孫娘に大金を遺していたことが判明し、その金をめぐって熾烈な争奪戦が展開。アイソラの闇に沈む哀しくも皮肉に満ちた真実をキャレラは暴けるのか? -
寡婦
女は喉を切り裂かれ、ペントハウスの床に横たわっていた。現場で見つかった手紙の束にはエロチックな妄想が綴られており、差出人は彼女のパトロンと思われたが、その彼も路上で射殺されてしまう。強盗に父親を殺されるという悲しい事件に直面しながらも、キャレラが連続殺人事件の謎に挑む。 -
晩課
春の宵、教会の庭で神父が刺殺された。キャレラたちが調べていくと、麻薬密売をめぐる少年たちの争いや、悪魔崇拝を行なっている教団など、教会の周囲にはさまざまな怪しい影があった。神父自身もなにか大きな悩みを抱えていたらしい。はたして、聖職者の背にナイフを振り下ろしたのは誰か? -
魔術
ハロウィーンの夜。「ごちそうしないと、いたずらするぞ」と叫びながら、次々と酒屋強盗をはたらく子供の一団が出現した。一方87分署では、奇術師の夫が突然姿を消してしまったと妻が訴えていた。おりしも街では男のバラバラ死体の一部が発見され……ハロウィーンの夜を脅かす数々の怪事件! -
毒薬
警備会社副社長が毒殺された事件と、会計士が刺殺された事件。関連のない二つの事件を追うウィリス刑事の前に、謎の女マリリンの存在が浮かんだ。何人もの男と付きあい、働きもせず優雅に暮らす彼女は、被害者たちとも関係していた。彼女は危険な毒婦なのか? 意外な展開の連続で描く意欲作 -
稲妻
女性ばかりを次々と狙い吊し首にする殺人犯。大胆不敵な犯行はあのデフ・マンの仕業なのか? 一方、特搜班のバークは強姦魔逮捕のため危険なおとり捜査に身を投じていた……異常な連続絞殺事件を捜査する87分署の精鋭たちと、捨て身で強姦魔に挑む女刑事の姿を円熟の筆致で描く巨匠の自信作 -
宇宙震
アメリカのSF勃興期から50年間、SFとともに生き、その可能性を極限まで推し進めた代表的な作家のバラエティ豊かな宇宙小説集。「禁断の星」は、宇宙伝染病に汚染された星域をめぐっての宇宙病テーマ、「失われた種族」は、宇宙に大文明を築いたある種族の謎の消滅をめぐって、その原因をつきとめようとする滅亡テーマ、「破滅が来る!」は、銀河系同士の衝突という大スケールの銀河小説、「孤独の星」は惑星全体に一個の生物がすんでいるという宇宙生物小説、表題作「宇宙震」は、宇宙規模の大災害を未然にふせごうという典型的なスペース・ドラマである。この5編だけを読んでも、ラインスターの宇宙小説のもつスケールの大きさ、そのロマンチックなムード、たくみな小説技法は、十分に読みとることができるだろう。 -
夜歩く
カーの処女作。「私にとって単調で退屈ということは許されざる罪悪」というカーは、本書に対する自信のほどをのぞかせて、こう言う。「神経質な読者に悪夢をもたらし、パズルの玄人(くろうと)に頭痛をおこさせれば、私は満足だ」本書『夜歩く』は成功を収め、カーは職業作家として立つ。彼は別の機会に書いた。「私の野心は今もなお真に傑出した推理小説を書くことであるが、いまだに達成したとは正直、思わない。作家がこう述べるとき、その本音はほかのすべての推理小説がつまらないものに見えるような傑作をものしたいということである。無論、それは不可能だ。しかし、いつまでも試みつづけることはできる」 -
引き潮の魔女
いま売り出し中の精神科医ガースの脳裡からは若い美貌の未亡人ベティのことが一時も離れなかった。そんな彼の診療所にやってきたトウィッグと名乗る警部は、驚くべきことを口にした。ベティはもと売春婦で、恐喝もしている悪女だというのだ。不吉な予感に襲われ、ベティの別荘へと向かったガースが海辺の脱衣小屋の中で見たものは、ベティとうりふたつの女が水着を着たまま絞殺されている姿だった! しかも小屋のまわりには人影もなく、潮の引いた砂浜には足跡とてない……密室トリックの巨匠がエドワード王朝に材をとる歴史本格ミステリ! -
妖女の隠れ家
今は住む人もなく荒れ果て、醜い姿をさらすチャターハム監獄には、不気味な伝説があった。監獄を所有するスターバース家の長男が、代々、首の骨を折って死ぬというのだ。近くに住むフェル博士を訪れた青年ランポールは、はからずも伝説が現実となるのを目撃することとなった。現当主マーチンが所長室から転落して死んだのだ。彼は家に代々伝わる儀式どおりに、25歳の誕生日当夜、所長室の金庫をひとりで開けにいったらしい。妖気漂う監獄でマーチンを突然の死に追いやったものは何か? 名探偵フェル博士初登場の記念すべき作品! 改訳決定版。 -
皇帝のかぎ煙草入れ
北仏のある避暑地で、英国人ローズ卿が深夜、秘蔵の煙草入れもろとも頭を打ち砕かれて殺されるという陰惨な事件が起った。いくつかの状況証拠から、殺人容疑は、ローズ家の向いに住み卿の息子と婚約中のイヴにかかった。ところが、事件当夜、彼女は前夫ネッドと窓越しに惨殺現場を見ていたのだ。婚約者の手前、無実の証に前夫を持ち出す訳にもいかないイヴは、抗弁できぬままにいよいよ追い詰められてゆく……綿密な筋書の下に演出された完璧とも思える殺人劇の全貌とは? アリバイ崩しを扱った本格ミステリの名篇として名高い著者の代表作! -
ハイチムニー荘の醜聞
妹二人を早く結婚させるように父を説得してほしい――友人の奇妙な依頼を受けて、ハイチムニー荘を訪れた作家クライヴは、そこで驚くべき話を聞かされた。友人の父親マシューから、三人の子供の中に、昔自ら死刑に追い込んだ殺人犯の忘れ形見がいると打ち明けられたのだ。驚いたクライヴがその名を尋ねた時、銃声が轟き、弾丸がマシューの頭を貫いた。邸内で大胆不敵は殺人をやってのけた人物は、復讐に燃える死刑囚の遺児だったのか? 絢爛たるヴィクトリア朝の英国に実在した名警部ウィッチャーが登場する第一級の時代ミステリ! 改訳決定版。 -
ロマンス
脅迫電話に悩む女優が通り魔に襲われる。その状況は、彼女が主演する新作ミステリ劇とそっくりだった。舞台はマスコミの注目を集めたが、翌日、彼女は自宅で惨殺体となって発見される。キャレラとクリングは劇団関係者に的を絞って捜査を開始するが……愛憎渦巻く演劇界の殺人を描いた会心作 -
悪戯
アイソラで近ごろ流行の悪戯は無邪気とは言い難い。落書き屋を狙った連続殺人。痴呆老人の置き去りなど、続発する事件に頭を悩ませるキャレラに、天才犯罪者デフ・マンからの大掛かりな犯罪計画をほのめかす挑戦状が舞い込む。累積する事件を解決し、87分署の面々はデフ・マンを阻止できるか -
キス
地下鉄のホームから突き落とされて危うく死にかけたエマは、数日後、今度は車に追い回されて轢き殺されそうになった。心配する夫は彼女に探偵をつける。だがほどなく、エマを狙っていた男が他殺体で発見された。犯人は夫か、探偵か?そもそもどうしてエマは狙われたか? 美しい人妻をめぐる殺人事件を鮮烈な筆致で描く -
ララバイ
大晦日のパーティ帰りの若夫婦が発見したのは、窒息死した赤ん坊とベビーシッターの刺殺体だった。赤ん坊が養子と知った87分署の刑事たちは実母を捜す一方、ベビーシッターの身辺を探る。 -
凍った街
最初は麻薬の売人、次はダンサー。同じ拳銃で射殺された二人の間にはどんなつながりが? さらに刑事たちを混乱させるかのように、今度はポケットにダイヤを詰め込んだ宝石商が同じ凶器で殺された! 寒波とともに街を震え上がらせた連続殺人に、人間味溢れる刑事たちの姿を絡めて描く大作。 -
囁く影
パリ郊外の古塔で奇妙な事件が起きた。だれもいないはずの塔の頂で、土地の富豪が刺殺死体で発見されたのだ。警察は自殺と断定したが、世間は吸血鬼の仕業と噂した。数年後、ロンドンで当の事件を調査していた歴史学者の妹が何者かに襲われ、瀕死の状態に陥った。なにかが“囁く”と呟きながら。霧の街に跳梁するのは血に飢えた吸血鬼か、狡猾な殺人鬼か?吸血鬼伝説と不可能犯罪が織りなす巨匠得意の怪奇譚。改訳決定版。 -
疑惑の影
弁護士パトリック・バトラーはテイラー夫人殺害の容疑で捕われた娘ジョイスの弁護を引き受けた。夫人はジョイスと二人きりの邸内で毒殺されたのだ。絶対不利な状況にもかかわらず、バトラーは見事に無罪判決を勝ち取る。だがその直後、今度は夫人の甥が毒殺された。当地に滞在中のフェル博士とバトラー、二人の名探偵が突き止めた真相とは? 巧妙きわまる心理トリックを駆使したバトラー初登場作。改訳決定版。 -
007/ロシアから愛をこめて【井上一夫訳】
ソ連情報部は、このところの失策続きを、なんとか挽回しようとしていた。そこで槍玉に挙げられたのが、英国秘密情報部。なかでも腕利きのスパイとして知られる、007ことジェームズ・ボンドだった。こうしてソ連の公式殺人機関スメルシュの、ジェームズ・ボンドに対する死刑執行計画が動き始める。舞台はイスタンブール。ヨーロッパとアジアが交わる混沌とした街。ボンドに恋するソ連情報部の美女との、豪華なオリエント急行での逃避行。二重三重に仕かけられた巧妙な罠に、さしものジェームズ・ボンドも、次第に搦めとられていく。シリーズ最高峰の傑作。/解説=戸川安宣 -
眠れるスフィンクス
長い連隊勤務から帰ってきたホールデンは、以前親しくしていた娘シーリアの姉が死亡したという話を聞いた。姉の突然の死で、シーリアも精神障害を起こしているらしい。だが、実際に彼女に会ってみたホールデンは驚いた。姉は脳出血で死んだのではなく、夫からひどい虐待をうけつづけた末に、毒をあおって自殺したと、シーリアが言い張ったのだ。それは病んだ心が生んだ誤った事実なのか、それとも冷厳な事実だったのか……愛と憎しみの交錯する人間模様と納骨所に起った奇怪な現象。名探偵フェル博士が解き明した意外な真相とは? 改訳決定版。 -
ビロードの悪魔
歴史学教授のフェントンは過去のある事件を調べるため、悪魔と契約を交わし時を遡った。三百年前の貴族に乗り移り、その妻が毒殺された事件を解明しようというのだ。きっかけは、事件の顛末を記した執事の手記だった。なぜか事件解明の部分だけ欠落していたのだ。過去の謎に挑むフェントンは事件を防ぎ、歴史を作り変えられるか? 華麗な恋愛模様と壮絶な剣戟場面を織り込み、中世英国を舞台にものした歴史ミステリ巨篇。 -
月明かりの闇 フェル博士最後の事件
現場に到着したフェル博士の目の前で、死体は広々とした浜辺の真ん中に横たわっていた。背後から鈍器で殴られたらしく、頭の右側がつぶされている。濡れた砂には被害者自身の足跡が残るのみ……犯人は宙に浮いた状態で凶器を振るったとでもいうのか? 南部の邸宅で起きた謎めいた殺人事件。当主一族に伝説として残る百年前の惨劇が現代に再現された!名探偵フェル博士の慧眼が、最後の最後に見抜いた意外な真相とは。 -
火刑法廷〔新訳版〕
広大な敷地を所有するデスパード家の当主が急死。その夜、当主の寝室で目撃されたのは古風な衣装をまとった婦人の姿だった。その婦人は壁を通り抜けて消えてしまう……伯父の死に毒殺の疑いを持ったマークは、友人の手を借りて埋葬された遺体の発掘を試みる。だが、密閉された地下の霊廟から遺体は跡形もなく消え失せていたのだ! 無気味な雰囲気を孕んで展開するミステリの一級品 -
三つの棺〔新訳版〕
ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを、コートと帽子で身を包み、仮面をつけた長身の謎の男が訪れる。やがて二人が入った書斎から、銃声が響く。居合わせたフェル博士たちがドアを破ると、絨毯の上には胸を撃たれて瀕死の教授が倒れていた! しかも密室状態の部屋から謎の男の姿は完全に消え失せていたのだ!