感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
・「星野さん、どうかした?」「え!?べつに何も…」「本当に?」「はい…」
「…じゃあ、そんな声してちゃダメだ。診療所に来る患者さんは、みんな星野さんを見てる。
みんな、自分がどんな病気か不安でいる時に、星野さんの明るい声が患者さんを不安から救うんだ。
なのに、星野さんが不安そうにしてちゃダメだ。
星野さんは気付いてるかどうか知らないけど、星野さんが治した患者さんだって、いっぱいいるんだ。
島の人達は、みんな星野さんを信頼してる。診療所にいる時には、それを忘れないで」
・「星野さん、重い病気を治すのに欠かせないものは、何だと思う?」
「欠かせないもの?」
「どんなにいい薬を使っても、薬に生かされてるうちは、完治とは言えない。病人に一番必要なのは生きがいなんだ。
和美さんが、血だらけになってまで井戸水を汲んできたのだって、ただただ息子さんの嬉しそうな顔を見るためだけだと思う。
息子さんもそれをわかっていて、わざと汲みに行かせたんだ。母親に対する愛情は、星野さんと同じさ。
和美さんの入院していた介護センターの先生に、電話で訊いたんだけど、和美さん、少し痴呆(認知症)の症状が出ていて、
夜中に体をかきむしって、血だらけになることがあったから、手足をベッドに縛られていたらしい。
真義さんは、そんなふうに縛り付けられた母親を見てるくらいなら、死んだ方がマシだって言って、
夜中にかきむしるのなら、毎日爪を切って、一晩中起きて見張ってるって言って、退院させたんだって」
・「くだらなくても、タケヒロ君にとっては、食事も摂れないほど切実な悩みなんです。
食べたり食べなかったりというのは、たぶん、他にも悩みがあるんでしょう。
原さんだって子供の頃、今思えばくだらないと思うようなことを、真剣に悩んだことがあったでしょう?
ぼくらは、それを笑っちゃいけないんです。同じ目線で見てあげてください」
・「もし、タケヒロ君が自分から話してきたら、その時は、原さんの経験から教えてあげてください。もちろん真剣に」